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空き家バンクと連携した「さかさま不動産支局」にて相乗効果発揮〜「人」と「家」情報の掛け合わせで、多世代交流拠点への挑戦がマッチング〜

株式会社On-Co(本社:三重県桑名市、以下On-Co)が運営する、物件を借りて挑戦したい想いを可視化して貸主を募集するサービス「さかさま不動産」にて、NPO法人代表による「多世代の交流拠点」への挑戦が、長野県辰野町の物件とマッチングしました。本件は「さかさま不動産 長野支局辰野営業所」が、物件情報の集まる”空き家バンク”と、人情報が集まる”さかさま不動産”の連携スキームを作ることで、成約に至りました。 

貸す気も売る気もない空き家が20年で約1.9倍へ

 深刻化する空き家問題。総務省によると、2018年の空き家率は過去最高となる13.6%(849万戸)で、二次的利用や賃貸・売却予定のない長期不在の住宅は41.1%(349万戸)。2030年には470万戸程に増加すると推計されています (※1※2)。
※1 総務省 「平成30年住宅・土地統計調査」 ※2 国交省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」

物件情報を一般公開しなくとも、借主候補を選べる仕組み

 さかさま不動産は、家の情報ではなく「借り手」の情報を開示してマッチングをするサイトです。
 従来の不動産流通の仕組みを逆にすることで、「貸す人や使途は選びたい」「物件情報を公開せず借り手を探したい」と考える非流通空き家の所有者や、チャレンジ精神を持つ人を地域に誘致する際などに有効です。
 物件所有者からは「情報公開はしたくないが良い人がいたら貸したい」「文化的な使い方をしてほしい」「地域が活性化する人に貸したい」などの相談が増えています。※HP:https://sakasama-fudosan.com/

さかさま不動産×空き家バンクで攻めのまちづくり

 さかさま不動産長野支局辰野営業所(以下、長野辰野支局)を展開しているのは、辰野町まちづくり政策課内にある移住定住・各種協力団体が官民連携体制をとる「たつの暮らしの相談所」。2014年からは空き家バンクを運営(登録数約250件・成約率8割)してきた経験から、潜在的空き家を流通させるには、借主・買主の顔が分かる仕組みが必要と感じていました。
 そこで2022年に、さかさま不動産支局をスタート。物件情報の公開に抵抗がある所有者には、さかさま不動産の仕組みで「良い借主がいたら連れてきます」や「この人(借主候補)はどうですか」と声掛けをするなど、さかさま不動産と空き家バンクの連携で信頼関係を構築。
 結果、空き家バンクの新規登録は1.5倍に加え、これまでは待つしかなかったチャレンジ精神のある人や移住者の情報を入手でき、より良好なマッチングや攻めのまちづくりに向けた環境が整ってきました。
※長野県辰野町:高齢化率約37.70%。1985年の人口23,935人をピークに、年間200人ずつ減少が進む、地方都市から外れた典型的な地域

買主:支局とこまめな情報共有により、最適な物件との出会い

 成約したのは、長野県辰野町にて、多世代が学び合う場を展開するNPO代表理事 菊地ユミさん(43歳)。
 2年程公民館にてフリースクールを運営していましたが、子どもたちが自由に遊べる場の必要性を感じ、物件を探していました。
 そこで2023年秋、「長野辰野支局」のサポートを受けつつ、さかさま不動産に想いを掲載。同年末に心境の変化から希望エリアが変更となり、長野辰野支局へ共有したところ、ちょうど同支局が空き家バンクにて相談を受けていた物件が、該当エリアかつ抵当権が外れるタイミングだったため内覧・成約となりました。
(4月より天井や壁をDIY。5月中旬オープン予定)


[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM3NDU1OCMzMzQwOTIjNzQ1NThfY3RPUlBqck1abS5wbmc.png ]
家主:手放したかった家が、集落の福祉的機能を備える場へ昇華

 成約物件は、中山間地域の集落にある築100年以上の戸建(長野県辰野町)。家主の親が他界後15年程空き家でした。
 家主(76歳)は高齢のため、家の管理(草むしりなど)が負担となっており、空き家バンクへ登録。「誰か住んでくれたら嬉しいけれど、こんな山奥で使う人なんていないだろう」と考えていました。
 今回長野辰野支局から「買主候補としてこの人いかがですか?」と菊地さんの紹介を受け、話を聞く中で、菊地さんのNPOメンバーに家主の知り合い(親友の妹)がいることが発覚。近しい関係性に安心感を得たのに加え、集落に自立的かつ能動的なコミュニティ拠点ができることで、子どもの居場所と高齢者の見守り機能が備わり、福祉的な観点からも効果を生む受け渡しとなりました。
 家主・支局・買主間にて「拠点が完成したら、お墓参りのついでにお茶飲みにきたりして下さい」といった会話が行われていました。

支局:さかさま不動産と空き家バンクの相乗効果

 空き家を地域の資源として捉え、官民連携で移住やまちに関与してくれる人材と繋がる仕組みづくりを図る「長野辰野支局」。さかさま不動産にて”人”の情報を得てから、空き家バンクにて適切な”物件”に繋ぐ相乗効果が視えてきました。
 また今回、潜在的空き家の掘り起こし目的で、菊地さん(買主)のさかさま不動産掲載記事を印刷の上、該当エリアで回覧版をしたことで、拠点開設前から地域内の理解を得られる副次的効果にも繋がりました。

地域と連携してフォローする仕組みへ

 各地の共通課題は、空き家が増え続ける一方、借りられる空き家は少なく、移住断念者が増加している流れ。
 さかさま不動産では単に空き家を埋める事を目的とせず、どんな人がどう活用するのかを、まちづくりの観点から考えることを大切にしています。
 現在は、岐阜県多治見や福岡県香春町など全国16ヶ所に、空き家を介した関係性づくりに共鳴したさかさま不動産支局が開局。借主貸主からの問合せ対応や地域リレーションのサポートを行うとともに、毎月支局同士で地域を越境した情報共有を行い、連携を図っています。
※さかさま不動産支局:空き家を介した関係性づくりを、風土や課題を理解した人たちが地域密着でフォローする仕組み

今後の展開

 空き家を介した関係性づくりに共感が集まり、全国の自治体やまちづくり団体との連携が広がりつつあります。3月25日には広島県呉市(産業部商工振興課)と連携の上「空き家を活用したチャレンジしやすいまちづくり」実証実験が開始。今後も借主と貸主の関係性構築をサポートし挑戦を応援する気風づくりを目指します。

株式会社On-Coについて

共同創業:水谷岳史・藤田恭兵|設立:2019年3月|所在地:三重県桑名市西別所1375|拠点:愛知県名古屋市西区新道1丁目13-15昭和ビル(マダナサソウ)|HP:https://on-co.jp/
ミッションは「未来の前座になる」こと。強みは社会に必要と感じた概念を具現化すること。さかさま不動産や丘漁師組合、上回転研究所、マダナサソウなどのPJを展開している。
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