社外役員実態について、コトラが属性・兼任を調査・分析しました〜これまでの社外取締役/社外監査役の属性・ 兼任等調査と、今後の独立社外取締役の選任についての考察〜
株式会社コトラは、直近1年間の社外取締役や社外監査役について調査し、これからの独立社外取締役(東証ベース)について考察しました。調査報告は、本日4月15日(水)より、ダウンロードサイト(http://www.kotora.jp/contents/survey201504.php)からご入手頂けます。
人材ソリューションカンパニーの株式会社コトラ(東京都港区 代表取締役 : 大西利佳子)は有報提出4,000社(非上場会社を含む)を対象に、直近1年間の「役員の状況」を集計・分析して、これまでの社外取締役や社外監査役について調査しました。その上で、これからの独立社外取締役(東証ベース)について考察しました。本日4月15日(水)より、ダウンロードサイト(http://www.kotora.jp/contents/survey201504.php)からご入手いただけます。
1.これまでの社外取締役/社外監査役の属性・兼任等の状況
『株式会社コトラによる社外役員実態報告』 〜これまでの社外取締役/社外監査役の属性・兼任等の状況と、今後の独立社外取締役(東証ベース)の選任についての調査・考察〜(以下、「本調査」という)は、コーポレートガバナンス・コード適用直前のいまのタイミングにおいて、有価証券報告書の「役員の状況」の掲載情報に基づき、役員の経歴等を集計・分析しました。社外取締役、社外監査役の判別は、 「役員の状況」中の脚注をプログラム解析する方法によりました。つまり、本調査における「社外役員」とは、有価証券報告書で社外取締役あるいは社外監査役と記載されている人を指します。
まず、社外役員の兼任状況を調査しました。具体的には、社外取締役を複数兼任するケースと社外監査役を複数兼任するケースのそれぞれを調査しました。社外取締役・監査役いずれにおいても3社兼任で約95%を占め、4社以上の兼任は極めて例外的であると言えます。また、 3社兼任のケースを例にとり、同一業種(証券コードの区分による)内での兼任状況を調査しました。同一業種内で3社兼任する事例は社外取締役で4%、社外監査役で3%と極めて限られおり、2社兼任する事例も社外取締役で14%、社外監査役で8%に留まりました。さらに、多数社を兼任するケースを調査したところ、社外取締役においては実質的に同一業種での兼任を回避している現状が明らかになりましたが、決算期については、あまり顧慮されることがなかった実態が浮きあがりました。
現状では、社外取締役の約3割、社外監査役に至っては約半数が専門家によって占められています。社外取締役の場合、教授職経験者が最も多く約4割を占め、弁護士資格保有者と公務員経験者が続きます。一方、専門家とは区分されない社外役員の中には、金融機関出身者や大手商社出身者が一定の比率で存在します。社外取締役の場合、金融機関出身者が約25%を占め、約5%を占める大手商社出身者と合わせて約3割を占めます。
女性役員の比率は依然として低い水準に留まっています。社外取締役の場合で5%弱です。女性社外取締役の約半数が専門家によって占められ、社外取締役全体と比較すると専門家の占める比率が高く、とりわけ教授職の比率が約56%と非常に高いのが特徴的です。
2.今後の独立社外取締役(東証ベース)の選任についての調査・考察
コーポレートガバナンス・コードの適用開始後は、社外役員の兼任状況は開示情報として扱われ、上場会社のステークホルダーからどのように評価されるかという点がクローズアップされることが予想されます。
では、具体的にはどの様な点がディスクロージャーの観点から重要となるでしょうか。まず、株主総会への出席が可能かどうかが、1つの論点になり得ます。本調査によると、決算期の重複についてはあまり顧慮されていない実態が浮き彫りになりました。株主総会で選任される会社役員が株主総会に出席しないというのは何事かという原則論に立ちかえると、兼任にあたって同じ決算期の企業の決算は回避すべきなのではないかという点も議論となる可能性がありそうです。
次に、社外取締役であれば取締役会、社外監査役であれば監査役会への出席が可能かどうかも論点になり得ます。特に取締役会については、他の上場会社の社外取締役を兼任する社外取締役が出席できない場合には、その兼任(社数)が合理的か否かに疑義が生じる(Cf.補充原則4-11)ことが容易に予想されるからです。また、取締役会や監査役会への出席率が低い社外役員について再任に反対するといった基準を設ける機関投資家の動きも見られていることも看過できないところです。
最後に、同一業種内での兼任についてはどうでしょうか。本調査によると、特に社外取締役において、現状においてすら同一業種内での兼任は回避されている現状が浮き彫りとなりました。今後は同一業種内での兼任は一層難しくなる可能性があると言えます。
最も興味を抱くのは兼任の社数の「合理性」でしょうか。これについては、今の段階で何とも言えません。本調査では、社外取締役で2社まで、社外監査役で3社までと言う兼任社数が多く見られました。社外役員として適切な人材が豊富に存在するかどうかが分からない中、今後この数字が増えるのか減るのか注視したいところです。
取締役会に実効性が求められ(Cf.原則4-11) 、一般論としても社外リソースの活用が言われているため、弁護士や公認会計士と言った専門家を社外役員に選任する動きが活発となる事態も予想されます。一方で、本調査では、社外取締役だけでなく、社外監査役にも弁護士が数多く選任されている実態が確認されています。顧問弁護士も居るなか、複数の弁護士を役員として選任する場合のそれぞれの弁護士に期待する役割をどのように説明すべきかという課題も今後顕在化していく可能性があります。また、本調査では、教授職経験者が社外取締役の中で最も多い専門家という傾向が見られました。高等教育の現場とビジネスの間をつなぐ労働市場の創出自体が課題となる可能性もあります。また、大株主から選任された社外役員や、社内役員の親族からの社外役員選任については反対するといった基準を設ける機関投資家の動きも見られています。間接的に、社外役員に専門家を選任する動きを促進する影響を与える可能性があります。
ところで、原則4-11からは、社外役員に業界ないし自社事業への深い理解を求める動きも起こり得ます。そのような理解が実効的な議論に資すると考えることもできるからです。一度に2人の独立社外取締役を選任する場合、一方を専門家に、もう一方を業界通にというようなセットで検討する企業が現れてもおかしくないでしょう。
さらに、これまでダイバーシティの中核の一つと言われつつも、未だ低迷している女性の活躍の場の提供について、今回のコーポレートガバナンス・コードの対応に際し、上場会社の中で1社でも多くの企業が女性役員の選任を進められるかも注目されるところです。
最後に、独立社外取締役を複数名選任した場合の取締役会の規模はどうなるのでしょうか。取締役会の適正規模が言われて久しいことに鑑みると、独立社外取締役を選任した分を相殺するため既存役員の削減等による入れ替えが行われるかもしれません。現状の社外役員には、独立性の要件を充たさない者も多数含まれていることが予想されるため、独立社外取締役が足りないという問題の裏面として、独立性基準を満たさない社外役員の大量離職と言う事態が進行する事態も予想されます。いずれにしても、各社の対応がどうなるかも見えない中、取締役会の適正規模も上場会社の経営陣を悩ます1つのポイントとなることは間違いないと言えます。
◆ 『株式会社コトラによる社外役員実態報告』ダウンロードサイト
http://www.kotora.jp/contents/survey201504.php
kotorapress(コトラプレス)(関連情報参照)
http://www.kotorapress.com/
株式会社コトラ(http://www.kotora.jp/)について
2002年創業以来、金融業界、コンサルティング業界、経営層を中心とした人材紹介事業を展開。専門性の高いスペシャリストの人材紹介、案件紹介に強みを持ち、取引社数1,000社超、転職登録者30,000人以上。さらに、広範かつ高度化するクライアントニーズへ応える人材ソリューションカンパニーとして、サービスならびに事業を積極的に拡大、展開しています。
本社所在地 : 〒107-0052 東京都港区赤坂1-7-19 キャピタル赤坂ビル2F
代 表 : 代表取締役 大西利佳子
資本金 : 1億円
設立年月日:2002年10月4日
【本件に関するお問い合わせ先】
企業名:株式会社コトラ
担当者名:清水
TEL:03-6277-7050
Email:info@kotora.jp
人材ソリューションカンパニーの株式会社コトラ(東京都港区 代表取締役 : 大西利佳子)は有報提出4,000社(非上場会社を含む)を対象に、直近1年間の「役員の状況」を集計・分析して、これまでの社外取締役や社外監査役について調査しました。その上で、これからの独立社外取締役(東証ベース)について考察しました。本日4月15日(水)より、ダウンロードサイト(http://www.kotora.jp/contents/survey201504.php)からご入手いただけます。
1.これまでの社外取締役/社外監査役の属性・兼任等の状況
『株式会社コトラによる社外役員実態報告』 〜これまでの社外取締役/社外監査役の属性・兼任等の状況と、今後の独立社外取締役(東証ベース)の選任についての調査・考察〜(以下、「本調査」という)は、コーポレートガバナンス・コード適用直前のいまのタイミングにおいて、有価証券報告書の「役員の状況」の掲載情報に基づき、役員の経歴等を集計・分析しました。社外取締役、社外監査役の判別は、 「役員の状況」中の脚注をプログラム解析する方法によりました。つまり、本調査における「社外役員」とは、有価証券報告書で社外取締役あるいは社外監査役と記載されている人を指します。
まず、社外役員の兼任状況を調査しました。具体的には、社外取締役を複数兼任するケースと社外監査役を複数兼任するケースのそれぞれを調査しました。社外取締役・監査役いずれにおいても3社兼任で約95%を占め、4社以上の兼任は極めて例外的であると言えます。また、 3社兼任のケースを例にとり、同一業種(証券コードの区分による)内での兼任状況を調査しました。同一業種内で3社兼任する事例は社外取締役で4%、社外監査役で3%と極めて限られおり、2社兼任する事例も社外取締役で14%、社外監査役で8%に留まりました。さらに、多数社を兼任するケースを調査したところ、社外取締役においては実質的に同一業種での兼任を回避している現状が明らかになりましたが、決算期については、あまり顧慮されることがなかった実態が浮きあがりました。
現状では、社外取締役の約3割、社外監査役に至っては約半数が専門家によって占められています。社外取締役の場合、教授職経験者が最も多く約4割を占め、弁護士資格保有者と公務員経験者が続きます。一方、専門家とは区分されない社外役員の中には、金融機関出身者や大手商社出身者が一定の比率で存在します。社外取締役の場合、金融機関出身者が約25%を占め、約5%を占める大手商社出身者と合わせて約3割を占めます。
女性役員の比率は依然として低い水準に留まっています。社外取締役の場合で5%弱です。女性社外取締役の約半数が専門家によって占められ、社外取締役全体と比較すると専門家の占める比率が高く、とりわけ教授職の比率が約56%と非常に高いのが特徴的です。
2.今後の独立社外取締役(東証ベース)の選任についての調査・考察
コーポレートガバナンス・コードの適用開始後は、社外役員の兼任状況は開示情報として扱われ、上場会社のステークホルダーからどのように評価されるかという点がクローズアップされることが予想されます。
では、具体的にはどの様な点がディスクロージャーの観点から重要となるでしょうか。まず、株主総会への出席が可能かどうかが、1つの論点になり得ます。本調査によると、決算期の重複についてはあまり顧慮されていない実態が浮き彫りになりました。株主総会で選任される会社役員が株主総会に出席しないというのは何事かという原則論に立ちかえると、兼任にあたって同じ決算期の企業の決算は回避すべきなのではないかという点も議論となる可能性がありそうです。
次に、社外取締役であれば取締役会、社外監査役であれば監査役会への出席が可能かどうかも論点になり得ます。特に取締役会については、他の上場会社の社外取締役を兼任する社外取締役が出席できない場合には、その兼任(社数)が合理的か否かに疑義が生じる(Cf.補充原則4-11)ことが容易に予想されるからです。また、取締役会や監査役会への出席率が低い社外役員について再任に反対するといった基準を設ける機関投資家の動きも見られていることも看過できないところです。
最後に、同一業種内での兼任についてはどうでしょうか。本調査によると、特に社外取締役において、現状においてすら同一業種内での兼任は回避されている現状が浮き彫りとなりました。今後は同一業種内での兼任は一層難しくなる可能性があると言えます。
最も興味を抱くのは兼任の社数の「合理性」でしょうか。これについては、今の段階で何とも言えません。本調査では、社外取締役で2社まで、社外監査役で3社までと言う兼任社数が多く見られました。社外役員として適切な人材が豊富に存在するかどうかが分からない中、今後この数字が増えるのか減るのか注視したいところです。
取締役会に実効性が求められ(Cf.原則4-11) 、一般論としても社外リソースの活用が言われているため、弁護士や公認会計士と言った専門家を社外役員に選任する動きが活発となる事態も予想されます。一方で、本調査では、社外取締役だけでなく、社外監査役にも弁護士が数多く選任されている実態が確認されています。顧問弁護士も居るなか、複数の弁護士を役員として選任する場合のそれぞれの弁護士に期待する役割をどのように説明すべきかという課題も今後顕在化していく可能性があります。また、本調査では、教授職経験者が社外取締役の中で最も多い専門家という傾向が見られました。高等教育の現場とビジネスの間をつなぐ労働市場の創出自体が課題となる可能性もあります。また、大株主から選任された社外役員や、社内役員の親族からの社外役員選任については反対するといった基準を設ける機関投資家の動きも見られています。間接的に、社外役員に専門家を選任する動きを促進する影響を与える可能性があります。
ところで、原則4-11からは、社外役員に業界ないし自社事業への深い理解を求める動きも起こり得ます。そのような理解が実効的な議論に資すると考えることもできるからです。一度に2人の独立社外取締役を選任する場合、一方を専門家に、もう一方を業界通にというようなセットで検討する企業が現れてもおかしくないでしょう。
さらに、これまでダイバーシティの中核の一つと言われつつも、未だ低迷している女性の活躍の場の提供について、今回のコーポレートガバナンス・コードの対応に際し、上場会社の中で1社でも多くの企業が女性役員の選任を進められるかも注目されるところです。
最後に、独立社外取締役を複数名選任した場合の取締役会の規模はどうなるのでしょうか。取締役会の適正規模が言われて久しいことに鑑みると、独立社外取締役を選任した分を相殺するため既存役員の削減等による入れ替えが行われるかもしれません。現状の社外役員には、独立性の要件を充たさない者も多数含まれていることが予想されるため、独立社外取締役が足りないという問題の裏面として、独立性基準を満たさない社外役員の大量離職と言う事態が進行する事態も予想されます。いずれにしても、各社の対応がどうなるかも見えない中、取締役会の適正規模も上場会社の経営陣を悩ます1つのポイントとなることは間違いないと言えます。
◆ 『株式会社コトラによる社外役員実態報告』ダウンロードサイト
http://www.kotora.jp/contents/survey201504.php
kotorapress(コトラプレス)(関連情報参照)
http://www.kotorapress.com/
株式会社コトラ(http://www.kotora.jp/)について
2002年創業以来、金融業界、コンサルティング業界、経営層を中心とした人材紹介事業を展開。専門性の高いスペシャリストの人材紹介、案件紹介に強みを持ち、取引社数1,000社超、転職登録者30,000人以上。さらに、広範かつ高度化するクライアントニーズへ応える人材ソリューションカンパニーとして、サービスならびに事業を積極的に拡大、展開しています。
本社所在地 : 〒107-0052 東京都港区赤坂1-7-19 キャピタル赤坂ビル2F
代 表 : 代表取締役 大西利佳子
資本金 : 1億円
設立年月日:2002年10月4日
【本件に関するお問い合わせ先】
企業名:株式会社コトラ
担当者名:清水
TEL:03-6277-7050
Email:info@kotora.jp