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基礎医学医療研究に向けた助成金「生体の科学賞」受賞者が決定 〜第3回受賞者:大阪大学大学院医学系研究科の菊池 章氏〜

公益財団法人金原一郎記念医学医療振興財団(所在地:東京都文京区本郷1丁目28番24号IS弓町ビル7階、代表者:野々村 禎昭)は2019年2月21日(木)、第3回「生体の科学賞」を大阪大学大学院医学系研究科の菊池 章氏に授与することを決定しました。

「生体の科学賞」
http://www.kanehara-zaidan.or.jp/index.html

<受賞者>
氏名 : 菊池 章(きくち あきら)
1956年7月4日生(62歳)※2019年3月8日現在
役職 : 教授
所属 : 大阪大学大学院医学系研究科分子病態生化学
所在地: 大阪府吹田市山田丘2-2
履歴 : 1982年3月 神戸大学医学部卒業
1982年4月〜1983年6月 神戸大学医学部付属病院医員(研修医)
1983年7月〜1984年3月 住友病院内科医員
1984年4月〜1988年3月 神戸大学大学院医学研究科内科系専攻
1988年4月〜1992年5月 神戸大学助手(医学部生化学第一講座)
1992年6月〜1994年11月 神戸大学講師(医学部生化学第一講座)
1992年7月〜1995年1月 University of California、San Francisco,
Cardiovascular Institute, Visiting Research Fellow
1994年12月〜2002年3月 広島大学教授(医学部医学科生化学第一講座)
2002年4月〜2009年11月 広島大学教授(医歯薬学総合研究科分子細胞情報学)
2009年12月〜現在 大阪大学大学院教授(医学系研究科分子病態生化学)


<テーマ>
新規シグナル伝達機構による癌細胞増殖機構の解明と社会実装のための基礎研究
Study on the mechanism of cancer cell proliferation by the novel signal transduction system and its future clinical applications


<授賞式>
授賞式:2019年3月8日(金)16時
株式会社医学書院・会議室
東京都文京区本郷1丁目28番23号
助成金:500万円


<授賞の理由>
本邦における癌の罹患率はいまだ増加を続けています。近年、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など画期的な新薬が開発されているとはいえ、すべての癌患者に福音をもたらすものではなく、新たな分子標的の探索は未だ重要な研究課題です。菊池博士は癌の発生と増殖の鍵を握るβカテニン分子を研究され、その分解機構の解明で顕著な業績を挙げられました。さらにCKAP4という新たな癌細胞増殖制御因子の研究を展開、この分子が膵癌や肺癌の進展に関与することを発見されています。菊池博士の研究が今後も癌の診断や治療に大きく貢献されることを願い、第3回「生体の科学賞」を授与します。


<研究の目的>
Wntは細胞外分泌タンパク質でWntシグナル経路を活性化することにより、細胞の増殖、分化、運動、極性の制御等、多岐にわたる細胞応答を制御する。Wntシグナルは動物の胎生期における発生過程に必須であり、種々の臓器形成を制御する。出生後Wntシグナルは、臓器のホメオスターシスの維持に関与し、再生や修復の過程で活性化される。一方、Wntシグナルが異常に活性化されたり、抑制されたりすると、癌や骨疾患になる。したがって、Wntシグナル研究は基礎生命科学領域からヒト疾患領域まで幅広く包含している。
私共は20年間にわたってWntシグナルによる細胞応答制御とその異常による病態に関する研究を行い、Wntシグナル新規関連分子の同定、Wntシグナルの活性制御機構の解明、Wntシグナルによる上皮形態形成の分子機構の解明、Wntシグナルによる炎症と発癌の増悪の分子機構の解明、癌におけるWntシグナル関連分子を標的とした新規のバイオマーカーと抗癌剤開発等に関する研究成果を挙げてきた。特にWntシグナル伝達経路の中心的な役割を果たすβ-カテニンの分解機構の解明は、論文引用数(EMBO J 1998, 1999等)が2800回を超える等、国際的に高く評価されている。本研究では、最近私共が見出した新規の癌シグナル伝達機構に関する総合的な研究を提案したい。

DKK1(Dickkopf-1)はWntシグナルによる発現誘導される分泌タンパク質で、胎生期にWntシグナルを抑制する(ネガティブフィードバックループを形成する)ことにより、形態形成を制御する。私共はこれまでにDKK1がWnt受容体の一種であるLRP6(low-density lipoprotein receptor-related protein 6)に結合するとクラスリン依存性エンドサイトーシスを誘導する結果、細胞膜表面のLRP6を減少させ、Wntシグナル経路を抑制することを明らかにした(Dev Cell 2006, 2008)。Wntシグナル経路の異常活性化が発癌に関連するため、DKK1は発癌に対して抑制的に機能することが示されてきたが、DKK1が癌細胞増殖を促進することも多数報告された。
しかし、DKK1が細胞増殖や細胞の癌化を促進する分子機構は不明であり、DKK1が活性化する新規シグナル経路を解明することはWntシグナル研究領域において重要な課題であった。

私共は細胞膜上のDKK1結合タンパク質を網羅的に探索し、CKAP4(Cytoskeleton-associated protein 4)を同定した(J Clin Invest 2016)。CKAP4はII型膜貫通タンパク質であり、主に小胞体に局在し、一部のCKAP4が細胞膜にも局在することが報告されていたが、CKAP4の細胞増殖と細胞の癌化との関連は不明であった。DKK1-CKAP4シグナル軸を解析したところ、DKK1刺激によりCKAP4がPI3K(PI3キナーゼ)に結合し、AKTの活性化を介して癌細胞増殖を促進することが明らかになった。すなわち、DKK1の受容体としてLRP6に加えてCKAP4が存在することが判明した。また、免疫組織学的解析により、DKK1(リガンド)とCKAP4(受容体)の両タンパク質の発現が膵癌や肺癌、食道癌症例において高頻度に認められ、DKK1とCKAP4が共に発現している症例が予後不良と相関することも明らかになった。

さらに、私共が作製したCKAP4の細胞外領域を認識する抗CKAP4抗体は、DKK1とCKAP4の結合を抑制することにより、癌細胞によるin vivoでの腫瘍形成能(ヌードマウスでのゼノグラフト皮下腫瘍形成)を阻害した。加えて、細胞膜に存在するCKAP4がエクソソームと共に細胞外に放出されることを見出し、ヒト血清においてCKAP4を検出できるアッセイ系も開発した。その結果、症例数は少ないが、膵癌患者血清中のCKAP4値は健常人血清よりも高値であることが明らかになった。肺癌や食道癌患者で血清DKK1値が健常人よりも高値であることが報告されている。
したがって、私共が見出した新規のDKK1-CKAP4シグナル経路は癌の治療標的になるとともに、血清中のCKAP4およびDKK1の測定値が、抗CKAP4抗体による治療効果を期待できる癌患者を選択できるマーカーになると考えられた。

以上、DKK1は2種類の受容体CKAP4とLRP6を認識することが明らかになったが、DKK1により制御されるCKAP4シグナルとLRP6シグナルがどのように関連して癌細胞増殖制御に関わるのかの分子機構は判然としない。また、私共が見出したDKK1-CKAP4シグナルが臨床応用されるためには、企業への導出が必須であり、そのために抗CAKP4抗体の抗体医薬品やコンパニオン診断薬としての可能性について多角的な基盤的データをアカデミアとして示すことが必要である。本研究では、新規DKK1-CKAP4シグナルに関する総合的な研究を行い、本シグナルの重要性を明らかにし、社会実装のため基盤を確立することを目的とする。


<「生体の科学賞」について>
基礎医学医療研究領域における独自性と発展性のあるテーマに対して、現在進行しているもの、計画立案中など、現時点の状況は問わず、研究に要する費用への支援を目的とした助成金です。「生体の科学賞」と賞の称号を冠していますが、過去の業績のみを対象とするものではなく、今後の研究計画も選考評価の大きなポイントとします。また、所属の異なる複数の研究者による研究内容であっても、本助成金申請者が中心的役割を果たしていれば問題ありません。なお、一定程度の期間経過後に報告書の提出を求めますが、助成金の明細、使途、使用期限に関する制限は設けていません。また、優劣をつけがたい優れた応募がある場合でも受賞は1件なので、一度の不採択に懲りず、再応募されることを期待します。


<「生体の科学賞」選考委員(五十音順・敬称略)>
岡本 仁 : 理化学研究所脳神経科学総合研究センターチームリーダー
金原 優 : 株式会社医学書院代表取締役会長
栗原 裕基 : 東京大学大学院教授
野々村 禎昭: 東京大学名誉教授
藤田 道也 : 浜松医科大学名誉教授
松田 道行 : 京都大学大学院教授


<公益財団法人金原一郎記念医学医療振興財団について>
当財団は、株式会社医学書院の創立者、故金原 一郎の遺志を継ぎ、基礎医学・医療研究への資金援助と人材育成を目的として1986年12月に設立されました。
具体的な活動内容は、基礎医学・医療分野の(1)研究への助成、(2)研究対象の学会・研究会および研究者の海外派遣への助成、(3)外国人留学生への助成、(4)研究成果の出版に対する助成、(5)その他財団の目的を達成する為に必要な事業、などです。
1987年4月より活動を開始、特に主要である助成事業について、対象は国内の研究者にとどまらず、留学生受入助成金もあり、助成金の累積総額は、11億円を超え、今後の活動に一層の期待が寄せられています。
また、これらの事業内容により2012年4月1日に公益財団法人の認定を受けました。
詳細については財団のウェブサイト http://www.kanehara-zaidan.or.jp/ を参照して下さい。
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