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塾ならどっち?集合授業?それとも個別指導?(高校受験に関するアンケート調査結果(2))

今回の報告内容の要約は次のとおりです。

● 集合塾では、志望校合格への課題や自宅学習の時間帯をはっきりさせている子供の割合が高い。一方個別指導塾では、課題が不明確なまま、無計画で受験勉強を進めた子供の割合は低い。
● 集合塾利用者の方が、最もよい影響者として塾の先生をあげた保護者の割合が高く、他人への推奨度も高くなっている。個別指導塾では、子供との相性の悪さなど講師への不満が見られた。少子化に伴い成長してきた個別指導塾の課題は、質の高い講師を十分に確保することである。
● 集合塾と個別指導塾では利用者のニーズが異なるため、満足度を同じ指標では評価できない。生徒1人ひとりへの指導によって、学力向上以外にも子供の成長を促せる機会をより多く持つことが個別指導塾の魅力であり、今後の発展の鍵を握るのではないか。

■ 調査の背景 ■
当社は、企業に対して変革活動推進や次世代リーダー育成をパートナーとして支援することを主力事業としています。これまで経営課題に取り組むリーダーやメンバーと接してきた中で、「学校教育において優秀とされた人が、必ずしも社会で活躍できていないのではないか?」という問題意識が芽生えました。

これから日本はますます高齢化が進み、就業人口が減少していきます。高い生産性が求められ、働き方を大きく変えていく必要も出てきます。学校教育が理想として描く人材像と社会で活躍する人材像にギャップが生じていることは問題であり、次世代を担う人材の育成という観点からも、社会全体にとって大きな損失です。当社は、将来社会で活躍する人材の成長について研究を始めることにしました。その端緒として、最も多くの人が選抜試験を初めて経験する高校受験に着目しました。

■ 調査の目的 ■
受験を通した様々な観点での成長や、志望校決定から合格までの受験の過程を分析することで、将来社会で活躍できる人材への成長を促すためのヒントを見出す。

■ 調査概要 ■
(1) 調査名称 : 「高校受験に関するアンケート調査」
(2) 調査対象 : 東京23区内の高校受験で一般入試を経験した家庭
(3) 期間 : 2011年10月〜11月
(4) 調査方法 : 郵送アンケート
(5) 有効回答数 : 202名
(6) 回答者 : 保護者 (一部の質問は子供に確認しながら回答)

■ 主な調査項目 ■
・ 入学した高校、現在の学年
・ 高校受験を通した子供の成長度合いとその理由
・ 最初の志望校の決定時期、志望校を決めたきっかけ、志望校名、当時の学力との差
・ 志望校や受験校の決定の際の将来への思考度合い、志望校や受験校へのこだわりの強さ
・ 志望校合格に向けた課題や学習方法の明確さ
・ 学習計画の周期と実行度、学習時間の決定
・ 中学3年生時の模擬試験の受験回数、役立ち度合いとその理由
・ 最も良い/悪い影響を与えた関係者とその理由
・ 利用していた教育サービス
・ 塾の名称・教室名、他人への推奨度とその理由 (学習塾利用者のみ)
・ これから受験を経験する保護者へのアドバイス

■ 分析のアプローチ ■
高校受験で最もよく利用される教育サービスの中で、集合塾と個別指導塾の利用者の回答を比較した。

■ 調査・分析結果 ■

1.課題の設定と計画的学習
・ 集合塾利用者の4分の1以上が、志望校合格に向けての課題が「とても明確だった」と回答している。一方、個別指導塾の利用者では、(明確さの度合いに違いはあるが、)総じて課題が明確でなかった割合が集合塾利用者に比べて低くなっている (図表2)。
・ 個別指導塾の利用者の方が、週間または1 日の学習計画を立てている割合が高く、計画を立てていなかった割合も低くなっている(図表3)。
集合塾利用者の方が、学習する時間帯を明確に決めていた人の割合が高い(図表4)。
2.影響を与えた関係者
・ 集合塾利用者の方が、最も良い影響を与えた関係者として“塾の先生”を選択した人の割合が、60%と非常に高くなっている (図表5)。
・ 集合塾利用者では、教師を最も悪い影響者として選んだ人の割合が少し高く、反対に個別指導塾では教師を最も良い影響者とした人の割合が少し高くなっている。(図表5、6)。

3.他人への推奨度
・ 集合塾利用者の方が、通っていた塾を他人にも大いに薦められると回答している割合が高く、約3分の1を占めている (図表7)。
・ 個別指導塾の利用者の方が、薦められないと回答している人の割合が高い。(図表8)。

4.保護者の満足度
必ずしも、“他人への推奨度”=“保護者の満足度”ということではない。個別指導塾の利用者には、「やや薦められる」と答えながらも、「うちの子供には合っていたが、他の子供に合うかどうかはわからない」といった理由を回答した保護者も一部含まれているからである。
保護者の満足度について更に分析するために、保護者のニーズを3つに分類した(図表8)。1つ目の“子供が行きたい高校に合格すること”は、保護者が教育サービスに最も期待することだろう。2つ目に、もう少し長い時間軸での“受験を通して子供が成長すること”がある。受験を通して「目標を決めて達成する経験ができた」「自立心が強まった」「視野が広がった」といった成長が見られたとの保護者の回答も多かった。最後に3つ目として、“保護者としての役割を果たすこと”がある。子供の自主性を尊重したいと思いつつも、保護者として放っておけないという気持ちもある。塾から、子供の様子を把握できることや長い目で見た家庭内教育への助言が受けられることは、子育てに悩んでいる保護者にとって有難いものである。
今回のアンケート調査の中で、学習塾の推奨度の理由、最も良い影響者に塾の先生を選んだ理由などで得られたフリーコメントのうち、塾に関係するものを3つのニーズに分類・集計してみた。1つ目のニーズ “子供が行きたい高校に合格すること”に関わるコメントが大半を占め、次に“保護者としての役割を果たすこと”に関わるコメントであった。
集合塾利用者の方が、塾に満足したコメントが多く、不満のコメントが少なくなっている。個別指導塾利用の不満は、「先生との相性が悪かった」「子供がやる気を失ってしまった」など、担当した講師に対する不満が多かった。また、「親にとっても良き指導・助言者であった」とのコメントが集合塾利用者では1割前後あったのに対して、個人指導塾ではほとんど見られなかった。
5.どちらの教育サービスが優れているかを特定することは重要ではない
今回の調査結果で、「集合授業形式の集合塾の方がよい」と決めつけるのは早計である。そもそも保護者のニーズが異なっており、またいずれのタイプの塾についても各教室によるサービスレベルのバラツキも大きいからである。
受験生を持つ保護者としては、入試対策に重点を置きたいのであれば集合塾、基本的な学習の習慣を身につけていきたいのであれば個別指導塾を検討すべきだろう。但し、教室や担当する講師によって異なるため、期待にどこまで応えてくれるのかを見極めることが重要である。
個別指導塾の経営者にとっては、少子化によって個別指導塾が伸長しているが、保護者の期待に応えられる講師の確保が最重要課題となるだろう。また、個別の指導というメリットを活かして、“課題設定”や“プランニング(計画立案)”など将来に活かせる能力や、自立性や将来志向などの資質を磨けるようなサービスへの進化も検討すべきだろう。

◆株式会社ACWパートナーズのご紹介
ACWとは、Advanced Company Way の略。企業の永続的な成長をパートナーとして支援する経営コンサルティング会社。
社員が自律的に動き、組織として成功体験を積みながら、自社独自のウェイを強めていくための各種サービスを提供する。
製造業からサービス業まで幅広い業界における企業の変革活動への支援ノウハウを持つ。
また、店舗など拠点をチェーン展開する企業への各種サービスも充実している。

【会社概要】
 1. 代表者:大國 仁
 2. 設 立:2010年3月2日
 3. 資本金:500万円

<この件に関するお問い合わせ先>

株式会社ACWパートナーズの大國 仁(おおくにじん)までお願いいたします。
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエアビルイーストタワー4階
TEL : 03-5219-1443  FAX : 03-5219-1201  E-Mail : info@acwp.jp
弊社のニュースリリース(PDFファイル)は、http://acwp.jpからダウンロードできます。
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