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原子力の見通しは「拒絶か受入れ」だけしかないのか?

この数十年、原子力エネルギーは、多くのアナリストや政策担当者、電力会社の管理職に、供給の安全性と地球温暖化の両面を満足させながら大量の電力を供給できる「適切で安価な選択」とみなされてきた。

1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故によって、世界の原子力産業はほとんどその歩みを止めたが、25年後、原子力の復活の動きは具体化していた。福島原発事故の後、国によって対応が様々に分かれ、原子力の未来はまた不透明となっている。ドイツのように原子力を廃止する決断をした国もあれば、フランスや中国のようにより安全な原子力技術に取り組む国もある。このように対応が分かれたことは、世界のエネルギーの道筋に大きな影響を与え、エネルデータ社のPOLEモデル(Prospective Outlook on Long-term Energy Systems)によるEnerFuture(エネルギー予測)のシナリオにおいての今後20年間の分析にも影響を与えた。

ドイツの原子力放棄は、世界で5番目に大きな原子力発電量を持つ国が2030年までに完全に撤退するということである。しかし、2010年に世界3番目の日本は、撤退に時間はかかるものの、2030年には60%以上が廃止されているだろう。実際、どのような予測がなされているにせよ、日本の比較的新しい原子炉(平均稼働は22年)は、今後のエネルギーミックスに大きな影響を保持するだろう。さらに、先進市場での火力発電や再生可能エネルギー技術の開発も、原子力の発電量の伸びを限定的なものにするだろう。したがって、2030年にはOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development、経済協力開発機構)諸国による発電量は、2010年の21%に比べて2030年には16%に減少し、総発電量の増加による減少にもよるが、世界の発電量においても10%になるだろう。

福島原発事故にもかかわらず、原子力は、特にロシアや急成長するアジア経済の電力需要の急速な成長を満たすだろう。2030年には、世界の原子力発電による発電量は「通常通り」のケースでは37%上昇し、発展しているアジアの総発電設備容量は2010年の1%に比べて25%にまで増加するだろう。
今日、世界で最も大きなプロジェクトが進んでいるのはアジアである。韓国では、新古里発電所(シンコリ)1号機(1GW)が2010年に始動し、2020年までに5機増設される計画で、そのうち3つが建設中で、発電総量は6.5KWである。中国では、福建福清(Fuqing)と福建寧徳(Ningde)でそれぞれ6KWのプロジェクトが建設中であり、これらの半分の発電容量が2015年に稼働するだろう。中国は現在、26GW、28の原子炉が建設中で、この原子力発電容量は世界一であり、2020年までに原子力発電は60-70GWになるだろう。「第12次5カ年計画」が採用されれば、2020年には82GWを目指すことになるだろう。インドも、今後20年以内に原子力発電を60GWまで増やす計画を発表し、2012-2017年に約11GWを稼働するとしている。中国とインドは第4世代のパイロット原子炉を成功させており、発電の主力として推進している。

当面は、原子力開発は主に、エネルギー需要が安全な技術の改良への刺激要因となる、新興国に限られるだろう。多くのOECD諸国は、主に政治的な理由から、原子力発電を積極的に廃棄したり、既存の原子力設備を更新しないだろう。短期的には、原子力エネルギーを取り囲む環境は、どっちつかずなものとなるだろう。

【調査レポート】
[年間サービス] EnerFuture Forecasts: 2030年までの世界のエネルギー需要予測、CO2削減、価格、電力
EnerFuture Forecasts
Global 2030 energy demand, CO2 emissions, prices & power forecasts
http://www.dri.co.jp/auto/report/enerdata/article.php?id=1236

◆フランス市場調査会社 エネルデータ社について
http://www.dri.co.jp/auto/report/enerdata/index.html

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