管理職求人・転職が増加 管理職採用で事業変革・専門スキルの獲得を狙う企業の動き IT・インターネット業界だけでなく、製造業でも同様の傾向
[23/07/19]
提供元:PRTIMES
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株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)管理職の採用動向について、転職支援サービス『リクルートエージェント』のデータから動向をまとめましたので、お知らせいたします。これまでは社内昇進が中心だと思われていた管理職登用。今では、外部労働市場から管理職を迎え入れるケースが増加しています。組織にとっても管理職の外部採用は影響が大きいと言えますが、なぜ今、管理職の求人が増えているのか、HR統括編集長とコンサルタントが解説します。
■サマリー
1.管理職求人は増加傾向(2022年度は、2016年度の3.67倍)。
2.業界別の伸び率では、IT通信業界が最も高い一方、日本型雇用の傾向が強い製造業でも伸びが見られる。職種別の伸び率は、SEが高いが、管理部門を中心に営業から企画まで幅広い職種で伸びている。
3.求人の増加に伴い、管理職での転職も増加傾向。自らキャリアアップのために転職するケースも。
■解説:HR統括編集長 藤井 薫
グローバル化、DX推進やサステナビリティ強化など、急速な環境変化を背景に、企業はここ数年、事業変革を推進するための中途採用を強化している。今回の分析では、“管理職”においても、そうした外部人材の登用が増加している傾向が明らかになった。年功序列、終身雇用、企業内特殊的熟練(※)を前提としたキャリア環境がある日本企業においては、“社外からの管理職への登用はごく一部に限られる”というイメージも、認識を新たにする必要があるだろう。なお、人事担当者に聞いた中途採用の背景では、「特定層(若者や管理職層など)で人材が不足しているため」と答えた割合は35.0%に上っている。必要な専門スキル、目指す事業目標、期待する成果、想定年収…。こうした要件を明示する“管理職の外部登用”増加の動きは、暗黙的な内部登用に慣れてきた日本企業の雇用慣行・採用戦略に転換を迫るかもしれない。働く個人にもチャンスは広がっていくだろう。
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※企業内特殊的熟練:特定の企業内でのみ必要とされる、固有で特殊な能力のこと
管理職求人は、年々増加傾向
かつて日本企業においては、年功序列、終身雇用を前提とした日本型雇用慣行や、企業内特殊的熟練(※)が中心に身に付くキャリア環境であり、他社への管理職の転職は一般的ではなく難しいというイメージがあった。また、実際、エグゼクティブ層やごく限られた一部の方が転職しているという状況だった。しかし、ここ数年で社会の変化や人手不足を背景に、日本企業も変化を迫られている。注力事業に外部人材を起用するだけでなく、新しい事業領域への転換のために、自社にないノウハウを持った外部人材を管理職登用する動きも出ている。結果として、2016年度を1としたときの管理職の求人は2022年度では3.67倍になっており、コロナ禍で新規の求人が落ち込んだ中でも、管理職求人は減少しなかった。
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業界別の管理職求人の状況
業界別に、管理職求人の推移を見てみると、2016年度を1としたときに2022年度で最も伸びているのはIT通信業界だった。次いで建設・不動産業界になっているが、どちらも苛烈な人手不足と言われている業界だ。また、IT通信業界では、デジタル化が進む中で需要が高まっており、組織の拡大が急務になっている企業も多い。
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また、注目したいのが、電気・電子・機械業界メーカーだ。比較的日本型雇用の色が濃いと思われている製造分野だが、着実に管理職の募集も伸びている。製造業でも、新しい事業への参入や既存事業の変革の必要性の高まりを背景に、外部から管理職を採用する動きがある。
下図は、2022年度の電気・電子・機械業界メーカーの管理職求人の割合を職種別(上位10職種)に見たものだ。事業拡大・変革のための営業や、製造部門に直結する機械エンジニア(生産技術含む)・生産管理、変化対応のための人事やマーケティングなど管理部門まで幅広く募集していることがわかる。
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●製造業の管理職採用動向 解説:コンサルタント 中村 圭吾
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製造業では、部下を持たない管理職待遇で入社し、半年〜1年後に部下を持つポストに就く、というケースも多いが、入社時から部下を持つ管理職ポジションでの転職も増加傾向だ。各社とも社会の変化に伴い従来の事業からの変革の必要性に迫られているものの、新しい事業に必要なスキルや専門性がある人材が社内にいないため、そういった人材を外部採用で確保する必要に迫られている、という背景がある。例えば、自動車メーカーであれば 「CASE」への対応のために、今まで自社にはいなかったようなAI人材を採用し組織を立ち上げるというような動きが見受けられるが、同様の動きは他業界にも広がっている。
また、製造業では就職氷河期に新卒採用を絞り込んだことから、現在課長クラスを任せられる40代が足りていない、という背景もある。30代を早期に登用することでカバーするケースもあるが、適任者が見当たらず社外から採用せざるを得ない、という声も聞く。
これらの背景から、ここ数年、古くからの慣習にとらわれていると思われがちな重厚長大な大手企業でも、外部からの管理職採用は拡大を続けている。むしろ、既存のマネジメントからも脱却したい企業は、新しいスキルやノウハウを持った人材を社外から採用することで組織変革にもつなげている。「プロ経営者」採用のようなトップマネジメントの変化がニュースになりがちだが、課長・部長といったレイヤーでも外部採用の動きは確実に広がっている。
職種別の管理職求人の動向
職種別では、SEの伸び率が顕著だ。業界別ではIT通信業界が伸長していたことに対応する形だと考えられるが、IT通信業界だけではなく、事業会社も含め事業成長や組織拡大のために外部から管理職を採用していきたい企業が増加していると考えられる。
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●IT業界、SEでの管理職採用動向 解説:コンサルタント 丹野 俊彦
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IT業界やSEの管理職求人が伸びている背景は、社会からのニーズ拡大、ひいては市場の拡大が考えられる。どの業界でもデジタル化は待ったなしであり、DXという言葉は誰もが知るところになったが、その対応や関連するサービスを展開するためにもIT業界全体としてSEをはじめとするエンジニアの採用が活発になっている。採用される人数が増えるほど、組織の数も必要になり、結果として管理職を内部登用するだけでは追い付かずに外部から採用する動きになっている。特にIT業界で急成長している企業では、5人程度のマネジメントができる人材が多く必要になる。自らプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトをまとめつつ顧客折衝も行いながら、ラインマネジメントとして組織のリテンションも図りつつ、数人の部下をマネジメントできるような人材は引き合いが強い。
SIerやコンサルティング企業では、IT経験は浅くても特定業界の業務知識に長け、マネジメントを経験している方であれば、マネージャーとして部下を持ちながら活躍してもらうようなポジションもある。
また、SEを採用したい企業もIT業界に限らず広がり続けている。従来はSEを採用するのはITベンダーやSIerが中心だったが、今では事業会社でもSEの採用は活発だ。事業会社で新しいサービスを立ち上げるには新しい組織を作る必要があるが、その際に外部から採用するケースもある。特に、今まで全くITを事業に使ってこなかった企業では、まずは部門の中核になる技術者を採用したいというケースも多い。
●人事の管理職採用動向 解説:コンサルタント 高橋 紀夫
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人事での管理職採用が増えている背景には、人事に関する新しいテーマへの対応が必要になり外部採用を増やしていることが挙げられる。終身雇用が崩れている今、ジョブ型雇用への転換を計画したり、人的資本経営の考えから組織改革をしたりと、企業は人事改革を進めたいもののそれを社内でできる人材は少ないのが現状だ。そのため、外部から採用をし、改革を進めるケースが見られる。
2019年から「働き方改革関連法」施行を皮切りにさまざまな取り組みがなされ、徐々に人事は経営と密接に関わる重要な仕事という認識に変化していった。戦略人事のように、守りの仕事だけではなく攻めの要素もあるという認識に変わっていったり、最近ではエンゲージメントや社員のキャリア自律、女性活躍推進といったテーマが話題になってきたりと、求められることが多種多様になってきている。
そのため、人事職への転職では、より経営視点が求められるようになっており、最近では経営企画経験者や事業改革経験者が人事へ転職するケースも出てきている。
※参考:人事担当者調査では、中途採用の背景を聞いたところ、「特定層(若者や管理職層など)で人材が不足しているため」と答えた割合は35.0%に上っている。
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管理職での転職者の推移
管理職求人は伸びているが、実際に転職した方は増えているのだろうか。下図を見ると、求人の伸び率に対しては低いものの、全体では3.13倍になっており、転職者全体の2.08倍よりも高い。今後も管理職の採用ニーズは高まっていくと考えられる。
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調査概要
調査方法:リクルートエージェントの求人データ、転職決定者
調査対象:リクルートエージェントの求人データ、リクルートエージェントを利用して転職した方
有効回答数:非公開
調査実施期間:2023年5月〜2023年7月
調査機関:リクルート
▼リクルートについて
https://www.recruit.co.jp/
▼本件に関するお問い合わせ先
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