「見える化」そして「個別化」へ 地域住民1,100名の健康課題解決への挑戦 大磯産官学事業4ヵ年計画 結果報告 〜サイエンス編〜
[19/10/23]
提供元:@Press
提供元:@Press
高齢者比率が高まる中、全国の自治体では、日々住民の方々の健康維持・向上に様々な方法を模索し、取り組んでおられます。そうした中、大磯町(神奈川県中郡、町長:中崎 久雄)、東海大学(神奈川県平塚市、学長:山田 清志)、医療機器・材料メーカーのアルケア株式会社(東京都墨田区、代表取締役社長:鈴木 輝重)の三者は、2015年度から4年間にわたり、大磯町住民の方々への健康寿命延伸事業※1を、精力的に展開しました。
本事業は『ロコモ※2を診る』ための運動器機能評価『ロコミル』と介護予防事業『おおいそアンチロコモ教室』の2本立てで実施し、参加された住民の方々の健康課題を「見える化」するとともに、個々の住民がそれぞれに課題解決することを促す成果を収められたと考えております。この度、大磯での4年間の実績をサイエンス編、ソーシャル編、エコノミクス編の3回に分けてご報告させていただきます。
※1 2015年度は経済産業省の「平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業」の委託を受け、実施。
※2 日本整形外科学会が2007年に提唱。運動器の障害のために「立つ」、「歩く」などの移動機能の低下をきたした状態のことで、進行すると介護が必要になるリスクが高まる。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/196467/LL_img_196467_1.jpg
大磯町の場所
【大磯産官学事業 4年間の実績】
■1,100名以上の健康課題を見える化 約6割がロコモ!
■継続率85%の介護予防教室 参加者8割の下肢筋力が向上
■産官学連携事業を通じて得られた成果を論文化 医学誌に掲載され、先行事例に
■1,100名以上の健康課題を見える化 約6割がロコモ!
『ロコミル』では大磯町の特定健康診査(集団健診)の場を活用し、日本整形外科学会が定めた「ロコモ度テスト※3」に加え、下肢筋力測定を行い、要介護等の原因の第1位である「運動器の障害」について評価を行ってきました。さらに特定健診の結果のメタボリックシンドロームとの関連についても検討しました。
2015年から開始した『ロコミル』は4年間で初回受診者数※4が1,106名(男性:434名、女性:672名/年齢65.4±7.9歳)になりました。結果として全体の約6割(632名、57.2%)もの地域住民がロコモに該当しており、通常の健診では気付きにくい「運動器機能の低下」という健康課題が顕在化することになりました。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/196467/img_196467_2.jpg
ロコミル測定項目
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/196467/img_196467_3.jpg
4年間の初回受診者分類
※3 立ち上がりテスト(脚力)、2ステップテスト(歩行能力)、ロコモ25(身体状態・生活状況調査)の3つのテストで移動機能の状態を確認する。
※4 ロコミルを初めて受診した人数。翌年に受診しても含まれない。
■継続率85%の介護予防教室 参加者8割の下肢筋力が向上
介護予防教室である『アンチロコモ教室』には、『ロコミル』で運動器機能の低下が認められる方(ロコモ度に該当した方)に直接案内を送付し、参加を促しました。『アンチロコモ教室』は日常に運動習慣を取り入れるための月1回(半年間)の運動教室です。自助をサポートする様々な仕組みで、参加者の行動変容を促すことを目標としており、4年間での教室の継続参加率は85%(304人中257名が継続)と高水準でした。
同教室では整形外科医監修の強度別体操プログラムを採用し、毎月の教室で下肢筋力測定を行い、その結果に応じた強度の体操を毎回指導するというもので、指導の際には、正しいフォームや注意点などの伝達を行いました。
2015-2018年の参加者のうち、教室前後の測定に参加、かつデータ欠損のない251名分の運動器機能評価の変化を見ると、膝を伸ばす力をみる「下肢筋力」、立位バランスをみる「開眼片脚立ち」などの結果が改善しており、特に下肢筋力は参加者の8割以上に向上が認められました。個人に合った強度別の下肢筋力特化型の運動介入によって、筋力を中心に運動器機能に効果が出ることがわかりました。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/196467/img_196467_4.jpg
モチベーション維持のための4つのキーワード
■産官学連携事業を通じて得られた成果を論文化 医学誌に掲載され、先行事例に
私共は大磯町での4年間の2事業の結果を論文化し、それぞれ医学誌に掲載されました。これまで、産官学連携事業に関する事例報告はありましたが、住民の健康維持増進に関する事例を医学誌で論文化した例は少ないのが実情です。住民の高齢化対策に悩む自治体の先行事例として、ご活用いただきたいと考えています。
▽『ロコミル』についての論文
・タイトル:「Evaluation of the association between locomotive syndrome and metabolic syndrome」※5
日本語訳「ロコモティブシンドロームとメタボリックシンドロームの関連性の評価」
内容:(1)従来の健診では見逃されていたロコモリスクを抽出できた
(2)男女共にロコモ度が上がると、下肢筋力体重比※6が下がる
(3)女性においてはロコモとメタボに関連性がある
▽『アンチロコモ教室』についての論文
・タイトル:「高齢女性への運動介入による地域保健プログラムの効果」※7
内容:アンチロコモ教室は下肢の筋力強化の具体策として有用である
※5 Mitani G et al., Evaluation of the association between locomotive syndrome and metabolic syndrome, J Ortho Sci,23(1),2018.
※6 下肢筋力値を体重で除した値。身体の大きさに関わらず、相対的に下肢筋力を把握するための指標。
※7 中村 豊ら, 高齢女性への運動介入による地域保健プログラムの効果, 日本臨床スポーツ医学会雑誌,26(1),2018.
アルケアでは、ご紹介したノウハウや実績を基に、今後もニーズに合わせたサービス・商品を展開してまいります。
詳細なサービス・事業紹介は専用ホームページ( http://www.alcare.co.jp/healthcare/ )をご覧ください。
【関係者紹介】
大磯町(おおいそまち)HP: http://www.town.oiso.kanagawa.jp/
東海大学HP: http://www.u-tokai.ac.jp/
アルケア株式会社HP: http://www.alcare.co.jp
本事業は『ロコモ※2を診る』ための運動器機能評価『ロコミル』と介護予防事業『おおいそアンチロコモ教室』の2本立てで実施し、参加された住民の方々の健康課題を「見える化」するとともに、個々の住民がそれぞれに課題解決することを促す成果を収められたと考えております。この度、大磯での4年間の実績をサイエンス編、ソーシャル編、エコノミクス編の3回に分けてご報告させていただきます。
※1 2015年度は経済産業省の「平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業」の委託を受け、実施。
※2 日本整形外科学会が2007年に提唱。運動器の障害のために「立つ」、「歩く」などの移動機能の低下をきたした状態のことで、進行すると介護が必要になるリスクが高まる。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/196467/LL_img_196467_1.jpg
大磯町の場所
【大磯産官学事業 4年間の実績】
■1,100名以上の健康課題を見える化 約6割がロコモ!
■継続率85%の介護予防教室 参加者8割の下肢筋力が向上
■産官学連携事業を通じて得られた成果を論文化 医学誌に掲載され、先行事例に
■1,100名以上の健康課題を見える化 約6割がロコモ!
『ロコミル』では大磯町の特定健康診査(集団健診)の場を活用し、日本整形外科学会が定めた「ロコモ度テスト※3」に加え、下肢筋力測定を行い、要介護等の原因の第1位である「運動器の障害」について評価を行ってきました。さらに特定健診の結果のメタボリックシンドロームとの関連についても検討しました。
2015年から開始した『ロコミル』は4年間で初回受診者数※4が1,106名(男性:434名、女性:672名/年齢65.4±7.9歳)になりました。結果として全体の約6割(632名、57.2%)もの地域住民がロコモに該当しており、通常の健診では気付きにくい「運動器機能の低下」という健康課題が顕在化することになりました。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/196467/img_196467_2.jpg
ロコミル測定項目
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/196467/img_196467_3.jpg
4年間の初回受診者分類
※3 立ち上がりテスト(脚力)、2ステップテスト(歩行能力)、ロコモ25(身体状態・生活状況調査)の3つのテストで移動機能の状態を確認する。
※4 ロコミルを初めて受診した人数。翌年に受診しても含まれない。
■継続率85%の介護予防教室 参加者8割の下肢筋力が向上
介護予防教室である『アンチロコモ教室』には、『ロコミル』で運動器機能の低下が認められる方(ロコモ度に該当した方)に直接案内を送付し、参加を促しました。『アンチロコモ教室』は日常に運動習慣を取り入れるための月1回(半年間)の運動教室です。自助をサポートする様々な仕組みで、参加者の行動変容を促すことを目標としており、4年間での教室の継続参加率は85%(304人中257名が継続)と高水準でした。
同教室では整形外科医監修の強度別体操プログラムを採用し、毎月の教室で下肢筋力測定を行い、その結果に応じた強度の体操を毎回指導するというもので、指導の際には、正しいフォームや注意点などの伝達を行いました。
2015-2018年の参加者のうち、教室前後の測定に参加、かつデータ欠損のない251名分の運動器機能評価の変化を見ると、膝を伸ばす力をみる「下肢筋力」、立位バランスをみる「開眼片脚立ち」などの結果が改善しており、特に下肢筋力は参加者の8割以上に向上が認められました。個人に合った強度別の下肢筋力特化型の運動介入によって、筋力を中心に運動器機能に効果が出ることがわかりました。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/196467/img_196467_4.jpg
モチベーション維持のための4つのキーワード
■産官学連携事業を通じて得られた成果を論文化 医学誌に掲載され、先行事例に
私共は大磯町での4年間の2事業の結果を論文化し、それぞれ医学誌に掲載されました。これまで、産官学連携事業に関する事例報告はありましたが、住民の健康維持増進に関する事例を医学誌で論文化した例は少ないのが実情です。住民の高齢化対策に悩む自治体の先行事例として、ご活用いただきたいと考えています。
▽『ロコミル』についての論文
・タイトル:「Evaluation of the association between locomotive syndrome and metabolic syndrome」※5
日本語訳「ロコモティブシンドロームとメタボリックシンドロームの関連性の評価」
内容:(1)従来の健診では見逃されていたロコモリスクを抽出できた
(2)男女共にロコモ度が上がると、下肢筋力体重比※6が下がる
(3)女性においてはロコモとメタボに関連性がある
▽『アンチロコモ教室』についての論文
・タイトル:「高齢女性への運動介入による地域保健プログラムの効果」※7
内容:アンチロコモ教室は下肢の筋力強化の具体策として有用である
※5 Mitani G et al., Evaluation of the association between locomotive syndrome and metabolic syndrome, J Ortho Sci,23(1),2018.
※6 下肢筋力値を体重で除した値。身体の大きさに関わらず、相対的に下肢筋力を把握するための指標。
※7 中村 豊ら, 高齢女性への運動介入による地域保健プログラムの効果, 日本臨床スポーツ医学会雑誌,26(1),2018.
アルケアでは、ご紹介したノウハウや実績を基に、今後もニーズに合わせたサービス・商品を展開してまいります。
詳細なサービス・事業紹介は専用ホームページ( http://www.alcare.co.jp/healthcare/ )をご覧ください。
【関係者紹介】
大磯町(おおいそまち)HP: http://www.town.oiso.kanagawa.jp/
東海大学HP: http://www.u-tokai.ac.jp/
アルケア株式会社HP: http://www.alcare.co.jp