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紛争下の子どもたちの保護を〜安保理決議1612号採択から15年【プレスリリース】

事務局長の発言要旨




[画像1: https://prtimes.jp/i/5176/1557/resize/d5176-1557-450459-0.jpg ]

【2020年6月23日 ニューヨーク 発】

紛争下における6つの形態の子どもに対する重大な違反行為を監視し報告する仕組みと、作業部会の設置を求めた国連安全保障理事会決議1612号が採択されてまもなく15年を迎えます。

以下は、本日ニューヨークで開催された国連安全保障理事会の子どもと武力紛争に関する公開討論における、ユニセフ(国連児童基金)事務局長ヘンリエッタ・フォアの発言内容の要旨です。

* * *

紛争下で暮らす子どもほど弱い立場に置かれた子どもはほとんどいません。

移民や難民、国内避難民として紛争の影響を受ける子どもも、戦闘そのものに巻き込まれている子どもも、武装グループとのつながりがあるとされて拘留されている子どもも、みな、自身のコントロールを超えた状況の被害者です。

彼らは、何よりもまず、子どもなのです。

15年前、国連安全保障理事会(安保理)は、紛争下の子どもの保護の強化を目的とした決議1612号を採択しました。安保理決議1612号、子どもと武力紛争に関するアジェンダおよび監視・報告メカニズムの確立は、すべての子どもを守るという私たちの使命の上でも画期的な出来事でした。

ユニセフはこの取り組みの当初から関わっており、この議題を前進させてきました。14カ国において、監視・報告のためのタスクフォースの共同議長を務めています。

以来、何万人もの子どもたちが軍や武装グループから解放されました。過去3年間に限っても、ユニセフは3万7,000人近くの解放の手助けをし、19カ国において解放および家族やコミュニティとの再会/再統合プログラムをサポートしました。

[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/1557/resize/d5176-1557-789152-1.jpg ]

子どもたちは、紛争の影響から回復しコミュニティに再び参加するために必要なサービスをようやく利用できるようになりました。このような活動によって、紛争下の子どもに対する重大な違反行為を防止し、終わらせるために、紛争当事者と関わる余地も生まれました。これまでに、紛争当事者たちは、子どもに対する重大な違反行為を終わらせ、防止するため、32の行動計画に署名してきました。

また、子どもの権利を侵害する恐れのある人々に対して、明確なメッセージを送っています。これらの行動は違法であり、不道徳であり、容認できません。

この分野には、児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)に加えて、現在では、以下のような重要な文書もあります。

「武力紛争における子どもの関与に関する選択議定書」— 170カ国が批准
子どもの徴兵・徴用の終結のための「パリ原則」
バンクーバー原則」
「安全な学校宣言(Safe Schools Declaration)」— 104カ国が支持


しかし、これらの文書が効果を発揮するには各国の意思が必要です。すべての国が支持し、それらを法的枠組みに反映させることを求めます。

恐ろしいほど多くの、紛争下の子どもに対する、国際法等に違反する行為が確認され続けています。監視・報告メカニズムは過去15年間で、以下を含む25万件の重大な違反行為を記録しました。

7万7,000人以上の子どもの徴用・使用
10万人以上の子どもの殺傷
1万5,000人以上の子どもに対するレイプと性暴力
2万5,000人以上の子どもの誘拐
1万7,000件近くの学校や病院への攻撃
1万1,000件近くの人道的アクセスの拒否


これらは確認された数に過ぎず、実際の数ははるかに多くなるでしょう。

[画像3: https://prtimes.jp/i/5176/1557/resize/d5176-1557-845724-2.jpg ]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、新たな緊急性が増しています。パンデミックが拡大するなか、医療施設が紛争によって損傷または破壊されています。サービスが停止し、子どもたちは、予防接種を含む基本的な医療を受けられずにいます。

水と衛生システムは損傷または完全に破壊され、子どもたちが手を洗うことができなくなっています。

また、15億人の子どもたちが学校に通えていません。紛争下では、子どもたちは二重の不利な立場に置かれ、教育を受けられず、暴力、虐待、児童婚、そして武装グループによる徴用のリスクが高まります。

人々が密集して暮らすキャンプや非公式集落、人口密度の高い都市部や拘留所では、物理的な距離を保つことが困難になっています。

[画像4: https://prtimes.jp/i/5176/1557/resize/d5176-1557-892734-3.jpg ]

これらの増大するニーズに対応するためには、以下の5つの重要な分野での行動を呼びかける、安保理のサポートと団結が必要です。

まず、行動計画に未だ署名していない50の紛争当事者に署名を促すためには、安保理の影響力が必要です。言葉ではなく行動が必要で、行動計画に署名することは、真のコミットメントを示すものです。国連が対話の場をつくり行動計画を実現することを手助けしてください。これらの計画は、徴用・使用のみではなく、子どもに対する6つの重大な違反行為すべてに対処していく必要があります(注:6つの重大な違反行為とは、子どもの殺傷、子どもの徴用・使用、子どもに対する性的暴力、子どもの誘拐、学校・病院への攻撃、人道的アクセスの拒否を指します)。

次に、徴用・使用のため、または紛争当事者と関係があるとされて拘留されているすべての子どもたちの即時釈放を求めます。これらの子どもたちは、犯罪を犯した可能性のある子どもも含めて、何よりもまず被害者です。現在の環境ではCOVID-19に感染するリスクが高く、ユニセフなどの児童保護団体に引き渡されなければなりません。

[画像5: https://prtimes.jp/i/5176/1557/resize/d5176-1557-461900-4.jpg ]

3番目に、ユニセフは、国連加盟国に国民とその子どもたちを帰国させるよう呼びかけています。これらの子どもたちは、保護を受け、基本的なサービス、教育および再統合サービスにアクセスする権利を持っています。これにはシリア北東部で立ち往生している何千人もの子どもたちが含まれます。

困難を経験した子どもたちは保護とサポートを必要としているにも関わらず、排斥と拒絶に遭っています。国籍を剥奪された子どももいます。世界として、これを受け入れてはなりません。これらの子どもたちをサポートしなければなりません。

4番目に、加盟国に対し、再統合された子どもたちのための教育と職業訓練への投資を求めます。教育は希望への道であり、より良い生活と社会的結束につながります。また、投資以外にも、教育施設へのあらゆる攻撃を阻止するよう求めます。昨年、学校への攻撃が927件確認され、監視・報告メカニズムの開始以来1万3,000件に達しました。

最後に、水と衛生インフラを保護する緊急の行動を求めます。水は基本的な人権であり、公衆衛生はCOVID-19だけでなく、コレラや栄養不良から身を守る手段でもあります。

ユニセフは安保理に、過去15年間の多くの成果をふまえて、すべての子どもたちにふさわしい保護とサポートを提供するために、その影響力を行使するよう求めます。

* * *

■ 日本政府も紛争下の子どもの保護を表明
同会合において日本政府からは、紛争下の子どもに対する重大な違反行為や新型コロナウイルス感染症の子どもたちに及ぼす影響への懸念、ユニセフと協力して紛争下の子どもの保護に取り組んでいること、子どもに対するあらゆる形態の暴力をなくすためのSDGs 16.2および子どもたちのための人間の安全保障実現へのコミットメントなどが表明されています。

国連日本政府代表部 石兼公博大使ステートメントは、こちらからご覧いただけます(同代表部ホームページ)。
https://www.un.emb-japan.go.jp/itpr_en/ishikane062320.html

* * *

■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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