干潟砂州の安定性を解明!〜沿岸環境・生態系の新たな保全・再生策に寄与〜
[09/01/15]
提供元:@Press
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この度、独立行政法人港湾空港技術研究所(所在地:神奈川県横須賀市、理事長:金澤 寛)の佐々 真志主任研究官と渡部 要一チームリーダーは、従来考慮されてきた波・流れ等の地盤上の水理とは顕著に異なる地盤内部の物理場の役割に着目し、潮汐により日々繰り返される冠水・干出作用にともなう地下水位変化と密接に関係したサクション(注釈1)と呼ばれる土中水分張力の動態が、砂州表層の土砂を繰り返し収縮させて土砂移動の抵抗を顕著に増加させた結果、砂州の不安定化を誘起するレベルの十分大きな水理外力の下での砂州の安定性をもたらしていることを世界で初めて明らかにしました。本研究の成果は、2009年1月15日付で米国科学誌Geophysical Research Letters誌 (注釈2)に掲載されました。
河口・沿岸域に発達する砂州は、波を砕きその背後の海岸を侵食から護る重要な役割を担う一方、嵐の際には沖側に移動し穏やかな海の際に岸側に戻る特性を有しています。しかし、干潟の砂州は、幾度の台風や暴波浪を経験しても“動かない”ことが謎とされており、このような干潟砂州の動的安定性は世界的に注目されてきました。
本研究で得られた知見は、多種多様な生物のすみかとして必要不可欠な安定した干潟地盤環境の設計・管理を実現可能とし、沿岸生態系の保全・回復に大きく資するものです。さらに、干潟砂州の地形変化に及ぼすサクション動態の効果は、地下水位に大きく依存することを解明しており、本研究成果は、将来の海面上昇にともなう干潟の動態予測にも活用することができます。
論文著者 : Shinji Sassa & Yoichi Watabe
論文タイトル: Persistent sand bars explained by geodynamic effects.
雑誌名 : Geophys. Res. Lett.,Vol. 36, L01404, doi:10.1029/2008GL036230. 2009年1月.
( http://www.agu.org/journals/gl/ )
注釈1:土中水分張力を表す物理量で、大気圧に比した土中の負の間隙水圧で定義されます。サクションは、干出時の地下水位上に発達し、冠水時に消失するため、干出・冠水にともない発達・消長の動態を繰り返します。
注釈2:Geophysical Research Letters誌は、世界の地球科学分野におけるTop-cited Journalとして知られており、本論文の内容は同誌査読員より“革新的”との高い評価を受けました。
河口・沿岸域に発達する砂州は、波を砕きその背後の海岸を侵食から護る重要な役割を担う一方、嵐の際には沖側に移動し穏やかな海の際に岸側に戻る特性を有しています。しかし、干潟の砂州は、幾度の台風や暴波浪を経験しても“動かない”ことが謎とされており、このような干潟砂州の動的安定性は世界的に注目されてきました。
本研究で得られた知見は、多種多様な生物のすみかとして必要不可欠な安定した干潟地盤環境の設計・管理を実現可能とし、沿岸生態系の保全・回復に大きく資するものです。さらに、干潟砂州の地形変化に及ぼすサクション動態の効果は、地下水位に大きく依存することを解明しており、本研究成果は、将来の海面上昇にともなう干潟の動態予測にも活用することができます。
論文著者 : Shinji Sassa & Yoichi Watabe
論文タイトル: Persistent sand bars explained by geodynamic effects.
雑誌名 : Geophys. Res. Lett.,Vol. 36, L01404, doi:10.1029/2008GL036230. 2009年1月.
( http://www.agu.org/journals/gl/ )
注釈1:土中水分張力を表す物理量で、大気圧に比した土中の負の間隙水圧で定義されます。サクションは、干出時の地下水位上に発達し、冠水時に消失するため、干出・冠水にともない発達・消長の動態を繰り返します。
注釈2:Geophysical Research Letters誌は、世界の地球科学分野におけるTop-cited Journalとして知られており、本論文の内容は同誌査読員より“革新的”との高い評価を受けました。