カナダの考え抜かれた大麻合法化と管理の枠組みの解説レポートを公表。オランダの非犯罪化より厳しく、お酒とタバコ市場より厳しい措置
[18/10/16]
提供元:DreamNews
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日本臨床カンナビノイド学会(理事長:新垣実、新美会新垣形成外科)は、我が国の医療従事者に対して大麻草に関する科学的根拠(エビデンス)に基づく情報を提供するため、海外の学術団体などのレポートの翻訳を会員有志で実施しています。今回は、10月17日のカナダの嗜好用大麻の合法化概況についてのレポートを10月16日に一般公開します。
本レポートは、18年9月9日(日)第4回学術会議の演題報告したスライドと発表内容をベースにしています。
カナダの合法化は、2015年の現職のジャスティン・トルドー首相が選挙公約に嗜好用大麻の合法化を掲げて戦い、その公約を実行したものです。タスクフォース(作業部会)を設立し、約2年かけてよりよい制度を目指して様々な意見を集約した制度設計となっています。
1)カナダの解決すべき4つの問題
・若者は大麻の使用を続けており、使用率は今、世界最高
・毎年、何千人ものカナダ人が、暴力とは無関係である薬物関連の前科を付けられている
・大麻の販売で、組織犯罪が数千億円の利益を上げている
・大多数のカナダ人は単純な大麻所持が厳しい刑罰に値するとは信じておらず、政府の大麻合法化、課税、そして管理を支持している
2)厳格な合法規制で社会と個人の害を最小限にする
カナダは、今回の合法化のスタンスは、社会全体と個人の健康に及ぼす影響が一番小さくなるという立場を取っています。これは「厳格な合法規制」と呼ばれるもので、法律の枠組みを決めて、その枠組みの中で大麻を流通していくという考え方です。
例えば自由競争市場の立場だと、大企業が市場に参入してきて、テレビCMをたくさん打つ、街頭にも広告が多数並んでて、コンビニでどこでも大麻が買える状況が、自由競争市場です。
お酒とタバコは、社会の害も個人の健康の害も大きいので、市場縮小させていく方向で動いていて、市場規制で対応しています。この方向性と比べると、大麻合法化は逆の動きです。
全面禁止は、昔の禁酒法時代に、密造酒をつくったギャングが支配力をもった状況です。 社会的にも個人の健康にも害があったため、禁酒法の試みは失敗に終わっています。また、全面禁止には、もう一つ見方があり、患者さんの目線で考えたとき、医療用大麻が全く手に届かないという状況があります。患者さんの健康面で考えたときにも、全面禁止は、悪影響が大きいです。
1970年代から大麻合法化で世界的に知られているオランダは、大麻の少量所持では逮捕しないという非犯罪化、害削減というハームリダクション政策となっています。カナダの評価からみると、全面禁止よりも害は少ないけれど、厳格な合法規制には劣るとされています。
【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000183013&id=bodyimage1】
3)本レポートのまとめ
・カナダの嗜好用大麻の合法化劇は、積み重ねてきた歴史の一部です。
非常に民主的な動きで、本当に患者の声から始まって、行政がサポートして、世の中を変えていこうとするポジティブな動きです。
・現状の課題に対する新しい対応策です。
カナダが今回、合法化するにあたって掲げていた四つの解決するべき問題は、日本も同じように抱えている問題です。カナダの新しい政策がどのように社会に影響を与えていくのか、日本も見ていく必要があります。
・司法が社会にもたらす弊害を解決しようとしている点で、民主的です。
・壮大な社会実験で日本も学ぶことが多いです。
・カナダは嗜好用を合法化しても医療用大麻制度は維持しながら、患者を保護していくスタンスです。
嗜好用大麻を合法化するカナダの概況の資料はこちら
http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法(1948年制定):
大麻取締法による規制によって、製薬会社がつくるカンナビノイド医薬品及びハーブ(薬草)利用としての医療用大麻のどちらも違法であり、臨床試験の研究目的ですら認められていない。
日本政府の公式見解は、平成28年の第190回国会(常会)質問主意書及び答弁書に詳しい(下記参照)。
https://www.nippon-yakushokuken.com/diet_190/
日本臨床カンナビノイド学会:
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノイドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2018年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員11名、 賛助個人会員22名、合計100名を有する。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/
本レポートは、18年9月9日(日)第4回学術会議の演題報告したスライドと発表内容をベースにしています。
カナダの合法化は、2015年の現職のジャスティン・トルドー首相が選挙公約に嗜好用大麻の合法化を掲げて戦い、その公約を実行したものです。タスクフォース(作業部会)を設立し、約2年かけてよりよい制度を目指して様々な意見を集約した制度設計となっています。
1)カナダの解決すべき4つの問題
・若者は大麻の使用を続けており、使用率は今、世界最高
・毎年、何千人ものカナダ人が、暴力とは無関係である薬物関連の前科を付けられている
・大麻の販売で、組織犯罪が数千億円の利益を上げている
・大多数のカナダ人は単純な大麻所持が厳しい刑罰に値するとは信じておらず、政府の大麻合法化、課税、そして管理を支持している
2)厳格な合法規制で社会と個人の害を最小限にする
カナダは、今回の合法化のスタンスは、社会全体と個人の健康に及ぼす影響が一番小さくなるという立場を取っています。これは「厳格な合法規制」と呼ばれるもので、法律の枠組みを決めて、その枠組みの中で大麻を流通していくという考え方です。
例えば自由競争市場の立場だと、大企業が市場に参入してきて、テレビCMをたくさん打つ、街頭にも広告が多数並んでて、コンビニでどこでも大麻が買える状況が、自由競争市場です。
お酒とタバコは、社会の害も個人の健康の害も大きいので、市場縮小させていく方向で動いていて、市場規制で対応しています。この方向性と比べると、大麻合法化は逆の動きです。
全面禁止は、昔の禁酒法時代に、密造酒をつくったギャングが支配力をもった状況です。 社会的にも個人の健康にも害があったため、禁酒法の試みは失敗に終わっています。また、全面禁止には、もう一つ見方があり、患者さんの目線で考えたとき、医療用大麻が全く手に届かないという状況があります。患者さんの健康面で考えたときにも、全面禁止は、悪影響が大きいです。
1970年代から大麻合法化で世界的に知られているオランダは、大麻の少量所持では逮捕しないという非犯罪化、害削減というハームリダクション政策となっています。カナダの評価からみると、全面禁止よりも害は少ないけれど、厳格な合法規制には劣るとされています。
【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000183013&id=bodyimage1】
3)本レポートのまとめ
・カナダの嗜好用大麻の合法化劇は、積み重ねてきた歴史の一部です。
非常に民主的な動きで、本当に患者の声から始まって、行政がサポートして、世の中を変えていこうとするポジティブな動きです。
・現状の課題に対する新しい対応策です。
カナダが今回、合法化するにあたって掲げていた四つの解決するべき問題は、日本も同じように抱えている問題です。カナダの新しい政策がどのように社会に影響を与えていくのか、日本も見ていく必要があります。
・司法が社会にもたらす弊害を解決しようとしている点で、民主的です。
・壮大な社会実験で日本も学ぶことが多いです。
・カナダは嗜好用を合法化しても医療用大麻制度は維持しながら、患者を保護していくスタンスです。
嗜好用大麻を合法化するカナダの概況の資料はこちら
http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法(1948年制定):
大麻取締法による規制によって、製薬会社がつくるカンナビノイド医薬品及びハーブ(薬草)利用としての医療用大麻のどちらも違法であり、臨床試験の研究目的ですら認められていない。
日本政府の公式見解は、平成28年の第190回国会(常会)質問主意書及び答弁書に詳しい(下記参照)。
https://www.nippon-yakushokuken.com/diet_190/
日本臨床カンナビノイド学会:
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノイドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2018年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員11名、 賛助個人会員22名、合計100名を有する。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/