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IEEEメンバーが提言 風力タービンの未来-環境にやさしい発電ソリューション-

IEEE(アイ・トリプル・イー)は、世界の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。


みなさんが初めて風力タービンに出会ったのは、高速道路を走行している時の車窓からの景色ではないでしょうか。風力タービンは、大きくて特徴的なたたずまいが印象的であり、また、この動力源が、持続可能なエネルギーソリューションとして地域社会にもたらす手段として世界で広く採用されていることでも象徴的な存在です。
道路沿いの風力発電所の一群を見て、これらの地球を救う大掛かりな装置の背後にある科学技術に興味がわきませんか?
IEEEパワー・アンド・エナジー・ソサエティ(IEEE PES)に所属する2人のメンバー、プヤン・プルベイク氏(Pouyan Pourbeik)とニコラス・ミラー氏(Nicholas Miller)が風力発電の技術の仕組みとその重要性を提言します。


■風力タービンとは?
プルベイク氏は、「簡単に説明するなら、風力タービンは、風の運動エネルギーを、何らかの作業に利用する回転エネルギーに変換する装置です」と述べます。
天然資源である風をエネルギー生産の源として利用することは、技術的には新しい方法ではありません。事実、風力タービンは何世紀にもわたってさまざまな形で開発されてきました。プルベイク氏によると、歴史の記録に残っている最初の風力タービンは7世紀にイランで開発されたもので、穀物を挽き、井戸から水を汲むのに利用されていました。
同氏は「今日の現代的な風力タービンは、回転する機械的エネルギーを、住宅や商業施設、産業に必要な電力を満たす電気エネルギーに変換する発電機の動力として利用されています」と説明します。


■風力はどのように持続可能なテクノロジーなのでしょう?
風力タービンはその電力変換プロセスにより持続可能です。原料を採掘したり燃焼したりし、結果として大量の排出物を生成する化石燃料に比べて、風を利用することは、もっともクリーンなエネルギーを産み出す方法です。風力エネルギーは、こうした炭素排出量を削減する解決策の1つで、大気汚染を無くし最終的に地球に悪影響をもたらす従来の手法から脱する方策となります。
風力のもう1つの利点は、このエネルギー源が無料で潤沢にあることです。ミラー氏は「風力タービンの基礎について講義する際、私はよく『風力タービンは、風力エネルギーをお金に換える装置です』ということから始めます。実は、発電は付随的なもので、利用できるすべてのエネルギーを取り込む風力タービンを作ることはできません。」と話します。


■風力エネルギーの課題は?
どのテクノロジーも、解決すべき一連の課題を抱えています。プルベイク氏、ミラー氏の両氏が電力技術者として直面するハードルは、既存の送電網への統合と、このテクノロジーが持続可能なツールだということを一般の人々に知らせることです。
プルベイク氏は「こうしたシステムを設計して、世界中の電力インフラに確実に統合することは課題でもありますが、これこそが、電力およびエネルギー工学分野における現在の技術環境を非常に面白くしています」と語ります。
送電網に関する課題の中には、エネルギー貯蔵と信頼性があります。従来、顧客が電力を要求すると、発電と送電網がその需要を満たします。「しかし、風力と太陽光発電の到来と爆発的な成長により、電力がいつ供給されるのかを決めるのは消費者ではなく、母なる自然になっています」とミラー氏は言います。「電力システムが19世紀後半から20世紀初頭に誕生して以来、エネルギーは、回転する発電機の利用によって機械的エネルギーから電力エネルギーに変換され、これが直接、巨大な送電網に接続されてきました。こうした従来の機械は一定のスピードで作動しており、つまり、生み出す電力の周波数も一定だということです」とプルベイク氏は説明します。
風力タービンのスピードは、風によって常に変化しているため、電力技術者は、風力エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換する効率的な方法を見つけ出さなくてはなりません。解決策は風力タービンに接続した、広範囲のスピードで作動する回転発電機です。「したがって、その異なるスピードで作動する機械を、一定の周波数を持つ巨大な送電網に結び付けるために、電力工学的な変換インターフェースを利用する必要があります。その結果、この発電装置の電気的動作は、送電網から見るのとは全く異なるものになります」とプルベイク氏は語ります。
電力工学的な変換器は、ほかの方法でも利用されていますが、風力発電所の心臓部を送電網に接続するといった大きな規模で利用されたことはこれまでにありません。この数十年、電力・エネルギー業界は、この技術をできる限り確実な方法で利用する方法を学んできました。
ミラー氏は「プルベイク氏と私は、この大改革の最初の段階を経験してきました。21世紀以降、私たちはテクノロジー、市場、規制と理解におけるイノベーションが徐々に課題を解決していくのに注目し実現してきました。今日の送電網は、かつてはほぼ不可能であるか、数十年先の未来でなければ実現しないと思っていた風力と太陽光発電の水準で、規則的な稼働を達成しています」と語ります。
IEEE PESと再生可能統合コミュニティーは、どうやれば送電網を確実に、安全に、クリーンで手頃な価格で機能させるかに大きな焦点を当てており、両氏は、持続可能なエネルギーと開発中のテクノロジーの将来について希望を抱いています。
「われわれは驚くべきスピードで動き続け、あらゆる側面でイノベーションを加えています。正直なところ、電力エンジニアとして今ほど最高でエキサイティングな時はありません。」とミラー氏は締めくくりました。


■IEEEについて
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門会の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、諸活動を通じて世界中の工学やその他専門技術職のための信用性の高い「声」として役立っています。
IEEEは、電機・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版、2,000以上の現行標準を策定し、年間1,800を超える国際会議を開催しています。

詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。
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