大麻、CBDオイル、THC-獣医師が知っておくべきことは?
[21/07/20]
提供元:DreamNews
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日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)に、犬や猫などの獣医系の文献のお問い合わせがありましたので、欧州獣医師連盟の方がまとめた2021年現在の新しいレビュー論文である”Cannabis, Cannabidiol Oils and Tetrahydrocannabinol-What Do Veterinarians Need to Know?” を仮訳し、本学会サイトに7月20日に公開しました。
要旨:
大麻由来の製品が入手しやすくなったことで,獣医師が目にする中毒症状の症例が増えている。また、飼い主が自分のペットにこれらの製品を使用することへの関心が高まっている。本レビューでは、欧州および北米の状況、大麻および大麻由来製品の種類、動物への使用の歴史的な事例、および大麻産業について見ていく。また,医薬品やサプリメントとして人や動物に使用するための既存の規制の枠組みについても検討した。最後に、医療用大麻が認可されている臨床適応症のレビュー、中毒症の議論、医療用大麻の使用に関する推奨と警告を紹介する。
内容
1.はじめに
2.定義
3.獣医学における大麻使用の歴史(馬、犬、猫)
4.欧州(EU)と北米の大麻産業について
5.欧州(EU)および北米における規制の枠組み
6.薬物動態/トキシコキネティクス
7.ヒトと動物の医療における使用
8.違法な製品表示や不明な成分への懸念
9.獣医学における大麻の毒性について
10.結論と推奨事項
和訳ダウンロードのサイトはこちら
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=115519
原文
Cannabis, Cannabidiol Oils and Tetrahydrocannabinol-What Do Veterinarians Need to Know?. Animals 2021, 11(3), 892; https://doi.org/10.3390/ani11030892
本学会は、大麻草に含まれる有効成分のカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の和訳および紹介に努めていきます。
なお、本学会が提供するすべての翻訳情報の内容は、学会としての意見表明ではありません。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000240764&id=bodyimage1】
<用語解説>
Δ9-THC:
デルタ9−テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。
CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。
ヘンプ(産業用大麻)
大麻草に含まれ、向精神作用のあるTHC濃度が1%未満の品種を栽培し、そこから衣類、食品、化粧品、建材、製紙、飼料、敷料、自動車用品などの産業用途に使用すること。嗜好用や医療用の大麻と区別するために、ヘンプ(Hemp)と呼ばれている。
日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2021年4月段階で、正会員(医療従事者、研究者)101名、賛助法人会員14名、 賛助個人会員27名、合計142名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。
配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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要旨:
大麻由来の製品が入手しやすくなったことで,獣医師が目にする中毒症状の症例が増えている。また、飼い主が自分のペットにこれらの製品を使用することへの関心が高まっている。本レビューでは、欧州および北米の状況、大麻および大麻由来製品の種類、動物への使用の歴史的な事例、および大麻産業について見ていく。また,医薬品やサプリメントとして人や動物に使用するための既存の規制の枠組みについても検討した。最後に、医療用大麻が認可されている臨床適応症のレビュー、中毒症の議論、医療用大麻の使用に関する推奨と警告を紹介する。
内容
1.はじめに
2.定義
3.獣医学における大麻使用の歴史(馬、犬、猫)
4.欧州(EU)と北米の大麻産業について
5.欧州(EU)および北米における規制の枠組み
6.薬物動態/トキシコキネティクス
7.ヒトと動物の医療における使用
8.違法な製品表示や不明な成分への懸念
9.獣医学における大麻の毒性について
10.結論と推奨事項
和訳ダウンロードのサイトはこちら
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=115519
原文
Cannabis, Cannabidiol Oils and Tetrahydrocannabinol-What Do Veterinarians Need to Know?. Animals 2021, 11(3), 892; https://doi.org/10.3390/ani11030892
本学会は、大麻草に含まれる有効成分のカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の和訳および紹介に努めていきます。
なお、本学会が提供するすべての翻訳情報の内容は、学会としての意見表明ではありません。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000240764&id=bodyimage1】
<用語解説>
Δ9-THC:
デルタ9−テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。
CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。
ヘンプ(産業用大麻)
大麻草に含まれ、向精神作用のあるTHC濃度が1%未満の品種を栽培し、そこから衣類、食品、化粧品、建材、製紙、飼料、敷料、自動車用品などの産業用途に使用すること。嗜好用や医療用の大麻と区別するために、ヘンプ(Hemp)と呼ばれている。
日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2021年4月段階で、正会員(医療従事者、研究者)101名、賛助法人会員14名、 賛助個人会員27名、合計142名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。
配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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