ベネッセ教育総合研究所「高等教育の未来を考える会」 各界の有識者とともに「大学教育ビジョン」として4つの提言を発表
[23/02/28]
提供元:PRTIMES
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学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学教育ビジョン〜
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市、代表取締役社長:小林 仁)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、2022年1月より各界の有識者とともに「高等教育の未来を考える会」を立ち上げ、大学がどんな学びの場になり、学生がどのような経験をして成長していくのか、そのために大学のあるべき姿や役割はどう変わらなければならないのか、これからの大学教育のビジョンを検討しました。
多様化、複雑化する世界の構造的課題を解決し、よりよい未来を創りあげていく担い手となる若者を育むために、ますます大学教育への期待と重要性が高まっている中、「学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学教育ビジョン」として、未来を創る担い手を育む大学教育の在り方への提言をまとめました。提言の概要は以下の通りです。
[画像1: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-d9e01f4b16fe60aefedd-0.png ]
「未知を探究し、新たな価値を創り出す創造性を育むこと」は教育の目標の一つであり、未来を創る学生を育むために、大学教育の役割はますます重要になっています。
未来を創るために、学生は、「自分や社会の未来をつくる大志に満ちた夢を持つこと」「自分だけでなく社会の未来を共に創造し、未来に自分自身が歩む道をデザインする意思をもつこと」「今を前提としない大きな未来にもひるまず挑戦する気持ち」という「野望」を一人ひとりが掲げ、それに向けて行動することが必要です。大学は、「野望」を抱く学生が育まれる場でなければなりません。大学がそのような場になるために、以下、4つを提言します。
提言1 挑戦と観察を繰り返して創造性を育む学び場へ
創造性とは未知の問いを見つけ、そこに仮説を立て、それを立証し、実現する力。
「創造性」は属人的な才能とみなされているが、教育によって育めるもの。教育本来の最も大切な達成目標の一つである「創造性」を体系的に学ぶ場が大学である。
提言2 学生が自身で決定し評価する経験ができる場へ
大学は、学生が人生を考え、テーマと出合う場。学生自身が自己決定、自己評価する経験を通して、学ぶ意義や目的を考えることで、主体的な学びにつなげる場である。
提言3 社会と学生自身がつながる経験を提供する場へ
学生が自己肯定感を高め、大きな「野望」を育むために、社会の中で小さな成功体験を積み重ねることが大切だ。学生が、その経験を積み重ねるために、地域、社会、世界への接点となる場が大学である。
提言4 未来を学生自身が変える目標と実感を育む場へ
学生が自身の「創造性」に自信を持ち、自分自身を知り、自分で決め、社会とつながる。こうしたプロセスの先にこそ、得られた専門性によって関係を構築できる実感が育まれ、社会の未来を自分で変えられる可能性に気づく。この希望ある野望が育まれるプロセスを体験的に学び、この学びが大きな夢や目標へとつながる場が大学である。
本提言では大学を「4つの場」として提案していますが、それに限らず大学を創造的で自律的な学びの場にするために、学生にどんな学びを提供し、どのような仕組みを構築するかには、多くの可能性があります。
人生100年時代に求められる大学の役割は、年齢によらず、あらゆる世代の自己探究と社会の接点をつくり、仕事と学びの場である大学を往還することで、自らの可能性に気づく状況を提供することです。多様な学びの中から、学生がときめき、夢中になれることを自分自身で選択し、目標をかなえるために学ぶための「学びのプラットフォーム」になること。これらが大学という「場」に求められることとなるでしょう。
【提言概要】
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/1116_1_04169e394928952d810877390afb39e8.jpg ]
【ご参考:本提言の構成について】
提言「学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学教育ビジョン〜」は以下の構成となります
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/1116_2_2fddc065e7c30ca1343a416a60b27dea.jpg ]
【本提言作成に至った背景 〜データで見る大学生の意識や行動の変化】
「学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学ビジョン」をまとめるために、その背景や課題認識にいたったデータを大学生の意識や行動の変化を中心にピックアップします。ここであげたデータ以外にも大学教育を取り巻く環境変化など、別途、【提言のための参考資料】としてまとめ、ダウンロードできるようにしています。
大学に進学するのは、学生個人の知りたいことや好きなことを探究したり、自分の周りにある不満や憤りを感じる問題を解決するために必要なことを「学ぶ」ためのはずが、半数以上が「興味ある学問分野」を重視していないという1)の結果や2)〜4)の調査結果から大学教育の重要性は高まっているにもかかわらず、未来を創る担い手を育む大学教育になっているかとの課題意識をもちました。この課題解決の一助として、今回、提言をまとめました。
1)大学進学理由として「興味のある学問分野」が減少、「入試方式が自分に合っている」など入試制度・日程に関することが増加
[画像2: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-a691b9653a75f9328f0f-1.png ]
ベネッセ教育総合研究所が、2021 年12 月に全国の大学 1〜4 年生 4,124 人を対象に行った「第4回大学生の学習・生活実態調査」では、本来、学びの場である大学への進学理由として「興味のある学問分野」が48.1%と半数をきり、自分にあった入試方式や試験日、試験会場が多いなど「受験のしやすさ」が増加していました。
2)大学の授業は、対話的・探究的な学び(アクティブ・ラーニング)が増加
[画像3: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-49ce49ff70dc7a576bd9-2.png ]
大学の授業の形態は、「ディスカッションの機会を取り入れた授業」「グループワークなどの協同作業をする授業」「プレゼンテーションの機会を取り入れた授業」が2008年と比べて10ポイント以上増加するなど、アクティブ・ラーニング型の授業が増えています。教えるだけでなく、学生同士の対話や興味あるテーマを探究する学びを提供することで、学生の成長をサポートしようとする工夫もみられます。
3)「成長実感」について「実感しない」学生はコロナ禍もあり2020年度入学生で高く、4割
[画像4: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-322de522e814793526a0-3.png ]
大学の授業の工夫やサポートにもかかわらず、コロナ禍もあり、特に2020年度入学生に成長実感がもてていない学生が多いことがわかります。
4)大学での学びが、若手社会人の「幸せな活躍」につながっている
[画像5: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-8ed834c3f83990c8266c-4.png ]
ベネッセ教育総合研究所と株式会社パーソル総合研究所、立教大学中原淳教授との共同研究プロジェクトで行った調査「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」(2021年11月に大学卒・大学院卒の有期雇用を除く25〜35歳の就労者2,000人を対象に実施)では、高校、大学での学びが「ソーシャル・ラーニング(人を巻き込んで学ぶ)」を中心とした社会人での学びを形成し、その学びが社会人での「幸せな活躍」につながっていることがわかりました。
【データ出典】
■第4回大学生の学習・生活実態調査(2021年)
https://berd.benesse.jp/koutou/research/detail1.php?id=5772
■ベネッセ教育総合研究所・株式会社パーソル総合研究所・立教大学中原淳教授
「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」(2021年)
https://berd.benesse.jp/magazine/research/detail1.php?id=5731
[画像6: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-2425b7c342c2ae08eecf-5.png ]
●ベネッセ教育総合研究所のホームページから、
「学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学教育ビジョン〜」、
「提言のための参考資料」をダウンロードできます。
詳細はこちらをご覧ください。
https://berd.benesse.jp/koutou/research/detail1.php?id=5833
ここで取り上げた以外にも、大学の授業や新しい取り組みについて、継続的に取材し、
まとめています。
https://berd.benesse.jp/special/university_report/?utm_source=top&utm_medium=slider&utm_campaign=202202_top_to_uni
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市、代表取締役社長:小林 仁)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、2022年1月より各界の有識者とともに「高等教育の未来を考える会」を立ち上げ、大学がどんな学びの場になり、学生がどのような経験をして成長していくのか、そのために大学のあるべき姿や役割はどう変わらなければならないのか、これからの大学教育のビジョンを検討しました。
多様化、複雑化する世界の構造的課題を解決し、よりよい未来を創りあげていく担い手となる若者を育むために、ますます大学教育への期待と重要性が高まっている中、「学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学教育ビジョン」として、未来を創る担い手を育む大学教育の在り方への提言をまとめました。提言の概要は以下の通りです。
[画像1: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-d9e01f4b16fe60aefedd-0.png ]
「未知を探究し、新たな価値を創り出す創造性を育むこと」は教育の目標の一つであり、未来を創る学生を育むために、大学教育の役割はますます重要になっています。
未来を創るために、学生は、「自分や社会の未来をつくる大志に満ちた夢を持つこと」「自分だけでなく社会の未来を共に創造し、未来に自分自身が歩む道をデザインする意思をもつこと」「今を前提としない大きな未来にもひるまず挑戦する気持ち」という「野望」を一人ひとりが掲げ、それに向けて行動することが必要です。大学は、「野望」を抱く学生が育まれる場でなければなりません。大学がそのような場になるために、以下、4つを提言します。
提言1 挑戦と観察を繰り返して創造性を育む学び場へ
創造性とは未知の問いを見つけ、そこに仮説を立て、それを立証し、実現する力。
「創造性」は属人的な才能とみなされているが、教育によって育めるもの。教育本来の最も大切な達成目標の一つである「創造性」を体系的に学ぶ場が大学である。
提言2 学生が自身で決定し評価する経験ができる場へ
大学は、学生が人生を考え、テーマと出合う場。学生自身が自己決定、自己評価する経験を通して、学ぶ意義や目的を考えることで、主体的な学びにつなげる場である。
提言3 社会と学生自身がつながる経験を提供する場へ
学生が自己肯定感を高め、大きな「野望」を育むために、社会の中で小さな成功体験を積み重ねることが大切だ。学生が、その経験を積み重ねるために、地域、社会、世界への接点となる場が大学である。
提言4 未来を学生自身が変える目標と実感を育む場へ
学生が自身の「創造性」に自信を持ち、自分自身を知り、自分で決め、社会とつながる。こうしたプロセスの先にこそ、得られた専門性によって関係を構築できる実感が育まれ、社会の未来を自分で変えられる可能性に気づく。この希望ある野望が育まれるプロセスを体験的に学び、この学びが大きな夢や目標へとつながる場が大学である。
本提言では大学を「4つの場」として提案していますが、それに限らず大学を創造的で自律的な学びの場にするために、学生にどんな学びを提供し、どのような仕組みを構築するかには、多くの可能性があります。
人生100年時代に求められる大学の役割は、年齢によらず、あらゆる世代の自己探究と社会の接点をつくり、仕事と学びの場である大学を往還することで、自らの可能性に気づく状況を提供することです。多様な学びの中から、学生がときめき、夢中になれることを自分自身で選択し、目標をかなえるために学ぶための「学びのプラットフォーム」になること。これらが大学という「場」に求められることとなるでしょう。
【提言概要】
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/1116_1_04169e394928952d810877390afb39e8.jpg ]
【ご参考:本提言の構成について】
提言「学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学教育ビジョン〜」は以下の構成となります
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/1116_2_2fddc065e7c30ca1343a416a60b27dea.jpg ]
【本提言作成に至った背景 〜データで見る大学生の意識や行動の変化】
「学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学ビジョン」をまとめるために、その背景や課題認識にいたったデータを大学生の意識や行動の変化を中心にピックアップします。ここであげたデータ以外にも大学教育を取り巻く環境変化など、別途、【提言のための参考資料】としてまとめ、ダウンロードできるようにしています。
大学に進学するのは、学生個人の知りたいことや好きなことを探究したり、自分の周りにある不満や憤りを感じる問題を解決するために必要なことを「学ぶ」ためのはずが、半数以上が「興味ある学問分野」を重視していないという1)の結果や2)〜4)の調査結果から大学教育の重要性は高まっているにもかかわらず、未来を創る担い手を育む大学教育になっているかとの課題意識をもちました。この課題解決の一助として、今回、提言をまとめました。
1)大学進学理由として「興味のある学問分野」が減少、「入試方式が自分に合っている」など入試制度・日程に関することが増加
[画像2: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-a691b9653a75f9328f0f-1.png ]
ベネッセ教育総合研究所が、2021 年12 月に全国の大学 1〜4 年生 4,124 人を対象に行った「第4回大学生の学習・生活実態調査」では、本来、学びの場である大学への進学理由として「興味のある学問分野」が48.1%と半数をきり、自分にあった入試方式や試験日、試験会場が多いなど「受験のしやすさ」が増加していました。
2)大学の授業は、対話的・探究的な学び(アクティブ・ラーニング)が増加
[画像3: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-49ce49ff70dc7a576bd9-2.png ]
大学の授業の形態は、「ディスカッションの機会を取り入れた授業」「グループワークなどの協同作業をする授業」「プレゼンテーションの機会を取り入れた授業」が2008年と比べて10ポイント以上増加するなど、アクティブ・ラーニング型の授業が増えています。教えるだけでなく、学生同士の対話や興味あるテーマを探究する学びを提供することで、学生の成長をサポートしようとする工夫もみられます。
3)「成長実感」について「実感しない」学生はコロナ禍もあり2020年度入学生で高く、4割
[画像4: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-322de522e814793526a0-3.png ]
大学の授業の工夫やサポートにもかかわらず、コロナ禍もあり、特に2020年度入学生に成長実感がもてていない学生が多いことがわかります。
4)大学での学びが、若手社会人の「幸せな活躍」につながっている
[画像5: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-8ed834c3f83990c8266c-4.png ]
ベネッセ教育総合研究所と株式会社パーソル総合研究所、立教大学中原淳教授との共同研究プロジェクトで行った調査「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」(2021年11月に大学卒・大学院卒の有期雇用を除く25〜35歳の就労者2,000人を対象に実施)では、高校、大学での学びが「ソーシャル・ラーニング(人を巻き込んで学ぶ)」を中心とした社会人での学びを形成し、その学びが社会人での「幸せな活躍」につながっていることがわかりました。
【データ出典】
■第4回大学生の学習・生活実態調査(2021年)
https://berd.benesse.jp/koutou/research/detail1.php?id=5772
■ベネッセ教育総合研究所・株式会社パーソル総合研究所・立教大学中原淳教授
「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」(2021年)
https://berd.benesse.jp/magazine/research/detail1.php?id=5731
[画像6: https://prtimes.jp/i/120/1116/resize/d120-1116-2425b7c342c2ae08eecf-5.png ]
●ベネッセ教育総合研究所のホームページから、
「学生よ 野望を抱け〜希望ある未来を描く大学教育ビジョン〜」、
「提言のための参考資料」をダウンロードできます。
詳細はこちらをご覧ください。
https://berd.benesse.jp/koutou/research/detail1.php?id=5833
ここで取り上げた以外にも、大学の授業や新しい取り組みについて、継続的に取材し、
まとめています。
https://berd.benesse.jp/special/university_report/?utm_source=top&utm_medium=slider&utm_campaign=202202_top_to_uni