4/24〜30 世界予防接種週間 予防接種を受けられない子どもの2/3は紛争の影響下で暮らす 【プレスリリース】
[16/04/22]
提供元:PRTIMES
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※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
【2016年4月22日 ニューヨーク/ジュネーブ発】
毎年4月24日から30日は世界予防接種週間です。世界予防接種週間は、世界中で多くの幼い命を守っているワクチンの重要性について再認識してもらうために設けられています。
ユニセフ(国連児童基金)は、世界予防接種週間に先立って、基本的な予防接種が受けられていない子どものおよそ3人に2人は、紛争により国内全土あるいは一部の地域が影響を受けている国で暮らしていることを明らかにしました*。
紛争下の国々のなかで、予防接種を受けていない子どもの割合が最も高い国は南スーダンで、61パーセントが最も基本的な幼児期の予防接種を受けておらず、続いてソマリア(58パーセント)、シリア(57パーセント)です。
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「紛争は、病気の拡大に最適な環境をもたらします」とユニセフ予防接種部門チーフのロビン・ナンディは指摘しました。「命に関わる保健サービスの崩壊、また時には意図的な破壊によって、子どもたちは、基本的な予防接種を受けられずにいます。医療サービスが利用可能な時でさえ、当該地域の治安悪化により子どもたちのもとへ届かないことが多いのです」
はしか、下痢、呼吸器感染症、栄養不良は、子どもの疾患と死亡の主な要因です。紛争や緊急事態下では、それらの影響がより深刻になる可能性があります。非紛争地域で子どもたちがはしかに罹患した場合、その子どもたちのうち死亡するのは1パーセント未満です。難民キャンプのように、人々で混み合い、栄養不良がはびこっている地域では、はしかによる子どもの死亡率は最高30パーセントまで上昇する可能性があります。過密状態と、食糧、水、避難所などの必需品の不足により、子どもたちは病気に対してよりいっそう脆弱な状態に陥ります。
紛争地域ではまた、保健員の殺害や、医療関係施設や物資、備品の破壊が見られ、これらはすべて子どもたちの健康に悲惨な結果をもたらします。
パキスタンとアフガニスタンの紛争下の地域は、いまや世界の他の地域では根絶されている、まひを引き起こすポリオウイルスの最後の牙城となっています。
シリアの予防接種率は、紛争前の2010年時点は80パーセントでしたが、2014年には43パーセントに急落しています。2013年、ポリオの症例が同国では14年ぶりに確認されました。
コンゴ民主共和国は2016年に、2,000件以上のはしかの疑いのある事例、うち17件の死亡事例が既に報告されており、その多くは5歳未満の子どもたちでした。
予防接種、特に感染力の高いはしかに対する接種が、人道的緊急事態においては優先度が高く、そのような状況下で子どもたちの健康を守るためにユニセフが行う対応の中心です。
シリアで4月24日に始まる予定の予防接種キャンペーンでは、定期予防接種を受けられなかった幼い子どもたち、特に包囲され支援の届きにくい地域で暮らす子どもたちを対象にします。このような子どもたちの多くは、紛争開始以降に生まれ、一度も予防接種を受けてこなかったのです。
イエメンでは、国中の熾烈な戦闘にもかかわらず、ユニセフの支援による予防接種キャンペーンによって、1月にはしかと風疹の予防接種を240万人の子どもたちに、2016年4月にはポリオの予防接種を460万人の子どもたちに実施しました。
リビアでは、2年ぶりの全国的一斉のポリオ予防接種キャンペーンが4月に完了しました。ユニセフは、今月上旬に150万人分のワクチンをトリポリに輸送しました。
パキスタンでは、3,600万人以上の子どもたちがポリオの予防接種の支援を受け、2015年以降ポリオの症例が65パーセント減少しています。
2014年から2015年にかけて、ユニセフはイラク、シリア、イエメンの2,300万人以上の子どもたちに対する緊急のはしか予防接種キャンペーンを支援しました。
緊急時や紛争下において、ユニセフはワクチンとその他の不可欠な医薬品のコールドチェーン(適切な温度を保ちながらワクチン等を輸送する物流システム)を再開させ、保健チームを立て直し、予防接種や栄養検査、ビタミンA補給剤、女性や子どもたちへの医療の提供のために保健員を訓練するべく、パートナー団体とともに取り組んでいます。
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紛争下の予防接種は、他の必要性の高い保健サービスを再開させることにも役立ちます。例えば、イラク、シリア、イエメンの紛争の影響下にある地域では、予防接種キャンペーンに応じて集まった人々に対し、保健員たちが、子どもが罹りやすい病気に対するケアのほか、保健や栄養のサービスも提供します。
「紛争の影響を受けている子どもたちは、健康が失われ、さらには将来をも奪われていく、下降スパイラルに陥ってしまいます。予防接種はこの悪循環を断ち切ることに貢献できるのです」とナンディは話します。「予防接種は、すべての紛争当事者から保護されるに値するものであり、保護を必要とする不可欠なサービスなのです」
*補足データ
三種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)の三回接種を受けられていない子どもの62%は、紛争の影響を受けている地域で暮らしている
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.or.jp/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.org/)