【矢野経済研究所プレスリリース】自動車アフターマーケット市場に関する調査を実施(2021年) 2020年の自動車アフターマーケット市場規模は19兆14億円
[21/04/28]
提供元:DreamNews
提供元:DreamNews
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年の自動車アフターマーケット市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにいたしました。
1.市場概況
2020年の自動車アフターマーケット市場規模は、前年比98.2%の19兆14億円と推計する。自動車流通の起点となる国内新車販売は、2019年10月の消費増税の影響に加え、2020年の年初から始まった新型コロナウイルスの影響により上期は需要が低迷した。その後、「三密」を回避する移動手段として自動車に対する需要が高まり、新車・中古車共に小売需要は回復に向かったものの、自動車生産体制の抑制が新車の納期遅延に繋がり、2020年通年の販売台数は459.9万台(前年比88.5%)※1にまで落ち込んだ。(※1.データ出所:一般社団法人日本自動車販売協会連合会、一般社団法人全国軽自動車協会連合会)
新車の納期遅延が年間を通して解消し切れない中、人々の自動車に対するニーズは在庫があり即納も可能な中古車に向かった結果、2020年の国内中古車登録台数は前年比98.2%の678.7万台※2となり、新車販売台数に比較するとマイナス幅は小幅なものに留まった。(※2.データ出所:一般社団法人日本自動車販売協会連合会、一般社団法人全国軽自動車協会連合会)
また、国内の自動車保有動向については、保有長期化の傾向も継続し、2019年の四輪車保有台数は過去最高の7,862万台※3となった。(※3.データ出所:国土交通省)
自動車保有台数は人口動態の観点から中長期的には減少が不可避であるとみるが、コロナ禍の中にあって、三密回避の移動手段として自動車に対する人々のニーズは高まる傾向にあることは、保有台数が減少に向かうことに対する一定の歯止めになる可能性もある。しかしその一方で、法人企業ではリモートワークの普及などに伴い社用車を減車する動きもあるなど、コロナ禍によってもたらされたニューノーマルが今後の自動車保有動向に一定の影響を及ぼしていく可能性は大きい。
2.注目トピック〜「輸出需要」と「国内小売需要」によって乱高下した中古車相場
世界各国の都市封鎖によって、2020年は日本からの中古車輸出が停滞した期間が生じ、中古車輸出台数は通年で106.2万台※4となった。輸出台数を月別に見ると、4〜5月は前年同月の半数※5ほどにまで落ち込む結果となった。(※4、5データ出所:財務省「貿易統計」)
オートオークションにおいても、2020年上半期は輸出向けの出品車両に買い手が付かなかったことで相場が下落した。買い手が付かない上に、新車の納期遅延に伴い代替車両である中古車の発生も抑制されたことから出品台数も減るという悪循環に陥った。しかし、6月以降は都市封鎖の解除に連れて輸出需要も回復傾向に転じたことで、オークション相場価格は上昇に転じた。
下半期は輸出向けと国内小売向けの両需要が一気に回復傾向に入ったものの、中古車の流通量は新車の納期遅延の影響が続く中で増加せず、オートオークションでは落札競争が活発化し、相場は年後半にかけて上昇を続けた。中古車販売店にとっては小売実需を背景に持つものの、車両の仕入コスト高な年となったといえ、中古車小売価格も引き続き高い水準で推移したと考えられる。
3.将来展望
2020年は緊急事態宣言発出などによって、自動車メーカーに加え自動車部品メーカーの工場も一時的にラインが稼働停止し、新車生産が滞った。また、コロナ禍では在宅時間が長くなる傾向にある中、家電をはじめとしたあらゆる製品に内蔵される半導体の需要がかつてないほどに高まった。2021年現在、半導体の需給関係がタイトになる中、国内の自動車生産現場においては半導体部品の納期遅れから操業を一時的に停止するメーカーも現れるなど、コロナ禍による自動車産業への影響が前年から継続する様相を呈し始めている。
2021年は半導体の部材供給逼迫をボトルネックとして、再び自動車生産量が低下する可能性を孕む。一方、三密回避の移動手段として自動車に対する需要は継続的に存在していることから、2021年の新車販売市場もプラス・マイナスの両要因を抱え続けることになる。
中古車市場は新車販売時の代替が発生起点であり、中古車流通量は新車販売規模に左右される。人々の自動車に対するニーズは今後も増加し続ける可能性が高いが、新車の納期遅延が常態化し続けるならば、代替車両の発生減少から中古車の流通量も減り、オートオークション出品台数も減少することで、相場価格の高止まり状況は続く。反対に、供給の逼迫が解消され新車販売が回復すると、代替車両が発生して中古車流通量が増加し、オークション相場は弛緩するだろう。
自動車部品・用品市場は車両販売動向に大きく依存するため、2021年の動向は新車・中古車市場のシナリオ如何であろう。一方、自動車利用機会の増加は整備需要増に結び付くため、自動車整備市場は車両販売動向のみならず、今後のニューノーマルな生活における人々の車利用にも依拠すると考えられる。
自動車賃貸市場におけるオートリース市場は、社用車の減少から法人リースは前年比マイナスとなるも、個人向けオートリースはマイカー需要の増加を糧に伸長し、市場全体では成長を続けると考える。レンタカー市場は、引き続き国内一般消費者における日常利用が重要となり、2021年は前年比では回復するも、回復幅は小規模に留まるとみる。カーシェアリング市場は、企業、一般消費者どちらの利用目的にもマッチしうるサービスシステムのため、需要側だけでなく供給側(サービスプロバイダー)の動きも活発化し、市場も拡大を続けると見込む。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2684
調査要綱
1.調査期間: 2021年1月〜3月
2.調査対象: 自動車アフターマーケット関連事業を展開する企業・団体、および管轄官庁等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・eメールによる取材、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2021年03月30日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000235736&id=bodyimage1】
配信元企業:株式会社矢野経済研究所
プレスリリース詳細へ
ドリームニューストップへ
1.市場概況
2020年の自動車アフターマーケット市場規模は、前年比98.2%の19兆14億円と推計する。自動車流通の起点となる国内新車販売は、2019年10月の消費増税の影響に加え、2020年の年初から始まった新型コロナウイルスの影響により上期は需要が低迷した。その後、「三密」を回避する移動手段として自動車に対する需要が高まり、新車・中古車共に小売需要は回復に向かったものの、自動車生産体制の抑制が新車の納期遅延に繋がり、2020年通年の販売台数は459.9万台(前年比88.5%)※1にまで落ち込んだ。(※1.データ出所:一般社団法人日本自動車販売協会連合会、一般社団法人全国軽自動車協会連合会)
新車の納期遅延が年間を通して解消し切れない中、人々の自動車に対するニーズは在庫があり即納も可能な中古車に向かった結果、2020年の国内中古車登録台数は前年比98.2%の678.7万台※2となり、新車販売台数に比較するとマイナス幅は小幅なものに留まった。(※2.データ出所:一般社団法人日本自動車販売協会連合会、一般社団法人全国軽自動車協会連合会)
また、国内の自動車保有動向については、保有長期化の傾向も継続し、2019年の四輪車保有台数は過去最高の7,862万台※3となった。(※3.データ出所:国土交通省)
自動車保有台数は人口動態の観点から中長期的には減少が不可避であるとみるが、コロナ禍の中にあって、三密回避の移動手段として自動車に対する人々のニーズは高まる傾向にあることは、保有台数が減少に向かうことに対する一定の歯止めになる可能性もある。しかしその一方で、法人企業ではリモートワークの普及などに伴い社用車を減車する動きもあるなど、コロナ禍によってもたらされたニューノーマルが今後の自動車保有動向に一定の影響を及ぼしていく可能性は大きい。
2.注目トピック〜「輸出需要」と「国内小売需要」によって乱高下した中古車相場
世界各国の都市封鎖によって、2020年は日本からの中古車輸出が停滞した期間が生じ、中古車輸出台数は通年で106.2万台※4となった。輸出台数を月別に見ると、4〜5月は前年同月の半数※5ほどにまで落ち込む結果となった。(※4、5データ出所:財務省「貿易統計」)
オートオークションにおいても、2020年上半期は輸出向けの出品車両に買い手が付かなかったことで相場が下落した。買い手が付かない上に、新車の納期遅延に伴い代替車両である中古車の発生も抑制されたことから出品台数も減るという悪循環に陥った。しかし、6月以降は都市封鎖の解除に連れて輸出需要も回復傾向に転じたことで、オークション相場価格は上昇に転じた。
下半期は輸出向けと国内小売向けの両需要が一気に回復傾向に入ったものの、中古車の流通量は新車の納期遅延の影響が続く中で増加せず、オートオークションでは落札競争が活発化し、相場は年後半にかけて上昇を続けた。中古車販売店にとっては小売実需を背景に持つものの、車両の仕入コスト高な年となったといえ、中古車小売価格も引き続き高い水準で推移したと考えられる。
3.将来展望
2020年は緊急事態宣言発出などによって、自動車メーカーに加え自動車部品メーカーの工場も一時的にラインが稼働停止し、新車生産が滞った。また、コロナ禍では在宅時間が長くなる傾向にある中、家電をはじめとしたあらゆる製品に内蔵される半導体の需要がかつてないほどに高まった。2021年現在、半導体の需給関係がタイトになる中、国内の自動車生産現場においては半導体部品の納期遅れから操業を一時的に停止するメーカーも現れるなど、コロナ禍による自動車産業への影響が前年から継続する様相を呈し始めている。
2021年は半導体の部材供給逼迫をボトルネックとして、再び自動車生産量が低下する可能性を孕む。一方、三密回避の移動手段として自動車に対する需要は継続的に存在していることから、2021年の新車販売市場もプラス・マイナスの両要因を抱え続けることになる。
中古車市場は新車販売時の代替が発生起点であり、中古車流通量は新車販売規模に左右される。人々の自動車に対するニーズは今後も増加し続ける可能性が高いが、新車の納期遅延が常態化し続けるならば、代替車両の発生減少から中古車の流通量も減り、オートオークション出品台数も減少することで、相場価格の高止まり状況は続く。反対に、供給の逼迫が解消され新車販売が回復すると、代替車両が発生して中古車流通量が増加し、オークション相場は弛緩するだろう。
自動車部品・用品市場は車両販売動向に大きく依存するため、2021年の動向は新車・中古車市場のシナリオ如何であろう。一方、自動車利用機会の増加は整備需要増に結び付くため、自動車整備市場は車両販売動向のみならず、今後のニューノーマルな生活における人々の車利用にも依拠すると考えられる。
自動車賃貸市場におけるオートリース市場は、社用車の減少から法人リースは前年比マイナスとなるも、個人向けオートリースはマイカー需要の増加を糧に伸長し、市場全体では成長を続けると考える。レンタカー市場は、引き続き国内一般消費者における日常利用が重要となり、2021年は前年比では回復するも、回復幅は小規模に留まるとみる。カーシェアリング市場は、企業、一般消費者どちらの利用目的にもマッチしうるサービスシステムのため、需要側だけでなく供給側(サービスプロバイダー)の動きも活発化し、市場も拡大を続けると見込む。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2684
調査要綱
1.調査期間: 2021年1月〜3月
2.調査対象: 自動車アフターマーケット関連事業を展開する企業・団体、および管轄官庁等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・eメールによる取材、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2021年03月30日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000235736&id=bodyimage1】
配信元企業:株式会社矢野経済研究所
プレスリリース詳細へ
ドリームニューストップへ