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アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向 2016年10月〜12月

[2017年1月30日 東京・シンガポール]
世界10ヵ国で人材紹介事業を展開し、東南アジアでは最大級の規模(※)を誇るジェイ エイ シー リクルートメント グループ(CEO:田崎 ひろみ)は、この度、2016年第4四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向を纏めましたので、お知らせいたします。


■■マレーシア■■
「求人数は前年同四半期比で2.7%減少したが、マネージャー層の求人は引き続き活発」
(対前四半期の求人数 15%減)
JAC Recruitment マレーシア法人社長 大西 信彰

12月にVistage-MIER(マレーシア経済研究所)が発表したCEO Confidence Index(経済動向信頼感指数、CEO回答数は533)によると、第4四半期は72.9ポイントと第3四半期の78.2ポイントから5.3ポイント下降しました。2015年の同時期に比べ7.6ポイント上昇したものの、100ポイントを超えた2013年第3四半期以降継続して閾値である100を下回っています。これは、マレーシアの企業の約7割のCEOは第3四半期に比べ景気が悪化していると感じていることを裏付けるものです。また過半数は引き続き政治の腐敗や縁故主義について是正されるべきと考えており、現政権の舵取りが試されています。
日系企業による積極的な進出が続き、カフェチェーンのサンマルク、ファミリーマートの進出、伊勢丹が「ISETAN The Japan Store」を開店、MRT(大量高速交通システム)導入による明電舎、三菱重工等の参加、日本ハムによる現地養鶏大手との合弁によるハラル食品工場建設など、投資が続いているのは明るい話題です。
一方でJACTIM(マレーシア日本人商工会議所)の調査によると、人件費高騰と優秀な人材確保が在マレーシアの日系企業の大きな課題となっています。また企業幹部からは、ローカルスタッフの経営幹部登用、ひいては経営の現地化も課題と聞いており、本邦親会社や地域統括会社を含めた取り組みが必要となってきています。

【企業の採用動向】
●第3四半期比の求人数は、日系は微増ながら外資が24%減となったことで、全体で15%減となりました(前年同期比では2.7%減)。年末で求人数は全体的に減少しました、これは例年通りの傾向です。その中でマネージャー層の求人は引き続き高い需要があり、前年同期比で見ても基本給与5千〜8千リンギットの層に関わる求人数が17%増加していることからも見て取ることができます。
●政府の外国人労働者雇用凍結政策により、多くの製造業で人手不足が発生。特に製造業で安定した品質の供給に影響が出かねないことから、品質管理に関する人材の需要が増加しています。
●この1年で新たに注目されている再生エネルギーに関する求人も増加しています。
●建築、デベロッパーからは、日系・非日系問わず複合施設要員の求人が増加しています。

【求職者の動向】
登録者数は年末にかけて減少となりましたが、これは例年並みです。旧正月明けの1月28日〜29日以降、求職者は活発に動き始める見通しです。
実際、第4四半期の登録者数は、前年同期比では15%増加、通年ベースでも14%の増加となっており、求職者サイドの活発化が見られます。特に多言語スピーカー人材、および北部のペナン地区での求職者増加が目立ち、昨年の同期比で16%の増加となりました。


■■シンガポール■■
「景気動向の不安はあるものの、転職マーケットは依然活発な状況」
(対前四半期の求人数 3%増)
JAC Recruitment シンガポール法人社長 早瀬 恭

2017年1月1日より外国人就労ビザ審査の基準が更に厳格化されたことで、政府はシンガポール人と永住権保持者の雇用増を期待しています。それに加え、対象となる人材のスキル向上を政府機関がサポートする体制が確立され、企業、国民ともにその恩恵を受けています。

【企業の採用動向】
各企業では2017年の組織編制や就労ビザ関連による人件費の上昇を懸念していることから、新規の求人よりもスタッフの入れ替えによる需要のみに留まり、新規求人数に極端な動きはありませんでした。一方、日系企業による中間管理職の新規採用が増え、特に政府が海外からの投資誘致に注力しているヘルスケア(R&D、医薬、医療機器含む)関連業種による採用が増加傾向にあります。
また、周辺新興国のカンボジアやミャンマーで管理職経験を持つシンガポール人の引き合いが増加しており、サービス業、ホスピタリティー分野などから経験者採用計画に基づく求人依頼を受けています。第4四半期は、外資企業の大手では正社員としての採用以外に契約社員としての採用およびアウトソーシングを活用した採用方式に転換する企業が目立ちました。

【求職者の動向】
例年、第4四半期は求職者の動きは鈍化しますが、2016年はほぼ横ばいで推移しました。英語以外に多言語(韓国語、日本語など)に対応でき、経験豊富なマネージャー職以上の求職者や、IT関連(セキュリティー対策に関わるスペシャリスト人材)の人材不足により、関連職種の給与が高騰しています。


■■タイ■■
「景気は低迷しているが、転職者の意欲は上昇傾向」
(対前四半期の求人数 24%減)
JAC Recruitment タイランド法人社長 山下 勝弘

昨年、70年間国民の尊敬を集め続けた国王の死去により、政治・経済の安定を懸念しています。依然として国民は喪に服しており、娯楽関連の大規模イベントを中心に消費活動の自粛が続いている状態です。自粛は近いうち終息しますが、景気低迷は依然として続いており先の景況感が読めない状態が続いています。

【企業の採用動向】
第4四半期の新規求人は20%以上の落ち込みとなりましたが、企業は新年度の年間採用計画に沿って戦力の増強に動き始めています。特に大手製造業は年間採用計画を立てている企業が多い一方、中小企業やIT・サービス系の企業は経済の状況に応じて採用を行うため、今後の動きは流動的です。

【求職者の動向】
依然として1%前後の失業率は変わらず、慢性的な売り手市場が続いています。タイ在住の日本人に関しては日本の年度が変わる4月以降が転職のピークになり、タイ人の転職者は1月から徐々に活発になり、3月までが一つのピークであることが特徴です。


■■インドネシア■■
「2017年もインフラと消費財、ITビジネスが活況になる見込み」
(対前四半期の求人数 15%減)
JAC Recruitment インドネシア法人社長 小林 千絵

グローバル経済の停滞の影響を受けている中、ジャカルタ州知事の宗教発言が発端で起こったムスリムの大規模なデモが終息。2017年は比較的安定した成長が期待されており、遅れていたインフラ事業も進み始めました。インドネシアではムスリムの大祭時期が日本の正月のような長期休暇の期間ですが、ジャカルタでは年々、多くのインドネシア人が年末のクリスマス休暇の時期も長期休暇を取るようになり、12月後半の経済は落ち着いた状態でした。

【企業の採用動向】
2017年の事業強化戦略にともない営業の人材などの需要が増加した他、発電やインフラ系、不動産、建設資材、消費財、IT、FinTechほか金融業界も活発な動きを見せました。しかし、2016年の積極的な投資から一転し、eコマース業界は若干落ち着きを見せています。日本語人材や日本人は相変わらず人気が高く、特に外国人の就労ビザの発給条件が厳しくなる中、金融業界を中心に優秀な日本語を話す人材の確保が課題となっています。

【求職者の動向】
日本人の就業地としてインドネシアの人気が下降しており、市場からのニーズは高いものの需要を満たすことができない状況です。若い人材のビザの取得が容易なベトナムや、厳しい環境でスキルを高めるためにインドで仕事を探し始める動きが出始めています。


■■ベトナム■■
「eコマースサイト、サービス、不動産、メディカル業界で経験者不足が顕著に」
(対前四半期の求人数 3%減)
JAC Recruitment ベトナム法人社長 加藤 将司

外資系小売サービス業は順調に店舗を拡大してきましたが、ローカル大手の攻勢により競争が激化しています。また、不動産業界は引き続き堅調です。サムスン製スマートフォンの生産中止の問題で、工場があるベトナムでは雇用が影響を受けています。景況感は全体的に悪くはない状況ですが、2015年の同時期に比べると低水準となりました。

【企業の採用動向】
昨年の同時期と比較して採用意欲が低迷した一方、特殊な経験を持つ人材を求める傾向が強くなっています。その中で日系および外資のサービス、小売業がベトナムに進出を進めていることにより採用意欲は活発です。市場での競争激化により、大人数のマネジメントができるマネージャーやダイレクター候補の採用においては、より優秀な人材を採用しビジネスのクオリティ向上を図る企業が増えています。また、不動産関係でも、経験者の採用を急いでいます。

【求職者の動向】
求人数は前期比で微減となりましたが、マネージャー以上の層は強気な活動を行っており、条件面での折り合いがつかないケースが増えてきています。日本など海外就労経験のある人材が自国の発展に貢献する目的でマーケットに参入していることで、競争が激化しています。


■■中国(上海・北京・広州)■■
「企業の採用意欲は依然活発 春節の採用に向け、やや慎重な状況」
(対前四半期の求人数 15%減)
JAC Recruitment 中国法人社長 蓮子 哲也

2016年末にかけ、各種白書や各分野における5ヵ年計画が公表されました。2030年前後までに中国が世界経済の中心になる目標を掲げたほか、中国の高速鉄道や高速道路が世界一になったことなどの発表がありました。2020年までに観光産業の総収入を7兆元、2020年までに電子商取引額を40兆元、インターネット小売額10兆元等の目標をそれぞれ掲げています。

【企業の採用動向】
日系企業では、採用活動が活性化する春節(旧正月)に向け採用を控える企業があり、第4四半期は減少しましたが、自動車産業を中心に人工知能・自動運転関連の求人は依然堅調に増え続けています。上海市や広州市/深セン市の都市部以外の募集も活発化しており、蘇州や広東省など内陸での募集も増えています。

【求職者の動向】
2016年11月、都市部を中心に外国人就業ビザの取得要件の法律が変更となり、優秀な外国人を中国国内で雇用する政府の方針が打ち出されました。日本人就業者への影響はまだ限定的ですが、今後は政府が推進する産業において海外から人材を雇用する動きが加速することが考えられます。


■■香港■■
「2017年の人員計画に伴い求人数は増加 一方で旧正月を控え求職者の動きは鈍化」
(対前四半期の求人数 11%減)
JAC Recruitment 香港法人社長 蓮子 哲也

中国本土をはじめとする世界経済の不透明感や旅行者の減少、住宅市場の低迷、中国本土の産業の台頭や、議会混乱に伴う投資家心理の冷え込み等が要因となり、香港経済の見通しは引き続き不透明な状態が続いています。特に悪化が顕著なのは観光業と小売業で、今年の域内総生産(GRP)成長率が実質で前年比1.5〜2.3%になると予測されています。また日系企業の2017年の昇給率見通しは平均3.5%〜3.7%となり、昨年から伸びが鈍化しています。決して急激に経済が悪化する流れではありませんが、日系企業にとっては産業ごとに状況を見極める必要があります。

【企業の採用動向】
日系企業においては、第3四半期に続き欠員補充による人材ニーズが大半を占めています。それ以外にも年末にかけて2017年の人員計画策定、現地化促進による即戦力となる現地人材採用、外資系マーケット拡大目的、売上好調に伴う人員増など、ニーズが多岐にわたっています。香港経済が先行き不透明のため、新規採用を控える企業が多い中、一方ではそれを好機と捉え積極的に優秀な人材を確保する企業も存在しています。

【求職者の動向】
旧正月を控え、年末は求職者の動きが鈍化しました。例年の傾向ですが、香港では12月末〜1月にかけ支給される年末調整手当や賞与を受け取った後に転職活動をする傾向があります。1月後半〜2月にかけて求職者の動きが活発になることが想定されますが、景気の影響を受け例年並みに求職者が増加するかは未知数です。日本人求職者数は横ばいの状態で、非日系企業を希望する方は依然として増加傾向にあります。


■■韓国■■
「政局混乱により、2017年韓国経済の見通しが立たない状態」
(対前四半期の求人数 10%減)
JAC Recruitment 韓国法人社長 土山 雄一郎

12月上旬、現職大統領の弾劾訴追案が国会で可決された影響により、政局は混乱を極めている状態ですが、現時点では一連の騒動による経済への影響は軽微です。しかし、今後も一連の疑惑からサムスン電子を始めとする大手財閥企業への捜査が継続することが予想されるため、捜査が長引いたり、結果次第では経済への影響は避けて通れないことが予想されます。

【企業の採用動向】
現時点、政局の混乱は企業の採用動向に大きな影響を与えておらず、欠員補充を中心とした採用活動は堅調です。また、米国の新政権の方針により、自動車や鉄鋼を始めとする対米輸出は今後影響が出る可能性があり、製造業を中心とした在韓日系企業に一定の影響を与える可能性があります。

【求職者の動向】
年始明けの長期休暇(ソルラル休暇)前のため、求職者の動きは少々鈍化しました。経済停滞の影響により内定を獲得できない新卒者や第2新卒が増えていますが、一方で例年にも増して語学堪能な高いスキルを持つ人材が増加傾向にあることから、今後彼らが転職市場で動きだすことが予想されます。


■■インド■■
「高額紙幣の廃止問題は採用活動に影響なし」
(対前四半期の求人数 7%減)
JAC Recruitment インド法人社長 筧 裕樹

昨年11月、政府が不正資金根絶を目的に高額紙幣を廃止したことで市場は一時的に停滞しましたが、足元の求人活動にはほぼ影響はありません。しかし、インド統計局のデータでは2016年度の成長率は7.1%と3年ぶりの低水準となりました。

【企業の採用動向】
高額紙幣問題では企業の採用動向には大きな変化が見られず、例年通りの求人数で推移しました。
しかしながら、自動車部品業界など、この影響のゆくえを見守る企業では採用は一時保留となり当初は混乱が見られましたが、現在では落ち着き、採用活動を再開しました。

【求職者の動向】
大きな変化はなく、ディワリ(インド最大の祝日)のシーズンを終え、求職者の活動が活発化しており、昇給時期である3月末まではこの状態が続く見込みです。同時期の内定の獲得者は、通常より高めの給与を希望する傾向があります。


■■日本■■
「米国の大統領就任の影響か、北米で機械・自動車関連の事業要員の採用が増加(機械・自動車業界の北米勤務案件は、前年同期比で71%増)」
(対前四半期の求人数(日本企業の海外関連要員) 2%減)
JAC Recruitment(日本) 海外進出支援室 室長 佐原 賢治

内閣府による現状の景気に対する基調判断は「着実に持ち直している」としており、依然として緩やかな回復が続いています。また、米国の大統領選後の円安・株高も企業や消費者の心理を安定させていますが、年明けの企業トップの年頭所感では2017年の事業環境に対して「不透明(感)」という言葉が目立ちました。

【企業の採用動向】
日本経済は回復が続いていますが、国内の人手不足は一層顕著となっています。日系企業による海外事業要員の採用においては、機械や自動車関連を中心に米国事業の拡大・再編に伴う求人が増え、業界別ではIT、医療機器など幅広い業界で求人が増加しました。

【求職者の動向】
当社全体の第4四半期の新規登録者数は第3四半期に比べて16%と大幅に増加しましたが、海外関連要員の登録は2%減となりました。例年、年明け入社を目指した転職活動が活発化する時期であり、目立った変化はありませんが、引き続き現職中の転職希望者の割合が高く、また現職でのボーナス額も改善していることから、転職先や条件に対する求職者の意思決定には慎重さが感じられます。


ジェイ エイ シー リクルートメントは、1975年に日系企業の海外進出を人材採用面で支援する企業としてイギリスで設立以来、1987年にシンガポール、1988年に日本とビジネスを展開し、現在では世界10ヵ国、26拠点で、国内および海外で成長を目指す企業に対し人材採用面で支援を行っています。当社は今後も優秀な人材の紹介を通じて、企業の成長に貢献してまいります。

(※)自社調べ(アジアで人材紹介事業を展開する同業他社の売上規模を比較)

※各国の求人数の増減については、その国々の景況感による変動や、それぞれの国が講じた戦略(高額帯年収の求人やスペシャリスト層求人に集中など)により、意図的に減る場合もございます。そのため、求人数の増減は直接各国の業績に結び付くものではありません。


◆ジェイ エイ シー リクルートメント グループについて◆
1975年英国で創業。1987年にシンガポールへの進出を皮切りに、1988年に日本、1994年にマレーシアと事業を拡大し、現在ではアジアを中心とする10ヵ国、26拠点で人材紹介事業を展開しています。2012年には、JAC Recruitment Asia Ltdをホールディング・カンパニーとして、英国とアジア8ヵ国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、中国・香港、韓国、ベトナム、インド)に展開する各社を統合。JAC Recruitment Asia Ltdと日本の株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント(東証一部 2124)は、主要出資者を共通とする兄弟会社の関係にあります。

日本 :[URL] http://corp.jac-recruitment.jp (コーポレートサイト)
       http://www.jac-recruitment.jp (転職サイト)
アジア:[URL] http://www.jac-recruitmentasia.com/


※以下のリンクより、より読みやすいPDF版のプレスリリースをご参照ください。
https://www.atpress.ne.jp/releases/120735/att_120735_1.pdf
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