2019年度 薬剤耐性問題を総括 新たな課題と展望
[20/03/26]
提供元:@Press
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抗菌薬が効かない薬剤耐性(AMR)の問題が世界中で深刻化しています。このままでは、2050年には薬剤耐性による死亡者数ががんによる現在の死亡者数を上回るとされ、早急に対策を行うことが必要とされています。日本においても薬剤耐性菌を増やさない、拡散させないための取り組みが始まっています。
AMR臨床リファレンスセンターは、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランに基づく取り組みを行う目的で2017年4月に厚生労働省の委託事業として設立されました。AMRに関する情報を広く集め問題を分析し結果をわかりやすく示すこと、国民の皆さんと医療従事者の方々にAMR対策に必要な知識を伝えることが、AMR臨床リファレンスセンターの役割です。
当センター設立1年目は、体制作りに時間をかけて強化してきました。2年目からは全国レベルの大規模な調査を行い、3年目となる2019年度には薬剤耐性の日本における現状を数字として表すことができました。薬剤耐性がどれほどの問題なのか、医師や一般国民は何にどう気を付けたらよいのか、この調査で浮き彫りにすることができました。
薬剤耐性菌については未知の部分が多く、すべてを把握するのには時間がかかるかもしれません。
難しい側面が多々ありますが、あきらめずに今後も調査を続けてまいります。
AMR臨床リファレンスセンター センター長
大曲 貴夫(おおまがり のりお)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_5.jpg
AMR臨床リファレンスセンター センター長 大曲 貴夫
〈調査結果から見えてきた国内の薬剤耐性の現状〉
1.薬剤耐性菌の菌血症で“年間8,000人”が死亡
薬剤耐性菌であるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、FQREC(フルオロキノロン耐性大腸菌)による菌血症の死亡者は、年間約8,000人を超える。MRSAは減少しているが、FQRECは増加。
2.薬剤耐性菌の分布や抗菌薬使用量には地域差がある
大腸菌のフルオロキノロン耐性は西高東低の傾向。地域により事情が異なるため、対策は個々に。
3.急性気道感染症の30%以上に抗菌薬が処方されている
小さな子どもや高齢者よりも、19〜29歳と一番健康であると考えられる年代に抗菌薬が処方される割合が高い。
4.抗菌薬に関する正しい知識はなかなか広まらない
当センターでは、さまざまなメディアを通して情報を発信しているが、正しい知識を持つ人の割合は横ばい。さらなる働きかけが必要。
■年間8,000人が2種類の薬剤耐性菌による菌血症で死亡
今までは薬剤耐性による影響に関し、具体的な数字がないことから、その問題の大きさを伝えにくいという側面がありました。
今回、MRSAとFQREC(フルオロキノロン耐性大腸菌)による菌血症の死亡者が年間約8,000人であると推定され、薬剤耐性は日本でも深刻な問題となっていることがわかりました。
菌血症とは、血液中は本来無菌ですが、感染した細菌が増殖して血液中に入り、全身をめぐっている状態をいいます。免疫が低下したり、持病を抱えている人は重篤な病気に発展する可能性がある状態です。今回は2種類の耐性菌の調査結果であり、他の耐性菌について検討すれば死亡者はさらに増えると予想されます。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_1.jpg
MRSAおよびFQRECによる菌血症死亡数(推定)の推移
■大腸菌の薬剤耐性率は地域差がある
大腸菌のフルオロキノロン耐性率は、東日本より西日本や九州が高いという西高東低の地域差がみられました。
これはフルオロキノロン系抗菌薬の処方量とも関係があるのではないかと考えています。実際にフルオロキノロン系抗菌薬の処方量も西高東低の傾向があります。フルオロキノロン系抗菌薬は肺炎や尿路感染症など、本当に抗菌薬が必要な病気より、本来抗菌薬は不要な風邪に処方される頻度の方が高いこともわかっており、問題だと感じています。
この調査結果を受けて、問題意識を高め、対策活動を行おうとする地域も出てきました。また、まだ対策までには至らないが意識が高まったという声も聞いています。
数字には力があります。今年度はこのような調査結果が発表できたことで、大きな一歩を踏み出したと考えています。
今後は、調査活動を続けて行くことと、結果から表れたことをベースに、より具体的な対策活動を行っていく予定です。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_2.jpg
大腸菌のフルオロキノロン耐性率(%)(2018年)
■健康な人が多い世代に抗菌薬の投与の割合が多い
2005年頃の研究で抗菌薬が本当に必要な急性気道感染症は5-7%だと報告しています。同時期の研究で、抗菌薬を風邪に処方している割合は60%だという研究結果もありました。つまり本来は必要がないと考えられる処方が半数以上あったということです。現在は急性気道感染症への抗菌薬処方は30%台まで下がっていますが、まだ割合は高いといえます。
今回の調査で特に驚いたことは、19歳から29歳の一番元気な年代に、風邪で抗菌薬を処方される割合が高いということです。想像するに、この年代の人たちは、風邪を早く治したいという想いから抗菌薬に頼る傾向があるのかもしれません。また、小さい子どもから風邪をもらう機会多いことも影響しているのかもしれません。
この年代別の調査から、教育としてどの年代にどのような情報を提供すればよいのか、より具体的な方法を検討できるようになりました。AMR対策活動における次のステップへ進んだといえるでしょう。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_3.jpg
年齢群別 急性気道感染症100受診あたりの抗菌薬処方件数
■抗菌薬の正しい知識を持つ人の割合はなかなか増えない
人や動物の体の中に存在するありふれた常在菌が、どうして薬剤耐性菌に変わるのか、その要因として抗菌薬の乱用が挙げられます。
抗菌薬により、病原菌だけでなく多数の細菌が死にますが、薬剤耐性を獲得した菌は生き残ります。免疫が弱っている人や持病を持った人が薬剤耐性の菌血症を起こすと、治療薬がないため死に至ることがあります。薬剤耐性菌を自分自身が保菌している場合は、人にうつしてしまう可能性もあります。
薬剤耐性菌を増やさない、広げないためには、抗菌薬の正しい知識を持つことが必要です。医師が風邪に抗菌薬を処方したり、患者側から抗菌薬の処方を求めたり、自己判断で手持ちの抗菌薬をのんでしまうケースも現状ではみられます。
風邪やインフルエンザに抗菌薬は効きませんが、正しく回答した人はこの3年間、全体の1/4以下に留まっています。これまで当センターでは、イベントやキャンペーンなどを通じて抗菌薬の正しい知識を伝えていますが、すべての人に情報を広めるのには時間がかかります。今後も丁寧でわかりやすい情報発信に努めてまいります。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_4.jpg
抗菌薬に関する一般国民の知識|風邪やインフルエンザに抗菌薬(抗生物質)は効果的か?
なぜ薬剤耐性(AMR)が問題になっているのか
国連が「2050年にはAMRで年1000万人が死亡する事態」と警告
〇AMRとは?
AMR(Antimicrobial Resistance:薬剤耐性)とは、本来なら効果があるはずの抗菌薬が効かない、もしくは効きにくくなることです。抗菌薬とは細菌などの微生物が増えるのを抑えたり殺したりする薬です。抗生物質とも言われます。抗菌薬を使用すると、微生物はさまざまな手段で薬から逃げ延びようとし、その結果、抗菌薬が効きにくい薬剤耐性を生じることがあります。体内で増殖した薬剤耐性菌は、人だけでなく、動物や環境にも広がることがあります。
〇AMRは世界が抱える大きな問題
国連は昨年4月に、このまま何も対策をとらなければ2050年までにAMRによって年に1000万人が死亡する事態となり、がんによる現在の死亡者数を超え、経済的にも08〜09年の金融危機に匹敵する破壊的なダメージを受けるおそれがあると警告しました。*本来なら治療可能な病気が、薬が効かないために人が亡くなっていくのは、本当に辛いことです。そうならないために、一人ひとりがAMRの問題に取り組むことが必要とされています。
今やAMRの問題は、人の健康だけでなく動物や環境にも目を配って取り組もうというワンヘルスの考え方に基づき、畜産、水産、農業など各分野で抗菌薬の使用の見直しなどに取り組まれています。
* https://news.un.org/en/story/2019/04/1037471
No Time to Wait: Securing the future from drug-resistant infections
Report to the Secretary-General of the United Nations April 2019
〇AMR対策で私たちにできること
AMRが拡大した原因のひとつに、抗菌薬の不適切な使用があげられます。私たちにできることは、抗菌薬を正しく使用することと病気の感染を予防することです。風邪やインフルエンザなどウイルス性の疾患には、抗菌薬は効きません。医療機関にかかって薬を出されないと不安になるかもしれませんが、医師が抗菌薬はいらないと判断したら、それに従うことがAMR対策になります。そして、処方された場合は医師の指示に従いきちんとのむことが重要です。抗菌薬を正しく使用するとともに、感染症にかからないこと、また人にも感染させないという感染対策が抗菌薬の使用を減らし、AMR対策につながります。
― 私たちにできる AMR対策 ―
●抗菌薬を正しく使う
風邪に抗菌薬は効きません。抗菌薬が必要かな?と思ったら、自己判断で薬を服用せず、医療機関にかかり医師の指示に従いましょう。
抗菌薬をとっておいたり、人にあげたり、もらったりするのはやめましょう。
●感染対策
・手洗い
手洗いは感染対策の基本です。外から帰ったとき、トイレの後、食事前などはしっかり手洗いをしましょう。
・咳エチケット
咳やくしゃみが出るときはマスクをして飛沫が飛ばないようにしましょう。
マスクがない時は、ハンカチや袖の内側などで鼻と口を覆いましょう。
・ワクチン
ワクチンで防げる病気があります。必要なワクチンを適切な時期に打ちましょう。
・感染を広げないことが大切です
感染症で症状(のどの痛み、咳、鼻水、発熱など)がある時は、学校、幼稚園などは休みましょう。職場への出勤は控えましょう。
インフォグラフィックによる「データで振り返る 薬剤耐性の現状2019」はこちらから
URL http://amr.ncgm.go.jp/infographics/010.html
AMR臨床リファレンスセンターは、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランに基づく取り組みを行う目的で2017年4月に厚生労働省の委託事業として設立されました。AMRに関する情報を広く集め問題を分析し結果をわかりやすく示すこと、国民の皆さんと医療従事者の方々にAMR対策に必要な知識を伝えることが、AMR臨床リファレンスセンターの役割です。
当センター設立1年目は、体制作りに時間をかけて強化してきました。2年目からは全国レベルの大規模な調査を行い、3年目となる2019年度には薬剤耐性の日本における現状を数字として表すことができました。薬剤耐性がどれほどの問題なのか、医師や一般国民は何にどう気を付けたらよいのか、この調査で浮き彫りにすることができました。
薬剤耐性菌については未知の部分が多く、すべてを把握するのには時間がかかるかもしれません。
難しい側面が多々ありますが、あきらめずに今後も調査を続けてまいります。
AMR臨床リファレンスセンター センター長
大曲 貴夫(おおまがり のりお)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_5.jpg
AMR臨床リファレンスセンター センター長 大曲 貴夫
〈調査結果から見えてきた国内の薬剤耐性の現状〉
1.薬剤耐性菌の菌血症で“年間8,000人”が死亡
薬剤耐性菌であるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、FQREC(フルオロキノロン耐性大腸菌)による菌血症の死亡者は、年間約8,000人を超える。MRSAは減少しているが、FQRECは増加。
2.薬剤耐性菌の分布や抗菌薬使用量には地域差がある
大腸菌のフルオロキノロン耐性は西高東低の傾向。地域により事情が異なるため、対策は個々に。
3.急性気道感染症の30%以上に抗菌薬が処方されている
小さな子どもや高齢者よりも、19〜29歳と一番健康であると考えられる年代に抗菌薬が処方される割合が高い。
4.抗菌薬に関する正しい知識はなかなか広まらない
当センターでは、さまざまなメディアを通して情報を発信しているが、正しい知識を持つ人の割合は横ばい。さらなる働きかけが必要。
■年間8,000人が2種類の薬剤耐性菌による菌血症で死亡
今までは薬剤耐性による影響に関し、具体的な数字がないことから、その問題の大きさを伝えにくいという側面がありました。
今回、MRSAとFQREC(フルオロキノロン耐性大腸菌)による菌血症の死亡者が年間約8,000人であると推定され、薬剤耐性は日本でも深刻な問題となっていることがわかりました。
菌血症とは、血液中は本来無菌ですが、感染した細菌が増殖して血液中に入り、全身をめぐっている状態をいいます。免疫が低下したり、持病を抱えている人は重篤な病気に発展する可能性がある状態です。今回は2種類の耐性菌の調査結果であり、他の耐性菌について検討すれば死亡者はさらに増えると予想されます。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_1.jpg
MRSAおよびFQRECによる菌血症死亡数(推定)の推移
■大腸菌の薬剤耐性率は地域差がある
大腸菌のフルオロキノロン耐性率は、東日本より西日本や九州が高いという西高東低の地域差がみられました。
これはフルオロキノロン系抗菌薬の処方量とも関係があるのではないかと考えています。実際にフルオロキノロン系抗菌薬の処方量も西高東低の傾向があります。フルオロキノロン系抗菌薬は肺炎や尿路感染症など、本当に抗菌薬が必要な病気より、本来抗菌薬は不要な風邪に処方される頻度の方が高いこともわかっており、問題だと感じています。
この調査結果を受けて、問題意識を高め、対策活動を行おうとする地域も出てきました。また、まだ対策までには至らないが意識が高まったという声も聞いています。
数字には力があります。今年度はこのような調査結果が発表できたことで、大きな一歩を踏み出したと考えています。
今後は、調査活動を続けて行くことと、結果から表れたことをベースに、より具体的な対策活動を行っていく予定です。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_2.jpg
大腸菌のフルオロキノロン耐性率(%)(2018年)
■健康な人が多い世代に抗菌薬の投与の割合が多い
2005年頃の研究で抗菌薬が本当に必要な急性気道感染症は5-7%だと報告しています。同時期の研究で、抗菌薬を風邪に処方している割合は60%だという研究結果もありました。つまり本来は必要がないと考えられる処方が半数以上あったということです。現在は急性気道感染症への抗菌薬処方は30%台まで下がっていますが、まだ割合は高いといえます。
今回の調査で特に驚いたことは、19歳から29歳の一番元気な年代に、風邪で抗菌薬を処方される割合が高いということです。想像するに、この年代の人たちは、風邪を早く治したいという想いから抗菌薬に頼る傾向があるのかもしれません。また、小さい子どもから風邪をもらう機会多いことも影響しているのかもしれません。
この年代別の調査から、教育としてどの年代にどのような情報を提供すればよいのか、より具体的な方法を検討できるようになりました。AMR対策活動における次のステップへ進んだといえるでしょう。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_3.jpg
年齢群別 急性気道感染症100受診あたりの抗菌薬処方件数
■抗菌薬の正しい知識を持つ人の割合はなかなか増えない
人や動物の体の中に存在するありふれた常在菌が、どうして薬剤耐性菌に変わるのか、その要因として抗菌薬の乱用が挙げられます。
抗菌薬により、病原菌だけでなく多数の細菌が死にますが、薬剤耐性を獲得した菌は生き残ります。免疫が弱っている人や持病を持った人が薬剤耐性の菌血症を起こすと、治療薬がないため死に至ることがあります。薬剤耐性菌を自分自身が保菌している場合は、人にうつしてしまう可能性もあります。
薬剤耐性菌を増やさない、広げないためには、抗菌薬の正しい知識を持つことが必要です。医師が風邪に抗菌薬を処方したり、患者側から抗菌薬の処方を求めたり、自己判断で手持ちの抗菌薬をのんでしまうケースも現状ではみられます。
風邪やインフルエンザに抗菌薬は効きませんが、正しく回答した人はこの3年間、全体の1/4以下に留まっています。これまで当センターでは、イベントやキャンペーンなどを通じて抗菌薬の正しい知識を伝えていますが、すべての人に情報を広めるのには時間がかかります。今後も丁寧でわかりやすい情報発信に努めてまいります。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/209085/LL_img_209085_4.jpg
抗菌薬に関する一般国民の知識|風邪やインフルエンザに抗菌薬(抗生物質)は効果的か?
なぜ薬剤耐性(AMR)が問題になっているのか
国連が「2050年にはAMRで年1000万人が死亡する事態」と警告
〇AMRとは?
AMR(Antimicrobial Resistance:薬剤耐性)とは、本来なら効果があるはずの抗菌薬が効かない、もしくは効きにくくなることです。抗菌薬とは細菌などの微生物が増えるのを抑えたり殺したりする薬です。抗生物質とも言われます。抗菌薬を使用すると、微生物はさまざまな手段で薬から逃げ延びようとし、その結果、抗菌薬が効きにくい薬剤耐性を生じることがあります。体内で増殖した薬剤耐性菌は、人だけでなく、動物や環境にも広がることがあります。
〇AMRは世界が抱える大きな問題
国連は昨年4月に、このまま何も対策をとらなければ2050年までにAMRによって年に1000万人が死亡する事態となり、がんによる現在の死亡者数を超え、経済的にも08〜09年の金融危機に匹敵する破壊的なダメージを受けるおそれがあると警告しました。*本来なら治療可能な病気が、薬が効かないために人が亡くなっていくのは、本当に辛いことです。そうならないために、一人ひとりがAMRの問題に取り組むことが必要とされています。
今やAMRの問題は、人の健康だけでなく動物や環境にも目を配って取り組もうというワンヘルスの考え方に基づき、畜産、水産、農業など各分野で抗菌薬の使用の見直しなどに取り組まれています。
* https://news.un.org/en/story/2019/04/1037471
No Time to Wait: Securing the future from drug-resistant infections
Report to the Secretary-General of the United Nations April 2019
〇AMR対策で私たちにできること
AMRが拡大した原因のひとつに、抗菌薬の不適切な使用があげられます。私たちにできることは、抗菌薬を正しく使用することと病気の感染を予防することです。風邪やインフルエンザなどウイルス性の疾患には、抗菌薬は効きません。医療機関にかかって薬を出されないと不安になるかもしれませんが、医師が抗菌薬はいらないと判断したら、それに従うことがAMR対策になります。そして、処方された場合は医師の指示に従いきちんとのむことが重要です。抗菌薬を正しく使用するとともに、感染症にかからないこと、また人にも感染させないという感染対策が抗菌薬の使用を減らし、AMR対策につながります。
― 私たちにできる AMR対策 ―
●抗菌薬を正しく使う
風邪に抗菌薬は効きません。抗菌薬が必要かな?と思ったら、自己判断で薬を服用せず、医療機関にかかり医師の指示に従いましょう。
抗菌薬をとっておいたり、人にあげたり、もらったりするのはやめましょう。
●感染対策
・手洗い
手洗いは感染対策の基本です。外から帰ったとき、トイレの後、食事前などはしっかり手洗いをしましょう。
・咳エチケット
咳やくしゃみが出るときはマスクをして飛沫が飛ばないようにしましょう。
マスクがない時は、ハンカチや袖の内側などで鼻と口を覆いましょう。
・ワクチン
ワクチンで防げる病気があります。必要なワクチンを適切な時期に打ちましょう。
・感染を広げないことが大切です
感染症で症状(のどの痛み、咳、鼻水、発熱など)がある時は、学校、幼稚園などは休みましょう。職場への出勤は控えましょう。
インフォグラフィックによる「データで振り返る 薬剤耐性の現状2019」はこちらから
URL http://amr.ncgm.go.jp/infographics/010.html