〜2014年11月25日 改正薬事法施行による影響は〜 遺伝子医薬品・細胞医薬品の開発動向と市場展望に関する調査結果を発表
[14/11/21]
提供元:DreamNews
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メディカル・ライフサイエンス分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都港区、代表取締役 番場聖)では、2014年11月25日の薬事法改正によって開発増加・市場拡大が期待されている遺伝子医薬品(※1)および細胞医薬品(※2)について、世界の研究開発動向や市場展望、実用化への課題について調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。
1.遺伝子医薬品・細胞医薬品はがん領域を中心に開発が進んでいる
遺伝子医薬品や細胞医薬品は従来の治療薬にはない優れた効果が期待できるため、次世代の医薬品として開発が進められています。現在、遺伝子薬品・細胞医薬品は欧米を中心に日本でも開発が進んでいます。開発対象となっている疾患について調べると、いずれも「がん領域」が最も多く、遺伝子医薬品では38%、細胞医薬品では31%を占めています。がん領域は治療満足度が低く、多くの企業が開発に注力していることが伺えます。次に開発が多い疾患について、遺伝子医薬品では局所投与が容易な「眼疾患」で12%、細胞医薬品では心機能回復を目的とする「循環器疾患」が14%を占めています。それ以外にも感染症や遺伝性疾患、脳神経疾患など幅広い疾患領域で開発が進められており、今後の開発の進展が注目されます。
2.2025年の世界市場について遺伝子医薬品は100億米ドル強、細胞医薬品は120億米ドル強に成長すると予測
遺伝子医薬品・細胞医薬品は医薬品市場において新市場を切り開くと期待されています。2013年の世界市場について、遺伝子医薬品は製品がないため市場はほとんどありません。一方、細胞医薬品の市場はProvenge(米国Dendreon社)を中心に4億米ドル弱に留まります。 今後、遺伝子医薬品では血友病やパーキンソン病、細胞医薬品では循環器疾患や遺伝性疾患・脳神経疾患で開発・製品化が進むことが予想されます。開発進展に伴い市場も成長、2025年の世界市場は遺伝子医薬品で100億米ドル以上(1兆2,000億円以上)、細胞医薬品は120億米ドル以上(1兆4,000億円以上)に達すると推計しました。
3.日本の課題はウイルスベクターの製造と細胞バンクの整備
遺伝子医薬品および細胞医薬品を日本で開発・普及させるためには解決すべきいくつかの課題があります。 遺伝子医薬品の最も大きな課題はウイルスベクターの製造です。ウイルスベクターは遺伝子導入方法のスタンダード技術になっており、アデノ随伴ウイルスベクターなど多くの技術開発が行われています。一方、日本には遺伝子医薬品として利用するためにウイルスベクターをGMP基準で製造できる機関がほとんどなく、企業やアカデミアなど研究機関が開発を行う場合、欧米などに外注する必要があります。日本国内において円滑な開発を進めるためにはウイルスベクターの製造施設の整備が望まれます。
細胞医薬品の最も大きな課題は細胞バンクの整備です。現在、日本で開発が進められている細胞医薬品の多くが患者さん自身の細胞を材料としています。患者さん自身の細胞を用いると加工に高額な費用・長い時間がかかる課題があります。欧米では健常者ドナーから予め細胞を採取・バンキングし、その細胞を細胞医薬品開発企業が購入することで細胞医薬品として製造・出荷することを想定した開発が多く行われています。予め細胞を入手することで、必要が生じた際にすぐに細胞医薬品として出荷できることや、計画生産が可能であり製造コストを抑えることも可能です。一方、日本では細胞医薬品開発企業が細胞医薬品製造のために原材料として細胞を購入できるところがなく、海外の細胞バンクから購入後輸入する必要があります。海外からの輸入になるため安定供給など様々な課題があります。今後、国が主体となって日本における公営もしくは民間の細胞バンクの整備、細胞バンクのビジネスについてどのように進めるべきか、方針および具体策を早急に検討・法律化する必要があります。
このような課題を1つずつ解決していくことで、日本独自の遺伝子医薬品・細胞医薬品の開発が促進されることが期待されます。
なお、本調査は(株)BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「世界の遺伝子医薬品開発の現状と将来展望(2014年11月25日発刊)」および「世界の細胞医薬品開発の現状と将来展望(2014年11月25日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は当該レポート(以下にURLを記載)をご参照ください。
http://www.bb-bridge.co.jp/reports/133/
http://www.bb-bridge.co.jp/reports/206/
用語説明
※1 遺伝子医薬品(遺伝子治療)
治療に関連するタンパクなどを遺伝子情報としてウイルスベクターなどを用いて生体に投与する、もしくは生体から取り出した細胞に投与しそれを生体に戻します。生体に投与されたベクターを基にタンパク質が産生され、治療効果を得ることができます。
※2 細胞医薬品(細胞治療)
患者さんの生体内の細胞や健常者ドナーから採取した細胞を用い、これになんらかの処理を加えて機能を付与し、それを生体に投与することで疾患を治療するものです。iPS(人工多能性幹細胞)など幹細胞研究の進展によって開発が急スピードで進んでいます。2010年には患者の樹状細胞を用いた前立腺がんを対象とした細胞医薬品「Provenge」が米国FDAに承認されました。なお、本プレスリリースにおける細胞医薬品(細胞治療)について、「シート状や軟骨など成形を必要とせずバイアルまたは細胞を封入したプラスチックバックとして医療機関に供給できる製品」と定義しています。従って成形が必要な皮膚疾患のための細胞シートや整形外科疾患のための培養軟骨などは対象としていませんのでご注意ください。
なお、本プレスリリースの内容について無断利用・転載は禁止します。
―本件の問い合わせ先―
株式会社BBブリッジ
〒105-0001 東京都港区虎ノ門5丁目11-15
TEL:03-6240-1075
担当:番場(ばんば)
info@bb-bridge.co.jp
1.遺伝子医薬品・細胞医薬品はがん領域を中心に開発が進んでいる
遺伝子医薬品や細胞医薬品は従来の治療薬にはない優れた効果が期待できるため、次世代の医薬品として開発が進められています。現在、遺伝子薬品・細胞医薬品は欧米を中心に日本でも開発が進んでいます。開発対象となっている疾患について調べると、いずれも「がん領域」が最も多く、遺伝子医薬品では38%、細胞医薬品では31%を占めています。がん領域は治療満足度が低く、多くの企業が開発に注力していることが伺えます。次に開発が多い疾患について、遺伝子医薬品では局所投与が容易な「眼疾患」で12%、細胞医薬品では心機能回復を目的とする「循環器疾患」が14%を占めています。それ以外にも感染症や遺伝性疾患、脳神経疾患など幅広い疾患領域で開発が進められており、今後の開発の進展が注目されます。
2.2025年の世界市場について遺伝子医薬品は100億米ドル強、細胞医薬品は120億米ドル強に成長すると予測
遺伝子医薬品・細胞医薬品は医薬品市場において新市場を切り開くと期待されています。2013年の世界市場について、遺伝子医薬品は製品がないため市場はほとんどありません。一方、細胞医薬品の市場はProvenge(米国Dendreon社)を中心に4億米ドル弱に留まります。 今後、遺伝子医薬品では血友病やパーキンソン病、細胞医薬品では循環器疾患や遺伝性疾患・脳神経疾患で開発・製品化が進むことが予想されます。開発進展に伴い市場も成長、2025年の世界市場は遺伝子医薬品で100億米ドル以上(1兆2,000億円以上)、細胞医薬品は120億米ドル以上(1兆4,000億円以上)に達すると推計しました。
3.日本の課題はウイルスベクターの製造と細胞バンクの整備
遺伝子医薬品および細胞医薬品を日本で開発・普及させるためには解決すべきいくつかの課題があります。 遺伝子医薬品の最も大きな課題はウイルスベクターの製造です。ウイルスベクターは遺伝子導入方法のスタンダード技術になっており、アデノ随伴ウイルスベクターなど多くの技術開発が行われています。一方、日本には遺伝子医薬品として利用するためにウイルスベクターをGMP基準で製造できる機関がほとんどなく、企業やアカデミアなど研究機関が開発を行う場合、欧米などに外注する必要があります。日本国内において円滑な開発を進めるためにはウイルスベクターの製造施設の整備が望まれます。
細胞医薬品の最も大きな課題は細胞バンクの整備です。現在、日本で開発が進められている細胞医薬品の多くが患者さん自身の細胞を材料としています。患者さん自身の細胞を用いると加工に高額な費用・長い時間がかかる課題があります。欧米では健常者ドナーから予め細胞を採取・バンキングし、その細胞を細胞医薬品開発企業が購入することで細胞医薬品として製造・出荷することを想定した開発が多く行われています。予め細胞を入手することで、必要が生じた際にすぐに細胞医薬品として出荷できることや、計画生産が可能であり製造コストを抑えることも可能です。一方、日本では細胞医薬品開発企業が細胞医薬品製造のために原材料として細胞を購入できるところがなく、海外の細胞バンクから購入後輸入する必要があります。海外からの輸入になるため安定供給など様々な課題があります。今後、国が主体となって日本における公営もしくは民間の細胞バンクの整備、細胞バンクのビジネスについてどのように進めるべきか、方針および具体策を早急に検討・法律化する必要があります。
このような課題を1つずつ解決していくことで、日本独自の遺伝子医薬品・細胞医薬品の開発が促進されることが期待されます。
なお、本調査は(株)BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「世界の遺伝子医薬品開発の現状と将来展望(2014年11月25日発刊)」および「世界の細胞医薬品開発の現状と将来展望(2014年11月25日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は当該レポート(以下にURLを記載)をご参照ください。
http://www.bb-bridge.co.jp/reports/133/
http://www.bb-bridge.co.jp/reports/206/
用語説明
※1 遺伝子医薬品(遺伝子治療)
治療に関連するタンパクなどを遺伝子情報としてウイルスベクターなどを用いて生体に投与する、もしくは生体から取り出した細胞に投与しそれを生体に戻します。生体に投与されたベクターを基にタンパク質が産生され、治療効果を得ることができます。
※2 細胞医薬品(細胞治療)
患者さんの生体内の細胞や健常者ドナーから採取した細胞を用い、これになんらかの処理を加えて機能を付与し、それを生体に投与することで疾患を治療するものです。iPS(人工多能性幹細胞)など幹細胞研究の進展によって開発が急スピードで進んでいます。2010年には患者の樹状細胞を用いた前立腺がんを対象とした細胞医薬品「Provenge」が米国FDAに承認されました。なお、本プレスリリースにおける細胞医薬品(細胞治療)について、「シート状や軟骨など成形を必要とせずバイアルまたは細胞を封入したプラスチックバックとして医療機関に供給できる製品」と定義しています。従って成形が必要な皮膚疾患のための細胞シートや整形外科疾患のための培養軟骨などは対象としていませんのでご注意ください。
なお、本プレスリリースの内容について無断利用・転載は禁止します。
―本件の問い合わせ先―
株式会社BBブリッジ
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TEL:03-6240-1075
担当:番場(ばんば)
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