母親たちへの調査で、意外な「風邪予防」のポイントが判明! 家庭での“野菜摂取量”が少ない子どもほど、風邪をひきやすい傾向に!?
〜子どもの「風邪」に関する意識・実態調査〜 医師が指南! 子どもの「野菜嫌い」は病気リスクに影響 家庭での野菜トレーニングが、病気リスク低減の近道に
生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、このたび、子どもの「風邪」と「野菜摂取量」の関係性に注目し、レポートをいたします。
1:子どもの「風邪」と「野菜摂取量」の関係性について
寒さが本格化し、風邪をひきやすくなるこれからのシーズン。特に、子どもは免疫力が低いため、大人に比べて風邪の罹患率も高い傾向にあります。
その一方で、風邪をひきやすい子どもと、そうでない子どもがいるのも事実です。特に最近では、うがいや手洗いといった“外側からの予防・対策”だけではなく、食事や睡眠といった“内側からの予防・対策”を重要視する動きも増えています。
中でも、今回トレンド総研が注目したのが「野菜摂取量」です。風邪の予防・対策においては、野菜に多く含まれるビタミンやカロテンをはじめとした栄養素をとることが重要と言われています。それでは、普段から十分な量の野菜を摂取している子どもと、摂取していない子どもでは、風邪の罹患率に違いがあるのでしょうか。
そこでこのたびトレンド総研では、母親500名を対象としたアンケートと、小児科医へのインタビューを通じて、「風邪の罹患率」と「野菜摂取量」の関係性について調査をおこないました。
2:母親に聞く、子どもの「風邪の罹患率」と「野菜摂取量」の関係性
はじめに、3〜12歳の子どもを持つ母親500名を対象に、子どもの「風邪」および「野菜摂取」の実態について調査をおこないました。
<調査概要>
・調査対象:3〜12歳の子どもを持つ母親500名 ※子どもの年齢で均等割付
・調査期間:2018年11月13日〜11月16日
・調査方法:インターネット調査
◆風邪の予防対策のためにとりたい野菜…一方で、家庭における野菜摂取量は推奨値の半分以下?
まず、子どもたちの「風邪」の実態について質問をしました。「昨年、お子様は風邪をひきましたか?」と聞いたところ、実に約9割(88%)が「ひいた」と回答。また、「風邪により高熱(38度以上)を出した」と答えた割合も、58%と6割近くにのぼっています。
続いて、「昨年、お子様は風邪の予防・対策として、どのようなことをしていましたか?」と質問したところ、「手洗い」(86%)と「うがい」(70%)がツートップに。一方で、「食事の内容に気をつける」と答えた人は42%にとどまっています。
そこで、あらためて「風邪の予防・対策において、食事は重要だと思いますか?」と聞いたところ、「重要だと思っているが、食事を通じた予防対策は十分とは言えない」と回答した母親が最多となり、63%と6割超になりました。具体的に、「どのような食事をとったほうが良いと思うか」を聞くと、「ビタミンの多く含まれる野菜」(36歳)、「緑黄色野菜の多い食事」(41歳)などの回答が多くあがっています。
一方で母親たちに、子どもの家庭における野菜摂取量(※1)を聞いたところ、平均は1日あたり「114.9g」という結果に。今回の調査対象条件のうち、最も年齢が低い3歳児でも、1日あたりの野菜摂取量の目安は「240g」(※2)とされており、推奨値の半分以下しか野菜がとれていないということになります。
※1:昼食については、学校給食ではなく家庭における食事として回答
※2:厚生労働省が推奨する「4つの食品群の年齢別・性別・身体活動レベル別食品構成」/身体活動レベル?(ふつう)より
◆家庭での“野菜摂取量”が少ない子どもほど、風邪をひきやすく、こじらせやすい!?
そこで今回は、調査対象を「家庭における子どもの1日あたりの野菜摂取量」に応じて、「100g未満」「100〜199g」「200g以上」の3グループに分類。その上で、前問の子どもの「風邪」の実態に関する質問の回答をグループごとに比較したところ、次のような結果になりました。
■「昨年、子どもが風邪をひいた」と回答した母親の割合
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「100g未満」のグループ:89%
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「100〜199g」のグループ:90%
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「200g以上」のグループ:77%
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyNzQ2MyMyMTI5MzQjMjc0NjNfR1VFRmNKZ1d0Si5qcGc.jpg ]
■「昨年、子どもが風邪により高熱(38度以上)を出した」と回答した母親の割合
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「100g未満」のグループ:65%
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「100〜199g」のグループ:55%
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「200g以上」のグループ:43%
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyNzQ2MyMyMTI5MzQjMjc0NjNfdFZkb01mVWNhRS5qcGc.jpg ]
1日あたりの野菜摂取量が「200g以上」のグループは、「100g未満」「100〜199g」の2グループと比較して、風邪の罹患率が10ポイント以上も低い結果に。野菜摂取量が多いグループほど、風邪をひきにくい傾向にあることがわかります。
また、風邪が悪化して「高熱を出した割合」においても、「100g未満」のグループは65%であるのに対して、「200g以上」のグループは43%。両者を比べると、こちらも20ポイント以上の差が生じており、野菜摂取量が多い子どもは風邪をひいても悪化しづらい様子がうかがえます。
逆に、家庭での野菜摂取量が少ない子どもは風邪をひきやすく、かつ、こじらせやすい傾向にあり、野菜嫌いの子どもほど注意が必要であると言えるでしょう。
一方で、「お子様の野菜嫌いを克服させるために、何かやっていることはありますか?」と聞いた質問では、子どもに嫌いな野菜がある家庭のうち、53%と半数以上が「ない」と回答。野菜嫌い克服のための対策に手がまわっていない家庭が多いようです。
3:専門家に聞く、風邪の予防対策における野菜摂取の重要性
こうした背景をふまえて、今回は小児科医でなごみクリニック院長の武井智昭先生に、風邪の予防対策における野菜摂取の重要性についてお話をお伺いしました。
<専門家プロフィール>
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyNzQ2MyMyMTI5MzQjMjc0NjNfS1VoanpuQ3JOby5qcGc.jpg ]
武井智昭(たけいともあき)小児科医/なごみクリニック院長
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。「めざましテレビ」などの情報番組をはじめとしたメディア出演もおこなう。?
◆野菜摂取は「免疫力アップ」に有効! ただし、「一時的」ではなく「継続的」にとることがポイント
風邪対策においては、うがいや手洗いなどに加え、食事や睡眠を通じて「免疫力」をアップさせることが重要になります。免疫力とは、体の中に侵入した細菌やウイルスなどから、自分の身を守る力のこと。免疫力が高い人ほど、風邪だけでなく他の病気にかかるリスクも低くなります。
そして、免疫力を高める上で重要なポイントが「腸内環境」です。免疫細胞は、およそ6〜7割と大多数が腸内に存在しています。風邪やインフルエンザのシーズンに野菜やヨーグルトが注目されるのは、これらの食材が腸内に働きかけて免疫細胞を活性化する働きが期待できるからです。ただし、風邪のシーズンだけ野菜をとるのは本質的ではありません。免疫力を高めるには、一時的に野菜の量を増やすのではなく、年間を通じて意識的に野菜をとることが重要です。
また、野菜はできるだけ、いろいろな種類のものをバランスよく食べるのがおすすめ。例えばトマト、カボチャなどの緑黄色野菜には抗酸化作用が高いものが多く、免疫強化につながります。また、キャベツやレタスなどの野菜も食物繊維が多く含まれており、腸内環境をよくする上でおすすめです。そのほか、にんじんなどに多く含まれる「ビタミンA」は鼻や喉の粘膜を強化して細菌が体内に侵入するリスクを軽減してくれますし、パプリカやブロッコリーには風邪対策の定番である「ビタミンC」が豊富に含まれています。好きな野菜1つを大量に食べるのではなく、いろいろな野菜を組み合せてとるように心がけましょう。
◆野菜嫌いの子どもは風邪をひきやすい傾向に! さらに、野菜摂取量は成人後の病気リスクにも影響!?
風邪対策に限らず、病気を予防して健康な体を維持する上で、野菜摂取は非常に重要です。しかし、野菜嫌いな子どもは、自身の健康を向上させるチャンスを日々逃していることになります。実際に、小児科医として患者さんに接する中でも、野菜嫌いの子どもは風邪などの病気にかかりやすい傾向があります。
また、野菜は子どものころの野菜摂取量が、成人後の摂取量に影響するとも言われています。つまり、子どものときに野菜嫌いな子どもは、大人になっても野菜が苦手なままであるケースが多いということです。そして、野菜の摂取量が少ない成人は、糖尿病や動脈硬化などの病気リスクも高まります。健康長寿のためには、子どものうちからの野菜摂取習慣が非常に重要ということです。
◆学校給食では不十分! 家庭での「ベジトレ」が大きなカギに…まずは野菜ジュースや野菜スープから
なお、野菜摂取量の推奨値は、3〜5歳児が240g、6〜7歳が270g、8〜9歳が300g、10歳以上は成人と同じく350gです。これらをクリアするには、学校給食では到底不十分。家庭での野菜摂取が大きなカギになります。
とはいえ、野菜嫌いな子どもに無理やり食べさせると逆効果になってしまうこともあるでしょう。最近では、子どもを野菜好きにするためのトレーニングを指す「ベジトレ」という言葉も出てきていますが、野菜を我慢して食べさせるのではなく、楽しく野菜を食べられるように工夫することが重要です。
その上でまずおすすめなのが、野菜ジュースや野菜スープ。野菜嫌いな子どもたちは、形を見ただけで拒否反応を示すことが多いため、まずは食材の見た目を変えてみるのが良いでしょう。そして、ジュースやスープで野菜摂取ができたことをパパやママがしっかりほめてあげると、子どもたちも自信がつくと思います。
また最近は、幼稚園児や小学生でも便秘を訴えることが増えているのですが、腸内環境の悪い子どもは、間食にスナック菓子やジュースを食べている場合が多いです。これらを、甘みのあるスムージーや野菜ジュースに変えてみるだけでも、摂取量アップのチャンスが増えます。その後は、野菜を刻んでカレーやハンバーグなどの好物にまぜこんだり、星やハートの型で形を変えたりと、少しずつステップアップしていけると良いですね。
野菜好きになるためのトレーニングをおこなうことは、目の前の風邪対策だけでなく、子どもの一生の健康を守ることにもつながります。ぜひ、親子で楽しみながら「ベジトレ」に取り組んでみてください。
生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、このたび、子どもの「風邪」と「野菜摂取量」の関係性に注目し、レポートをいたします。
1:子どもの「風邪」と「野菜摂取量」の関係性について
寒さが本格化し、風邪をひきやすくなるこれからのシーズン。特に、子どもは免疫力が低いため、大人に比べて風邪の罹患率も高い傾向にあります。
その一方で、風邪をひきやすい子どもと、そうでない子どもがいるのも事実です。特に最近では、うがいや手洗いといった“外側からの予防・対策”だけではなく、食事や睡眠といった“内側からの予防・対策”を重要視する動きも増えています。
中でも、今回トレンド総研が注目したのが「野菜摂取量」です。風邪の予防・対策においては、野菜に多く含まれるビタミンやカロテンをはじめとした栄養素をとることが重要と言われています。それでは、普段から十分な量の野菜を摂取している子どもと、摂取していない子どもでは、風邪の罹患率に違いがあるのでしょうか。
そこでこのたびトレンド総研では、母親500名を対象としたアンケートと、小児科医へのインタビューを通じて、「風邪の罹患率」と「野菜摂取量」の関係性について調査をおこないました。
2:母親に聞く、子どもの「風邪の罹患率」と「野菜摂取量」の関係性
はじめに、3〜12歳の子どもを持つ母親500名を対象に、子どもの「風邪」および「野菜摂取」の実態について調査をおこないました。
<調査概要>
・調査対象:3〜12歳の子どもを持つ母親500名 ※子どもの年齢で均等割付
・調査期間:2018年11月13日〜11月16日
・調査方法:インターネット調査
◆風邪の予防対策のためにとりたい野菜…一方で、家庭における野菜摂取量は推奨値の半分以下?
まず、子どもたちの「風邪」の実態について質問をしました。「昨年、お子様は風邪をひきましたか?」と聞いたところ、実に約9割(88%)が「ひいた」と回答。また、「風邪により高熱(38度以上)を出した」と答えた割合も、58%と6割近くにのぼっています。
続いて、「昨年、お子様は風邪の予防・対策として、どのようなことをしていましたか?」と質問したところ、「手洗い」(86%)と「うがい」(70%)がツートップに。一方で、「食事の内容に気をつける」と答えた人は42%にとどまっています。
そこで、あらためて「風邪の予防・対策において、食事は重要だと思いますか?」と聞いたところ、「重要だと思っているが、食事を通じた予防対策は十分とは言えない」と回答した母親が最多となり、63%と6割超になりました。具体的に、「どのような食事をとったほうが良いと思うか」を聞くと、「ビタミンの多く含まれる野菜」(36歳)、「緑黄色野菜の多い食事」(41歳)などの回答が多くあがっています。
一方で母親たちに、子どもの家庭における野菜摂取量(※1)を聞いたところ、平均は1日あたり「114.9g」という結果に。今回の調査対象条件のうち、最も年齢が低い3歳児でも、1日あたりの野菜摂取量の目安は「240g」(※2)とされており、推奨値の半分以下しか野菜がとれていないということになります。
※1:昼食については、学校給食ではなく家庭における食事として回答
※2:厚生労働省が推奨する「4つの食品群の年齢別・性別・身体活動レベル別食品構成」/身体活動レベル?(ふつう)より
◆家庭での“野菜摂取量”が少ない子どもほど、風邪をひきやすく、こじらせやすい!?
そこで今回は、調査対象を「家庭における子どもの1日あたりの野菜摂取量」に応じて、「100g未満」「100〜199g」「200g以上」の3グループに分類。その上で、前問の子どもの「風邪」の実態に関する質問の回答をグループごとに比較したところ、次のような結果になりました。
■「昨年、子どもが風邪をひいた」と回答した母親の割合
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「100g未満」のグループ:89%
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「100〜199g」のグループ:90%
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「200g以上」のグループ:77%
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyNzQ2MyMyMTI5MzQjMjc0NjNfR1VFRmNKZ1d0Si5qcGc.jpg ]
■「昨年、子どもが風邪により高熱(38度以上)を出した」と回答した母親の割合
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「100g未満」のグループ:65%
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「100〜199g」のグループ:55%
・子どもの1日あたりの野菜摂取量が「200g以上」のグループ:43%
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyNzQ2MyMyMTI5MzQjMjc0NjNfdFZkb01mVWNhRS5qcGc.jpg ]
1日あたりの野菜摂取量が「200g以上」のグループは、「100g未満」「100〜199g」の2グループと比較して、風邪の罹患率が10ポイント以上も低い結果に。野菜摂取量が多いグループほど、風邪をひきにくい傾向にあることがわかります。
また、風邪が悪化して「高熱を出した割合」においても、「100g未満」のグループは65%であるのに対して、「200g以上」のグループは43%。両者を比べると、こちらも20ポイント以上の差が生じており、野菜摂取量が多い子どもは風邪をひいても悪化しづらい様子がうかがえます。
逆に、家庭での野菜摂取量が少ない子どもは風邪をひきやすく、かつ、こじらせやすい傾向にあり、野菜嫌いの子どもほど注意が必要であると言えるでしょう。
一方で、「お子様の野菜嫌いを克服させるために、何かやっていることはありますか?」と聞いた質問では、子どもに嫌いな野菜がある家庭のうち、53%と半数以上が「ない」と回答。野菜嫌い克服のための対策に手がまわっていない家庭が多いようです。
3:専門家に聞く、風邪の予防対策における野菜摂取の重要性
こうした背景をふまえて、今回は小児科医でなごみクリニック院長の武井智昭先生に、風邪の予防対策における野菜摂取の重要性についてお話をお伺いしました。
<専門家プロフィール>
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyNzQ2MyMyMTI5MzQjMjc0NjNfS1VoanpuQ3JOby5qcGc.jpg ]
武井智昭(たけいともあき)小児科医/なごみクリニック院長
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。「めざましテレビ」などの情報番組をはじめとしたメディア出演もおこなう。?
◆野菜摂取は「免疫力アップ」に有効! ただし、「一時的」ではなく「継続的」にとることがポイント
風邪対策においては、うがいや手洗いなどに加え、食事や睡眠を通じて「免疫力」をアップさせることが重要になります。免疫力とは、体の中に侵入した細菌やウイルスなどから、自分の身を守る力のこと。免疫力が高い人ほど、風邪だけでなく他の病気にかかるリスクも低くなります。
そして、免疫力を高める上で重要なポイントが「腸内環境」です。免疫細胞は、およそ6〜7割と大多数が腸内に存在しています。風邪やインフルエンザのシーズンに野菜やヨーグルトが注目されるのは、これらの食材が腸内に働きかけて免疫細胞を活性化する働きが期待できるからです。ただし、風邪のシーズンだけ野菜をとるのは本質的ではありません。免疫力を高めるには、一時的に野菜の量を増やすのではなく、年間を通じて意識的に野菜をとることが重要です。
また、野菜はできるだけ、いろいろな種類のものをバランスよく食べるのがおすすめ。例えばトマト、カボチャなどの緑黄色野菜には抗酸化作用が高いものが多く、免疫強化につながります。また、キャベツやレタスなどの野菜も食物繊維が多く含まれており、腸内環境をよくする上でおすすめです。そのほか、にんじんなどに多く含まれる「ビタミンA」は鼻や喉の粘膜を強化して細菌が体内に侵入するリスクを軽減してくれますし、パプリカやブロッコリーには風邪対策の定番である「ビタミンC」が豊富に含まれています。好きな野菜1つを大量に食べるのではなく、いろいろな野菜を組み合せてとるように心がけましょう。
◆野菜嫌いの子どもは風邪をひきやすい傾向に! さらに、野菜摂取量は成人後の病気リスクにも影響!?
風邪対策に限らず、病気を予防して健康な体を維持する上で、野菜摂取は非常に重要です。しかし、野菜嫌いな子どもは、自身の健康を向上させるチャンスを日々逃していることになります。実際に、小児科医として患者さんに接する中でも、野菜嫌いの子どもは風邪などの病気にかかりやすい傾向があります。
また、野菜は子どものころの野菜摂取量が、成人後の摂取量に影響するとも言われています。つまり、子どものときに野菜嫌いな子どもは、大人になっても野菜が苦手なままであるケースが多いということです。そして、野菜の摂取量が少ない成人は、糖尿病や動脈硬化などの病気リスクも高まります。健康長寿のためには、子どものうちからの野菜摂取習慣が非常に重要ということです。
◆学校給食では不十分! 家庭での「ベジトレ」が大きなカギに…まずは野菜ジュースや野菜スープから
なお、野菜摂取量の推奨値は、3〜5歳児が240g、6〜7歳が270g、8〜9歳が300g、10歳以上は成人と同じく350gです。これらをクリアするには、学校給食では到底不十分。家庭での野菜摂取が大きなカギになります。
とはいえ、野菜嫌いな子どもに無理やり食べさせると逆効果になってしまうこともあるでしょう。最近では、子どもを野菜好きにするためのトレーニングを指す「ベジトレ」という言葉も出てきていますが、野菜を我慢して食べさせるのではなく、楽しく野菜を食べられるように工夫することが重要です。
その上でまずおすすめなのが、野菜ジュースや野菜スープ。野菜嫌いな子どもたちは、形を見ただけで拒否反応を示すことが多いため、まずは食材の見た目を変えてみるのが良いでしょう。そして、ジュースやスープで野菜摂取ができたことをパパやママがしっかりほめてあげると、子どもたちも自信がつくと思います。
また最近は、幼稚園児や小学生でも便秘を訴えることが増えているのですが、腸内環境の悪い子どもは、間食にスナック菓子やジュースを食べている場合が多いです。これらを、甘みのあるスムージーや野菜ジュースに変えてみるだけでも、摂取量アップのチャンスが増えます。その後は、野菜を刻んでカレーやハンバーグなどの好物にまぜこんだり、星やハートの型で形を変えたりと、少しずつステップアップしていけると良いですね。
野菜好きになるためのトレーニングをおこなうことは、目の前の風邪対策だけでなく、子どもの一生の健康を守ることにもつながります。ぜひ、親子で楽しみながら「ベジトレ」に取り組んでみてください。