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言論NPOは、日中対話に続く東アジア民間外交の取り組みとして「日韓未来対話」を創設します〜「強いパブリック・ディプロマシー」の先導役として、東アジアのガバナンス安定化に向けた対話を積極的に推進します


 認定NPO法人 言論NPO(代表:工藤泰志)は、過去8年にわたる日中民間対話「東京−北京フォーラム」(※1)の実績を踏まえ、東アジアでの第2弾の対話の舞台として、東アジア研究院(以下EAI、院長:李淑鍾(イ・スクジョン))と共同で「日韓未来対話」を創設しました。言論NPOは、これまで日中対話における日本側主催者(中国側カウンターパートはチャイナ・デイリー)として、両国の世論をベースに民意を反映させながら日中のハイレベルな議論形成を行ってきました。このたび、この日中対話のスキームを活かして、日韓においても、言論NPOが日本側主催者となり、韓国側カウンターパートであるEAIと共同で、日韓両国の世論調査を毎年行い、国民の意識や相互理解の動向を絶えず把握しながら、両国の関係改善に取り組む公開型の新しい日韓対話を創設することで、EAIと合意しました(※2)。そして、言論NPOとEAIは、来る5月11日(土)に「第1回日韓未来対話」を東京で共同開催します。

「日韓関係に未来はあるのか」をテーマに「第1回日韓未来対話」を開催
 第1回目の対話では、「日韓関係に未来はあるのか」をテーマに、日本側は小倉和夫氏(元駐韓国大使、前国際交流基金理事長)を、韓国側はイ・テシク氏(元駐米韓国大使)を座長に、日韓両国から政治・経済・文化・メディアなど各界にわたり、有識者20氏が円卓会議の対話に参加します。そして、本日公表した「日韓共同世論調査」結果で浮かび上がった両国の課題を踏まえ、日本の大学生・大学院生や韓国の留学生など若者を含む約150名(予定)を超える会場参加者と双方向の議論を行います。この議論の様子は、インターネットで同時中継を行うことにより、広く一般市民に公開されます。
(「第1回日韓未来対話」開催概要は下記をご覧下さい。)

なぜ言論NPOが、新たに「日韓民間対話」を始めるのか
 言論NPOが、中国との対話に引き続き、日韓の間に新しい民間対話を発足させる背景には、東アジアの地域のガバナンスが非常に不安定で、かつ、各国の排他的なナショナリズムが高まる中、域間の課題を解決するには、もはや政府間の協議だけでは事態の解決が難しい、と判断したためです。こうした局面では、課題に関係する幅広い当事者(マルチ・ステークホルダー)が問題解決のために協議を開始し、対話の中身が可能な限り両国民に公開され、国民の健全な意見(輿論)に支えられる動きが必要とされています。
 今後、言論NPOは、対中国、対韓国の民間対話の開催を皮切りに、世界やアジアの課題解決に積極的に関わり、日本の政策的な主張や考えを他国の世論や世界に幅広く訴え、同時に国際的な合意の形成を目指していきます。そして、日本の発信力を強化し、国際合意形成をめざすという「攻めの海外発信と対話」の取り組みを、言論NPOは「強いパブリック・ディプロマシー」(※3)と呼び、新たな民間外交イニシアティブとして掲げます。今後、言論NPOは「強いパブリック・ディプロマシー」の先導役として、東アジアのガバナンス安定化に向けた対話の舞台づくりを積極的に推し進めていきます。

言論NPO代表の工藤泰志は、次のとおり述べています。
 「世界やアジアの課題は、政府間の協議だけで事態の解決が難しい局面にあり、東アジアにおいても地域のガバナンスが不安定にも関わらず、政府外交が機能していません。さらに、ガバナンスの不安定化には各国の排他的なナショナリズムが事態をさらに複雑にしています。そのため、課題に関係するマルチ・ステークホルダーが、問題解決のために協議を開始するとともに、それが国民の輿論に支えられる動きが重要となります。外交にも、市民また民間の力が必要です。
 言論NPOが、中国との対話に続き、韓国の対話に取り組むことにしたのは、日韓にも民間対話の力が、必要なためです。日韓には、国民間に強い相互不信があり、基礎的な相互理解も不足しており、それが、日韓関係をさらに悪化させています。この状況を、私たちは、対話の力で乗り越えようと考え、世論調査で国民の認識の動向を絶えず把握しながら可能な限りオープンに討論するという、新しい対話を日韓の間で立ち上げ、両国の未来に向けた議論を始めます。」

※1 「東京−北京フォーラム」とは
 言論NPOは、中国で反日デモなどが深刻化した2005年に、中国のメディアである中国日報社(チャイナ・デイリー)及び北京大学国際関係学院と提携して「東京-北京フォーラム」を創設しました。「東京-北京フォーラム」は、民間対話の舞台として両国政府の半歩前を進み、日中が抱える経済協力、国民の相互理解の促進、そして海洋の安全保障などの課題に関して、建設的かつ真剣に議論を行うことを目標にフォーラムを実施しています。
 言論NPOは、これまで8年にわたる「東京-北京フォーラム」の実績により、以下の特長をもつ「強いパブリック・ディプロマシー」を機能させ、民間外交モデルとして完成させました。
●日中関係における様々の分野の当事者(マルチ・ステークホルダー)が両国の課題解決のために公開型対話を継続的に行う。
●さらに、この対話は、世論調査を行うことで両国の民意を把握しながら行われ、かつ、対話の成果は両国メディアと連携することで、直接両国民に伝えるだけでなく、世界にも議論の発信する仕組みを作り上げた。
 2006年の「第2回東京-北京フォーラム」では安倍晋三・内閣官房長官(当時)が両国関係の改善のスピーチを行い、それが直後の電撃訪中、そして両国首脳会談の再開につながることで中国側はこの対話を「公共外交」と位置づけるなど、両国にとって影響力をもつ対話として定着しています。こうした両国民に開かれた対話の役割が、私たちが目指す「強いパブリック・ディプロマシー」であると考え、言論NPOはこれをさらに韓国、そしてアジアに広げる作業を開始しています。

※2 言論NPOはなぜ東アジア研究院(EAI)と「日韓未来対話」を創設することになったのか
 2012年3月、米国の外交問題評議会(CFR)が提案した国際シンクタンク会議「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」の常設メンバーに、アジアからは、日本の代表として言論NPOが、韓国の代表にはEAIが選ばれました。CoCでのネットワークをきっかけに、言論NPOはEAIと協議を開始し、不安定な東アジアのガバナンスの安定化に向けて、日中対話に続いて、対話の力で日韓の課題にも取り組むことを決め、「日韓未来対話」という新しい民間対話の舞台が実現することになりました。

※3 言論NPOの目指す「強いパブリック・ディプロマシー」とは
 今日、外国政府に対して働きかけ、また交渉を行う「伝統的な外交」とともに、これを補完する機能として、民間や市民社会とも協働し、諸外国の国民や世論に直接働きかける「広報文化外交」(パブリック・ディプロマシー)の手法が注目されています。日本の文化や魅力を世界の国民や世論に直接伝えることは、日本の存在感を拡大する重要な手法ですが、私たちはこれをさらに一歩進めて、「強いパブリック・ディプロマシー」の実現を提案していきます。 「強いパブリック・ディプロマシー」とは、世界やアジアの課題解決に積極的に関わり、日本の政策的な主張や考えを他国の世論や世界に幅広く訴え、同時に国際的な合意の形成を目指す、「攻めの海外発信と対話」です。
 世界における日本の存在感の低下は、発信力の乏しさがその原因として説明されることが多い一方で、私たちは発信をただ強めるだけで日本の存在感が十分に高まるとは考えていません。発信される中身自体が、世界の課題解決に向けてより影響力のある提案になり、かつ、何よりも他国の国民の日本に関する理解や認識の状態を把握しながら、合意を模索する戦略的な議論の発信となることが必要だと考えています。
 言論NPOは、アジアの課題解決に加え、世界に向けて海外発信するために、国際シンクタンク会議CoCのネットワークを利用しながら、世界やアジアの課題解決に向けた議論や対話を行い、日本の国際社会での発言や存在感を向上させ、広い意味での日本の国益の実現に向けた、日本の全員参加型の外交力の向上に寄与していきます。
 CoCの常設メンバーには、日本の言論NPOをはじめ、アメリカはCFR、イギリスはチャタム・ハウスと英国国際戦略研究所(IISS)、ロシアは現代発展研究所(INSOR)、そしてフランス国際関係研究所 (IFRI)、ドイツ国際政治・安全保障研究所(SWP)、イタリア国際問題研究所(IAI)など欧米の名門シンクタンクに加え、アジアからは、中国の上海国際研究所(SIIS)、韓国の東アジア研究院(EAI)、シンガポールのナンヤン工科大学ラジャラトナム国際関係学院(RSIS)、中東やアフリカからは、イスラエル国家安全保障研究所(INSS)や南アフリカ国際問題研究所(SAIIA)など、いずれも世界を代表する有数の外交政策専門機関により構成されており、グローバル・ガバナンスなどについて議論を行い、提案をまとめています。

【本件に関するお問合せ先】 特定非営利活動法人言論NPO (担当:吉崎・宮浦)



≪5月11日(土)「第1回日韓未来対話」概要≫
公開円卓会議:「日韓関係に未来はあるのか」
〜会場参加者と双方向に議論を展開、この様子をインターネットで生中継します〜
http://www.ustream.tv/channel/genron-npo-live

■日時: 2013年5月11日(土) 14時30分〜16時30分
■参加者一覧:
【日本側】(予定)
 小倉和夫(日本側座長、元駐韓国大使、前国際交流基金理事長)
 伊藤信太郎(自由民主党衆議院議員、元外務副大臣)
 伊藤良司(NHK報道局 取材センター 国際部副部長)
 大竹洋子(日韓文化交流基金評議員、東京国際女性映画祭ディレクター)
 川口順子(自由民主党参議院議員、元外務大臣)
 工藤泰志(言論NPO代表)
 長島昭久(民主党衆議院議員、元防衛副大臣)
 箱田哲也(朝日新聞社論説委員、元ソウル支局長)
 藤沢久美(シンクタンク・ソフィアバンク代表)
 松山良一(国際観光振興機構理事長)
 山本和彦(森ビル株式会社 取締役副社長執行役員)
 山本幸三(自由民主党衆議院議員、元経済産業副大臣)
【韓国側】(予定)
 イ・テシク(韓国側座長、元駐米大使)
 イ・ジュンソク(クラッセスタジオCEO)
 イ・スクジョン(東アジア研究院院長)
 キム・ヒジュン(セヌリ党国会議員)
 キム・ヘギョン(Innocean Worldwide上席副代表)
 ソ・ヨンキョ(民主統合党国会議員)
 ソン・ヨル(延世大学国際学大学院長、教授)
 チョン・ビョングク(セヌリ党国会議員、元文化・スポーツ・観光大臣)
 パク・ジンウォン(オメルベニー・アンド・マイヤーズ法律事務所常駐弁護士)
 ホン・ジミョン(KBSアナウンサー)
 ヨン・ジュンク(東亜日報政治部次長)


【言論NPOとは】
 言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のシンクタンクです。言論NPOは、議論の力で、「強い民主主義」と「強い市民社会」をつくり出すことをめざし有権者が政治や政策を判断し、民主政治を機能させるために質の高い議論づくりや政策評価に取り組んでいます。
 また、民間外交を担うトラック2として、私たちが行う議論はアジアにも広がっており、特に中国との間で8年間、ハイレベルの民間対話を実現しています。更に、2012年3月には米国外交問題評議会(CFR)が設立した国際シンクタンク会議カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)の常設メンバーに選出されており、日本の課題のみならず、世界の課題に対して提言を行っています。

【東アジア研究院(EAI)とは】
 EAIは独立したシンクタンクとして様々な地域的課題へのアイデアや政策提案をするために設立されました。学会、フォーラム、教育プログラム、出版物を通して影響力の高い活動を目指しています。研究活動とその他2つの外交安保プログラムとガバナンス研究プログラムを平行して行っています。これは5つの研究所によって行われます。著名な学者や政策決定者と共同作業を行うことで、EAIは改新的な研究内容や影響力のある政策議論を作り出しています。韓国を代表するシンクタンクとしてEAIは、共同研究や、アメリカ、中国、台湾を含む様々な国との学会交流を通して、北東アジアの知的社会の構成を作り出しています。


【認定NPO法人 言論NPO概要】
所在地:〒103-0027 東京都中央区日本橋1-20-7
設立:2001年11月
代表者:工藤泰志

【お問合せ先】
特定非営利活動法人言論NPO
TEL:03-3548-0511  FAX:03-3548-0512
担当:吉崎・宮浦
URL:http://www.genron-npo.net
Facebook:http://www.facebook.com/GenronNPO
Twitter:https://twitter.com/GenronNPO


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