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局地豪雨対応の数値予報システムの開発・運用

 財団法人日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:松尾 道彦)は、GPS可降水量等のリアルタイム情報を計算過程にデータ同化させた総合数値予報システム「SYNFOS-3D」を開発(特願2008-226849、2008-226850)し、実運用を開始しました。
 平成20年の暖候期には、短時間強雨や局地的な豪雨が誘引となった洪水や土砂災害が相次いで発生しました。一方、突風・竜巻・降雹などの局地的な突発現象に対する予測ニーズも高まっています。
当協会では、降水予測をはじめとする気象予測精度の向上に取り組み、すでに平成20年春の気象学会でその研究成果を発表しています。
その成果を実用化した「SYNFOS-3D」は、当協会がこれまで運用してきた総合数値予報システム「SYNFOS」の次世代システムです。計算過程にGPS可降水量をはじめとしたリアルタイム情報を同化させることにより、課題とされていた6時間程度先までの降水予測精度と局地的な豪雨の予測精度の向上に成功しました。
「SYNFOS-3D」による降水(降雨・降雪)予測情報は、既に「NEXCO東日本 東北支社」様などの道路管理現場でご活用いただいており、今後、数時間前からの局地的な集中豪雨の監視やダム管理、河川管理、土砂災害監視等にも展開する予定です。

1.「SYNFOS-3D」の特徴
(1)GPS可降水量の同化による降水予測精度の向上
降水予測計算の初期値に、大気中の水分量を表す『GPS可降水量』を同化させることにより、特に3〜6時間程度先までの降水予測精度の向上に成功しました。  
    また、急激に発達する雨雲がもたらす局地的な豪雨に対しても、今年度6月19日に発生した九州筑後川での降雨事例他で高精度な予測を実現しています(図1参照)。
(2)突風・竜巻・降雹などの局地的気象現象の予測に寄与
   『SYNFOS-3D』ではGPS可降水量以外にも上層風などの観測値をリアルタイムで同化させています。
これにより近年、予測情報としてのニーズが高まっている突風・竜巻・降雹などの局地的突発現象の危険度の予測精度向上に寄与しています。

2.今後の予定
 現在『SYNFOS-3D』は1時間毎に5kmメッシュで予測計算を行っています。
今後、さらに予測精度の向上を図り、平成21年度には1時間毎に2kmで詳細かつ高精度な予測情報の提供を目指します。

3.問合せ先
財団法人 日本気象協会 営業統括本部 営業戦略部 営業開発課 広報担当:田中、寺谷
TEL:03-5958-8179, FAX:03-5958-8177, http://www.jwa.or.jp/の問合せ先

4.用 語
?GPS可降水量
 電波は大気中を通過する際わずかに屈折し、その進行は真空中より遅くなる。屈折率は気圧、気温、湿度の関数となる。この性質を利用すると、地上に設置されたGPS受信機で検出される屈折率から大気中に含まれる水蒸気量を推定することができる。地上から大気上端までの水蒸気量を積算した値を「GPS可降水量」と呼ぶ。
 現在、国内約1200箇所に設置されたGEONET (国土地理院GPS連続観測システム)を利用して算出される。
?データ同化
 数値予測を行う際、さまざまな観測データを取りこむことにより、予測計算に使用する初期値の精度を向上させるための手法。
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