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カンナビジオール(CBD)の批判的審査報告書と大麻及び大麻関連物質WHO勧告の解説を公表

日本臨床カンナビノイド学会(新垣理事長)は、カンナビジオール(CBD)の批判的審査報告書とWHO勧告の解説について今月21日にWEBサイトにて公表した。

●大麻WHO勧告は、当時の日本政府からの提案がきっかけ

日本政府から提案のあった2009年の国連麻薬委員会(CND)決議52/5により、大麻草の健康への影響が見直されていないことを指摘し、世界保健機関・依存性薬物専門家委員会(WHO/ECDD)に最新の報告書を提出するように要請がありました。

WHOは科学的根拠に基づいたプロセスで薬物審査を実施するために、ECDDメンバーが従うべき手順である「国際統制のための精神物質のWHO審査ガイドライン」という文書を2010年に採択しました。

ガイドラインによると、審査手続及び薬物評価は、事前審査(ピア・レビュー)と批判的審査(クリティカル・レビュー)で構成され、ECDD会議からの成果は、“WHO Technical Report Series Collection”の報告書で公式発表となります。

●CBDは、麻薬指定の対象外となる

カンナビジオール(CBD)は、WHO/ECDDの2016年11月の第38会期報告に基づいて、審査手続きのプロセスに入り、2017年11月の第39会期に事前審査報告書が発行され、第39会期報告書に記載されました。

その後、WHO/ECDDの2018年6月の大麻及び大麻関連物質のみに焦点をあてた第40会期にカンナビジオール(CBD)批判的審査報告書を発行して、国連事務総長(アントニオ・グテーレス氏)へのレター(2018年7月23日)にて、「純粋なCBDであると考えられる製剤は、国際薬物統制条約の範囲内でスケジュールにすべきではないと勧告した。」ことを示しました。

ここでは、純粋なCBD、つまりCBDという物質そのものの依存及び乱用の可能性評価を行い、国際的な薬物条約の規制対象外であることが確認されたのです。

●CBD製品はTHC含有量0.2%以下という基準を勧告

一方、CBDオイルやCBDベイプペンなどの大麻草由来のCBD製品は、第40会期WHO/ECDDに引き続き、2018年11月の第41会期の「大麻抽出物」「大麻チンキ」の枠組みで批判的審査が行われました(注7)。その結果、国連事務総長(アントニオ・グテーレス氏)へのレター(2019年1月24日)にて、次のような勧告を示した(注8)。

カンナビジオール製剤
● 勧告5.5:委員会は、1961年麻薬単一条約のスケジュールIに、「カンナビジオールが大部分を占め、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを0.2%以下含む製剤は国際的な統制下としない。」という脚注を追加することを勧告した。
(参考:第40会期WHO/ECDD報告書、第41会期WHO/ECDD報告書)

よく間違えるのは、WHO勧告のTHC濃度0.2%は「製品基準」であって、大麻草の品種基準ではありません。例えば、米国やカナダでのヘンプ(産業用大麻)は、THC濃度0.3%以下をヘンプとし、それ以上をマリファナとしています。このときの0.3%は、農作物としての品種基準であって、CBDオイルなどの製品基準ではありません。

また、日本語で「製剤」とすると、医薬品又はその原料組成物の意味となりますが、国連の定義では、大麻草由来の成分を抽出した調整物を示しており、より一般的な製品も含まれています。

薬物の危険性を等級別(スケジュール)で管理している米国などでは、すでに食品や雑貨として流通しているCBDオイルが、「CBDオイル=大麻抽出物=スケジュールI=最も乱用する危険性があり、医薬効果なし」と機械的に当てはめています。そこから生じる様々な混乱は、すべて麻薬単一条約のスケジュールI/IV規制に行き当たります。

麻薬単一条約のスケジュールの見直しの科学的根拠が、これまで紹介してきたWHO/ECDDの事前審査報告書、批判的審査報告書、WHO勧告となります。




【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000222992&id=bodyimage1

●今年12月の国連麻薬委員会(CND)で審議・投票を予定

長年、慣習的に大麻草を麻薬植物として撲滅運動を世界的にキャンペーンしてきた国際条約の実務上の変更を促すWHO勧告は、国際政治的に大きなインパクトがあります。

そのため、2020年3月の国連麻薬委員会(CND)では、大麻及び大麻関連物質のWHO勧告に対する投票(53カ国)を延期しました。それぞれの勧告項目で意見の不一致が見られることが国際的に明らかになったのです。

次回の投票となる国連麻薬委員会(CND)は、2020年12月3-4日に予定されています。

CBD製品のTHC含有量を0.2%まで認めるのかどうか、
それが、今年12月までに審議され、投票されるのです。

引用文献・資料ダウンロード付きの解説はこちらへ
カンナビジオール(CBD)の批判的審査報告書とWHO勧告
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=106377

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Δ9-THC:
デルタ9−テトラヒドロカンナビノール。121種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。

CBD:
カンナビジオール。121種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。

日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2019年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員12名、 賛助個人会員23名、合計102名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/



配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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