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気候変動「極めて高いリスク」にさらされる子ども10億人【プレスリリース】

IPCC統合報告書を受け、ユニセフ事務局長声明




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【2023年3月20日 ニューヨーク発】

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書統合報告書(Synthesis Report of the Sixth Assessment Report)」が発表されたことを受け、ユニセフ(国連児童基金)のキャサリン・ラッセル事務局長は、以下の声明を発表しました。

* * *

IPCC報告書が明らかにしているように、私たちの世界はすでに気候変動の影響によって破壊され荒廃しつつあります。昨年も、パキスタンの大洪水、サヘル地域やアフリカの角地域での歴史的な干ばつ、ヨーロッパと中東の一部での猛烈な熱波など、気候変動に起因する大災害が相次ぎました。

[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/2112/resize/d5176-2112-5a1de5be71d6911efb73-2.jpg ]

このような現象は、従来の人道的危機をさらに深刻化させるとともに、大多数の人々の移動、栄養不良、疾病の新たな波を引き起こしています。また、水のように希少な資源をめぐる競争も起こり、地域間紛争のリスクも高まっています。

今後数十年の間に気候変動がさらに進むと、生命、生活、食料や水のシステムに壊滅的な影響が及び、中でも子どもたちが最も苦しむことになると予想されます。

ユニセフ独自の国際的な分析によると、実質的に世界のすべての子どもたちが、すでに破壊的な気候災害にさらされています。世界の子どもの総人口のほぼ半分にあたる10億人の子どもは、気候災害の高い危機に直面している上、その危機に対処するための必要なサービスを十分に受けていないという致命的な状況が重なり、「極めて高いリスク」にさらされています。

気候変動は、水や食料の不足とも密接な関係があり、子どもたちは特にその影響を受けやすいといえます。世界中で4億5,000万人の子どもたちが水の脆弱性が高い、あるいは極めて高い地域で暮らしている一方、2,700万人の5歳未満の子どもたちが干ばつに関連した深刻な食料不足に直面しています。

本質的に、気候危機は子どもの権利の危機です。気候危機は子どもたちから健康や住む場所、文化や生き方、そして未来を奪っているのです。

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しかし、明確なエビデンスの存在や若者たちの訴え、ならびに清潔で健康的かつ持続可能な環境への権利が人権と認められたにもかかわらず、世界の気候行動は大きく後退しています。排出削減、気候ファイナンス、適応、そしてコミュニティのレジリエンス(回復力)の強化について、依然として世界のリーダーたちの約束は不十分で進展も遅れています。

今後30年間で約42億人の子どもが誕生すると予想される中、この子どもたちのために備えをすることは、私たちの共同の責任です。ユニセフは、世界のリーダーと国際社会に対し、すべての人にとって住みやすい未来を担保するために、今を生きる子どもたちと将来生まれてくる世代を、気候変動対策の緊急の行動の中心に据えることを強く求めています。これには、4つの重要な段階があります。

第1に、国連気候変動枠組条約の全締約国は、排出ギャップの解消に向けた取り組みを強化し、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を加速させる必要があります。先進国、特に主要排出国は、2040年頃のできるだけ早い時期に排出ゼロを達成し、2050年の目標を達成するための専門知識や技能および資金で新興国を支援する必要があります。

[画像4: https://prtimes.jp/i/5176/2112/resize/d5176-2112-ca689947f66e5c29eb40-1.jpg ]

第2に、子どもたちと彼らの暮らすコミュニティは、異常気象による破壊から保護されなければなりません。私たちは、すべての政府に対し、気候変動に強い開発政策を採用し、水と衛生、健康、栄養、教育、子どもの保護など、子どもたちにとって重要な社会サービスを、新しい気候の現状に緊急に適応させるよう求めます。

次に、子どもたち、特に最も弱い立場にある人たちの安全を守るためには、資金を大幅に増やす必要があります。気候変動対策資金を倍増するという誓約は厳守され、さらに増額されなければなりません。適応のための資金を大幅に増資し、子ども特有の脆弱性を踏まえ、子どもたちが必要とする重要な社会サービスを優先させる必要があります。気候変動による取り返しのつかない損失と損害をすでに経験している国々に、資金を提供するための取り組みを、加速させなければなりません。しかし、この資金は、既存の適応策や人道的支援に追加するものでなければなりません。気候ファイナンスの改革が、これを達成する助けになります。

最後に、すべての政府は、気候が変動した世界での生活に備えて、子どもたちが生き延び、成長するためのスキルを身につけられるようにしなければなりません。災害リスク軽減のための訓練により、速やかに命を守ることができます。気候教育と「グリーンスキル」の提供によって、経済発展と環境の持続可能性が両立するより持続可能な世界の形成に、子どもたちが有意義に参加し、ソリューションづくりに貢献することを可能にするのです。

このIPCCの報告書は、すべての人にとって住みやすく持続可能な未来を確保するために、私たちが今行動しなければならないことを明確に訴えています。私たちの決断と行動が、私たちの子どもたちが受け継ぐ世界を形作っています。将来の世代に、私たちはあなたたちの未来のために闘ったのだ、ということを示そうではありませんか。

* * *

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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