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TIS の量子コンピュータプログラミング「Qni(キューニ)」、産総研のGPUスパコンABCIを用いたWeb サービスの提供を開始

〜Webブラウザで大規模量子回路シミュレーションが容易に実行可能に〜




TISインテックグループのTIS株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岡本 安史、以下:TIS)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(東京本部:東京都千代田区、理事長:石村 和彦、以下:産総研)が整備し、産総研のグループ会社である株式会社AIST Solutions(東京オフィス:東京都港区、代表取締役社長:逢坂 清治)が運用する計算基盤である AI 橋渡しクラウド AI Bridging Cloud Infrastructure※1(以下:ABCI)上で TIS が開発した量子回路シミュレータ 「Qni (キューニ)」 をブラウザ経由で実行可能なWebサービスとして提供を開始することを発表します。

※1産総研グループが構築・運用する世界最大規模の人工知能処理向け計算基盤。https://abci.ai/ja

[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/11650/1603/11650-1603-d1b4bd92f30196e8e5ef7f23b0a517d4-1719x1068.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
産総研 ABCI上でのQniによる量子回路シミュレーションWebサービス


「Qni」は、TISが開発したWebブラウザで動作する量子回路エディタ兼シミュレータで、量子回路を編集しながらリアルタイムにシミュレーション実行できるWebサービスです。
量子コンピュータプログラミングには高度な専門知識が要求されるため、従来のプログラミングに比べ極めてハードルが高いという課題がありますが、「Qni」は量子回路をドラッグ&ドロップによって直接編集でき、また操作結果が即座に表示されるため量子ビットや量子ゲートの仕組みをインタラクティブに理解できます。TISでは、国内・海外での量子コンピュータエンジニア育成への貢献を目的に無料で提供をしてきました。
このたび、産総研グループが運用する計算基盤であるABCIを使用し、共同で「Qni」を改良することで、従来扱える量子ビット※2が最大16量子ビットだったところ、最大30量子ビットのシミュレーションが可能になりました。このことにより、これまでスパコンユーザのみが可能であった高速GPUを活用した大規模な計算や量子回路シミュレーションが、誰でもブラウザ上で可能になります。


※2 量子ビットとは量子情報の最小単位のこと

背景
生成AIや量子コンピューティングに対する期待の高まりにより、高性能大規模計算のニーズが急増した現在、スパコンの強力な計算能力を必要とする開発者や研究者は年々増えつつあります。一方、従来型のスパコンはごく限られた専門家向けに解放されており、また利用手順が複雑であることが利用拡大のネックとなっていました。こうした背景から、スパコンの専門家以外でも容易に利用できる高性能計算環境が望まれています。
産総研の運用する世界最大規模の人工知能処理向け計算基盤であるABCIは、NVIDIA社製GPUを5,000基以上搭載した高性能大規模GPUクラウドであり、2018年8月の運用開始以降、数多くの国内法人により人工知能の研究開発のために使われてきました。
そこで、今回スパコン使用の垣根を下げることと、人工知能研究だけでなく、新たに量子技術の研究開発にも活用すべく、スパコン向けアプリケーションを Web ブラウザ経由で実行するためのフレームワークである Open OnDemand※3 に着目しABCI に導入しました。そして、ABCI における初の量子コンピューティングへの取り組みとして「Qni」を Open OnDemand に対応させることで、今回のサービス提供に至りました。

※3 米国オハイオ・スーパーコンピューティングセンターが開発したオープンソースのWebポータルソフトウェア。スパコンをWebブラウザで簡単に利用可能にするソフトウェアであり、日本の富岳をはじめ世界各国のスパコンへの導入実績多数。https://openondemand.org

「Qni」の改良ポイント
今回の「Qni」の最も大きな改良ポイントは、シミュレーションをCPUではなくGPUで実行できるようにした点です。GPUを効率的に使うための仕組みとしてNVIDIA社の量子コンピューティング用SDKであるcuQuantumを利用することで、ABCIに搭載されたGPUの性能を最大限に発揮できるようになりました。また、ABCIをはじめとするスパコンには利用ユーザごとの計算ジョブの優先度などを調整し利用効率を向上させる「ジョブスケジューラ」、また安全なユーザログインを可能にする「ユーザ認証」と呼ばれるサブシステムがあり、新しい「Qni」では Open OnDemand を活用することでこうしたサブシステムとの連携を可能にしています。
今回の事例は、「Qni」 をはじめとする既存のアプリケーションをスパコンに対応させるための実事例・ノウハウ構築としても重要な意味を持っており、今後これをきっかけにますます多くのアプリケーションがスパコンで利用できるようになることを期待します。

ABCI上の「Qni」の利用について
ABCI上の「Qni」を使用するには申請が必要です。詳細は以下をご確認ください。
https://abci.ai/ja

今後について
産総研では、今回の取り組みがABCIを通じて広まることで、量子コンピューティング導入の敷居を下げ、「量子未来社会ビジョン」(令和4年4月22日統合イノベーション戦略推進会議決定)の実現に貢献することを期待しています。また、AI研究者や量子アルゴリズム研究者などスパコンの専門家以外でも大規模な量子回路計算を容易に実行できるようになるため、近年注目されている量子機械学習をはじめとする量子コンピュータとAIのクロスオーバー分野など、量子コンピュータを活用した新分野での研究加速も期待できます。
産総研にて2025年度に運用開始予定の次期ABCIシステムであるABCI-Qでも継続提供を計画しており、産総研ABCIでは量子未来社会ビジョンに関する取り組みとして、多様なユーザがアクセスでき、さまざまなユースケースを探索・創出するための量子コンピュータの利用環境の整備を進めています。
TISでは「Qni」をはじめとした量子コンピューティング向けオープンソースソフトウェアの拡充に取り組んでいます。量子コンピュータの進化や活用事例の広がりに合わせ、機能強化をオープンな開発体制で行っていく予定です。

「Qni」について
Webブラウザ上でGUIによって「量子回路」と呼ばれる量子コンピュータアプリケーションを簡単にプログラミングできるWebサービス。従来のプログラミング言語を使った量子コンピュータプログラミングではなく、量子回路をGUIで直接操作しながらインタラクティブに量子コンピューティングを学習できます。
https://qniapp.net/

産総研 ABCI (人工知能処理向け GPU スパコン)について
AI橋渡しクラウド(AI Bridging Cloud Infrastructure)。産総研が構築・運用する世界最大規模の人工知能処理向け計算基盤。
https://abci.ai/ja

TIS株式会社について(https://www.tis.co.jp/
TISインテックグループのTISは、金融、産業、公共、流通サービス分野など多様な業種3,000社以上のビジネスパートナーとして、お客様のあらゆる経営課題に向き合い、「成長戦略を支えるためのIT」を提供しています。50年以上にわたり培ってきた業界知識やIT構築力で、日本・ASEAN地域の社会・お客様と共創するITサービスを提供し、豊かな社会の実現を目指しています。

国立研究開発法人産業技術総合研究所について(https://www.aist.go.jp/
国立研究開発法人産業技術総合研究所は、経済および社会の発展に資する科学技術の研究開発を行う日本最大級の公的研究機関であり、「社会課題解決」と「産業競争力強化」をミッションとしています。

※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。



◆本サービスに関するお問い合わせ先
TIS株式会社 テクノロジー&イノベーション本部 戦略技術センター
担当:高宮安仁
E-mail:qni@ml.tis.co.jp

国立研究開発法人産業技術総合研究所 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター/デジタルアーキテクチャ研究センター
担当:滝澤真一朗
E-mail:shinichiro.takizawa@aist.go.jp
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