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23年に規制緩和した国と地域、日本の75年振りの大麻法改正が実現 

日本臨床カンナビノイド学会(事務局:東京都品川区)は、2023年に大麻の規制緩和をした国と地域の調査結果を2023年12月28日の本プレスリースにて発表しました。2023年は、産業用8地域、医療用9地域、嗜好用6地域の各分野で規制緩和が進みました。

我が国においても、厚生労働省による21年大麻等の薬物対策のあり方検討会(全8回)、22年大麻規制検討小委員会(全4回)を経て、23年1月12日の厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)にて法改正の方向性が示された。

その後、23年10月24日に大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律案)、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律案を閣議決定し、衆議院及び参議院の厚生労働委員会の審議を経て両院で可決し、12月13日に官報にて公布された。

●23年の大麻の規制緩和した国や地域

2022年12月29日 フランス:産業用大麻の花・葉を禁止する法改正の取り消しを発表
1月1日 欧州:産業用大麻THC基準値を0.2%から0.3%に引き上げ
1月12日 日本:厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)にて大麻法改正の方向性が示された
1月18日 米国:ヴァージン諸島 嗜好用大麻を合法化
1月26日 ラオス共和国:医療用大麻と産業用大麻(栽培THC1%、製品0.2%基準)を合法化
2月1日 香港:CBD製品を禁止
2月8日 バヌアツ共和国:医療用大麻と産業用大麻の輸入・栽培・加工・輸出に関する法案を可決
2月13日 ジンバブエ共和国:産業用大麻のTHC基準値を0.3%から1.0%に上昇
2月14日 イタリア:産業用大麻の部位規制を無効とする判決
3月10日 米国:ワシントンD.C.  2015年以前の大麻関連の犯罪記録を抹消する法案を可決
3月31日 米国:ケンタッキー州 医療用大麻を合法化 38州目
4月23日 米国:デラウェア州 嗜好用大麻を合法化 22州目
4月26日 日本:三重県で新しい大麻取扱者指導要領に従い、産業目的の大麻栽培者免許が交付
6月2日 欧州:THC0.3%未満のヘンプ葉由来のお茶は新規食品の対象外(一般食品扱い)
6月28日 ルクセンブルク:嗜好用大麻を合法化 欧州内ではマルタに次いで2番目
7月25日 アルバニア:産業用大麻と医療用大麻を合法化 THC基準0.8% 輸出商品を想定
8月1日 米国:ミネソタ州 嗜好用大麻を合法化 23州目
8月4日 アルゼンチン:医療用大麻と産業用大麻の規制枠組みを制定 THC基準1.0%
8月16日 ドイツ:嗜好用大麻の合法化(閣議決定)
8月22日 ウガンダ:医療用大麻を合法化(2015年麻薬法が裁判所により無効化し、新法を制定)
8月29日 米国:保健福祉省(HSS)からマリファナをスケジュールIII規制物質に再分類する勧告
11月7日 米国:オハイオ州 嗜好用大麻を合法化 24州目
11月14日 南アフリカ:18年の憲法裁判所判決を受けて嗜好用大麻の所持と栽培が合法化
10月24日 日本:大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律案)、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律案を閣議決定
12月13日 日本:大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律案)、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律案が公布 産業用大麻を合法化(THC基準値は未定)、医療用大麻の一部(大麻由来医薬品)を合法化
12月14日 ガーナ:医療用及び産業用大麻の免許規則が制定 THC基準0.3%未満
12月21日 ウクライナ:医療用大麻を合法化

「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の公布について
(令和5年12月13日医薬発1213第1号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T231215I0010.pdf

2022年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000273183/

2021年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000251130/

2020年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000228936/

2019年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000207964/

2018年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000187079/

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000292470&id=bodyimage1

<用語集>

Δ9-THC:
デルタ9−テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。

CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。

内因性カンナビノイド系:
内因性カンナビノイド系(ECS)は、内因性リガンド(アナンダミド、2-AG等)、それらのカンナビノイド受容体(CB1,CB2等)、および内因性カンナビノイドの形成と分解を触媒する酵素(FAAH、MAGL等)を含む脂質の複雑なネットワークである。内因性カンナビノイド系は、学習と記憶、感情処理、睡眠、体温制御、痛みの制御、炎症と免疫応答、食欲など、私たちの最も重要な身体機能の調節および制御を担っている。

2018年米国農業法による「ヘンプ」の定義:
「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(delta−9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの」を指す。

日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2023年10月段階で、正会員(医療従事者、研究者)113名、賛助法人会員13名、 賛助個人会員11名、合計137名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままであった。
現在は、厚生労働省による21年大麻等の薬物対策のあり方検討会(全8回)、22年大麻規制検討小委員会(全4回)を経て、23年1月12日の厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)にて法改正の方向性が示された後、第212回臨時国会にて大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律案)、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律案が成立して公布された。施行は24年及び25年に実施予定。



配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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