ハート出版、『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人』を刊行。中国の侵略招いたチベットに酷似した日本の現況に警鐘。
来日して52年になる亡命チベット人、ペマ・ギャルポ氏の新刊『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人』が出版され、話題を呼んでいる。ペマ氏によれば、今の日本は中国に侵略されたチベットと状況が似ていると言う。チベットでは僧侶をはじめ、心から平和を祈る人々が大勢いた。しかしそんな彼らを中国は無慈悲にも大量に虐殺した。チベットが中国に侵略された最大の原因は、国防をおろそかにしたことだった。チベットの例は、いくら平和を願っても侵略を防ぐことはできず、国防を忌避する姿勢が逆に侵略を招くことを示している。命からがらインドに逃れたペマ氏には、「平和憲法」をかざして国防を忌避する人たちの言葉は、他民族に支配されるという現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」本書には、祖国を失ったペマ氏の願いが込められている。
新刊のお知らせ
タイトル:『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人』
著者名:ペマ・ギャルポ
体裁:四六版・並製・272ページ
定価:1728円(本体:1600円)
配本日:2018年2月8日
書籍紹介:http://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-8024-0046-6.html
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyMjgzOSMxOTc0NDYjMjI4MzlfUm54dXd2SnFtTi5qcGc.jpg ]
著者のペマ・ギャルポ氏は、来日して52年になる亡命チベット人である(現在日本に帰化)。ペマ氏はこの本の中で、今の日本が二つの大きな危機に直面していると指摘している。一つは外的な脅威(中国)であり、もう一つは内的な危機(国民の精神)である。
まず、日本の外的な脅威について。
ペマ氏の目には、今の日本が、中国に侵略され、120万人以上が虐殺された祖国チベットに重なって見えている。というのも、チベットが侵略された原因そのものが、今の日本の根幹に鎮座しているからだ。“平和憲法”のことだ。
ペマ氏は、日本の憲法や、それを支持する多くの知識人、政治家の発言が、「かつてのチベットを滅ぼした言説とまるで同じ幻想にとらわれたもののように見える」と述べている。
チベットにも、心から平和を祈る人々は僧侶をはじめとして、たくさんいた。しかし中国は、そんな彼らを踏みにじり、無慈悲にも虐殺したのだ。
チベットが侵略された最大の原因は、僧侶たちが、国防のための近代的な軍隊の必要性を認識していなかったからである。チベットの例は、どれだけ平和を願っても侵略は阻止できず、国防を忌避する姿勢が逆に侵略を招くことを示している。
中国の侵略を身をもって体験し、命からがらインドに逃れたペマ氏には、「平和憲法」をかざして国防を忌避する人たちの言葉は、他民族に支配されるという現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。
ペマ氏の故郷である東チベットでは、中国人の支配にことごとく反抗し、ゲリラ活動を続けていたが、チベット中央では、東チベットが抵抗するから中国を怒らせ、平和が損なわれるのだという雰囲気があったと言う。このあたりも、今の日本のメディアの言説や、尖閣で領海侵犯する中国船に対する日本政府の対応とよく似ている。
当時のチベットと今の日本の大きな違いは、強力な同盟軍の有無であるが、それがなければ、すでに日本もチベットと同じ運命をたどっていたかもしれない。
ペマ氏は「同じ民族の中に、中国に内通する人間を作り出していくのも、中国の得意なパターンである」と指摘しているが、日本の中にも、中国の侵略を容易にするために行動している日本人が、活動家、政治家、マスメディアの中に大勢いることだろう。
次に、ペマ氏が語る日本の内的な危機について。
この本におけるペマ氏の日本分析の深いところは、日本の強さの源泉は日本人の自然観に基づく「おかげさま」精神にある、と喝破している点だ。ペマ氏は来日当初、日本人が「おかげさまで」という言葉を頻繁に使うことを奇異に感じていた。自分の努力で試験に合格したのに、なぜ人のおかげなのだろうと思い、なかなかその言葉を口に出せなかった。しかし時間をかけて考えていくとペマ氏もその意味するところがはっきりわかってきた。難民である私を、空襲も停電もなく、思う存分勉強できる日本に温かく迎え入れてくれた先生方、日本語をはじめいろいろ教えてくれた周りの方々の応援があればこそ、試験にも合格できたのだ、自分の力だけで達成したという傲慢さを捨て、応援してくれた全ての人々の「おかげさま」によるものだと受け止められるようになってからは、素直に「おかげさまで」という言葉を出せるようになった、という。
かつての日本企業の強みも「おかげさま」精神にあった。自分の会社の成長だけを考えるのではなく、国全体の利益を考え、社員を共同体の一員として守り、社員も会社のために尽くしてきた。
しかし、この美しい礼節、道徳、協調の共同体であった日本の精神は、GHQの統治後、徐々に壊れていき、自らの手でも破壊していった。その結果、日本の強さは失われていき、国力は停滞した。
五輪で金メダルを取った日本人選手が「応援してくださった皆様のおかげで」とコメントするのも、応援者が「日本人すごい」と自然に口に出るのも、両者ともに強い共同体意識があるからだ。しかし残念なことに、「すごいのは日本人じゃない、選手だ」と水を差す人たちが少なからずいる。これは共同体の中の「おかげさま」の関係を断ち切ろうとするものであり、こういった思想が日本を害してきたのだ。
「おかげさま」精神の復興によって日本の国力を高め、外国からの侵略に備えることも重要だが、ペマ氏は「おかげさま」精神は世界平和に貢献するきわめて重要なと思想であると指摘している。
台湾やトルコなど「おかげさま」精神で日本を助けてくれる国がある。その一方で、「おかげさま」精神と対極にある国もあり、日本はいつも酷い目にあっている。
ペマ氏の考えているように、「おかげさま」精神がすみずみまで行き渡った世界は、きっと平和に満ちた世界に違いない。
ペマ氏はダライ・ラマ法王を靖国神社に案内したことがある。チベットにも、靖国の英霊たちと同じく、国家存亡の危機に対し、捨て身の精神で中国軍に立ち向かい、散っていった人たちが大勢いた。しかしその記録は何も残されてない。ペマ氏は靖国神社の存在をうらやましく思ったという。国を失うということは、祖国のために命を捧げた英霊を顕彰することもできなくなる、ということだからだ。
「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」
本書には、祖国を失ったペマ氏の願いが込められている。我々日本人はペマ氏の忠告に真剣に耳を傾けるべきだろう。日本にはもう時間が残されていない。
ハート出版 http://www.810.co.jp/
著者・ペマ・ギャルポ(Pema Gyalpo)について
1953年、チベット・カム地方のニャロンに生まれる。1959年、中国軍の侵略によりインドに脱出。1965年、日本に移住。1976年、亜細亜大学法学部卒業。1980年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表。
現在、拓殖大学客員教授、チベット文化研究所所長、アジア自由民主連帯協議会会長。2005年、日本に帰化。
主な著書に『チベット入門』(日中出版)、『「国」を捨てられない日本人の悲劇』(講談社)、『立ち上がれ日本! 目醒めよ、麗しの国』(雷韻出版)、『中国が隠し続けるチベットの真実 仏教文化とチベット民族が消滅する日』(扶桑社)、『日本人が知らなかったチベットの真実』(海竜社)などがある。
新刊のお知らせ
タイトル:『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人』
著者名:ペマ・ギャルポ
体裁:四六版・並製・272ページ
定価:1728円(本体:1600円)
配本日:2018年2月8日
書籍紹介:http://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-8024-0046-6.html
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyMjgzOSMxOTc0NDYjMjI4MzlfUm54dXd2SnFtTi5qcGc.jpg ]
著者のペマ・ギャルポ氏は、来日して52年になる亡命チベット人である(現在日本に帰化)。ペマ氏はこの本の中で、今の日本が二つの大きな危機に直面していると指摘している。一つは外的な脅威(中国)であり、もう一つは内的な危機(国民の精神)である。
まず、日本の外的な脅威について。
ペマ氏の目には、今の日本が、中国に侵略され、120万人以上が虐殺された祖国チベットに重なって見えている。というのも、チベットが侵略された原因そのものが、今の日本の根幹に鎮座しているからだ。“平和憲法”のことだ。
ペマ氏は、日本の憲法や、それを支持する多くの知識人、政治家の発言が、「かつてのチベットを滅ぼした言説とまるで同じ幻想にとらわれたもののように見える」と述べている。
チベットにも、心から平和を祈る人々は僧侶をはじめとして、たくさんいた。しかし中国は、そんな彼らを踏みにじり、無慈悲にも虐殺したのだ。
チベットが侵略された最大の原因は、僧侶たちが、国防のための近代的な軍隊の必要性を認識していなかったからである。チベットの例は、どれだけ平和を願っても侵略は阻止できず、国防を忌避する姿勢が逆に侵略を招くことを示している。
中国の侵略を身をもって体験し、命からがらインドに逃れたペマ氏には、「平和憲法」をかざして国防を忌避する人たちの言葉は、他民族に支配されるという現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。
ペマ氏の故郷である東チベットでは、中国人の支配にことごとく反抗し、ゲリラ活動を続けていたが、チベット中央では、東チベットが抵抗するから中国を怒らせ、平和が損なわれるのだという雰囲気があったと言う。このあたりも、今の日本のメディアの言説や、尖閣で領海侵犯する中国船に対する日本政府の対応とよく似ている。
当時のチベットと今の日本の大きな違いは、強力な同盟軍の有無であるが、それがなければ、すでに日本もチベットと同じ運命をたどっていたかもしれない。
ペマ氏は「同じ民族の中に、中国に内通する人間を作り出していくのも、中国の得意なパターンである」と指摘しているが、日本の中にも、中国の侵略を容易にするために行動している日本人が、活動家、政治家、マスメディアの中に大勢いることだろう。
次に、ペマ氏が語る日本の内的な危機について。
この本におけるペマ氏の日本分析の深いところは、日本の強さの源泉は日本人の自然観に基づく「おかげさま」精神にある、と喝破している点だ。ペマ氏は来日当初、日本人が「おかげさまで」という言葉を頻繁に使うことを奇異に感じていた。自分の努力で試験に合格したのに、なぜ人のおかげなのだろうと思い、なかなかその言葉を口に出せなかった。しかし時間をかけて考えていくとペマ氏もその意味するところがはっきりわかってきた。難民である私を、空襲も停電もなく、思う存分勉強できる日本に温かく迎え入れてくれた先生方、日本語をはじめいろいろ教えてくれた周りの方々の応援があればこそ、試験にも合格できたのだ、自分の力だけで達成したという傲慢さを捨て、応援してくれた全ての人々の「おかげさま」によるものだと受け止められるようになってからは、素直に「おかげさまで」という言葉を出せるようになった、という。
かつての日本企業の強みも「おかげさま」精神にあった。自分の会社の成長だけを考えるのではなく、国全体の利益を考え、社員を共同体の一員として守り、社員も会社のために尽くしてきた。
しかし、この美しい礼節、道徳、協調の共同体であった日本の精神は、GHQの統治後、徐々に壊れていき、自らの手でも破壊していった。その結果、日本の強さは失われていき、国力は停滞した。
五輪で金メダルを取った日本人選手が「応援してくださった皆様のおかげで」とコメントするのも、応援者が「日本人すごい」と自然に口に出るのも、両者ともに強い共同体意識があるからだ。しかし残念なことに、「すごいのは日本人じゃない、選手だ」と水を差す人たちが少なからずいる。これは共同体の中の「おかげさま」の関係を断ち切ろうとするものであり、こういった思想が日本を害してきたのだ。
「おかげさま」精神の復興によって日本の国力を高め、外国からの侵略に備えることも重要だが、ペマ氏は「おかげさま」精神は世界平和に貢献するきわめて重要なと思想であると指摘している。
台湾やトルコなど「おかげさま」精神で日本を助けてくれる国がある。その一方で、「おかげさま」精神と対極にある国もあり、日本はいつも酷い目にあっている。
ペマ氏の考えているように、「おかげさま」精神がすみずみまで行き渡った世界は、きっと平和に満ちた世界に違いない。
ペマ氏はダライ・ラマ法王を靖国神社に案内したことがある。チベットにも、靖国の英霊たちと同じく、国家存亡の危機に対し、捨て身の精神で中国軍に立ち向かい、散っていった人たちが大勢いた。しかしその記録は何も残されてない。ペマ氏は靖国神社の存在をうらやましく思ったという。国を失うということは、祖国のために命を捧げた英霊を顕彰することもできなくなる、ということだからだ。
「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」
本書には、祖国を失ったペマ氏の願いが込められている。我々日本人はペマ氏の忠告に真剣に耳を傾けるべきだろう。日本にはもう時間が残されていない。
ハート出版 http://www.810.co.jp/
著者・ペマ・ギャルポ(Pema Gyalpo)について
1953年、チベット・カム地方のニャロンに生まれる。1959年、中国軍の侵略によりインドに脱出。1965年、日本に移住。1976年、亜細亜大学法学部卒業。1980年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表。
現在、拓殖大学客員教授、チベット文化研究所所長、アジア自由民主連帯協議会会長。2005年、日本に帰化。
主な著書に『チベット入門』(日中出版)、『「国」を捨てられない日本人の悲劇』(講談社)、『立ち上がれ日本! 目醒めよ、麗しの国』(雷韻出版)、『中国が隠し続けるチベットの真実 仏教文化とチベット民族が消滅する日』(扶桑社)、『日本人が知らなかったチベットの真実』(海竜社)などがある。