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2022年に新たに大麻を合法化した国と地域について。チェコ・フランスから日本の大麻由来医薬品の治験まで

日本臨床カンナビノイド学会(事務局:東京都品川区)は、2022年に大麻に規制緩和をした国と地域の調査結果を2022年12月27日の本プレスリースにて発表しました。2022年は、産業用5地域、医療用7地域、嗜好用7地域の各分野で規制緩和が進みました。

我が国においても、2021年の厚生労働省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の議論を引き継ぎ、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会「大麻規制検討小委員会」が発足し、2022年5月から9月まで11名の委員によって4回審議された後に報告書が発行され、改正大麻取締法に向けた大きな動きがありました。

小委員会報告書では、(1)医療ニーズへの対応:大麻由来医薬品の製造と使用の解禁、(2)薬物乱用への対応:大麻使用罪の創設、(3)大麻の適切な利用の推進、(4)適切な栽培及び管理の徹底:植物の部位規制からTHC成分規制への変更に伴う管理体制の整備という改正大麻取締法/麻薬及び向精神薬取締法の方向性が示された(※1)。

1月1日 チェコ共和国:産業用大麻 THC基準0.2%から1.0%に規制緩和
     フランス:産業用大麻 THC基準0.2%から0.3%に緩和。花・葉由来の製品基準0.3%以下
2月2日 米国:ミシシッピ州 医療用大麻合法化 37州目
2月7日 日本:厚生労働省が大麻由来医薬品の治験に伴う大麻研究者の免許等の通知を発行
3月1日 フランス:医療用大麻の栽培を許可する法令を発効
3月2日 コスタリカ:医療用大麻・産業用大麻の合法化
4 月 21 日 米国:ニューヨーク州 嗜好用大麻の小売開始
5月5日 アルゼンチン:医療用と産業用大麻を合法化、医療用は17年法律を補完
5月7日 ポーランド:医療用大麻の栽培を合法化 産業用大麻THC基準0.2%から0.3%に緩和
5月25日 米国:ロードアイランド州 嗜好用大麻を合法化 19州目
6月7日 日本:経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)に大麻制度見直しが明記
6月9日 タイ:大麻を第5種麻薬から削除を施行 大麻エキス製品基準0.2%以下
7月15日 日本:低THC品種に対応した三重県大麻取扱者指導要領が改訂
7月29日 フィジー:大麻を非犯罪化 THC1%以下の大麻植物は規制薬物の対象外
8月1日 スイス:医療用大麻を合法化、輸出も可 但しTHC1%未満のものに限定
8月8日 ガイアナ共和国:産業用大麻を合法化 THC基準0.3%未満
10月6日 米国:バイデン大統領が大麻の単純所持で連邦法により有罪判決を受けた人らに恩赦
10月19日 日本:厚生労働省の大麻規制検討小委員会の報告書発行
10月26日 ドイツ:嗜好用大麻合法化する法案を閣議決定(法制化は2024年を予定)
11月9日 米国:メリーランド州 嗜好用大麻を合法化 20州目
11月9日 米国:ミズーリ州 嗜好用大麻を合法化 21州目
11月21日 米国:医療用大麻及びCBD研究拡大法を制定
11月24日 日本:三重大学にて神事・産業用大麻研究組織が発足(農学系研究では日本初の動き)
11月29日 国連機関:国連貿易開発会議(UNCTAD)から国連初の産業用大麻の報告書発行
12月9日 EU理事会:薬物政策における人権に基づくアプローチに関する評議会の結論を承認
12月15日 日本:大麻由来医薬品エビディオレックスの治験開始



【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000273183&id=bodyimage1

※1 大麻規制検討小委員会 報告書は22年10月19日発行
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25666.html

2021年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000251130/

2020年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000228936/

2019年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000207964/

2018年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000187079/

<用語集>

Δ9-THC:
デルタ9−テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。

CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。

内因性カンナビノイド系:
内因性カンナビノイド系(ECS)は、内因性リガンド(アナンダミド、2-AG等)、それらのカンナビノイド受容体(CB1,CB2等)、および内因性カンナビノイドの形成と分解を触媒する酵素(FAAH、MAGL等)を含む脂質の複雑なネットワークである。内因性カンナビノイド系は、学習と記憶、感情処理、睡眠、体温制御、痛みの制御、炎症と免疫応答、食欲など、私たちの最も重要な身体機能の調節および制御を担っている。

2018年米国農業法による「ヘンプ」の定義:
「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(delta−9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの」を指す。

日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2022年4月段階で、正会員(医療従事者、研究者)101名、賛助法人会員14名、 賛助個人会員27名、合計142名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。
現在、2021年の大麻等の薬物対策のあり方検討会の報告書が取りまとめられ、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制規制小委員会にて改正大麻法に向けた議論が進められている。



配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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