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カンボジア:子どもに対する暴力の防止と対応-政府が行動計画を発表【報道参考資料】




【2017年12月11日 プノンペン 発】

カンボジアで初となる「子どもに対する暴力の防止および対応のための行動計画2017年-2021年」が、12月11日、カンボジア政府によって発表されました。子どもに対するあらゆる形態の暴力をなくすための取り組みが、カンボジアにおいてまた一歩前進したことになります。

[画像1: https://prtimes.jp/i/5176/1090/resize/d5176-1090-577132-0.jpg ]

「子どもたちは、私たちの国の未来です。暴力、虐待、搾取から守られるという子どもの権利を実現することは、すべての人の責任です。カンボジア政府は、開発パートナーや市民社会とともに、弱い立場に置かれた子どもや家族を保護し、確固とした法的および政策枠組みを適切に整備するとともに、社会サービス提供者の能力強化に今後も取り組んでいきます。これらすべてのことは、子どもたちやその家族の権利を促進するために、不可欠なのです」と、マエン・サムオーン(MEN Sam An)副首相は述べています。

子どもへの暴力に関する国連事務総長特別代表 マルタ・サントス・ パイスは、カンボジアの行動計画の効果的な実施が、世界および地域の開発目標に貢献すると強調しました。「すべての子どもに恐怖や暴力のない世界を、という持続可能な開発目標のビジョンを実現するつもりならば、子どもたちを暴力から守ることは必要不可欠なことです。本行動計画の遂行は、そのSDGsの目標を、地域における子どもに対する暴力をなくすというASEANの目標とともに、カンボジアが達成する道筋となります」

本行動計画は、様々な政府組織や非政府組織の役割や責任を位置付けており、 “ゼロ・トレランス”(どんな小さな違反も許容しない。細部まで罰則を定め、違反した場合は厳密に処分を行う)の姿勢を取り入れるとともに、子どもに対する暴力をなくそうという世界的な動きに沿ったものです。そして、2013年にカンボジア政府によって実施された「カンボジアにおける子どもに対する暴力に関する調査」の調査結果に対応するものとなります。2013年の調査では、カンボジア国内で、子どもに対する身体的・精神的・性的暴力がどれだけ広く行われているか、それらの規模に関する証拠を示しており、政府や市民社会、開発パートナーによる行動を促しています。

2013年の調査では、カンボジアの子どもたちが、自宅や学校、コミュニティ、ネット上など、公共の場所でもプライベートな場所でも、暴力を経験したり目撃したりしていることが明らかになりました。さらに懸念されることは、それらの暴力の加害者として最も頻繁に挙げられたのが、子どもたちが良く知り、信頼している人々であったことです。調査報告によると、2人に1人の子どもたちが身体的暴力を経験し、20人に1人の人々が18歳未満で性的暴力を経験したと報告しています。国内では、児童婚の割合が60%近くにのぼる地域もあります。子どもの人身売買や、インターネット上の性的虐待もまた、子どもたちに有害な影響を及ぼす問題です。

[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/1090/resize/d5176-1090-991775-1.jpg ]

「子どもに対する暴力は、子どもの権利の侵害であるというだけでなく、子どもの情緒面、身体面、心理面に広範囲にわたって負の影響をもたらします」と、ユニセフ・カンボジア事務所のデボラ・コミニ代表は指摘します。「子どもに対する暴力は、子どもたちが自らの可能性を最大限に発揮するチャンスを打ち壊します。暴力が及ぼす長期的な影響は、子どもの総合的な発達を妨げ、自宅やコミュニティでも世代を越えた暴力が繰り返されるなど、深刻な可能性もあります」

子どもを保護するための、サポート・システムやサポート・ネットワークは、今なお限定的です。そして、家や学校で子どもへの暴力的なしつけが行われるなど、様々な形態の子どもの暴力に対する、家族やコミュニティの中での認識も十分ではありません。本行動計画は、暴力を防止し、性別を問わず暴力を受けた子どもたちへのサービス向上のために、 効果的で、子どもにやさしい方策の開発と実施の取り組みをサポートするために、設計されました。

本行動計画の開発と最終決定に際し、若者たちが、議論や政策対話への積極的な参加を通じて、重要な役割を果たしました。「行動計画の策定に貢献でき、それが政府にも認められたことが、とても嬉しいです。この行動計画の実施によって、加害者の考え方や行動が変わり、子どもに対する暴力がゼロになるまで減ること、そして、政府・非政府組織が参加することで、子どもに対する暴力の認識が高まることを願っています」と、ユニセフが支援するAdolescent and Youth Reference Groupのセイ・ビサルさんは述べました。

カンボジアの社会問題・退役軍人・青少年 更正省(MoSVY)が、13の主要な省庁や機関で構成される「子女性と子どもに対する暴力に関する運営委員会」と協力の下、本行動計画の策定を率いました。また、開発パートナー、市民団体、国連機関、若者も、計画をより良く発展させるために重要な役割を果たしました。

「子どもに対する暴力の防止および対応のための行動計画2017年-2021年」(英語版)は、下記のサイトからダウンロード頂けます。https://www.unicef.org/cambodia/Full_VAC_Action_Plan_En_Final_AP.pdf

* * *
■ 補足
2013年の「カンボジアにおける子どもに対する暴力に関する調査」以来、カンボジア政府はNGOとともに、「子どもに対する暴力の防止および対応のための行動計画2017年-2021年」の策定と並行して、子どもをより良く保護するイニシアティブを実施しました。

また今年4月には、子どもが家族と一緒に暮らすことを促進し、子どもを施設から家族の元に戻し、施設に代わる支援を提供することによって、子どものケアを改善することを目指す「子どものケア改善のための行動計画 2016年-2018年」が、社会問題・退役軍人・青少年 更正省(MoSVY)によって発表されました。

・参考記事 「カンボジア:未登録の“孤児院”が全体の38% 政府、報告書と行動計画を発表(2017年5月2日)」 https://www.unicef.or.jp/news/2017/0091.html

■ 本信はユニセフ・カンボジア事務所が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。本信の原文は、 https://www.unicef.org/cambodia/12681_27255.html からご覧いただけます。
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