2020年に新たに大麻の規制緩和をした国と地域について。イスラエルから国連麻薬委員会まで。
[20/12/29]
提供元:DreamNews
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大麻及び関連物質のWHO(世界保健機構)勧告を受けて今年12月に国連麻薬委員会において53カ国の投票があり、1961年以来初めて、大麻及び大麻樹脂がスケジュール(附表)IVからの削除が決定しました。このような国際的な議論が進む中で、新たに大麻の規制緩和をした国と地域があります。日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)は、2020年に大麻に規制緩和をした国と地域の調査結果を2020年12月29日の本プレスリリースにて発表しました。
調査結果の概要は、医療用大麻の合法化は10地域、嗜好用大麻の合法化は5地域、産業用大麻は、3地域がありました。国際的な薬物政策では、1961年麻薬単一条約の附表IV(最も乱用され、医療価値なし)のカテゴリーから大麻及び大麻樹脂が削除され、正式に大麻植物の医療的価値が認められました。
日本においても、厚労省が44年ぶりの大麻冊子の発行、CBD製品輸入の明文化といった形で、大きな進展が見られました。
本調査では下記の用語で統一して表記した。
医療用大麻:
大麻草を医療目的で使用するハーブ(生薬)療法の一種。大麻草に含まれる独特の成分「カンナビノイド」を抽出し、製剤化したカンナビノイド医薬品とは区別される。
嗜好用大麻:
大麻草を嗜好目的で使用すること。合法化した地域では、タバコやアルコールのように成人のみを対象として、課税管理する制度を採用したところがほとんどである。
産業用大麻:
大麻草に含まれ、向精神作用のあるTHC濃度が1%未満の品種を栽培し、そこから衣類、食品、化粧品、建材、製紙、飼料、敷料、自動車用品などの産業用途に使用すること。嗜好用や医療用のマリファナと区別するために、ヘンプ(Hemp)と呼ばれています。
〇調査結果 20年12月29日時点
2020年に大麻を規制緩和した国及び地域について
1月2日 イスラエル:ポルトガルから医療用大麻を初めて輸入
1月31日 オーストラリア首都キャンベラ:嗜好用大麻を合法化 所持50g、1世帯4株まで
2月21日 パラグアイ:医療用大麻の栽培・販売する12企業に初めてライセンス発行
3月2日 イギリス:大麻由来の医薬品の輸入制限が緩和しアクセスが改善
3月21日 ガーナ:THC0.3%未満の産業用大麻を合法化(アフリカ3カ国目)
3月31日 日本:16-19年度の4年間に渡る「危険ドラッグ等の乱用防止のより効果的な普及啓発に
関する特別研究」の成果物「大麻問題の現状」を発効(1976年以来の44年ぶりの仕事)
4月1日 日本:CBD製品の輸入手続きが明文化
4月6日 米国:カンナビノイド医薬品エピディオレックスが物質規制法スケジュールVを解除し、
通常の処方箋医薬品となる。
4月21日 レバノン:医療用及び産業用大麻を合法化(アラブ諸国初)
4月30日 マラウイ:医療用大麻及びTHC1%未満の産業用大麻を合法化
(レント・ジンバブエ・ガーナに次ぐアフリカで4か国目)
5月30日 イスラエル:医療用大麻の輸出を政府が承認
6月28日 ブラジル:裁判所で自閉症児2人の両親に大麻の栽培を許可
7月16日 アルゼンチン:国の大麻プログラム(REPROCANN)を開始
8月1日 キプロス:医療用大麻が合法化
8月7日 世界アンチドーピング機関(WADA):
アスリートにおける大麻違反の処分期間を2年から3ヶ月に短縮
(21年1月1日から施行)
8月10日 ドイツ:BfArM(連邦医薬品・医療機器庁)がスペインの医療大麻の輸入を承認
8月26日 イスラエル: 1973年の危険薬物法からCBDベースの製品を除外
11月4日 米国ニュージャージー州:嗜好用大麻を合法化(12州目)
米国アリゾナ州:嗜好用大麻を合法化(13州目)
米国モンタナ州:嗜好用大麻を合法化(14州目)
米国サウスダコタ州:嗜好用大麻を合法化(15州目)
米国サウスダコタ州:医療用大麻を合法化(34州目)
米国ミシシッピ州:医療用大麻を合法化(35州目)
11月6日 ニュージーランド:大麻合法化の国民投票
賛成:1406973票(48.4%)、反対:1474653(50.7%)の約7万票差で否決。
11月12日 アルゼンチン:2017年の医療用大麻法の適応拡大
自家栽培可、大麻由来製品の種類拡大
11月19日 欧州連合司法裁判所:「CBDは麻薬とみなすことはできません」との判決。
12月2日 国連麻薬委員会によるWHO勧告の投票により、大麻及び大麻樹脂が附表IVから削除決定。
正式な発効は21年春頃。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000228936&id=bodyimage1】
Δ9-THC:
デルタ9−テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。
CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。
カンナビノイド医薬品エピディオレックス(Epidiolex):
GW製薬の米国子会社Greenwich Biosciencesが開発した難治性てんかんの一種であるレノックス・ガストー症候群(LGS)またはドラベ症候群に関連する発作の治療のための抗てんかん薬(AED)である。Δ9-THCをほとんど含まず、CBD含有率が高い大麻草のクローン株からCO2抽出された植物性原液(BDS)から作られたものであり、1本100ml中に10000mg(10%濃度)のCBDを含有する。2歳以上の患者を対象とし、20mg/kg/日を標準摂取量としている。
日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2020年10月段階で、正会員(医療従事者、研究者)74名、賛助法人会員10名、 賛助個人会員19名、合計103名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。
配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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調査結果の概要は、医療用大麻の合法化は10地域、嗜好用大麻の合法化は5地域、産業用大麻は、3地域がありました。国際的な薬物政策では、1961年麻薬単一条約の附表IV(最も乱用され、医療価値なし)のカテゴリーから大麻及び大麻樹脂が削除され、正式に大麻植物の医療的価値が認められました。
日本においても、厚労省が44年ぶりの大麻冊子の発行、CBD製品輸入の明文化といった形で、大きな進展が見られました。
本調査では下記の用語で統一して表記した。
医療用大麻:
大麻草を医療目的で使用するハーブ(生薬)療法の一種。大麻草に含まれる独特の成分「カンナビノイド」を抽出し、製剤化したカンナビノイド医薬品とは区別される。
嗜好用大麻:
大麻草を嗜好目的で使用すること。合法化した地域では、タバコやアルコールのように成人のみを対象として、課税管理する制度を採用したところがほとんどである。
産業用大麻:
大麻草に含まれ、向精神作用のあるTHC濃度が1%未満の品種を栽培し、そこから衣類、食品、化粧品、建材、製紙、飼料、敷料、自動車用品などの産業用途に使用すること。嗜好用や医療用のマリファナと区別するために、ヘンプ(Hemp)と呼ばれています。
〇調査結果 20年12月29日時点
2020年に大麻を規制緩和した国及び地域について
1月2日 イスラエル:ポルトガルから医療用大麻を初めて輸入
1月31日 オーストラリア首都キャンベラ:嗜好用大麻を合法化 所持50g、1世帯4株まで
2月21日 パラグアイ:医療用大麻の栽培・販売する12企業に初めてライセンス発行
3月2日 イギリス:大麻由来の医薬品の輸入制限が緩和しアクセスが改善
3月21日 ガーナ:THC0.3%未満の産業用大麻を合法化(アフリカ3カ国目)
3月31日 日本:16-19年度の4年間に渡る「危険ドラッグ等の乱用防止のより効果的な普及啓発に
関する特別研究」の成果物「大麻問題の現状」を発効(1976年以来の44年ぶりの仕事)
4月1日 日本:CBD製品の輸入手続きが明文化
4月6日 米国:カンナビノイド医薬品エピディオレックスが物質規制法スケジュールVを解除し、
通常の処方箋医薬品となる。
4月21日 レバノン:医療用及び産業用大麻を合法化(アラブ諸国初)
4月30日 マラウイ:医療用大麻及びTHC1%未満の産業用大麻を合法化
(レント・ジンバブエ・ガーナに次ぐアフリカで4か国目)
5月30日 イスラエル:医療用大麻の輸出を政府が承認
6月28日 ブラジル:裁判所で自閉症児2人の両親に大麻の栽培を許可
7月16日 アルゼンチン:国の大麻プログラム(REPROCANN)を開始
8月1日 キプロス:医療用大麻が合法化
8月7日 世界アンチドーピング機関(WADA):
アスリートにおける大麻違反の処分期間を2年から3ヶ月に短縮
(21年1月1日から施行)
8月10日 ドイツ:BfArM(連邦医薬品・医療機器庁)がスペインの医療大麻の輸入を承認
8月26日 イスラエル: 1973年の危険薬物法からCBDベースの製品を除外
11月4日 米国ニュージャージー州:嗜好用大麻を合法化(12州目)
米国アリゾナ州:嗜好用大麻を合法化(13州目)
米国モンタナ州:嗜好用大麻を合法化(14州目)
米国サウスダコタ州:嗜好用大麻を合法化(15州目)
米国サウスダコタ州:医療用大麻を合法化(34州目)
米国ミシシッピ州:医療用大麻を合法化(35州目)
11月6日 ニュージーランド:大麻合法化の国民投票
賛成:1406973票(48.4%)、反対:1474653(50.7%)の約7万票差で否決。
11月12日 アルゼンチン:2017年の医療用大麻法の適応拡大
自家栽培可、大麻由来製品の種類拡大
11月19日 欧州連合司法裁判所:「CBDは麻薬とみなすことはできません」との判決。
12月2日 国連麻薬委員会によるWHO勧告の投票により、大麻及び大麻樹脂が附表IVから削除決定。
正式な発効は21年春頃。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000228936&id=bodyimage1】
Δ9-THC:
デルタ9−テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。
CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。
カンナビノイド医薬品エピディオレックス(Epidiolex):
GW製薬の米国子会社Greenwich Biosciencesが開発した難治性てんかんの一種であるレノックス・ガストー症候群(LGS)またはドラベ症候群に関連する発作の治療のための抗てんかん薬(AED)である。Δ9-THCをほとんど含まず、CBD含有率が高い大麻草のクローン株からCO2抽出された植物性原液(BDS)から作られたものであり、1本100ml中に10000mg(10%濃度)のCBDを含有する。2歳以上の患者を対象とし、20mg/kg/日を標準摂取量としている。
日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2020年10月段階で、正会員(医療従事者、研究者)74名、賛助法人会員10名、 賛助個人会員19名、合計103名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。
配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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