100周年記念コンセプトカー「マセラティ アルフィエーリ」 ジュネーブモーターショーでワールドプレミア ―伝統の継承と、マセラティ デザインの未来形を示唆―
[14/03/06]
提供元:DreamNews
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ジュネーブ発― マセラティの創業100周年を記念する2+2コンセプトカー「マセラティ アルフィエーリ(Maserati Alfieri)」がジュネーブモーターショーで3月4日、ワールドプレミアを飾りました。
スリリングでいてリアリティにあふれる最新モデル「アルフィエーリ」は、マセラティの未来像を形作るデザインDNAを余すところなく表現しています。プロトタイプでありながら100%走行可能なこのコンセプトカーは、まさにマセラティの未来へつながる扉とも言うべきモデルです。
1世紀前、ボローニャで現在のマセラティ社の礎となる「オフィチーネ・アルフィエーリ・マセラティ」を設立した、マセラティ兄弟の中でも最も著名なエンジニアの天才、アルフィエーリの名前を冠した最新作「アルフィエーリ」は、トリノの「マセラティ・スタイル・センター」において、マルコ・テンコーネ率いる有能な若手デザイナーの精鋭チームによって開発されました。このプロジェクトリーダーは、ロレンツォ・ラマチョッティです。
100周年を迎えた現在、マセラティ社の経営は順風満帆と言えます。2013年にニューモデル「クアトロポルテ」「ギブリ」のプレゼンテーションと共に発表した壮大なプラン(2015年までに年間生産5万台体制の達成)は、マセラティ社を単なるイタリアの製造会社からプレミアムスポーツカーセグメントにおける真のプレーヤーへと変貌させました。
それは2012年から2013年のわずか1年で、全世界の売上台数が6,200台から15,400台、前年比150%を達成したことからもお分かりいただけるはずです。
今やマセラティは4ドアサルーン2モデル、GTスポーツカー2モデル、4タイプのエンジン(V8、V6ツインターボ、V8 NA、ターボディーゼル※)、2種類の駆動方式(AWDとRWD)による完璧なモデルレンジを備え、自動車業界におけるグローバルプレーヤーの仲間入りを果たしています。SUVの登場も間近です。
※日本未導入
「マセラティ アルフィエーリ」 コンセプト
デザインコンセプト
マセラティがデザインそして製品の新たな方向性を再構築しようとしている、まさに“今”「アルフィエーリ」がアンベールされました。新型「クアトロポルテ」や「ギブリ」が、マセラティのスポーティでラグジュアリーな4ドアサルーンの世界を切り開く一方で、この新たなコンセプトカーは、マセラティが誇る素晴らしいレーシング・ヒストリーと高性能GTカーにおける類まれな伝統を、多くの人に思い起こしていただくきっかけとなるはずです。
「アルフィエーリ コンセプト」はまさにマセラティブランドの本質を体現するものです。
スタイリッシュな2+2のイタリアンデザインは、「3500GT」(1957年)、「5000GT」(1959年)、「インディ」(1969年)を彷彿とさせ、マセラティのレーシングDNAが脈々と受け継がれています。「グラントゥーリズモ」よりもさらにスポーティな設定の「アルフィエーリ」は、これからのリアルスポーツカーとしてのあるべき姿を指し示すと同時に、今後マセラティの目指すデザインの方向性を示唆するものです。
『マセラティは変わりません。マセラティは今後もマセラティであり続けます。』デザインプロ ジェクトのリーダーであるラマチョッティはそう語りました。
他のコンセプトカー同様、「アルフィエーリ」も製品化されることが強く望まれています。現時点では、今後販売されるグランドツーリングカーとして、最終的なプロトタイプの段階まで仕上げられているわけではありませんが、そのコンセプトやデザインにおいては、100%実現可能なものとなっています。
ロレンツォ・ラマチョッティは次のようにも語っています。『「アルフィエーリ」は、これまでの100年間におよぶ輝かしい歴史と、今後切り開かれていくことになる未来をつなぐ架け橋の役割を果たすモデルです。正直なところ、今後2年間でこのクルマが製品化されると明言する段階にはありませんが、これと非常によく似たモデルが登場することは間違いありません』
このプロジェクトは昨年夏にスタートしました。デザイナーたちは、マセラティの100周年を記念するコンセプトカーを全くの白紙からデザインするよう指示されました。この結果、いくつもの アイデアが誕生しましたが、その中から「アルフィエーリ」と名付けられることになるこのスケッチが選ばれることとなります。
いつの時代も人々を熱狂させてきた「マセラティA6 GCS-53」は1954年にピニンファリーナの手によってデザインされ、数多くのデザイナーに様々なインスピレーションを与えてきました。ジェントルマンドライバーのための極めて貴重なレーシングカーだっただけでなく、自動車デザイン史上に残る名作でもあったのです。このモデルはまた、ピニンファリーナデザインが21世紀初頭に「クアトロポルテ」や「グラントゥーリズモ」で復活するまでは、彼らがマセラティのためにデザインした最後の作品だったことでも知られています。「A6 GCS-53」は技術的にも特筆すべきモデルですが、そのプロポーションやデザイン的な特徴という部分でも多くの人々を魅了してきました。コンパクトなキャビンは限りなくリアホイールの近くにあり、ボンネットは伸びやかなデザインで、滑らかな曲線を描くフェンダーはまるでリアホイールに連なっているようにデザインされていました。
とはいえ、「アルフィエーリ」は「A6 GCS-53」をただ現代的に再解釈しただけの作品ではありません。マセラティはこれまでも、果敢に多様なデザインに取り組んできました。このような歴史こそが、デザイナーたちを懐古主義に陥らせることなく、常に前向きに仕事に取り組む原動力となってきたのです。『私たちは「アルフィエーリ」が今後のデザインの方向性を探るうえで重要な役割を果たしてくれるものと期待しています』とラマチョッティは語っています。『非常にアグレッシブですが、それでいながら思慮深さも兼ね備えている。そして強い主張を持っているのに控えめなデザインでもあるのです』
そもそも「A6 GCS-53」は、Alfieri(アルフィエーリ。創業者マセラティ兄弟の3男)、Ghisa(鋳鉄エンジンブロック)、Corsa(競技)、Sport(スポーツ)の頭文字をとったもので、長いボンネットとリア寄りに設えた2シーター・キャビンの代名詞となりました。
「A6 GCS-53」の特徴的なAピラーのデザインは採用されませんでしたが、「アルフィエーリ」のボンネットから始まってドアの高い位置まで連なっている彫刻的なラインは、陰影をつけることでより強調する一方、ウィンドウスクリーンがより幅広く見える効果をもたらしています。
長く、そして低い位置にデザインされたノーズは、現代のマセラティモデルの造形をさらに進化させたものです。左右ふたつに分割された凹面状のグリルは、まるで宙に浮かんでいるように見えます。シャープな外観のデイタイム・ランニング・ライトは、ボディ中央に描かれた象徴的なVラインに明確なアクセントを与えています。バイキセノンとLEDを組み合わせたアグレッシブなデザインのヘッドライトは、個性的で特徴的なアイブローを思わせる造形で、これはツインエグゾースト・テールパイプのデザインとして反復されています。
ステッキ型キャンディを思わせる立体的なデザインのテールライトは、中央の白いレンズを上下から赤いレンズで挟み込んだような構成となっています。その形状はボディのリア・ショルダーと見事な調和を生み出すと同時に、これよりもさらに低い位置にエアダクトを置くことで個性的でレーシングカーのような印象のリアビューを作り出しています。
「アルフィエーリ」のスタイリングは流麗でシンプルなものですが、デザイナーたちは装飾的な要素をひとつだけ付け加えました。それがフロントフェンダー上に設けられた3つのエアダクトですが、これも全体のデザインの中にすっきりと溶け込んでいます。このアイキャッチングなシルエットは、誰をも魅了することでしょう。
ホイールはアルフィエーリ・コンセプトのために特別にデザインされたものです。リアが21インチ、フロントが20インチのワンピース・アルミ鍛造製で、美しく飾られた一体型のスポークは1950年代のクラシカルなホイールを思い起こさせるものです。
このスタイリングだけでも十分魅力的ですが、カラーやディテールの処理も見逃すことができないほどの輝きを放っています。マセラティの100周年を飾るコンセプトカーを彩っているのは“スティール・フレア”と呼ばれるリキッド・メタル・カラーです。このボディカラーは、素肌に金属のヴェールをかけたような印象をもたらすことで、「アルフィエーリ」のエレガントなシェイプを一層洗練されたものとし、加えてハイテクかつ現代的な雰囲気をも醸し出しています。
鍛造ホイールの美しくデザインされたスポーク、ブレーキ・キャリパー、グリル、印象的な3つのエアダクト、リアディフューザー、排気系のテールパイプを飾る刺激的なアイブローなどは、すべてマセラティ・ブルーでペイントされています。リアのナンバープレートに描かれたアルフィエーリの文字は、マセラティに残る古い文書にある自身のサインから再現されたものですが、ここも ブルーで彩られています。フロントバンパーとリアディフューザーは、アルミニウムを挟み込んだカーボンファイバー製となっています。
シンプルを極めたインテリア
2+2のキャビンは、シンプルとミニマリズムを徹底的に追求したデザインとなっています。長く伸びたダッシュボードは「マセラティ5000GT」にインスパイアされたもので、クリーンでオーガニックなイメージのダッシュボードには、中央にTFTスクリーンを設けています。
インストゥルメント・パネルのレイアウトはクラシカルなもので、二つの大きなメーターの間に小さなメーターを二つ挟み込んだ構成となっています。それぞれのメーターは周囲が“Officine Maserati”の小さなラベルで飾られています。
メーターは機械式のアナログ表示ではなく、TFTディスプレイを採用し、まるで最新式カメラの メニューのように速度とエンジン回転数を表示します。また、針が回転するのではなく、数字そのものが回転する形式としました。速度とエンジン回転数は、レンズによって拡大されているように表示することで強調されます。
「アルフィエーリ」はモータースポーツ特有の荒々しさも表現しています。フロアは、まるでさびたスティールのような素材で仕上げられていますが、これは1950年代のレーシングカーを模したものです。
エレガントな「アルフィエーリ」のインテリアは、その多くの部分がルナ・ホワイトもしくはダーク・バサールトで彩られています。ポルトローナ・フラウのアニリン染料のレザーは自然な風合いで、シート、ダッシュボード、センターコンソールをカバーしています。キャラクターラインの多くを銅色で縁取ることにより、未来的な室内空間にレトロなムードを生み出しています。
室内には2+2のスペースに加えてラゲッジ・コンパートメントを設けています。後席のバック レストは人間工学に基づくユニークなデザインです。外側からよく見えるようにすることで、インテリアにある種のスピード感を盛り込むことに成功しました。リアシートは90度まで前方に倒すことができると同時に、ラゲッジスペースの仕切りとしても機能します。
シートの飾り、ギアボックスレバー、センターコンソールに置かれた楕円形の時計などは、職人の手により、いずれもワンピースのアルミから削り出され、メッキ処理を施すことで表面を銅色に仕上げています。そのほかのペダル、パドルレバー、ステアリング・スポークなどもやはり手仕上げですが、同じくメッキ処理によりパラジウム・カラーとなっています。
50年代のレース用バケットシートにインスパイアされたパッセンジャーシートのヘッドレストは、ほぼ一体化されており、未来的な佇まいを見せています。
スリースポークタイプのステアリング、そして中央にマセラティの紋章をあしらったパッドは立体的な造形で、その彫刻的な仕上がりにはイタリア人職人のクラフトマンシップが息づいています。「アルフィエーリ」のインテリアは、そのほかの部分を含め、100%ハンドメイドで仕上げられています。
レッドとブルーの盤面にふたつのサブダイアルを設けた楕円形の時計は、言うまでもなくクラシックなクロノグラフにインスパイアされたものです。
スポーツ・ドライビングのDNA
「アルフィエーリ」は「グラントゥーリズモMCストラダーレ」のシャシーをベースに開発されましたが、ホイールベースを24cm短縮することにより、紛れもないスーパーカーとしてのプロポーションを手に入れています。「アルフィエーリ」の全長は4590mm、ホイールベースは2700mmで、全幅と全高はそれぞれ1930mm、1280mmとなっています。
スタイリッシュなボディの内側には「マセラティ グラントゥーリズモ」から譲り受けた、トランスアクスル・プラットフォームを備えています。マラネロで作られた4.7、自然吸気、V8エンジンは最高出力460bhp/7000rpm、最大トルク520Nm/4750rpmを生み出し、「アルフィエーリ」に卓越した運動性能をもたらします。特別にデザインされたエグゾースト・システムを採用したことで、この由緒正しいV8エンジンは息を飲むような美しいサウンドを奏でます。その音色は、コンセプトカーが発表されたジュネーブで多くの人々を魅了しました。
6速の電子制御式ギアボックス(MCシフト)は、リミテッド・スリップ・デファレンシャルが組み込まれており、強固なトルクチューブによりエンジンと連結されています。トランスアクスル・レイアウトとしたことで、「アルフィエーリ」はややリア寄りの理想的な前後重量バランスを実現しています。
「アルフィエーリ」のカーボン・セラミック・ディスクブレーキは「グラントゥーリズモMCストラダーレ」と同様、青くペイントされたブレンボのブレーキキャリパーと組み合わされます。
マセラティ100周年記念
2014年、マセラティは創業100周年を迎えました。1914年12月1日、アルフィエーリ・マセラティと二人の弟エットーレ、エルネストがボローニャに最初のワークショップを開いてから100年の時が流れました。
100周年アニバーサリーイヤーは、2013年12月2日よりスタートしており、2014年12月までの 1年間、世界中で盛大に祝われることとなります。
記念イベントの中心地は、1939年からマセラティが本社を構えるモデナです。「Museo Casa Enzo Ferrari」では2014年6月から12月まで特別展を開催。9月の公式イベントでは、世界各国からモデナに300台以上の歴代のヴィンテージモデルが一堂に会する予定です。
2013年マセラティの業績
2013年、マセラティは2つのニューモデル「クアトロポルテ」と「ギブリ」の好調なセールスにより、年間出荷台数は前年比148%増の15,400台となりました。3月に発売された「クアトロポルテ」の出荷台数は7,800台。「ギブリ」は10月の発売から年末までの間に2,900台出荷され、この2モデルの受注台数は13,000台を達成しました。2ドアモデルの年間出荷台数も好調で2012年と同様の4,700台でした。
すべての市場で前年を大きく上回った出荷台数は、国別ではアメリカが前年比138%増の6,900台で世界ナンバーワンマーケットの地位を確立し、次いで中国が334%増の3,800台と最も高い伸びを記録して世界第2位となりました。経済危機の影響を受けたヨーロッパでも2つのニューモデルの成功で133%増の2,500台となりました。その他の地域でも顕著な成果を挙げ、中国を除くアジア・パシフィック地域では1,300台(52%増)、中東は750台(81%増)と好調な結果を達成しました。また売上は前年比120%増の16億5,900万ユーロとなりました。
2013年のマセラティの営業利益は1億7,100万ユーロ(売上の10.3%)で、前年の5,700万ユーロから一気に1億1,400万ユーロ増加しました。
税前利益(EBIT)は、ニューモデル導入に関わる6,500万ユーロの償却費を含めて1億600万ユーロを達成しました。この投資はマセラティブランドに適した最新技術を備えたプラットフォームへの切り替えのために費やしたものであり、この改善の結果、上述のように販売台数を著しく拡大することができました。
特に2013年第4四半期のマセラティの売上高は7億7,600万ユーロ、年間売上高の47%となり、新型「ギブリ」発売開始が大きく貢献して、前年同期の約4倍となりました。ちなみに営業利益は、前年同期より1億1,000万ユーロ増の1億2,300万ユーロを計上。税前利益(EBIT)は5,800万ユーロでした。
<お問い合わせ先>
マセラティ コールセンター 0120-965-120