パソナ総合研究所 約2,000人の女性に聞いた/働く女性自身が考える『女性活躍推進』とは
[19/06/10]
提供元:PRTIMES
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株式会社パソナグループ(本社:東京都千代田区、代表取締役グループ代表 南部靖之)で、社内外の専門家と共に様々な社会課題の解決に向けたフォーラムの開催や提言を行う「パソナ総合研究所」(所長:竹中平蔵)はこの度、現在就業中の女性を対象に『女性活躍推進に関する意識調査』を実施いたしました。
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」という目標が掲げられ、国内でも2016年に「女性活躍推進法」が施行されるなど、女性の働く環境に国内外で注目が集まっています。
本調査では、現在就業中で、高卒以上の20歳から69歳の女性を対象に、理想と現実のギャップや、会社・政府に期待することなどを聞き、20代・30〜40代・50〜60代の年代別に、その傾向をまとめました。
【調査結果のポイント】
●「働き方に理想と現実のギャップがある」と感じているのは、30〜40代が5割強と最高。最大のギャップは、「結婚や子育てとの両立」ができていないことで、その要因として「収入・待遇が希望と異なる」ことが1位に挙げられている。
●「働くうえで直面している問題」として、20代の女性では7割が「老後の金銭面が最も不安」と回答し、若者の将来不安が強く投影されている。
● 正社員総合職でも20〜40代で「管理職になりたくない」が半数近くを占め、女性管理職の増加に必要な取組は、「公正な評価」「長時間労働の禁止」が挙げられた。
● 全年代の約7割の女性が、「夫も妻も外で働き、夫婦で家事もすべき」と回答。現実は、約3割が「家庭内での役割分担の不明確さ」が不満と回答。
● 最も評価している政府の施策は、20代「産休・育休の拡大」、30〜60代「待機児童減少への取り組み」。評価する施策の約7割が、育児関連という結果になった。
<調査概要>
調査方法 : インターネットを通じたアンケート方式
調査期間 : 2019年3月6日〜13日
調査対象 : 20-69歳の現在就業中の女性
調査地域 : 日本全国、海外在住者
回答者数 : 1,988名
1. 理想と現実のギャップ
■「理想と現実のギャップ」が最も大きいのは30〜40代
働き方の「理想と現実のギャップ有無」を聞いたところ、「かなりギャップがある」「少しギャップがある」と回答したのは20代〜40代で約5割、50代〜60代で約4割でした。中でも最も回答率が高かった30代〜40代は、企業内では中堅層として活躍を期待される反面、子育てに忙しい時期で仕事でも家庭でも負荷がかかる時期であることが、理想と現実のギャップを生む大きな要因ではないかと推察されます。(n=1,988、単回答)
[画像1: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-455079-0.jpg ]
■「理想の働き方」のTOP2は「結婚・子育てとの両立」と「一般職として働く」
「理想の働き方」を、全年代を併せた傾向でみると、TOP2が「結婚生活や子育てと両立して働く」と「一般職として働く」で、全体の約5割を占めました。どの年代でも、“仕事と家庭の両立”が理想であることがみてとれます。また「一般職として働く」が多い理由としては、管理職や専門的職種は望まないが、会社員として働き続けたい意向が強いことが推察されます。(n=3,976、単回答)
[画像2: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-513208-1.jpg ]
■30〜40代の「理想と現実のギャップ」の最大理由は「仕事と家庭の両立ができていない」
前項で、「理想と現実のギャップ」を最も感じていると回答した30代〜40代に絞り、「理想の働き方
(現30〜40代が20代の頃、理想と考えていた働き方)」と、「現在の働き方」を比較してみました。
「理想の働き方(20歳代の頃)」TOP2は、全年代と同じ傾向が見られます。(n=618,単回答)
[画像3: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-732006-2.jpg ]
一方、現在の働き方は、「一般職として働いている」が最も高く、「理想の働き方」1位の「結婚生活や子育てと両立して働いている」は、「個人事業主として働く」にも及ばず三位でした。(n=429、単回答)
[画像4: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-509198-3.jpg ]
30〜40代の「理想と現実」を比較すると、一般職等の会社員として働き続ける場合でも、結婚や子育てと両立して働くことに難しさを感じている女性が多いと推察されます。
■「理想と現実のギャップの原因」は、「収入・待遇が希望と異なる」が約3割
「理想と現実のギャップの原因」を聞いたところ、どの年代も「収入・待遇が希望と異なる」が突出し、次いで「仕事内容が希望と異なる」という結果になりました。年代別の特徴を見ると、「理想と現実のギャップ」を最も感じている30代〜40代では、「プライベートの時間が確保しづらかった」が他の年代より高い割合を示しました。
結婚や子育てと両立して働くことができていないのは、仕事でも家庭でも負荷がかかる時期にどちらかを優先する選択を迫られ、仕事を選ぶと「プライベートの時間が確保しづらく」なり、家庭を選ぶと「収入・待遇が希望と異なる」や「仕事内容が希望と異なる」という状況に陥ると推察されます。その結果、結婚や子育てと両立して働くという理想の実現が容易でないと考えられます。(n=912,複数回答)
[画像5: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-686759-4.jpg ]
■「働くうえで直面している問題」は、20代でも「老後の金銭的不安」が7割でTOP
「働くうえで直面している問題」を聞いたところ、どの年代も「老後の金銭的不安」が約3割と最も高く、その中でも20代が68.1%で約7割と、全世代の全項目の中でもTOPとなりました。次いで、20代〜40代は「子育て費用の金銭的不安」、50代〜60代は「体力や健康面での不安」という結果になりました。
20代の「老後の金銭的不安」が最も高く出ているのは、若者の将来不安が強く投影されているためではないかと推察されます。(n=1,988 単回答)
[画像6: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-200540-5.jpg ]
2.会社および配偶者への期待
■「会社に求めるもの」は、20代「休暇の取得」、30代以降「仕事のやりがい」が多い
「会社に求めるもの」の年代別の特徴としては、20代は他年代に比べ「休日・休暇の取りやすさ」が突出しており、プライベートを重視する傾向が見て取れます。また、30代〜60代は「仕事内容の充実」が20代より高く、より仕事のやりがい、働きがいを求める意向が強いと推察されます。(n=1,671、単回答)
[画像7: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-119525-6.jpg ]
■「管理職への意向」は、正社員総合職でも20〜40代で「なりたくない」が約5割
正社員総合職を対象に「管理職への意向」を聞いたところ、「なりたい」と回答したのは、「20代:22.0%」「30〜40代:23.8%」、「50〜60代:31.2%」で、50〜60代が最も多くなりました。
また「なりたくない」と回答したのは、「20代:49.4%」「30〜40代:47.6%」「50〜60代:28.6%」で、20〜40代は、正社員総合職でも管理職への意向が低いことが顕著に現れました。
(n=238、正社員総合職のみ回答)
[画像8: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-591443-7.jpg ]
■「管理職になりたくない理由」は、「大変そうだから」がTOP。特に20〜40代で顕著
管理職に「なりたくない」と回答した正社員総合職にその理由を聞いたところ、全ての年代において「大変そう」がTOPとなりました。特に20〜40代は、2位の「責任が重くなるのが嫌だから」と併せて、50〜60代より顕著に高い結果となりましたが、これは上の年代の管理職が働く姿を見た結果、こうした回答が多かった可能性があります。一方、50〜60代では、「給与面で魅力がない」「自分の能力に自信がない」「人を管理する自信がない」が同率2位という結果になり、他の年代が感じる“管理職の重責”より、実質的な待遇や自身の能力を考えて躊躇する傾向があることが推察されます。
(n=100、正社員総合職のみ・複数回答)
[画像9: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-537477-8.jpg ]
■「女性が管理職になるために必要なこと」は、「男性社員や上司の理解促進」がTOP
女性が管理職になるために必要なことを聞いたところ、全ての年代で「男性社員や上司の理解促進」が最も多く、特に20代が突出する結果となりました。逆に、「能力・実績に基づくより公正な評価」は上の年代が20代と比較して高く、50〜60代は他年代より「女性自身の意識」が特に高い結果となりました。若い年代は職場での理解を強く求めるのに対し、上の年代ほど能力への公正な評価や、女性自身の意識が重要と考える傾向がみてとれます。その他、「家族・配偶者の理解・協力」はどの年代でもTOP3に入っており、職場だけでなく、家族の理解やサポートも、管理職になるために重要な要素と考えられていることがわかります。(n=1,671、単回答)
[画像10: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-642192-9.jpg ]
■「女性管理職の割合を増やすのに必要な取り組み」は「公正な評価」と「長時間労働禁止」
女性管理職の割合を増やすために必要な取り組みを聞いたところ、30〜60代は「能力・実績に基づくより公正な評価」が多数なのに対し、20代は「長時間労働の禁止」が1位になり年代により顕著な差が現れました。前項と照らし合わせてみると、実績やスキルが増える上の年代になるほど、能力や実績に対する公正・適正な評価をより強く求めるのに対し、若い20代はそもそも、長時間労働が管理職登用条件として一定の評価をされている状況の見直しを求めていることが見受けられます。会社においては、働き方改革を進める中、長時間労働の見直しと併せて人事評価制度全般の見直しを行うことを女性が期待しているものと考えられます。(n=1,671、単回答)
[画像11: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-887923-10.jpg ]
■夫婦の働き方についての考えは、約7割が「夫婦ともに外で働き、家事もすべき」
既婚者を対象に夫婦の働き方についての考えを聞いたところ、全年代の約7割が「夫も妻も外で働き、夫婦で家事もすべき」と回答しました。「妻は家にいるべき」「主として妻が家事もすべき」という回答は少なく、どの世代でも、家庭において夫婦の公平な役割分担を求める傾向が顕著です。
(n=957、既婚者のみ・単回答)
[画像12: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-288020-11.jpg ]
■配偶者に満足していないことは、「家庭内での役割分担の不明確さ」がTOP
既婚者を対象に「配偶者に満足していないこと」を聞いたところ、全ての年代で「家庭内での役割分担の不明確さ」が最も多い回答となりました。ここから、前項の「夫婦で家事を分担すべき」という考えと、ギャップが生じている状況があることが推察されます。また20代では「希望と合わない帰宅時間」も同率1位となり、前項でも20代は「長時間労働の禁止」を求める回答が目立ちましたが、女性自身だけでなく、配偶者に対しても長時間労働等をせず“家庭での役割もこなしてほしい”と考える者が多く、働き方に対する捉え方、価値観の世代による変化が見て取れます。(n=957、既婚者のみ・複数回答)
[画像13: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-944294-12.jpg ]
3.政府への期待
■「最も評価している行政の施策」は、「育児関連の支援」が7割超
女性の活躍推進に向けて行政に求めるもののうち、最も評価している施策について聞いたところ、20代は「産休育休期間の拡大」、30代以降は「待機児童減少への取り組み」がトップとなりました。一方で「女性管理職の増加の奨励」の施策については「20代:5.7%」「30〜40代:10.0%」、「50〜60代:11.2%」と評価が伸びませんでした。(n=1988、単回答)
[画像14: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-243262-13.jpg ]
■「消費増税分の施策活用への期待」は、教育無償化より「保育所の量と質の向上」
消費増税分の施策への活用として期待している支援について聞いたところ、全ての年代で「保育所等の受入数を増やす」がTOPとなりました。年代別の特徴を見ると、30〜40代は「高等教育無償化」が、50〜60代は「相談窓口の増設や時間延長」が他年代より高い回答となり、ライフステージに応じた要望の変化がみてとれます。各年代ともに、政府の進めている幼児保育の無償化以上に、「保育所等の受入数の増加」だけでなく「保育所の質の向上」を求める割合が高く、現段階では、まずは保育所の量の充足と質の向上を求める意見が多いことがみてとれます。(n=1988、単回答)
[画像15: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-863943-14.jpg ]
■「女性活躍の壁」となるのは、「社会の制度や慣習」及び「仕事と家庭の両立」
「女性活躍の壁と感じるものは何か」を聞いたところ、どの年代も共通して、「社会の意識」「仕事と家庭の両立」がTOP2を占めており、女性が活躍するためには、“社会的な背景”及び、“家庭との両立”の両方が必要であると考えられていることがわかります。年代別の特徴として、20代では「特に壁はない」が他の年代に比べて突出して高くなっており、年代が上がるほど「男性中心の雇用慣行や企業風土、人事制度」が高くなるという結果となりました。
年代別の傾向をより詳しくみてみると、20代は「長時間労働前提のワークスタイル」が他の年代と比べて高い一方、「女性自身の意識・能力」は低い結果となりました。上の年代に比べ、女性活躍に関する“意識や能力の壁”はそれほど感じていないものの、前項でも示されてきたように、長時間労働を問題視しない日本企業の従来からの働き方の見直しの必要性を感じていることが推察されます。
一方、子育て世代の中心となる30〜40代は、「子育てへの理解・支援不足」や「男性と比べて家庭責任が重い」が高い回答数となりました。また、キャリアを積んだ50代〜60代になると、「男性中心の雇用慣行や企業風土、人事制度」「経営層の意識」といった企業や社会的背景に関する回答が、他の年代より高い回答となっています。
このように、働く女性にとっての活躍の壁を打破していくためには、社会における意識や慣行の見直し、会社における働き方や人事評価制度の見直し、家庭における役割の見直しと行政による支援と環境整備などに総合的に取り組み、ワークライフバランスを女性たちの理想に近づける施策が重要であると考えられます。(n=1988、単回答)
[画像16: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-868075-15.jpg ]
■ 「パソナ総合研究所」 概要
名称:
パソナ総合研究所(英語名 Pasona Institute)
所在地:
東京都千代田区大手町2-6-2 JOB HUB SQUARE
所長:
竹中平蔵(パソナグループ取締役会長/慶應義塾大学名誉教授/東洋大学教授)
活動内容:
1.フォーラム、ワークショップの開催
2.「社会のあり方改革」に向けた政策提言
3.各種調査活動
4.ワーキングペーパーやレポート等の発行
運営体制:
所長およびアドバイザリーボード(外部有識者)の少人数のメンバーからなる運営委員会により提言をまとめます
<アドバイザリーボードメンバー>
・明石 康 (元国連事務次長)
・安西 祐一郎(独立行政法人日本学術振興会 顧問 学術情報分析センター所長)
・石原 信雄 (一般財団法人地方自治研究機構 会長)
・大島 賢三 (元国連大使)
・ジェラルド・カーティス(コロンビア大学 名誉教授)
・黒川 清 (政策研究大学院大学・東京大学 名誉教授)
・近藤 誠一 (元文化庁長官)
・鈴木 久泰 (元海上保安庁長官)
・松浦 晃一郎(第8代ユネスコ事務局長)
・山田 啓二 (前京都府知事、京都産業大学学長補佐・法務部法政策学科教授)
特長:
・幅広い分野の専門家や有識者の英知を結集し研究・提言・知的交流・情報発信を行う
・研究型ではなく、自らの問題意識を元に積極的に提言を行う“ドゥタンク(Do Tank)”として情報を発信する
活動実績:
<活動テーマ>
第1回シリーズ「これからの働き方改革」(2018年4月〜6月)
第2回シリーズ「ツーリズムと地方創生」(2018年7月〜10月)
第3回シリーズ「規制改革とベンチャー」(2018年11月〜2019年2月)
第4回シリーズ「女性の働き方」(2019年4月〜6月)
<提言・レポート>
https://www.pasonagroup.co.jp/pi/report/
HP:
http://www.pasonagroup.co.jp/pi/
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」という目標が掲げられ、国内でも2016年に「女性活躍推進法」が施行されるなど、女性の働く環境に国内外で注目が集まっています。
本調査では、現在就業中で、高卒以上の20歳から69歳の女性を対象に、理想と現実のギャップや、会社・政府に期待することなどを聞き、20代・30〜40代・50〜60代の年代別に、その傾向をまとめました。
【調査結果のポイント】
●「働き方に理想と現実のギャップがある」と感じているのは、30〜40代が5割強と最高。最大のギャップは、「結婚や子育てとの両立」ができていないことで、その要因として「収入・待遇が希望と異なる」ことが1位に挙げられている。
●「働くうえで直面している問題」として、20代の女性では7割が「老後の金銭面が最も不安」と回答し、若者の将来不安が強く投影されている。
● 正社員総合職でも20〜40代で「管理職になりたくない」が半数近くを占め、女性管理職の増加に必要な取組は、「公正な評価」「長時間労働の禁止」が挙げられた。
● 全年代の約7割の女性が、「夫も妻も外で働き、夫婦で家事もすべき」と回答。現実は、約3割が「家庭内での役割分担の不明確さ」が不満と回答。
● 最も評価している政府の施策は、20代「産休・育休の拡大」、30〜60代「待機児童減少への取り組み」。評価する施策の約7割が、育児関連という結果になった。
<調査概要>
調査方法 : インターネットを通じたアンケート方式
調査期間 : 2019年3月6日〜13日
調査対象 : 20-69歳の現在就業中の女性
調査地域 : 日本全国、海外在住者
回答者数 : 1,988名
1. 理想と現実のギャップ
■「理想と現実のギャップ」が最も大きいのは30〜40代
働き方の「理想と現実のギャップ有無」を聞いたところ、「かなりギャップがある」「少しギャップがある」と回答したのは20代〜40代で約5割、50代〜60代で約4割でした。中でも最も回答率が高かった30代〜40代は、企業内では中堅層として活躍を期待される反面、子育てに忙しい時期で仕事でも家庭でも負荷がかかる時期であることが、理想と現実のギャップを生む大きな要因ではないかと推察されます。(n=1,988、単回答)
[画像1: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-455079-0.jpg ]
■「理想の働き方」のTOP2は「結婚・子育てとの両立」と「一般職として働く」
「理想の働き方」を、全年代を併せた傾向でみると、TOP2が「結婚生活や子育てと両立して働く」と「一般職として働く」で、全体の約5割を占めました。どの年代でも、“仕事と家庭の両立”が理想であることがみてとれます。また「一般職として働く」が多い理由としては、管理職や専門的職種は望まないが、会社員として働き続けたい意向が強いことが推察されます。(n=3,976、単回答)
[画像2: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-513208-1.jpg ]
■30〜40代の「理想と現実のギャップ」の最大理由は「仕事と家庭の両立ができていない」
前項で、「理想と現実のギャップ」を最も感じていると回答した30代〜40代に絞り、「理想の働き方
(現30〜40代が20代の頃、理想と考えていた働き方)」と、「現在の働き方」を比較してみました。
「理想の働き方(20歳代の頃)」TOP2は、全年代と同じ傾向が見られます。(n=618,単回答)
[画像3: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-732006-2.jpg ]
一方、現在の働き方は、「一般職として働いている」が最も高く、「理想の働き方」1位の「結婚生活や子育てと両立して働いている」は、「個人事業主として働く」にも及ばず三位でした。(n=429、単回答)
[画像4: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-509198-3.jpg ]
30〜40代の「理想と現実」を比較すると、一般職等の会社員として働き続ける場合でも、結婚や子育てと両立して働くことに難しさを感じている女性が多いと推察されます。
■「理想と現実のギャップの原因」は、「収入・待遇が希望と異なる」が約3割
「理想と現実のギャップの原因」を聞いたところ、どの年代も「収入・待遇が希望と異なる」が突出し、次いで「仕事内容が希望と異なる」という結果になりました。年代別の特徴を見ると、「理想と現実のギャップ」を最も感じている30代〜40代では、「プライベートの時間が確保しづらかった」が他の年代より高い割合を示しました。
結婚や子育てと両立して働くことができていないのは、仕事でも家庭でも負荷がかかる時期にどちらかを優先する選択を迫られ、仕事を選ぶと「プライベートの時間が確保しづらく」なり、家庭を選ぶと「収入・待遇が希望と異なる」や「仕事内容が希望と異なる」という状況に陥ると推察されます。その結果、結婚や子育てと両立して働くという理想の実現が容易でないと考えられます。(n=912,複数回答)
[画像5: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-686759-4.jpg ]
■「働くうえで直面している問題」は、20代でも「老後の金銭的不安」が7割でTOP
「働くうえで直面している問題」を聞いたところ、どの年代も「老後の金銭的不安」が約3割と最も高く、その中でも20代が68.1%で約7割と、全世代の全項目の中でもTOPとなりました。次いで、20代〜40代は「子育て費用の金銭的不安」、50代〜60代は「体力や健康面での不安」という結果になりました。
20代の「老後の金銭的不安」が最も高く出ているのは、若者の将来不安が強く投影されているためではないかと推察されます。(n=1,988 単回答)
[画像6: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-200540-5.jpg ]
2.会社および配偶者への期待
■「会社に求めるもの」は、20代「休暇の取得」、30代以降「仕事のやりがい」が多い
「会社に求めるもの」の年代別の特徴としては、20代は他年代に比べ「休日・休暇の取りやすさ」が突出しており、プライベートを重視する傾向が見て取れます。また、30代〜60代は「仕事内容の充実」が20代より高く、より仕事のやりがい、働きがいを求める意向が強いと推察されます。(n=1,671、単回答)
[画像7: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-119525-6.jpg ]
■「管理職への意向」は、正社員総合職でも20〜40代で「なりたくない」が約5割
正社員総合職を対象に「管理職への意向」を聞いたところ、「なりたい」と回答したのは、「20代:22.0%」「30〜40代:23.8%」、「50〜60代:31.2%」で、50〜60代が最も多くなりました。
また「なりたくない」と回答したのは、「20代:49.4%」「30〜40代:47.6%」「50〜60代:28.6%」で、20〜40代は、正社員総合職でも管理職への意向が低いことが顕著に現れました。
(n=238、正社員総合職のみ回答)
[画像8: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-591443-7.jpg ]
■「管理職になりたくない理由」は、「大変そうだから」がTOP。特に20〜40代で顕著
管理職に「なりたくない」と回答した正社員総合職にその理由を聞いたところ、全ての年代において「大変そう」がTOPとなりました。特に20〜40代は、2位の「責任が重くなるのが嫌だから」と併せて、50〜60代より顕著に高い結果となりましたが、これは上の年代の管理職が働く姿を見た結果、こうした回答が多かった可能性があります。一方、50〜60代では、「給与面で魅力がない」「自分の能力に自信がない」「人を管理する自信がない」が同率2位という結果になり、他の年代が感じる“管理職の重責”より、実質的な待遇や自身の能力を考えて躊躇する傾向があることが推察されます。
(n=100、正社員総合職のみ・複数回答)
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■「女性が管理職になるために必要なこと」は、「男性社員や上司の理解促進」がTOP
女性が管理職になるために必要なことを聞いたところ、全ての年代で「男性社員や上司の理解促進」が最も多く、特に20代が突出する結果となりました。逆に、「能力・実績に基づくより公正な評価」は上の年代が20代と比較して高く、50〜60代は他年代より「女性自身の意識」が特に高い結果となりました。若い年代は職場での理解を強く求めるのに対し、上の年代ほど能力への公正な評価や、女性自身の意識が重要と考える傾向がみてとれます。その他、「家族・配偶者の理解・協力」はどの年代でもTOP3に入っており、職場だけでなく、家族の理解やサポートも、管理職になるために重要な要素と考えられていることがわかります。(n=1,671、単回答)
[画像10: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-642192-9.jpg ]
■「女性管理職の割合を増やすのに必要な取り組み」は「公正な評価」と「長時間労働禁止」
女性管理職の割合を増やすために必要な取り組みを聞いたところ、30〜60代は「能力・実績に基づくより公正な評価」が多数なのに対し、20代は「長時間労働の禁止」が1位になり年代により顕著な差が現れました。前項と照らし合わせてみると、実績やスキルが増える上の年代になるほど、能力や実績に対する公正・適正な評価をより強く求めるのに対し、若い20代はそもそも、長時間労働が管理職登用条件として一定の評価をされている状況の見直しを求めていることが見受けられます。会社においては、働き方改革を進める中、長時間労働の見直しと併せて人事評価制度全般の見直しを行うことを女性が期待しているものと考えられます。(n=1,671、単回答)
[画像11: https://prtimes.jp/i/16751/603/resize/d16751-603-887923-10.jpg ]
■夫婦の働き方についての考えは、約7割が「夫婦ともに外で働き、家事もすべき」
既婚者を対象に夫婦の働き方についての考えを聞いたところ、全年代の約7割が「夫も妻も外で働き、夫婦で家事もすべき」と回答しました。「妻は家にいるべき」「主として妻が家事もすべき」という回答は少なく、どの世代でも、家庭において夫婦の公平な役割分担を求める傾向が顕著です。
(n=957、既婚者のみ・単回答)
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■配偶者に満足していないことは、「家庭内での役割分担の不明確さ」がTOP
既婚者を対象に「配偶者に満足していないこと」を聞いたところ、全ての年代で「家庭内での役割分担の不明確さ」が最も多い回答となりました。ここから、前項の「夫婦で家事を分担すべき」という考えと、ギャップが生じている状況があることが推察されます。また20代では「希望と合わない帰宅時間」も同率1位となり、前項でも20代は「長時間労働の禁止」を求める回答が目立ちましたが、女性自身だけでなく、配偶者に対しても長時間労働等をせず“家庭での役割もこなしてほしい”と考える者が多く、働き方に対する捉え方、価値観の世代による変化が見て取れます。(n=957、既婚者のみ・複数回答)
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3.政府への期待
■「最も評価している行政の施策」は、「育児関連の支援」が7割超
女性の活躍推進に向けて行政に求めるもののうち、最も評価している施策について聞いたところ、20代は「産休育休期間の拡大」、30代以降は「待機児童減少への取り組み」がトップとなりました。一方で「女性管理職の増加の奨励」の施策については「20代:5.7%」「30〜40代:10.0%」、「50〜60代:11.2%」と評価が伸びませんでした。(n=1988、単回答)
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■「消費増税分の施策活用への期待」は、教育無償化より「保育所の量と質の向上」
消費増税分の施策への活用として期待している支援について聞いたところ、全ての年代で「保育所等の受入数を増やす」がTOPとなりました。年代別の特徴を見ると、30〜40代は「高等教育無償化」が、50〜60代は「相談窓口の増設や時間延長」が他年代より高い回答となり、ライフステージに応じた要望の変化がみてとれます。各年代ともに、政府の進めている幼児保育の無償化以上に、「保育所等の受入数の増加」だけでなく「保育所の質の向上」を求める割合が高く、現段階では、まずは保育所の量の充足と質の向上を求める意見が多いことがみてとれます。(n=1988、単回答)
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■「女性活躍の壁」となるのは、「社会の制度や慣習」及び「仕事と家庭の両立」
「女性活躍の壁と感じるものは何か」を聞いたところ、どの年代も共通して、「社会の意識」「仕事と家庭の両立」がTOP2を占めており、女性が活躍するためには、“社会的な背景”及び、“家庭との両立”の両方が必要であると考えられていることがわかります。年代別の特徴として、20代では「特に壁はない」が他の年代に比べて突出して高くなっており、年代が上がるほど「男性中心の雇用慣行や企業風土、人事制度」が高くなるという結果となりました。
年代別の傾向をより詳しくみてみると、20代は「長時間労働前提のワークスタイル」が他の年代と比べて高い一方、「女性自身の意識・能力」は低い結果となりました。上の年代に比べ、女性活躍に関する“意識や能力の壁”はそれほど感じていないものの、前項でも示されてきたように、長時間労働を問題視しない日本企業の従来からの働き方の見直しの必要性を感じていることが推察されます。
一方、子育て世代の中心となる30〜40代は、「子育てへの理解・支援不足」や「男性と比べて家庭責任が重い」が高い回答数となりました。また、キャリアを積んだ50代〜60代になると、「男性中心の雇用慣行や企業風土、人事制度」「経営層の意識」といった企業や社会的背景に関する回答が、他の年代より高い回答となっています。
このように、働く女性にとっての活躍の壁を打破していくためには、社会における意識や慣行の見直し、会社における働き方や人事評価制度の見直し、家庭における役割の見直しと行政による支援と環境整備などに総合的に取り組み、ワークライフバランスを女性たちの理想に近づける施策が重要であると考えられます。(n=1988、単回答)
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■ 「パソナ総合研究所」 概要
名称:
パソナ総合研究所(英語名 Pasona Institute)
所在地:
東京都千代田区大手町2-6-2 JOB HUB SQUARE
所長:
竹中平蔵(パソナグループ取締役会長/慶應義塾大学名誉教授/東洋大学教授)
活動内容:
1.フォーラム、ワークショップの開催
2.「社会のあり方改革」に向けた政策提言
3.各種調査活動
4.ワーキングペーパーやレポート等の発行
運営体制:
所長およびアドバイザリーボード(外部有識者)の少人数のメンバーからなる運営委員会により提言をまとめます
<アドバイザリーボードメンバー>
・明石 康 (元国連事務次長)
・安西 祐一郎(独立行政法人日本学術振興会 顧問 学術情報分析センター所長)
・石原 信雄 (一般財団法人地方自治研究機構 会長)
・大島 賢三 (元国連大使)
・ジェラルド・カーティス(コロンビア大学 名誉教授)
・黒川 清 (政策研究大学院大学・東京大学 名誉教授)
・近藤 誠一 (元文化庁長官)
・鈴木 久泰 (元海上保安庁長官)
・松浦 晃一郎(第8代ユネスコ事務局長)
・山田 啓二 (前京都府知事、京都産業大学学長補佐・法務部法政策学科教授)
特長:
・幅広い分野の専門家や有識者の英知を結集し研究・提言・知的交流・情報発信を行う
・研究型ではなく、自らの問題意識を元に積極的に提言を行う“ドゥタンク(Do Tank)”として情報を発信する
活動実績:
<活動テーマ>
第1回シリーズ「これからの働き方改革」(2018年4月〜6月)
第2回シリーズ「ツーリズムと地方創生」(2018年7月〜10月)
第3回シリーズ「規制改革とベンチャー」(2018年11月〜2019年2月)
第4回シリーズ「女性の働き方」(2019年4月〜6月)
<提言・レポート>
https://www.pasonagroup.co.jp/pi/report/
HP:
http://www.pasonagroup.co.jp/pi/