クローン病、潰瘍性大腸炎に効果的なセミベジェタリアン食に関する論文が「World Journal of Gastroenterology」に掲載
[10/06/18]
提供元:@Press
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社会医療法人明和会 中通総合病院 消化器内科の千葉 満郎らは、炎症性腸疾患の再燃防止策としてセミベジェタリアン食を考案し、提供してまいりました。この度、セミベジェタリアン食(※)について論文がLifestyle-related disease in Crohn’s disease: Relapse prevention by a semi-vegetarian dietの表題で「World Journal of Gastroenterology 16巻 page 2484-2495 (5月28日発行)」に掲載されましたのでお知らせします。
※ 論文中のセミベジェタリアン食とは
牛乳、卵を制限しない菜食(ベジェタリアン)で、魚は週に1度、肉は2週に1度で、かつ通常の半量に控えた食事です。
千葉らは2002年より「炎症性腸疾患は西洋化した食事による生活習慣病である」ことを提言し、その再燃防止策としてセミベジェタリアン食を考案しました。
■炎症性腸疾患とセミベジェタリアン食の効果について
炎症性腸疾患(クローン病(Crohn’s disease)と潰瘍性大腸炎)は厚生労働省指定特定疾患(難病)です。この数十年間増加の一途ですが、病因は不明で、根本的治療法はなく再燃を繰り返します。とりわけクローン病は頻繁に再燃し、高い手術率で知られています。クローン病は、寛解しても食事を開始すると、間もなく再燃します。そのため、日本では必要なエネルギー量の半分ほどを成分栄養というアミノ酸まで分解した人工物で摂る治療法が一般的です。このような治療法は生活の質を低下させ、またこのような方法でも再燃は妨げられません。若い人が多い(10〜20代に発症のピーク)だけに罹患者には大変な負担です。
クローン病でのセミベジェタリアン食の寛解維持効果は、これまでの薬物などによるものを遥かに上回り、セミベジェタリアン食を継続すれば多くの症例で、再燃を免れることがわかりました。
この度の論文では、この治療成績とともに、「炎症性腸疾患は生活習慣病」と捉える概念の導入の必要性を訴えております。
セミベジェタリアン食は、現在多くの病院で炎症性腸疾患に勧められている低残渣食とは異なり食物繊維に富んでいます。セミベジェタリアン食を詳述したこの論文が多くの方に読まれ、炎症性腸疾患の再燃防止に役立つことを願っています。
もともと欧米の病気であった炎症性腸疾患を、始めて生活習慣病として捉え、その対策を世界に示した画期的な論文です。
■論文 Original Article
Chiba M, Abe T, Tsuda H, Sugawara T, Tsuda S, Tozawa H, Fujiwara K, Imai H. Lifestyle-related disease in Crohn’s disease: Relapse prevention by a semi-vegetarian diet. World Journal of Gastroenterology 2010; volume 16: page 2484-2495 (5月28日発行)
■論文のまとめ(邦訳)
<目的>
寛解導入直後の再燃高リスク症例でセミベジェタリアン食の再燃予防効果を調査する。
<方法>
1施設での2年間経過をおう前向き調査である。入院し、内科的に(17人)または手術で(5人)寛解し、セミベジェタリアン食を摂取した成人クローン病22例が対象である。退院後もセミベジェタリアン食を継続すること、また炎症性腸疾患で危険食とされている食品を控えることの2点を指導した。クローン病の活動期症状の出現を再燃とした。累積再燃をカプランマイヤー法で分析した。セミベジェタリアン食継続群と中断群での2年間の再燃率を比較した。
<結果>
セミベジェタリアン食は16例で継続された(遵守率73%)。セミベジェタリアン食継続群では16例中15例(94%)で、中断群では6例中2例(33%)が寛解を維持した。継続群の寛解率は1年で100%、2年で92%で、中断群と比べて有意に再燃を防止した(P=0.0003、ログランクテスト)。継続群寛解例のC-reactive protein(CRP C反応性蛋白)は、最終受診時に半数例以上で正常であった:全症例(9例/15例:60%)、終了症例(8/12:67%)、2年経過症例(7/10:70%)。セミベジェタリアン食の副作用はなかった。
<結論>
セミベジェタリアン食はクローン病の再燃防止に極めて有効である。
<画期的なこと>
セミベジェタリアン食の寛解維持率が1年で100%、2年で92%は、これまでの報告の最高である。炎症の指標のCRPが最終受診時に半数例以上で正常であったことから、セミベジェタリアン食を継続すれば、クローン病の半数例以上で再燃しないことが示唆される。
<応用>セミベジェタリアン食は世界のどこででも提供できる。もう一方の炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎にも応用できる。
<論文の入手方法>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/ へアクセスし、“PubMed Tools”の“Single citation Matcher”をクリック。“Journal”に“World”を記入し、“World journal of gastroenterology:WJG”を選択、“Date”, “Volume”, “First page” にそれぞれ “2010”, “16”, “2484” を記入し、“Go”をクリック。“Abstract”が現れる。画面右上の“FREE full text article in PubMed Central”または“FULL-TEXT ONLINE www.wjgnet.com”をクリックする。
【社会医療法人明和会 中通総合病院について】
施設名 : 社会医療法人明和会 中通総合病院
所在地 : 〒010-8577 秋田市南通みその町3-15
院長 : 福田 光之
開設年月日 : 昭和43年10月21日
URL : http://www.meiwakai.or.jp/nakadori/
秋田市の中心部に所在する、540床の私立の総合病院です。
<患者さんの受診の問い合わせ>
中通総合病院 地域医療連携室
TEL :018-833-1122(内線670)
(直通 018-825-1722)
Fax :018-884-7123
※ 論文中のセミベジェタリアン食とは
牛乳、卵を制限しない菜食(ベジェタリアン)で、魚は週に1度、肉は2週に1度で、かつ通常の半量に控えた食事です。
千葉らは2002年より「炎症性腸疾患は西洋化した食事による生活習慣病である」ことを提言し、その再燃防止策としてセミベジェタリアン食を考案しました。
■炎症性腸疾患とセミベジェタリアン食の効果について
炎症性腸疾患(クローン病(Crohn’s disease)と潰瘍性大腸炎)は厚生労働省指定特定疾患(難病)です。この数十年間増加の一途ですが、病因は不明で、根本的治療法はなく再燃を繰り返します。とりわけクローン病は頻繁に再燃し、高い手術率で知られています。クローン病は、寛解しても食事を開始すると、間もなく再燃します。そのため、日本では必要なエネルギー量の半分ほどを成分栄養というアミノ酸まで分解した人工物で摂る治療法が一般的です。このような治療法は生活の質を低下させ、またこのような方法でも再燃は妨げられません。若い人が多い(10〜20代に発症のピーク)だけに罹患者には大変な負担です。
クローン病でのセミベジェタリアン食の寛解維持効果は、これまでの薬物などによるものを遥かに上回り、セミベジェタリアン食を継続すれば多くの症例で、再燃を免れることがわかりました。
この度の論文では、この治療成績とともに、「炎症性腸疾患は生活習慣病」と捉える概念の導入の必要性を訴えております。
セミベジェタリアン食は、現在多くの病院で炎症性腸疾患に勧められている低残渣食とは異なり食物繊維に富んでいます。セミベジェタリアン食を詳述したこの論文が多くの方に読まれ、炎症性腸疾患の再燃防止に役立つことを願っています。
もともと欧米の病気であった炎症性腸疾患を、始めて生活習慣病として捉え、その対策を世界に示した画期的な論文です。
■論文 Original Article
Chiba M, Abe T, Tsuda H, Sugawara T, Tsuda S, Tozawa H, Fujiwara K, Imai H. Lifestyle-related disease in Crohn’s disease: Relapse prevention by a semi-vegetarian diet. World Journal of Gastroenterology 2010; volume 16: page 2484-2495 (5月28日発行)
■論文のまとめ(邦訳)
<目的>
寛解導入直後の再燃高リスク症例でセミベジェタリアン食の再燃予防効果を調査する。
<方法>
1施設での2年間経過をおう前向き調査である。入院し、内科的に(17人)または手術で(5人)寛解し、セミベジェタリアン食を摂取した成人クローン病22例が対象である。退院後もセミベジェタリアン食を継続すること、また炎症性腸疾患で危険食とされている食品を控えることの2点を指導した。クローン病の活動期症状の出現を再燃とした。累積再燃をカプランマイヤー法で分析した。セミベジェタリアン食継続群と中断群での2年間の再燃率を比較した。
<結果>
セミベジェタリアン食は16例で継続された(遵守率73%)。セミベジェタリアン食継続群では16例中15例(94%)で、中断群では6例中2例(33%)が寛解を維持した。継続群の寛解率は1年で100%、2年で92%で、中断群と比べて有意に再燃を防止した(P=0.0003、ログランクテスト)。継続群寛解例のC-reactive protein(CRP C反応性蛋白)は、最終受診時に半数例以上で正常であった:全症例(9例/15例:60%)、終了症例(8/12:67%)、2年経過症例(7/10:70%)。セミベジェタリアン食の副作用はなかった。
<結論>
セミベジェタリアン食はクローン病の再燃防止に極めて有効である。
<画期的なこと>
セミベジェタリアン食の寛解維持率が1年で100%、2年で92%は、これまでの報告の最高である。炎症の指標のCRPが最終受診時に半数例以上で正常であったことから、セミベジェタリアン食を継続すれば、クローン病の半数例以上で再燃しないことが示唆される。
<応用>セミベジェタリアン食は世界のどこででも提供できる。もう一方の炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎にも応用できる。
<論文の入手方法>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/ へアクセスし、“PubMed Tools”の“Single citation Matcher”をクリック。“Journal”に“World”を記入し、“World journal of gastroenterology:WJG”を選択、“Date”, “Volume”, “First page” にそれぞれ “2010”, “16”, “2484” を記入し、“Go”をクリック。“Abstract”が現れる。画面右上の“FREE full text article in PubMed Central”または“FULL-TEXT ONLINE www.wjgnet.com”をクリックする。
【社会医療法人明和会 中通総合病院について】
施設名 : 社会医療法人明和会 中通総合病院
所在地 : 〒010-8577 秋田市南通みその町3-15
院長 : 福田 光之
開設年月日 : 昭和43年10月21日
URL : http://www.meiwakai.or.jp/nakadori/
秋田市の中心部に所在する、540床の私立の総合病院です。
<患者さんの受診の問い合わせ>
中通総合病院 地域医療連携室
TEL :018-833-1122(内線670)
(直通 018-825-1722)
Fax :018-884-7123