【A.T. カーニー調査】 石油・ガス業界におけるM&A調査報告を発表
[16/05/10]
提供元:DreamNews
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経営コンサルティング会社A.T. カーニー(本部:米国イリノイ州シカゴ、東京オフィス:港区)は、『石油・ガス業界におけるM&A調査』報告書を発表した。
本調査(原題: Mergers and Acquisitions in Oil and Gas)は、A.T. カーニーが、石油メジャー、国有石油会社、独立系企業からサービス企業や金融機関系投資家にいたるまで、石油・ガス業界のバリューチェーン全体を対象に調査、分析を行ったものである。(注1)
※ 2016年4月25日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です。
石油価格の低迷により、石油ガス企業は債務主導型の再編の中で希少な買い手を探し求めなくてはならない苦境に追い込まれるだろうというのが、石油ガス関連M&Aの見通しである。2016年は石油ガス企業にとって転換点となる重要な年になるだろうと報告書は示唆している。なぜなら、自らの積極的な資本支出やコスト削減を企業売却や合併、買収で補おうとしているからである。
バランスシートが脆弱な企業は、資金調達オプションが枯渇するにつれて資産を売却し、キャッシュポジションを支援してくれるパートナー探しを余儀なくされるだろう。一方で、より強固な経済的地位にある企業は、備蓄や合併によるシナジー効果の獲得機会を得られるだろう。
「潜在的な買い手には十分な機会があるだろう。そしてわれわれの予測では、売りに出される資産や企業が急増するはずだ。劇的な資本支出やコスト削減だけでなく、現在の生存競争ではバランスシートの補強が必須である。それは株主による現金注入、債務借り換え、そして資産売却を通じて行われるものだ。」と、本調査の共同責任者であるA.T. カーニーのリチャード・フォレストは述べている。
2015年の石油ガス業界のM&Aは、Royal Dutch Shellによる815億ドルでのBGグループ買収のような大規模な取引を除けば、限定的なものであった。ミッドストリームの取引金額は、Energy Transfer EquityとWilliamsの取引を筆頭に68%上昇した。この上昇の大部分はMLPによるもので、それらは優に総取引額の半分以上であった。
アップストリームの総取引額は13%の減少であり、アップストリームの総取引量は54%の減少であった。OFSの総取引量は61%の減少であり、そしてCameron InternationalとSchlumbergerの取引を別にすると、上位10件の取引は金融機関系投資家が関与するものであり、石油・ガス資産を購入している業界内企業のものではなかった。
最近の価格におけるボラタリティによって買い手と売り手の期待値に著しい差が生まれ、それがM&Aの判断を遅らせている。企業は現金の保持やコスト削減に注力したものの、すぐにオプションは枯渇し始め、今では資金調達や戦略の構造的変化の必要性に迫られている。
報告書は、現金と流動性への懸念がコストや債務の大きい企業の再編を推し進めるため、2016年は転換点となる重要な年になるだろうと述べている。多額の債務を抱えるオペレーター、中でも予約ベースの融資に頼っているオペレーターは、資金や与信枠が減少する可能性があり、それがきっかけとなってパフォーマンスの悪い資産を処分することになるだろう。
このことは、逆張り戦略をとり、独創的な取引構造を利用しようとする企業や、それらができる企業にとってはチャンスとなるだろう。(それが合併か提携か、あるいは売却かに関わらず)M&Aは価値を増大させ、コストを削減し、そしてより波乱に満ちたこの新たな状況を切り抜けるためには不可欠なものとなるだろう。
「今のところ買い手は限られているが、必要とされる経済的な強みを持つ者にとっては、現在の状況は巨大なチャンスでもある。選り抜きの国有石油会社(NOCs)を含めた企業は、現在の状況を利用して貯蔵や事業の拡大を確保する可能性もあり、金融機関系の投資家たちは、それらの取引のためにすでに準備している。数四半期持続するような石油価格の急上昇があれば、そこでは怒涛の取引が行われることになるだろう。」と当調査の共同責任者であるA.T. カーニーのアルヴィン・シーは述べている。
M&Aを引き起こす上で借入契約条項や評価見直しが重要な役割を担うことになり、力のある独立系は資産を底値で獲得するチャンスを得られるだろう。金融機関系投資家はまた、資本活用の機会を模索し、様々なM&Aアプローチを用いて様々な水準のリターンをターゲットにしてくるだろう。
国際石油会社(IOCs)は、構造的コストの削減やポートフォリオの改善に注力し、選択的合併を行ったり、ダイベストメントプログラムを継続したりすることになるだろう。とくに非従来型の資源では、巨大合併よりもそちらの方があり得る。たとえばBPやChevron、Shellは、今後数年間における総額450億ドル以上の資産売却を発表した。
報告書による予測では、M&Aには中東のように地政学が大きく影響することになり、緊縮財政によってM&Aは制限されるだろう。しかし中国では、その隙につけこんだ石油ガスのM&Aが習近平の「一帯一路」のビジョンとうまく合致する。2016年はまた、合併の年にもなるだろう。なぜなら、小規模企業がターゲットとなったり、あるいは独創的な資金調達オプションを考え始めたりするからである。
「競争力のないオペレーターやアセットにとって、難しい判断や生き残りのためのマインドセットが必要となる1年になるだろう。独創的な戦略を考えようとする企業にとって、2016年は個々の会社や業界長期展望の変革の年となるだろう。」と前出のリチャード・フォレストは結論づけている。
注1:
本調査の対象は、標準産業分類(SIC)コードで公共事業体に分類される石油ガス業界での2003年1月から2015年12月までのM&Aが含まれている。ただし、下記の取引を除く
・ 双方あるいはその親会社が石油ガス業界ではない取引
・Dealogicによって買い戻しと分類された取引
・分析期間外に発表された取引
示されている取引のほとんどは年間ベースであり、取引完了の日付ではなく、発表の日付に基づくものである。M&Aに関する主要なデータの出所はDealogic社、貯蔵量、フィールドの経済状態、産出関連の全てのデータ、そして独立系を分類するための情報はRystad Energy社から提供されたものである。SICコードは、米国労働省 労働安全衛生庁の分類に基づいている。
調査報告の原文(英語)お申込みはこちら https://www.atkearney.com/oil-gas/ideas-insights/m-a
【この件に関するお問合せ先】
A.T. カーニー株式会社 JP.inquiry@atkearney.com
本調査(原題: Mergers and Acquisitions in Oil and Gas)は、A.T. カーニーが、石油メジャー、国有石油会社、独立系企業からサービス企業や金融機関系投資家にいたるまで、石油・ガス業界のバリューチェーン全体を対象に調査、分析を行ったものである。(注1)
※ 2016年4月25日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です。
石油価格の低迷により、石油ガス企業は債務主導型の再編の中で希少な買い手を探し求めなくてはならない苦境に追い込まれるだろうというのが、石油ガス関連M&Aの見通しである。2016年は石油ガス企業にとって転換点となる重要な年になるだろうと報告書は示唆している。なぜなら、自らの積極的な資本支出やコスト削減を企業売却や合併、買収で補おうとしているからである。
バランスシートが脆弱な企業は、資金調達オプションが枯渇するにつれて資産を売却し、キャッシュポジションを支援してくれるパートナー探しを余儀なくされるだろう。一方で、より強固な経済的地位にある企業は、備蓄や合併によるシナジー効果の獲得機会を得られるだろう。
「潜在的な買い手には十分な機会があるだろう。そしてわれわれの予測では、売りに出される資産や企業が急増するはずだ。劇的な資本支出やコスト削減だけでなく、現在の生存競争ではバランスシートの補強が必須である。それは株主による現金注入、債務借り換え、そして資産売却を通じて行われるものだ。」と、本調査の共同責任者であるA.T. カーニーのリチャード・フォレストは述べている。
2015年の石油ガス業界のM&Aは、Royal Dutch Shellによる815億ドルでのBGグループ買収のような大規模な取引を除けば、限定的なものであった。ミッドストリームの取引金額は、Energy Transfer EquityとWilliamsの取引を筆頭に68%上昇した。この上昇の大部分はMLPによるもので、それらは優に総取引額の半分以上であった。
アップストリームの総取引額は13%の減少であり、アップストリームの総取引量は54%の減少であった。OFSの総取引量は61%の減少であり、そしてCameron InternationalとSchlumbergerの取引を別にすると、上位10件の取引は金融機関系投資家が関与するものであり、石油・ガス資産を購入している業界内企業のものではなかった。
最近の価格におけるボラタリティによって買い手と売り手の期待値に著しい差が生まれ、それがM&Aの判断を遅らせている。企業は現金の保持やコスト削減に注力したものの、すぐにオプションは枯渇し始め、今では資金調達や戦略の構造的変化の必要性に迫られている。
報告書は、現金と流動性への懸念がコストや債務の大きい企業の再編を推し進めるため、2016年は転換点となる重要な年になるだろうと述べている。多額の債務を抱えるオペレーター、中でも予約ベースの融資に頼っているオペレーターは、資金や与信枠が減少する可能性があり、それがきっかけとなってパフォーマンスの悪い資産を処分することになるだろう。
このことは、逆張り戦略をとり、独創的な取引構造を利用しようとする企業や、それらができる企業にとってはチャンスとなるだろう。(それが合併か提携か、あるいは売却かに関わらず)M&Aは価値を増大させ、コストを削減し、そしてより波乱に満ちたこの新たな状況を切り抜けるためには不可欠なものとなるだろう。
「今のところ買い手は限られているが、必要とされる経済的な強みを持つ者にとっては、現在の状況は巨大なチャンスでもある。選り抜きの国有石油会社(NOCs)を含めた企業は、現在の状況を利用して貯蔵や事業の拡大を確保する可能性もあり、金融機関系の投資家たちは、それらの取引のためにすでに準備している。数四半期持続するような石油価格の急上昇があれば、そこでは怒涛の取引が行われることになるだろう。」と当調査の共同責任者であるA.T. カーニーのアルヴィン・シーは述べている。
M&Aを引き起こす上で借入契約条項や評価見直しが重要な役割を担うことになり、力のある独立系は資産を底値で獲得するチャンスを得られるだろう。金融機関系投資家はまた、資本活用の機会を模索し、様々なM&Aアプローチを用いて様々な水準のリターンをターゲットにしてくるだろう。
国際石油会社(IOCs)は、構造的コストの削減やポートフォリオの改善に注力し、選択的合併を行ったり、ダイベストメントプログラムを継続したりすることになるだろう。とくに非従来型の資源では、巨大合併よりもそちらの方があり得る。たとえばBPやChevron、Shellは、今後数年間における総額450億ドル以上の資産売却を発表した。
報告書による予測では、M&Aには中東のように地政学が大きく影響することになり、緊縮財政によってM&Aは制限されるだろう。しかし中国では、その隙につけこんだ石油ガスのM&Aが習近平の「一帯一路」のビジョンとうまく合致する。2016年はまた、合併の年にもなるだろう。なぜなら、小規模企業がターゲットとなったり、あるいは独創的な資金調達オプションを考え始めたりするからである。
「競争力のないオペレーターやアセットにとって、難しい判断や生き残りのためのマインドセットが必要となる1年になるだろう。独創的な戦略を考えようとする企業にとって、2016年は個々の会社や業界長期展望の変革の年となるだろう。」と前出のリチャード・フォレストは結論づけている。
注1:
本調査の対象は、標準産業分類(SIC)コードで公共事業体に分類される石油ガス業界での2003年1月から2015年12月までのM&Aが含まれている。ただし、下記の取引を除く
・ 双方あるいはその親会社が石油ガス業界ではない取引
・Dealogicによって買い戻しと分類された取引
・分析期間外に発表された取引
示されている取引のほとんどは年間ベースであり、取引完了の日付ではなく、発表の日付に基づくものである。M&Aに関する主要なデータの出所はDealogic社、貯蔵量、フィールドの経済状態、産出関連の全てのデータ、そして独立系を分類するための情報はRystad Energy社から提供されたものである。SICコードは、米国労働省 労働安全衛生庁の分類に基づいている。
調査報告の原文(英語)お申込みはこちら https://www.atkearney.com/oil-gas/ideas-insights/m-a
【この件に関するお問合せ先】
A.T. カーニー株式会社 JP.inquiry@atkearney.com