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<開催レポート>監督が語る、劇場版「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」ができるまで|デジタルハリウッド大学[DHU]公開講座

文部科学省認可の株式会社立の大学として、デジタルコンテンツと企画・コミュニケーションを学ぶデジタルコミュニケーション学部(4年制大学)と、理論と実務を架橋し新たなビジネスを生み出すデジタルコンテンツ研究科(専門職大学院)を設置するデジタルハリウッド大学(DHU、所在地 東京・御茶ノ水、学長 杉山知之)では、高校生を対象にした公開講座『監督が語る 劇場版「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)ができるまで』を9月28日(木)に開催いたしました。
今回、その公開講座の内容をレポートとしてまとめ、公開いたします。




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<開催レポート>

2023年9月28日、『名探偵コナン ゼロの執行人』『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』の監督である立川 譲氏(以下、立川監督)をお招きし、公開講座を開催。本学の学生のみならず、高校生の皆さんにも受講いただきました。

劇場版名探偵コナンシリーズは、2018年公開の『ゼロの執行人』がシリーズ最高興行収入を更新。2023年公開の『黒鉄の魚影』は4月14日の公開からわずか4ヶ月半で137.7億円を記録し(2023年9月25日時点)、またもや最高興行収入を更新しました。

日本のアニメーション作品を語る上で外せない『名探偵コナン』シリーズ、そのヒットの立役者が、今回の公開講座の講師である立川監督なのです。

公開講座では、劇場版『名探偵コナン』シリーズがどのように作られていくのか、制作裏話を立川監督にお話いただきました。

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アニメ監督になるには、最初に制作会社で経験するのが一般的

学生時代から映画が好きで、高校2年生から映画監督になりたいと思っていた立川監督。大学卒業後にアニメ制作会社のマッドハウスに入社し、制作進行や助監督などを経験した後、フリーランスの演出家・監督として独立しました。

「どうしたらアニメの監督になれますか?という質問をよくされますが、まずは作品を作っている会社に入ってから、フリーの監督になるという流れが一般的です。僕はマッドハウス時代に得た経験や人とのつながりがあったからこそ、独立後も知り合いからたくさん仕事を紹介され、劇場版『BLEACH』や『STEINS;GATE』、『進撃の巨人』などの演出担当として携われました。もちろん、社員のまま監督になる人もいますし、自分で制作会社を立ち上げて監督になる人、初めからフリーで監督をして評価される人などさまざまです」と、立川監督は話します。

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演出家として経験を重ね、監督の仕事も増えてきたころ、あるプロデューサーから依頼されたのが、『名探偵コナン ゼロの執行人』の監督の仕事でした。

きっかけとなったのは、2013年に立川監督が原作・脚本・監督などを担当したアニメ『デス・ビリヤード』。それが『名探偵コナン』のプロデューサー陣の目に留まり、シリアスなコナンの映画を作ってほしいと頼まれたと言います。さらに、公安に所属する安室透にフォーカスした『ゼロの執行人』が話題になり、今回の『黒鉄の魚影』にも監督として起用されました。

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脚本→舞台やキャラ設定→絵コンテの順に制作

監督に至るまでのキャリアを紹介された後は、アニメ映画の作り方について話が移ります。

原作がある作品をアニメ映画化する場合、一般的には「原作のどの部分にフォーカスするのか」「どんなオリジナル要素を入れるのか」など、公開日の数年前から原作者や監督で企画会議をすることが多いそう。しかし、『名探偵コナン』の場合は特殊な作り方をするのだと言います。

「基本的に劇場版『名探偵コナン』の場合、原作者の青山 剛昌先生と一部のスタッフが、すでに4、5年先までどんな映画を作るか決めており、監督は企画会議に参加しません。2023年公開の『黒鉄の魚影』では灰原 哀にフォーカスし、コナンと黒ずくめの組織の戦いを描くという大枠が決まっていたので、そこから脚本や場面展開を考えるのが僕たち製作陣の仕事でした」

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脚本家が仕上げた文章や監督が作成したラフ画などを、青山先生がチェック。今回は104ページの脚本が、映画の骨格としてまとめられました。その次に映画オリジナルの舞台設定やキャラクターのデザインを固めます。

そこから、監督やコンテマンが映画の設計図となる絵コンテを作成し、アニメーターが原画を作成。作画監督と立川監督、青山先生がチェックをし、各カットがブラッシュアップされて作品ができ上がります。

「監督の僕も含め、コンテマンやアニメーターはすでに劇場版『名探偵コナン』を制作した経験があります。たとえば、“蘭が戦闘するシーン”と言えば、僕が詳細に指示しなくても、表情、アングル、動きなどをプロのアニメーターが考え、素晴らしいカットを仕上げてくれます。青山先生たちが企画したものに、脚本家と僕がストーリーの肉づけをして、アニメーターが見た目の肉づけをする。コナンの映画は、それぞれがプロとして責務を全うし作られているんです」


劇場版『名探偵コナン』の監督として意識していること

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司会者からの「監督としてどんな工夫をしましたか?」という質問に対し、立川監督はこのような回答をされました。

「『黒鉄の魚影』を観に来てくださるお客さんは、原作や映画を追いかけているファン、久しぶりにコナンを観る方、初めてコナンを観る方など、前提知識がさまざまです。今回は少年探偵団、阿笠博士、蘭、警察関係者などいつものメンバーだけでなく、黒ずくめの組織や劇場オリジナルキャラクターなど、登場人物が多く関係性が複雑になっています。そのため、初めてコナンを観る方へ向けて登場人物の行動原理を簡潔に紹介したり、原作との整合性を完璧にしたりして、誰もが違和感を持つことなく映画に集中してもらえる展開を心がけました」

立川監督は、物語が面白いのはもちろんのこと、映画に感情移入してもらうために、お客さんに浮かぶ「?」や違和感を限りなくゼロにすることを大事にしたそう。

“コナンファンだけが楽しめる映画”にしなかったことから、劇場来場者からは「原作を1巻から読んでみようと思う」「映画の過去作も見たい」という感想をもらったと言います。


質問コーナー

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公開講座終盤には、参加者の学生からたくさんの質問が寄せられました。

Q. アニメーターを目指す人が見た方が良い作品はありますか?

A. 今 敏監督の作品がおすすめです。僕がマッドハウスに入社したのも、今監督の作品に携われると思ったからでした

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Q. 『黒鉄の魚影』が好きすぎて10回以上映画館に行きました!監督の思い入れのあるシーンを教えてください。

A. 灰原が黒ずくめの組織に拉致され、コナンが灰原の奪還を阿笠博士に誓う、緊張感が一気に高まるシーンです。脚本のほとんどはテキストで書かれているのですが、文字だけでは分かりにくいシーンや重要なシーンの場合、『黒鉄の魚影』では簡単なラフ画を用意しました。このシーンは脚本の段階から絵で用意していた山場のひとつで、試写の際に涙を流すスタッフがいたくらい手応えを感じたシーンでした。

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Q. 来年度からアニメの制作会社の制作進行として働きます。監督から見てどういう制作進行が活躍しますか?

A. 自分が楽しいと思える部分を見つけられると、長く活躍できると思います。アニメ好きな人が制作会社に入る場合、独自のイメージが先行してものすごい期待をしてしまうかもしれません。ですが、最初は原画の配達やコピー、スケジュール管理などが制作進行の重要な役割です。「アニメの仕事ってこんな感じなんだ」とがっかりして辞める人もいますが、僕はアニメ業界に何のイメージも持っていなかったので、純粋に楽しんで仕事ができました。


映画やアニメーション業界を目指している学生へ

最後に、立川監督からデジタルハリウッドの学生や参加した高校生へ向けて、メッセージが送られました。

「今はSNSなどで情報が手に入りやすい時代になりましたし、イベントで業界の人と話す機会がたくさんあり、好きなことを突き詰めると仕事になりやすい時代だと思っています。アニメ業界には好きなことを仕事にしている人がたくさんいて、たとえば虫しか描かないアニメーターや、このキャラクターなら◯◯さんにしか描けないというアニメーターもいます。また、別の業界でサラリーマンをしていたけど夢を諦め切れずアニメ業界に転職して、今は作画監督をしているスタッフもいます、何歳から飛び込んでも遅いことはない業界です。ぜひ、自分が好きなことを突き詰めていってください」

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【デジタルハリウッド大学[DHU]とは】

https://www.dhw.ac.jp

2005年4月、文部科学省認可の株式会社立の大学として東京・秋葉原に開学(現在の所在地は東京・御茶ノ水)。デジタルコミュニケーション学部(4年制大学)とデジタルコンテンツ研究科(専門職大学院)を設置している。

デジタルコミュニケーション学部では、不確実で予測不能な未来を自分らしく生き抜く力を身につける。 デジタルコンテンツ(3DCG/VFX、VR/AR、ゲーム、映像、グラフィック、Webデザイン、メディアアート、プログラミング等)と企画・コミュニケーション(ビジネスプラン、マーケティング、広報PR等)を産業界の第一線で活躍する教員から幅広く学べる一学部一学科制を採用。さらにグローバル人材を育成するために外国語の重点的な学習プログラムを備え、留学を推進している。世界43か国・地域出身の学生が在籍し、御茶ノ水駅前で多様性に富むキャンパスを運営している。

デジタルコンテンツ研究科では、超高度情報化社会においてデジタルコミュニケーションを駆使し、社会に変革を起こすリーダーを輩出すべく、創発的学究領域 [SEAD(Science/Engineering/Art/Design)]の4要素をバランス良く身につけ融合し、理論と実務を架橋する人材育成を行う。新規事業プランニングとプロトタイピングなど、院生のアイデアの実装およびスタートアップ支援により、「令和4年度大学発ベンチャー調査」(経済産業省)では全国大学中 13位、私立大学中5位となっており、多数の起業家を輩出している。
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