「NRI学生小論文コンテスト2014」の入賞者が決定 〜「福祉教育」「伝統産業」「世界の貧困」に着目した 3作品が大賞を受賞〜
[14/11/28]
提供元:DreamNews
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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:嶋本 正、以下「NRI」)は、「創りたい未来社会〜あなたの夢とこだわり〜」をテーマとした、「NRI学生小論文コンテスト2014」の最終審査を行いました。今年は、大学生・留学生・高校生を対象とした3つの部門で合計883作品の応募があり、厳正なる審査の結果、その中から大賞3作品、優秀賞5作品、特別審査委員賞2作品が選出されました。
NRIのニュースリリースは以下のURLをご参照ください。
http://www.nri.com/jp/news/2014/141128.aspx
審査は、始めにNRIグループの社員128名が手分けして一次審査を行い、そこで選ばれた論文の中から、池上彰氏(ジャーナリスト・東京工業大学教授)と最相葉月氏(ノンフィクションライター)の2名を特別審査委員に迎えた最終審査会において、別記の通り入賞作品を決定しました。
写真は、最終審査会の様子。
■小論文コンテストに込めた想い
このコンテストは、NRIがCSR(企業の社会的責任)活動の重点テーマとして掲げる「次世代の社会を担う人づくり支援」の一環として、2006年から毎年開催しています。これからの社会を担う若者に、日本や世界の未来に目を向け、考える機会を提供することを目的にしています。
今回は、「創りたい未来社会〜あなたの夢とこだわり〜」を3部門(大学生の部、留学生の部、高校生の部)の共通テーマに設定しました。NRIでは学生の皆さんが、社会や未来に対する夢を描き、その実現に向けて強いこだわりを持ち続けながら行動してほしいと考え、“こだわりの未来社会”の提案を求めました。
多くの学生の皆さんに、このテーマに取り組み応募していただきました。ありがとうございました。
総評ならびに、各入賞論文の評価ポイントについては、【ご参考】をご覧ください。下記URLからもご覧いただけます。
(NRI公式ウェブサイト内)http://www.nri.com/jp/event/contest/index.html
■入賞論文タイトルおよび入賞者
【大学生の部】
大賞
○インクルーシブ教育の実現に向けて 〜地域から創る、「福祉教育の日本」〜
城内 香葉(きうち かえで)さん 慶應義塾大学 総合政策学部2年
優秀賞
○2025年問題に対する3つの提案 〜医学生の立場から考えた日本の医療の展望〜
菅野 未知子(かんの みちこ)さん 千葉大学 医学部医学科5年
特別審査委員賞
○小一の壁から小一の扉へ「高齢者宅による学童保育」
高瀬 彩菜(たかせ あやな)さん 群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部3年
奨励賞(※今年度から佳作を改称) 9作品(9名)
【留学生の部】
大賞
○若者でつなぐ伝統産業と未来社会 ―――人的資本の活用による伝統産業の継承
陳 慕薇(ちん ぼび)さん 京都大学 経済学研究科 修士2年
優秀賞
○良好な隣国関係を築ける社会の第一歩へ ―日中青少年交流事業の強化について
邵 天澤(しょう てんたく)さん 立命館大学 政策科学部政策科学科4年
○博士活用社会の実現を目指した博士・ポストドクターの国際コミュニケーター派遣制度の提案
劉 維(りゅう い)さん 東京工業大学 総合理工学研究科 博士2年
奨励賞(同前) 5作品(6名)
【高校生の部】
大賞
○さくらんぼネットワークの構築 ―世界を救い、日本を変える―
韓 大鏞(はん てよん)さん 神戸朝鮮高級学校2年
優秀賞
○「アグロフォレストリー」 〜日本と東南アジアの掛け橋〜
菅野 康弘(かんの やすひろ)さん 宮城県宮城野高等学校 2年
○子どもの笑顔が溢れる社会 〜ネットいじめ解決への提案〜
谷口 今日子(たにぐち きょうこ)さん 大阪府立佐野高等学校 3年
特別審査委員賞
○世界中の子供たちがつながっていく
野田 かれん(のだ かれん)さん 佐賀県立武雄高等学校 2年
奨励賞(同前) 18作品(18名)
大賞・優秀賞・特別審査委員賞を受賞された方の表彰式は、12月20日(土)に都内のホテルで開催する予定です。また、前日の12月19日(金)夕方には、NRI本社で大賞・優秀賞・特別審査委員賞の受賞者による論文発表会を予定しています。
奨励賞受賞者については、以下をご参照ください。
http://www.nri.com/jp/event/contest/result/index.html
応募論文の部門別内訳
応募論文総数 大学生の部 留学生の部 高校生の部
883 159 37 687
________________________________________
【ニュースリリースに関するお問い合わせ】
株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 海藤、十河
TEL:03-6270-8100 E-mail:kouhou@nri.co.jp
【コンテストに関するお問い合わせ】
株式会社野村総合研究所 「NRI学生小論文コンテスト2014」事務局 安居、横山
TEL:03-6270-8200 E-mail:contest2014@nri.co.jp
________________________________________
【ご参考】
●総評
「若い人たちは今、未来に向けてどんな夢を描いているのだろうか? どのようなこだわりを持って、その夢を実現したいと思っているのだろうか?」こんな想いから、若い人たちのさまざまな夢とこだわりに出会えることを期待して、今年のテーマを設定し、応募論文を審査しました。
応募論文には、夢と言うよりはむしろ、国際関係、医療、教育、いじめ、少子化、子育てなど、世界や日本が抱えるさまざまな問題に着目し、それらに対する課題解決型の提案が多かったことが特徴として挙げられます。確かに、より良い未来を創るためには、現在生じている切実な課題を解決して、社会や生活の土台を固めることが必要です。そう考えれば、課題解決を図ろうとする堅実にまとまった論文が多かったということは、若い人たちがしっかりと未来を見据えていることの表れであると思います。それと同時に、若者にとってそれだけ問題が切実であるということは、われわれ大人世代の責任も大きいのではないかと感じさせられました。
例年どおり、論文としての論理的展開がきちんとしていることや提案の具体性を重視しましたが、「創りたい未来社会」に対する自分なりの「夢とこだわり」を明確に論じているかどうかも、今年の評価の大きなポイントとしました。
●各入賞論文の評価ポイント
【大学生の部】
大賞
○インクルーシブ教育の実現に向けて 〜地域から創る、「福祉教育の日本」〜
城内 香葉(きうち かえで)さん 慶應義塾大学 総合政策学部2年
(評価ポイント)
教育関連のテーマを取り上げている論文が多い中で、自らの体験を元にして、日本が海外に比べて後れをとっている「インクルーシブ教育」に着目した点を評価した。「誰も排除しない世の中を築いていきたい」という、あるべき社会の実現への強い想いやこだわりが感じられる論調で、非常に印象に残る。コミュニティを巻きこんだ形でインクルーシブ教育を推進しようという主張にも、説得力がある。
優秀賞
○2025年問題に対する3つの提案 〜医学生の立場から考えた日本の医療の展望〜
菅野 未知子(かんの みちこ)さん 千葉大学 医学部医学科5年
(評価ポイント)
医学生の立場から、日本の高齢化と将来の医療の抱える問題について、現状分析に基づきしっかりと論を展開している。震災時の教訓に基づいたリーダー医師による人材確保、インセンティブ方式の健康診断の実施、高齢者世帯のデータベース化や訪問診察など、具体的で堅実な提案が、審査委員の共感を集めた。
特別審査委員賞
○小一の壁から小一の扉へ「高齢者宅による学童保育」
高瀬 彩菜(たかせ あやな)さん 群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部3年
(評価ポイント)
少子化と高齢化の現状を掛け合わせて、「高齢者宅による学童保育」というアイディアに変換させた視点が新鮮であった。安全面など、問題点への考察がなされている点も評価したい。この提案には、高齢者雇用、働く親の支援、世代間交流といった効果のほかにも、子どもによる高齢者の見守りなど、さまざまな発展的アイディアや可能性が感じられて、興味深い。
【留学生の部】
大賞
○若者でつなぐ伝統産業と未来社会 ―――人的資本の活用による伝統産業の継承
陳 慕薇(ちん ぼび)さん 京都大学 経済学研究科 修士2年
(評価ポイント)
留学生ならではの視点で日本の伝統産業を深く理解し、その継承策を具体的に考察している点を高く評価した。実際にヒアリングなどの取材・調査を行い、日本人では気づかない、細部にわたる鋭い分析が加えられており、ユニークであった。「弟子入りルートのオープン化」や「ペイシェントキャピタルの活用」といった提案も独創的である。
優秀賞
○良好な隣国関係を築ける社会の第一歩へ ―日中青少年交流事業の強化について
邵 天澤(しょう てんたく)さん 立命館大学 政策科学部政策科学科4年
(評価ポイント)
留学生として、母国と日本の関係を何とか改善したいという切実な思いに、共感が集まった。独仏の事例を踏まえて、既存の日中青少年交流事業の運営を見直すことで日中関係の改善を図るという、地に足のついた現実的な提案を高く評価したい。政府主導ではない、民間レベルでの交流の重要性に言及している点も説得力がある。
優秀賞
○博士活用社会の実現を目指した博士・ポストドクターの国際コミュニケーター派遣制度の提案
劉 維(りゅう い)さん 東京工業大学 総合理工学研究科 博士2年
(評価ポイント)
留学生として、日本の博士・ポストドクターが置かれている環境に対して覚えた違和感を、具体的提案に発展させている。課題を深く分析し、社会への影響まで考察している点が、提案に対する納得感を生み出している。文章力や論文としての完成度もきわめて高い。
【高校生の部】
大賞
○さくらんぼネットワークの構築 ―世界を救い、日本を変える―
韓 大鏞 (はん てよん)さん 神戸朝鮮高級学校2年
(評価ポイント)
戦争や貧困に苦しむ海外の同世代の子どもたちを救いたいという、筆者のこだわりや強い思いが人々に感銘を与える。提案がきめ細やかで具体性に富んでおり、実効性も感じられる。世界に向けた日本の新しい貢献であると共に、将来の日本にも確実に役立つ提案である。日本の抱えるグローバル化の遅れという問題に対して、夢や視野の広がりがあり、高校生らしい解決策を提示している点を評価した。
優秀賞
○「アグロフォレストリー」 〜日本と東南アジアの掛け橋〜
菅野 康弘(かんの やすひろ)さん 宮城県宮城野高等学校 2年
(評価ポイント)
東南アジアの自然破壊問題と日本の里山の保全問題とを結び付けた発想や、グローバルな視点が盛り込まれている点で優れていた。施策にも非常に具体性が感じられる。文章力や論文としての完成度も高い。将来は自ら森林保全団体を立ち上げて、東南アジアと日本の掛け橋になりたいという、自身の“夢とこだわり”が表明されている点も高い評価につながった。
優秀賞
○子どもの笑顔が溢れる社会 〜ネットいじめ解決への提案〜
谷口 今日子(たにぐち きょうこ)さん 大阪府立佐野高等学校 3年
(評価ポイント)
ネット社会の負の側面である「ネットいじめ」という、今日的で切実な社会問題に真向から取り組んだ、勇気ある提案である。自らの経験と客観的な情報をバランスよく記述し、課題意識を掘り下げている。それに対する解決策の提案にも説得力がある。子どもの笑顔が溢れる社会に自らがしていくのだというこだわり、強い思いが感じられた。
特別審査委員賞
○世界中の子供たちがつながっていく
野田 かれん(のだ かれん)さん 佐賀県立武雄高等学校 2年
(評価ポイント)
【世界-World-】の授業を世界規模で行うという発想は、雄大で夢があり、未来への提案として非常に魅力的である。グローバル化が進む一方で、相互の無知からくる偏見がさまざまな社会問題を生んでいるという認識に基づいて、一貫した論理展開がなされている。【世界-World-】のカリキュラムの設計も具体性に富んでいた。
●コンテストの概要
タイトル NRI学生小論文コンテスト2014
募集期間 2014年6月30日(月)〜9月5日(金)
対象 全国の大学院生、大学生、留学生、高校生
テーマ 世界に向けて未来を提案しよう!創りたい未来社会〜あなたの夢とこだわり〜
審査のプロセス(1)事務局による予備審査
(2)NRIグループの社員、128名による一次審査
(3)審査委員による二次審査(最終審査)
※すべての審査プロセスは、応募者の学校名、名前などの属性を秘匿したうえで、厳正に行っています。
審査委員長 谷川史郎(NRI理事長)
特別審査委員 池上彰氏(ジャーナリスト・東京工業大学教授)
最相葉月氏(ノンフィクションライター)
審査委員 NRI役職員 7名
なお、大学生の部・留学生の部では、大賞に賞金50万円、優秀賞および特別審査委員賞に25万円、奨励賞に5万円、また高校生の部では大賞に賞金30万円、優秀賞および特別審査委員賞に15万円、奨励賞に3万円が贈呈されます。
NRIのニュースリリースは以下のURLをご参照ください。
http://www.nri.com/jp/news/2014/141128.aspx
審査は、始めにNRIグループの社員128名が手分けして一次審査を行い、そこで選ばれた論文の中から、池上彰氏(ジャーナリスト・東京工業大学教授)と最相葉月氏(ノンフィクションライター)の2名を特別審査委員に迎えた最終審査会において、別記の通り入賞作品を決定しました。
写真は、最終審査会の様子。
■小論文コンテストに込めた想い
このコンテストは、NRIがCSR(企業の社会的責任)活動の重点テーマとして掲げる「次世代の社会を担う人づくり支援」の一環として、2006年から毎年開催しています。これからの社会を担う若者に、日本や世界の未来に目を向け、考える機会を提供することを目的にしています。
今回は、「創りたい未来社会〜あなたの夢とこだわり〜」を3部門(大学生の部、留学生の部、高校生の部)の共通テーマに設定しました。NRIでは学生の皆さんが、社会や未来に対する夢を描き、その実現に向けて強いこだわりを持ち続けながら行動してほしいと考え、“こだわりの未来社会”の提案を求めました。
多くの学生の皆さんに、このテーマに取り組み応募していただきました。ありがとうございました。
総評ならびに、各入賞論文の評価ポイントについては、【ご参考】をご覧ください。下記URLからもご覧いただけます。
(NRI公式ウェブサイト内)http://www.nri.com/jp/event/contest/index.html
■入賞論文タイトルおよび入賞者
【大学生の部】
大賞
○インクルーシブ教育の実現に向けて 〜地域から創る、「福祉教育の日本」〜
城内 香葉(きうち かえで)さん 慶應義塾大学 総合政策学部2年
優秀賞
○2025年問題に対する3つの提案 〜医学生の立場から考えた日本の医療の展望〜
菅野 未知子(かんの みちこ)さん 千葉大学 医学部医学科5年
特別審査委員賞
○小一の壁から小一の扉へ「高齢者宅による学童保育」
高瀬 彩菜(たかせ あやな)さん 群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部3年
奨励賞(※今年度から佳作を改称) 9作品(9名)
【留学生の部】
大賞
○若者でつなぐ伝統産業と未来社会 ―――人的資本の活用による伝統産業の継承
陳 慕薇(ちん ぼび)さん 京都大学 経済学研究科 修士2年
優秀賞
○良好な隣国関係を築ける社会の第一歩へ ―日中青少年交流事業の強化について
邵 天澤(しょう てんたく)さん 立命館大学 政策科学部政策科学科4年
○博士活用社会の実現を目指した博士・ポストドクターの国際コミュニケーター派遣制度の提案
劉 維(りゅう い)さん 東京工業大学 総合理工学研究科 博士2年
奨励賞(同前) 5作品(6名)
【高校生の部】
大賞
○さくらんぼネットワークの構築 ―世界を救い、日本を変える―
韓 大鏞(はん てよん)さん 神戸朝鮮高級学校2年
優秀賞
○「アグロフォレストリー」 〜日本と東南アジアの掛け橋〜
菅野 康弘(かんの やすひろ)さん 宮城県宮城野高等学校 2年
○子どもの笑顔が溢れる社会 〜ネットいじめ解決への提案〜
谷口 今日子(たにぐち きょうこ)さん 大阪府立佐野高等学校 3年
特別審査委員賞
○世界中の子供たちがつながっていく
野田 かれん(のだ かれん)さん 佐賀県立武雄高等学校 2年
奨励賞(同前) 18作品(18名)
大賞・優秀賞・特別審査委員賞を受賞された方の表彰式は、12月20日(土)に都内のホテルで開催する予定です。また、前日の12月19日(金)夕方には、NRI本社で大賞・優秀賞・特別審査委員賞の受賞者による論文発表会を予定しています。
奨励賞受賞者については、以下をご参照ください。
http://www.nri.com/jp/event/contest/result/index.html
応募論文の部門別内訳
応募論文総数 大学生の部 留学生の部 高校生の部
883 159 37 687
________________________________________
【ニュースリリースに関するお問い合わせ】
株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 海藤、十河
TEL:03-6270-8100 E-mail:kouhou@nri.co.jp
【コンテストに関するお問い合わせ】
株式会社野村総合研究所 「NRI学生小論文コンテスト2014」事務局 安居、横山
TEL:03-6270-8200 E-mail:contest2014@nri.co.jp
________________________________________
【ご参考】
●総評
「若い人たちは今、未来に向けてどんな夢を描いているのだろうか? どのようなこだわりを持って、その夢を実現したいと思っているのだろうか?」こんな想いから、若い人たちのさまざまな夢とこだわりに出会えることを期待して、今年のテーマを設定し、応募論文を審査しました。
応募論文には、夢と言うよりはむしろ、国際関係、医療、教育、いじめ、少子化、子育てなど、世界や日本が抱えるさまざまな問題に着目し、それらに対する課題解決型の提案が多かったことが特徴として挙げられます。確かに、より良い未来を創るためには、現在生じている切実な課題を解決して、社会や生活の土台を固めることが必要です。そう考えれば、課題解決を図ろうとする堅実にまとまった論文が多かったということは、若い人たちがしっかりと未来を見据えていることの表れであると思います。それと同時に、若者にとってそれだけ問題が切実であるということは、われわれ大人世代の責任も大きいのではないかと感じさせられました。
例年どおり、論文としての論理的展開がきちんとしていることや提案の具体性を重視しましたが、「創りたい未来社会」に対する自分なりの「夢とこだわり」を明確に論じているかどうかも、今年の評価の大きなポイントとしました。
●各入賞論文の評価ポイント
【大学生の部】
大賞
○インクルーシブ教育の実現に向けて 〜地域から創る、「福祉教育の日本」〜
城内 香葉(きうち かえで)さん 慶應義塾大学 総合政策学部2年
(評価ポイント)
教育関連のテーマを取り上げている論文が多い中で、自らの体験を元にして、日本が海外に比べて後れをとっている「インクルーシブ教育」に着目した点を評価した。「誰も排除しない世の中を築いていきたい」という、あるべき社会の実現への強い想いやこだわりが感じられる論調で、非常に印象に残る。コミュニティを巻きこんだ形でインクルーシブ教育を推進しようという主張にも、説得力がある。
優秀賞
○2025年問題に対する3つの提案 〜医学生の立場から考えた日本の医療の展望〜
菅野 未知子(かんの みちこ)さん 千葉大学 医学部医学科5年
(評価ポイント)
医学生の立場から、日本の高齢化と将来の医療の抱える問題について、現状分析に基づきしっかりと論を展開している。震災時の教訓に基づいたリーダー医師による人材確保、インセンティブ方式の健康診断の実施、高齢者世帯のデータベース化や訪問診察など、具体的で堅実な提案が、審査委員の共感を集めた。
特別審査委員賞
○小一の壁から小一の扉へ「高齢者宅による学童保育」
高瀬 彩菜(たかせ あやな)さん 群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部3年
(評価ポイント)
少子化と高齢化の現状を掛け合わせて、「高齢者宅による学童保育」というアイディアに変換させた視点が新鮮であった。安全面など、問題点への考察がなされている点も評価したい。この提案には、高齢者雇用、働く親の支援、世代間交流といった効果のほかにも、子どもによる高齢者の見守りなど、さまざまな発展的アイディアや可能性が感じられて、興味深い。
【留学生の部】
大賞
○若者でつなぐ伝統産業と未来社会 ―――人的資本の活用による伝統産業の継承
陳 慕薇(ちん ぼび)さん 京都大学 経済学研究科 修士2年
(評価ポイント)
留学生ならではの視点で日本の伝統産業を深く理解し、その継承策を具体的に考察している点を高く評価した。実際にヒアリングなどの取材・調査を行い、日本人では気づかない、細部にわたる鋭い分析が加えられており、ユニークであった。「弟子入りルートのオープン化」や「ペイシェントキャピタルの活用」といった提案も独創的である。
優秀賞
○良好な隣国関係を築ける社会の第一歩へ ―日中青少年交流事業の強化について
邵 天澤(しょう てんたく)さん 立命館大学 政策科学部政策科学科4年
(評価ポイント)
留学生として、母国と日本の関係を何とか改善したいという切実な思いに、共感が集まった。独仏の事例を踏まえて、既存の日中青少年交流事業の運営を見直すことで日中関係の改善を図るという、地に足のついた現実的な提案を高く評価したい。政府主導ではない、民間レベルでの交流の重要性に言及している点も説得力がある。
優秀賞
○博士活用社会の実現を目指した博士・ポストドクターの国際コミュニケーター派遣制度の提案
劉 維(りゅう い)さん 東京工業大学 総合理工学研究科 博士2年
(評価ポイント)
留学生として、日本の博士・ポストドクターが置かれている環境に対して覚えた違和感を、具体的提案に発展させている。課題を深く分析し、社会への影響まで考察している点が、提案に対する納得感を生み出している。文章力や論文としての完成度もきわめて高い。
【高校生の部】
大賞
○さくらんぼネットワークの構築 ―世界を救い、日本を変える―
韓 大鏞 (はん てよん)さん 神戸朝鮮高級学校2年
(評価ポイント)
戦争や貧困に苦しむ海外の同世代の子どもたちを救いたいという、筆者のこだわりや強い思いが人々に感銘を与える。提案がきめ細やかで具体性に富んでおり、実効性も感じられる。世界に向けた日本の新しい貢献であると共に、将来の日本にも確実に役立つ提案である。日本の抱えるグローバル化の遅れという問題に対して、夢や視野の広がりがあり、高校生らしい解決策を提示している点を評価した。
優秀賞
○「アグロフォレストリー」 〜日本と東南アジアの掛け橋〜
菅野 康弘(かんの やすひろ)さん 宮城県宮城野高等学校 2年
(評価ポイント)
東南アジアの自然破壊問題と日本の里山の保全問題とを結び付けた発想や、グローバルな視点が盛り込まれている点で優れていた。施策にも非常に具体性が感じられる。文章力や論文としての完成度も高い。将来は自ら森林保全団体を立ち上げて、東南アジアと日本の掛け橋になりたいという、自身の“夢とこだわり”が表明されている点も高い評価につながった。
優秀賞
○子どもの笑顔が溢れる社会 〜ネットいじめ解決への提案〜
谷口 今日子(たにぐち きょうこ)さん 大阪府立佐野高等学校 3年
(評価ポイント)
ネット社会の負の側面である「ネットいじめ」という、今日的で切実な社会問題に真向から取り組んだ、勇気ある提案である。自らの経験と客観的な情報をバランスよく記述し、課題意識を掘り下げている。それに対する解決策の提案にも説得力がある。子どもの笑顔が溢れる社会に自らがしていくのだというこだわり、強い思いが感じられた。
特別審査委員賞
○世界中の子供たちがつながっていく
野田 かれん(のだ かれん)さん 佐賀県立武雄高等学校 2年
(評価ポイント)
【世界-World-】の授業を世界規模で行うという発想は、雄大で夢があり、未来への提案として非常に魅力的である。グローバル化が進む一方で、相互の無知からくる偏見がさまざまな社会問題を生んでいるという認識に基づいて、一貫した論理展開がなされている。【世界-World-】のカリキュラムの設計も具体性に富んでいた。
●コンテストの概要
タイトル NRI学生小論文コンテスト2014
募集期間 2014年6月30日(月)〜9月5日(金)
対象 全国の大学院生、大学生、留学生、高校生
テーマ 世界に向けて未来を提案しよう!創りたい未来社会〜あなたの夢とこだわり〜
審査のプロセス(1)事務局による予備審査
(2)NRIグループの社員、128名による一次審査
(3)審査委員による二次審査(最終審査)
※すべての審査プロセスは、応募者の学校名、名前などの属性を秘匿したうえで、厳正に行っています。
審査委員長 谷川史郎(NRI理事長)
特別審査委員 池上彰氏(ジャーナリスト・東京工業大学教授)
最相葉月氏(ノンフィクションライター)
審査委員 NRI役職員 7名
なお、大学生の部・留学生の部では、大賞に賞金50万円、優秀賞および特別審査委員賞に25万円、奨励賞に5万円、また高校生の部では大賞に賞金30万円、優秀賞および特別審査委員賞に15万円、奨励賞に3万円が贈呈されます。