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ウクライナ:子どもの学習損失、広範囲に〜教育中断4年目に突入【プレスリリース】




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【2023年8月29日 ジュネーブ/キーウ発】

ウクライナ国内での教育に対する継続的な攻撃と、難民受け入れ国における低い就学率により、ウクライナの670万人の3〜18歳の子どもの多くが学ぶことに苦労していると、ユニセフ(国連児童基金)の欧州・中央アジア地域事務所代表のレジーナ・デ・ドミニーチスは警鐘を鳴らしています。ウクライナ全土において、戦争以前から発生していた新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより4年目の教育中断に直面する中、子どもたちは、ウクライナ語、読解、数学における学習成果の低下を含め、広範囲にわたる学習喪失の兆候を示しています。

* * *

ドミニーチス代表は「ウクライナ国内では学校への攻撃が続いており、子どもたちは安全な学びの場を失い、ひどく苦しんでいます。このため、ウクライナの子どもたちは学習が進まないだけでなく、学校が十分に機能していたときに学んだ内容を保つことにも苦労しています」と述べています。

最新の調査データによると、教員のうち最大54%が、子どもたちのウクライナ語の能力低下を、最大45%が数学の学力低下を、最大52%が外国語の語学力低下を報告しています。

最新の就学データによると、ウクライナの初等・中等教育に就学している子どもたちのうち、完全に対面で学んでいるのはわずか3分の1にすぎません。児童や生徒の3分の1は対面とオンラインを組み合わせた形で学習しており、3分の1が全面的にオンラインで学んでいます。

[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/2188/resize/d5176-2188-87e1ba438df5c46e33ce-0.jpg ]

オンライン学習は、対面学習を補完し、短期的な解決策を提供することはできますが、幼い子どもたちの社会性の発達や基礎学習のために特に重要な対面授業を、完全に取って代わることはできません。子どもや若者の能力開発を目指すウクライナの現行の教育改革は、同国の将来の社会経済の再建と発展にとって極めて重要です。

全国調査データによると、未就学児の3分の2が就学前教育施設に通っていません。最前線地域では、4分の3の親が、子どもを就学前教育施設に通わせていないと回答しています。

難民受け入れ国で暮らすウクライナ難民の子どもたちにとっては、またしても不確実な学年の始まりを迎えることになります。難民を受け入れている7カ国では、就学前から中学生までの子どもたちの半数以上が、国内の教育システムに登録されていません。教育を受けられない可能性が最も高いのが、就学前の子どもたちと、中等教育就学年齢の子どもたちです。就学率が低い理由として、言語の壁、通学が困難であること、また教育システムに過度な負荷がかかっていることなどが挙げられます。

受け入れ国の地元の学校に入学していない難民の子どもたちはおそらく、ウクライナの教育カリキュラムまたは他の学習プラットフォームを通して、オンラインで学習するつもりだと考えられます。あるいは、教育を受けることを完全にやめた難民の子どもたちもいます。

[画像3: https://prtimes.jp/i/5176/2188/resize/d5176-2188-e3193cfcaf8bee5905db-0.jpg ]

危機や戦争の際に、学校は、学習の場以上のものを提供します。学校は、喪失、避難、暴力に耐えてきた子どもたちに、日常生活と安心感を与え、友情を築き、教員の助けを得る機会を提供することができます。また、子どもたちは学校で、予防接種、栄養、そしてメンタルヘルスとウェルビーイングの支援を受けることもできます。思春期の子どもたちは特に感受性が高く、学習の中断やつらい経験によって、その年齢特有の身体的・精神的な脆弱性がさらに悪化します。

ユニセフは、ウクライナ国内や、難民の子どもや家族を受け入れている国々において、現地の政府やパートナーと協力し、質の高い教育がより広く受けられるよう支援を行っています。これには、子どもたちが各国の教育システムに組み込まれるよう支援することや、現在学校に在籍していない子どもたちに複数の学習手段を提供することも含まれます。また、すべての弱い立場にある子どもたちが教室に溶け込めるよう、語学授業の実施や、メンタルヘルスケアと心理社会的支援の提供に必要なスキルを、教員や学校職員に身につけさせることも意味します。

ユニセフはウクライナ政府と協力して、教育に対する障壁を取り除き、すべての人が生涯にわたって学べるよう、学習機会の回復および地域の基準との調整を支援しています。これには、学校の再建や、必須主要科目の補習授業の提供などが含まれ、来る新学年度にウクライナで学習喪失の危機にある30万人の子どもを支援し、幼児教育システムとサービスの強化を通じた長期的な支援を大規模に提供することを目指しています。

* * *

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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