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構造計画研究所 中高層共同住宅のアウトフレーム制振補強に採光を妨げない新工法を開発

− 住友ゴム工業と共同で「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」を開発し実用化へ着手 −
 株式会社構造計画研究所(本社:東京都中野区、代表取締役社長 兼 CEO:服部正太)は、中高層共同住宅のアウトフレーム補強法に新しい制振工法を開発しました。この工法は、住友ゴム工業株式会社と共同で開発しました「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」を用いており、このダンパーシステムを用いた制振工法については、現在、両社で特許を共同出願中です。

 近年、多様な耐震補強工法が検討される中、居住可能な状態での補強例が増えています。しかしながら、耐震補強、制振補強ともブレース型タイプが主流で補強後は採光や避難経路の問題が生じ、耐震性能の不足から補強したにもかかわらず資産価値(賃料)の低下がともなう場合も出てきております。このような問題を解決し、補強効果も従来工法より耐震性能が格段に向上する「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」を開発し、6月10日の実大実験によりその性能を確認しました。今後はこの「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」の技術性能証明の取得と、これを用いた補強工法の技術性能証明を取得し実物件への適用へと進めて参ります。

■「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」の構造と特徴
 この制振システムは、複数の粘弾性ダンパーユニットと、両先端を球状とする鉄アレー状の軸力伝達機構を基本とした図1のような構造となっております。地震時にはこの軸力伝達機構が建物の軸力のみを上下フレームに伝達させることで、建物各階でのせん断変形を粘弾性ダンパーに集中させ、ダンパーユニットの粘弾性体が大きな履歴ループを描くことにより地震時のエネルギーを吸収します。
 図1「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」の構造 → http://www.kke.co.jp/news/material/100629_01.jpg 

<特徴>
 (粘弾性ダンパーユニット)
 ・ゴムの伸びが十分に大きく、大地震時におけるダンパーの大変形に追従する。
 ・高減衰ゴムは、安定した大きな減衰能力を有している。
 ・温度依存性・周波数依存性が比較的小さい。
 ・長期間の使用に対しても、ゴムの経年変化が少ない。(14年経過の耐久性を確認)
 (軸力伝達機構)
 ・両先端が球状なので、鉛直軸力を負担しながら地震時における水平変形に抵抗を与えない構造。
 ・実験により摩擦係数(ミュー)が0.05以下であることを確認。
 ・解析により水平最大変形時(45mm)で部材が弾性域であることを確認。

■「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」の実大試験による検証
 2010年6月10日に株式会社コベルコ科研 尼崎事業所において実物大の圧縮せん断試験を実施しました。試験は、この粘弾性ダンパーシステムの試験から得られた性能結果が、ダンパー単体性能から算出される基準値と相違ないことを確認するために実施しました。
 試験は静的ジャッキによる鉛直載荷2,000kN下における4ケースの水平載荷(正弦波2ケース、地震応答波2ケース)により実施しました。その結果、等価剛性Keq(N/mm)と等価粘性減衰定数heqにおいて試験結果とダンパー単体の基準値を比較し、本システムが性能証明に記載されている性能値を満足し、想定どおりの制振性能を有することを確認することができました。
 図2 試験体外観 → http://www.kke.co.jp/news/material/100629_02.jpg 

■「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」を用いた工法の概要と特徴
 図3のように、中高層住宅の外側に新たなフレームを施工し、増設スラブで既存建物と一体化を図ります。
 図3「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」を用いた工法の概要
 → http://www.kke.co.jp/news/material/100629_03.jpg 
<特徴>
 ・建物の外側に新たなフレームを設けるため、室内での工事が不要。
 ・柱部にダンパーを設置するので、補強後も視界や採光に影響が少ない。
 ・バルコニー側の補強が可能なため、施工時の設備の盛替えや安全通路の確保が不要。
 ・補強後もベランダ、廊下等の使用性に変化がない。
 ・RC(PCa)アウトフレームに比べ補強による重量増加が少ない。
 ・RC(PCa)アウトフレームに比べ施工期間が短い。

■「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」を用いた工法の有効性
 図4のような1970年代建設の地上14階建て(1-11階SRC造、12-14階RC造)の共同住宅を、現状と「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」を用いた工法(開発工法)による補強の2タイプの地震応答解析を実施しました。結果は、開発工法の最大層間変位角が現状の約1/2となり、その有効性を確認しました。
 図4「軸力伝達機構を有する粘弾性ダンパーシステム」を用いた工法の有効性
 → http://www.kke.co.jp/news/material/100629_04.jpg 

■ 構造計画研究所について
 1959年会社設立。現在、ネットワーク、マルチメディア、情報通信、移動体通信分野から建設、製造分野に至るまでの広範かつ最新のIT技術を駆使したソフトウェア開発ならびにソフトウェアプロダクトを提供。さらにOR・シミュレーション手法を用いた工学・製造分野におけるコンサルティングサービスやマーケティング分野におけるコンサルティングサービスも行っています。また建設・環境分野における数値解析コンサルティングサービスや建築・構造設計分野でも強みを発揮しており、様々な業界に対し、多様なソリューションを提供しています。

※構造計画研究所および、構造計画研究所のロゴは、株式会社構造計画研究所の登録商標です。その他、記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の商標又は登録商標です。
※当社では、お客様やパートナー企業・団体から発表のご承認をいただいた案件のみを公表させていただいております。ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。


【本件に関するお問い合わせ先】
 株式会社構造計画研究所
 〒164-0012 東京都中野区本町4-38-13
 広報担当 佐藤仁宣,松本飛鳥
 TEL:03-5342-1032/FAX:03-5342-1222/e-mail:kkeinfo@kke.co.jp


《関連URL》
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