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【ファンケル研究成果】採血を行わず採尿で鉄不足者を判定-簡便なスクリーニング方法の確立に成功-

2023年度日本鉄バイオサイエンス学会で学術奨励賞を受賞

株式会社ファンケルは、成人および思春期の鉄不足状態の実態調査とともに、体内の鉄の状態を鋭敏に評価できるフェリチン1)に着目し、採尿による評価方法として尿検体の尿フェリチンを用いて鉄不足者の簡便なスクリーニングを実用化するための手法を確立したことをお知らせします。




なお本成果は、2023年9月に開催された第47回日本鉄バイオサイエンス学会学術集会にて『思春期の鉄欠乏のスクリーニングにおける尿フェリチンの有用性評価』と題して発表し、「学術奨励賞」を受賞しました。

[画像1: https://prtimes.jp/i/17666/1089/resize/d17666-1089-6f7d09d5eaccef267ee6-0.jpg ]

(写真)日本鉄バイオサイエンス学会理事長 豊國伸哉様(右)、ファンケル総合研究所研究員 豊田晴香(左)

当社では、体内の鉄の充足に関する研究を継続的に行い、女性や成長期のお子様における適切な鉄の摂取の重要性を社会に発信する活動に取り組んでいます。
鉄欠乏はちょっとした運動や移動だけで生じる疲労感やさまざまな活動の低下のほか、記憶力、学習能力、認知機能、運動機能などの低下も引き起こすと言われています。世界では16億人から20億人が鉄欠乏と推定され、20代から40代の日本人女性の約50%が貧血もしくは潜在的な鉄欠乏状態であると報告されています。また、思春期のお子様は、成長に使われる鉄の増加や、月経の開始による鉄の損失、無理なダイエットなどにより、鉄不足になる傾向が多いと言われています。


<研究方法・結果>
20歳から69歳の日本人成人303人(男性154人、女性149人)と東京都内の中学1年生から3年生の生徒562人(男子293人、女子269人)の血液検体と尿検体を用いて、鉄欠乏の鋭敏な指標であるフェリチン(血液検体からは血清フェリチン、尿検体からは尿フェリチン)を測定しました。
血清フェリチンの測定結果から、成人と中学生のそれぞれにおける鉄不足傾向者の割合を比較し、さらに、血清フェリチンと尿フェリチンの相関を確認することで、尿フェリチンでの鉄不足傾向者をスクリーニング(選抜)できるか検証しました。
なお、中学生の調査は、公益財団法人東京都予防医学協会(東京都新宿区、理事長:久布白兼行)と共同で実施しました。

【成人および思春期でのそれぞれの血清フェリチンで鉄不足傾向者割合を調査】
図1は、成人における鉄不足傾向とされる血清フェリチン25ng/ml未満の者の割合を示しています。
成人女性の鉄不足傾向者の割合は20代から40代の女性で高く、特に30代、40代の女性では4割強が鉄不足傾向であることが分かりました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/17666/1089/resize/d17666-1089-5883eebc448e7ea7b377-1.jpg ]

図1 20代から60代の日本人における鉄不足者の割合(血清フェリチン<25ng/mL)

図2は、中学生における血清フェリチン25ng/ml未満の鉄不足傾向者の割合を示しています。
女子中学生の鉄不足傾向割合は、1年生では48.9%、2年生では51.6%、3年生では58.5%と、学年が上がるとともに増加し、女子中学生の約半数は鉄不足傾向であることが分かりました。

[画像3: https://prtimes.jp/i/17666/1089/resize/d17666-1089-dc2447689ff6676bfd84-2.jpg ]

図2 都内の中学1年生から3年生における鉄不足者の割合(血清フェリチン<25ng/mL)

鉄不足は、ちょっとした運動や移動による疲労感や認知力の低下など、明確な原因が分からない不調を引き起こしやすいですが、そもそも鉄が不足していることを自覚しにくいことが課題です。そのため鉄不足状態を早期に発見し、対策をすることが重要であると考えられます。

【成人女性と女子中学生における血清フェリチンと尿フェリチンの相関を調査】
次に、尿フェリチンを用いて鉄不足傾向者をスクリーニングできるかを検証するため、血清フェリチンと尿フェリチンの相関を調査しました。その結果、鉄不足傾向者の多い成人女性(図3)、女子中学生(図4)ともに、血清フェリチンとクレアチニン補正2)した尿フェリチンが有意に相関することが分かりました。

[画像4: https://prtimes.jp/i/17666/1089/resize/d17666-1089-7a143793a1c0e54451c4-3.jpg ]

左:図3 20代から60代の日本人女性における血清・尿フェリチン相関
右:図4 都内の女子中学1年生から3年生における血清・尿フェリチン相関
図3、4ともに、血清フェリチンによる測定結果と尿フェリチンによる測定結果の間には正の相関関係が統計的に確認されました。

以上のことより、尿フェリチンを用いた尿検査は、採血を必要とする血清フェリチン検査に比べて簡便に鉄不足を推定できる検査方法であることが確認されました。尿フェリチン検査を用いることにより、血清フェリチン測定において、確認された成人と思春期の鉄不足傾向状態を早期に発見できる可能性が示唆されました。

<今後の展開>
本研究で得られた鉄不足の実態把握や尿検査による鉄不足者のスクリーニング技術の実用化をより浸透させ、お客様自身に対して適切な鉄分の摂取のアドバイスやサービスを提供することで、一人でも多くの方の鉄不足解消と健康維持を目指してさらなる研究に取り組んでまいります。


【用語説明】
1)フェリチン:鉄を貯蔵するタンパク質。血清フェリチンは鉄欠乏の最も鋭敏な指標であり、血清フェリチン12ng/mL未満は鉄欠乏で鉄が枯渇している状態を示す(日本鉄バイオサイエンス学会 鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂[第3版] 6 鉄欠乏性貧血の診断・診断基準 より引用)

2)クレアチニン補正:成人の1日のクレアチニン排泄量はほぼ1gであることを利用して、随時尿から1日当たりの目的成分の排泄量を推定する方法
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