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米国における各州の嗜好用大麻合法化の影響:2021年の最新情報

2021年2月に発行された“The Effect of State Marijuana Legalizations: 2021 Update”の仮訳版です。日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)は、当学会WEBサイトにて、仮訳版を5月17日付けで公表した。米国の嗜好用大麻の状況がわかる基礎資料としてご利用いただければと思います。

対象地域(合法化年)
コロラド州(2012年)、ワシントン州(2012年)、オレゴン州(2014年)、アラスカ州(2014年)、カリフォルニア州(2016年)、ネバダ州(2016年)、メイン州(2016年)、マサチューセッツ州(2016年)、バーモント州(2018年)、ミシガン州(2019年)、イリノイ州(2020年)。

調査背景
マリファナ合法化(嗜好用大麻合法化)の賛成者と反対者の主張が大きく異なる。
どちらの主張が正しかったのかを21年2月時点で評価する。

○賛成者の主張
合法化が犯罪を減らし、税収を増やし、刑事司法支出を減らし、公衆衛生を改善し、交通安全を高め、そして経済を活性化する

×反対者の主張
合法化がマリファナやその他の薬物やアルコールの使用に拍車をかけ、犯罪を増やし、交通安全を低下させ、公衆衛生を害し、10代の教育成果を低下させる

■調査結果
合法化した11州の最新の科学的評価

成人マリファナ使用       増加
中高生の使用          横ばい
他の薬物・アルコール使用  横ばい
マリファナの価格   一時下落してその後一定
自殺率の増加          横ばい
暴力犯罪の増加         横ばい
運転死者数の増加        横ばい
州の国民総生産成長率      横ばい
州の税収             増加
刑事司法支出          横ばい

注意:
先行して合法化している医療用大麻の合法化の影響は何も考慮されていない。

結論 今のところ、賛成派も反対派もほとんど事前予想が外れている。
反対派による悲惨な予測を考えると、嗜好用大麻の合法化による重大な悪影響がないことは特に印象的である

詳しくはこちらサイトから資料をダウンロードしてください。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=113101



【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000236945&id=bodyimage1

原文
Dills, Angela, Sietse Goffard, Jeffrey Miron, and Erin Partin. “The Effect of State Marijuana Legalizations: 2021 Update,” Policy Analysis no. 908, Cato Institute, Washington, DC, February 2, 2021.
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3780276

本学会は、大麻草に含まれる有効成分のカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の和訳および紹介に努めていきます。

なお、本学会が提供するすべての翻訳情報の内容は、学会としての意見表明ではありません。

日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2021年4月段階で、正会員(医療従事者、研究者)101名、賛助法人会員14名、 賛助個人会員27名、合計142名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。



配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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