【矢野経済研究所プレスリリース】肥料市場に関する調査を実施(2023年)〜2022年度の肥料市場は前年度比23.0%増の4,244億円の見込、肥料原料の価格高騰により、市場規模は大幅増の見込〜
[23/04/27]
提供元:DreamNews
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株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内における肥料市場を調査し、市場規模、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
1.市場概況
世界的な人口増加や経済発展に伴う食糧需要の高まりに加え、コロナ渦における物流の混乱、ロシアによるウクライナ侵攻などの国際情勢により、肥料原料の国際価格が高騰しており、肥料原料の国内における調達が不安定な状態となっている。
2021年度以降、リン鉱石・塩化カリウム・尿素等の肥料原料価格の高騰に加え、エネルギーコスト等の製造コストの上昇等に伴い、化学肥料の製品価格も値上げが相次いだ。減少傾向にあった国内の肥料市場であるが、2021年度の肥料市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年度比105.7%の3,450億4,100万円と増加に転じた。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000279568&id=bodyimage1】
2.注目トピック〜化学肥料の価格高騰により、施肥量を低減する資材・技術を広く訴求へ
化学肥料の大幅な価格上昇に伴い、国内の生産者はより一層、化学肥料の使用量を減らす傾向にある。JA全農や自治体などが推進している土壌診断による過剰施肥の抑制などの取り組みが、多くの生産現場で実施されている。また、肥料メーカーやJA全農では、低成分肥料の供給も進めている。
また、引き続き肥効調節型肥料を用いた育苗箱全量施肥や、側条施肥技術等の導入により、肥料の投入量と労働時間を低減する省力化を進めている。
さらに、家畜ふん堆肥の活用も行われている。従来、家畜ふん堆肥中のリン酸の肥効率は化学肥料の60%程度とされてきたが、最近の大規模な堆肥センターで作られた完熟堆肥では過リン酸石灰と同等の肥効を示している。家畜ふん堆肥は、化学肥料に比べて安価に入手できることから、ここ数年、化学肥料の代替としてよく利用されている。
化学肥料高騰に伴い、農林水産省では肥料のコスト低減を図る事例を広く募り、生産者への普及浸透をはかっている。
3.将来展望
2022年度は、化学肥料の製品価格の値上げが本格化したこともあり、2022年度の肥料市場規模は前年度比123.0%の4,243億8,900万円に拡大する見込みである。肥料メーカー各社の肥料関連売上高も拡大しているが、肥料原料の価格高騰や製造コスト、物流費の上昇に伴い、収益性は悪化している。このような状況下、農林水産省も肥料の国産化に向けて必要な施設を整備したり、肥料メーカーが原料を備蓄するのにかかる費用を支援する対策を実施している。
中長期的にみると、肥料原料価格も徐々に落ち着き、肥料銘柄の集約や入札方式の導入効果により、化学肥料の製品価格は再び低下する見通しである。ただ、肥料原料はほとんど値下がりしていない状況にあることや、物流費が年々上昇していることから、肥料メーカーは、銘柄集約によるスケールメリットを生かした合理化の推進や、JA全農・経済連や他肥料メーカーと連携した最適な物流網の構築、高付加価値品の販売拡大などによって、肥料事業の売上高減少を補わなければならないと考える。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3256
調査要綱
1.調査期間: 2022年12月〜2023年3月
2.調査対象: 肥料関連メーカー、培土・土壌改良材関連メーカー、飼料関連メーカー、全国農業協同組合連合会、その他関連機関・業界団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング
4.発刊日:2023年3月29日
お問い合わせ
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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1.市場概況
世界的な人口増加や経済発展に伴う食糧需要の高まりに加え、コロナ渦における物流の混乱、ロシアによるウクライナ侵攻などの国際情勢により、肥料原料の国際価格が高騰しており、肥料原料の国内における調達が不安定な状態となっている。
2021年度以降、リン鉱石・塩化カリウム・尿素等の肥料原料価格の高騰に加え、エネルギーコスト等の製造コストの上昇等に伴い、化学肥料の製品価格も値上げが相次いだ。減少傾向にあった国内の肥料市場であるが、2021年度の肥料市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年度比105.7%の3,450億4,100万円と増加に転じた。
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2.注目トピック〜化学肥料の価格高騰により、施肥量を低減する資材・技術を広く訴求へ
化学肥料の大幅な価格上昇に伴い、国内の生産者はより一層、化学肥料の使用量を減らす傾向にある。JA全農や自治体などが推進している土壌診断による過剰施肥の抑制などの取り組みが、多くの生産現場で実施されている。また、肥料メーカーやJA全農では、低成分肥料の供給も進めている。
また、引き続き肥効調節型肥料を用いた育苗箱全量施肥や、側条施肥技術等の導入により、肥料の投入量と労働時間を低減する省力化を進めている。
さらに、家畜ふん堆肥の活用も行われている。従来、家畜ふん堆肥中のリン酸の肥効率は化学肥料の60%程度とされてきたが、最近の大規模な堆肥センターで作られた完熟堆肥では過リン酸石灰と同等の肥効を示している。家畜ふん堆肥は、化学肥料に比べて安価に入手できることから、ここ数年、化学肥料の代替としてよく利用されている。
化学肥料高騰に伴い、農林水産省では肥料のコスト低減を図る事例を広く募り、生産者への普及浸透をはかっている。
3.将来展望
2022年度は、化学肥料の製品価格の値上げが本格化したこともあり、2022年度の肥料市場規模は前年度比123.0%の4,243億8,900万円に拡大する見込みである。肥料メーカー各社の肥料関連売上高も拡大しているが、肥料原料の価格高騰や製造コスト、物流費の上昇に伴い、収益性は悪化している。このような状況下、農林水産省も肥料の国産化に向けて必要な施設を整備したり、肥料メーカーが原料を備蓄するのにかかる費用を支援する対策を実施している。
中長期的にみると、肥料原料価格も徐々に落ち着き、肥料銘柄の集約や入札方式の導入効果により、化学肥料の製品価格は再び低下する見通しである。ただ、肥料原料はほとんど値下がりしていない状況にあることや、物流費が年々上昇していることから、肥料メーカーは、銘柄集約によるスケールメリットを生かした合理化の推進や、JA全農・経済連や他肥料メーカーと連携した最適な物流網の構築、高付加価値品の販売拡大などによって、肥料事業の売上高減少を補わなければならないと考える。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3256
調査要綱
1.調査期間: 2022年12月〜2023年3月
2.調査対象: 肥料関連メーカー、培土・土壌改良材関連メーカー、飼料関連メーカー、全国農業協同組合連合会、その他関連機関・業界団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング
4.発刊日:2023年3月29日
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