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ケアネット、医師1,000人に調査 TPP交渉参加の是非、「参加はやむを得ない」44%、「参加しないほうがよい」30%― 勤務医と開業医で賛否傾向割れる ―

 医師・医療従事者向け情報サービスサイトを運営する株式会社ケアネット(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大野 元泰、証券コード:2150)は、11月4〜7日、当社医師会員1,000人に対し、TPP(環太平洋経済連携協定)の賛否に関する調査を実施しました。
 政府からの情報が不足しているといわれる中、医療分野に関しても、混合診療の解禁、海外資格医師の流入、皆保険制度の崩壊を危ぶむ声が上がっています。こうした状況下、現在の情報量で医師がTPPをどう捉えているかを調査したもので、全体としては賛否の割れる中、勤務形態によっても回答傾向に違いが見られる結果となりました。以下詳細を報告いたします。


【結果概要】
◆全体で賛否割れ、「参加はやむを得ない」44%、「参加しないほうがよい」30%
「全面的に反対」14%、「全面的に賛成」9%と続き、積極的な賛否を表明している医師は全体の2割強となった。

◆勤務医と開業医で賛否傾向割れる
勤務形態別に見た場合、勤務医においては「全面的に賛成」「参加はやむを得ない」を合わせると56%。開業医では52%が反対と回答し、全体としては賛否が割れる中で多少異なる傾向が見られる。
「全面的に反対」派は勤務医11%に対し開業医22%と、2倍の開きがあった。

◆賛成派「交渉に参加してはっきりを主張を」 反対派「政府には交渉する力がない」
賛成派においては、競争・効率化を求める声のみならず「まずは交渉の場につかなければ始まらない」「条件調整の主導を」といった声が多く見られた。
反対派に関しても、内容の是非以前に「押し切られるのでは」「アメリカの言いなりになるのでは」と政府の交渉力のなさを危惧しての反対意見が多い。

◆反対派「医療格差を助長」、賛成派「医療にも効率化が必要」
反対する医師の意見として「医療に競争原理はそぐわない」「皆保険制度が崩壊」といった声が多く見られた一方で、賛成医師は「医療においてもある程度の競争が必要」「そもそも皆保険の維持自体ムリがあるため、これを機会に新たな医療保険政策を」などのコメントがみられた。
その他賛成派の中には、「医療機器の価格差が是正される」などの声も寄せられた。

◆情報不足を懸念する医師、とりあえず「参加しないほうがよい」
「医療は対象外というが不安」「漠然としていてつかめない」「医療にも経済観念が持ち込まれおかしな方向に行きそう」など、判断材料不足から懸念する声も多数寄せられる。

調査タイトル:TPP(環太平洋経済連携協定)の医療への影響に関する調査
調査方法  :インターネットリサーチ
調査対象  :医師・医療従事者向け専門サイト「CareNet.com」医師会員
有効回答数 :1,000サンプル
調査日時  :2011年11月4日(金)〜7日(月)


【設問詳細】
11月のAPEC首脳会議に向け、環太平洋経済連携協定(以下「TPP」)について日本が交渉に参加するかどうか非常に注目されています。

TPPは、農産物・工業製品など参加国内での貿易でのすべての関税をなくすこと、労働力の自由化、国境を超える金融サービスの提供など、各国間の貿易上の障壁をなくそうという経済連携協定で、医療分野でも多くの議論がなされています。

10月18日付朝日新聞によると、茨城医師会の斎藤浩会長は「(TPPで)医療にも外資が参入し経済的弱者が切り捨てられる。国民皆保険制度は崩壊し、医師の偏在が進んで医療過疎地域はいっそう過疎化する」と危機感をあらわにしたとのこと。

また同日付産経新聞では、『経済連携プロジェクトチームの会合にて政府側は、医師など専門家の受け入れでも「海外資格をそのまま国内資格として承認する義務はない」として、即時の大量流入を否定した。
一方、医師会などは、営利企業の参入による医療の質の低下や、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」解禁による医療格差の拡大を懸念。
これについて政府は「いずれも交渉の対象外」として、国内の現行制度が維持される見通しを強調した』と報じられています。

Q1. 日本のTPP交渉参加についていかがお考えですか?
1. 全面的に賛成
2. 参加はやむを得ない
3. 参加しないほうがよい
4. 全面的に反対
5. その他 (       )

Q2. ご意見・ご感想等何でも結構ですので、お知らせください。


◇医師からのコメント抜粋◇ (一部割愛・編集しています)

▼「全面的に賛成」  9%
・医療にも競争、効率化が必要と思う。
(40代勤務医、整形外科)

・交渉に参加し、条件を調整する必要がある。
(40代開業医、内科)

・医療機器は内外価格差が是正されることが期待されたり、医療自体もレベルを維持する意味でも国際化によるある程度の競争はプラスである。日本語の壁もあり、外国人医師が無条件で入ることは考えにくい。医師会の反対は、農業自由化に反対する全農など農業団体と一緒で、自民党政権が崩壊した現在は、組織そのものが必要か疑問。能力の低い開業医や医療機関を守る組織として作用するのなら、医師会も医療のために足かせになっている。保険制度自体が存続困難となっているので、混合診療の導入はやむを得ない。
(40代勤務医、神経内科)

・今のレベルの医療は国民皆保険で保証される。プラスアルファの医療はそれを希望し、費用を自己負担できる人達の権利である。
(50代勤務医、泌尿器科)

・参加して是々非々ではっきりと日本の利益になるように主張すべき。
(40代勤務医、内科)

・こんな医療費の安い日本にわざわざ参入してくる欧米企業は稀であろうし、労働賃金の安い発展途上国から参入してくるならむしろ僻地や介護などの労働力不足の解消になる。価格の高い海外製の医療機器が関税無しで購入できるならメリットの方か大きい。
(40代勤務医、皮膚科)


▼「参加はやむを得ない」  44%
・日本の医療で通用する外国人医師がそんなにいるとは思えない。日本語が流暢で、現在の日本の大学医学部卒業、国家試験合格相当の外国人医師が日本で働いてくれるというのなら医師不足を解消できるのではないか
(60代勤務医、麻酔科)

・全く参加しないのは産業全体にとって有利でないと思うのでやむを得ない。その中で日本にとって良くないことは受け入れないときちんと表明して交渉すべき。全てアメリカの言いなりになる必要はない。医療に関しても、しないこと、できないことは強く主張すべき。
(40代勤務医、脳神経外科)

・日本がガラパゴス化してしまうより、TPPに参加するほうがメリットが多いと思うが。
(40代勤務医、皮膚科)

・国民皆保険維持は、国情(労働人口減少と高齢化、経済停滞)から判断して無理がある。早急に新たな医療保険政策を確立する必要がある。
(50代開業医、産婦人科)

・医療機器(手術用ディスポーザブル機器)は安くなるのでしょうか?
(40代勤務医、外科)

・医療に競争原理はそぐわないが、不要なものは淘汰されるべき
(50代勤務医、小児科)

・TPP交渉参加によって、新しい経済的環境に入れ、現状の日本的社会主義から脱することができると思います。医療に関しては経済的弱者を厳しく選別して救済ネットワークを強固にすればよいと思います。
(70代勤務医、脳神経外科)

・差別化が進んで意思の待遇改善につながるならむしろ賛成、条件の悪いところは淘汰されるので待遇改善につながるのではないか?医療に関しては国民のブランド意識も高いので性急な変化は起こらないと思う。
(30代勤務医、耳鼻咽喉科)

・農業のことは気になるが、医療はあまり変わらないような気がする。
(50代勤務医、放射線科)


▼「参加しないほうがよい」  30%
・TPPの情報が不足しているため賛否の議論がしづらいが、アメリカが積極的に日本に参加を希望しているとすれば、日本の医療システムそのものの自由化を迫られるのではないかという危惧がある。
(40代勤務医、産業医)

・TPP参加は規制緩和を進めるにあたり、自ら汗をかきたくない、敵を作りたくないという官僚と、官僚の言いなりになっている民主党政権の姑息な考え方からの参加表明と考えます。規制緩和が真に必要なら、外圧頼みではなく自分の言葉で国民世論を説得すればいいのです。
(50代開業医、消化器科)

・混合診療の解禁については賛成です。全ての人が標準的治療は受けられるべきですが、オプション治療や先進治療については、各人の所得に応じた治療法が選ばれてもよいのではと思います。営利企業の参入や、海外資格をそのまま受け入れることに関しては、質の低下が怖いため反対です。
(30代勤務医、救急医療科)

・医療にも経済観念が持ち込まれおかしな方向に行きそうな気がします。
(40代勤務医、内科)


・外資の保険制度への介入により、国民会保険制度は制度の変更が迫られると思うが、現状の皆保険制度自体も限界に来ており、日本国民自身による制度改正論議が必要である。いずれにしても、国益を無視する民主党政権下では、TTP交渉参加は避けるべきである。
(40代勤務医、腎臓内科)

・はたして「いずれも交渉の対象外」なのか、不安です。
(70代開業医、外科)

・アメリカの思うつぼになりそうで心配です。どの国も自国中心主義だと思いますのでどんな悪いことが起こるかわかりません。いったん交渉の場についたら後には引けないというのも変です。嫌ならやめるといった自由がないのは変です。
(30代勤務医、精神・神経科)

・アメリカが強硬に参加させようとするのは、アメリカに利益があるため。日本は不利になるのは間違いない。この交渉はwinwinになることはない。医療格差を医師会は心配しているが、高額の医薬品が増えてきて、すでに医療格差は出ている。また、高齢者は増えるのに国は医療費を増やす気がないので、お金を持っている人が良い医療を受けられるようになるのは仕方ない。TPPに参加して医療格差の拡大が進行するのは、遅かれ早かれ生じることなのかもしれない。
(30代勤務医、代謝・内分泌科)

・参加により国民皆保険制度が崩壊するなら反対。
(70代開業医、内科)

・医療業界に関しては診療の質を維持する必要があり、何らかの制約が不可能であれば参加しない方がよい
(40代勤務医、消化器科)


▼「全面的に反対」  14%
・政府が『いずれも交渉の対象外』という見解を述べているが、まだ交渉にも参加していないのになぜ対象外と分かるのか。もし、対象になれば『No』といえる力が日本の政府にあるのか、甚だ疑問だから。
(30代勤務医、整形外科)

・11月の時点で交渉に参加する、という事には全面的に反対する(今後の交渉への参加については別の問題)。貿易上の協定ならこれまで進めてきたEPAで良いと思うので。そもそもTPPが日本の医療にどう関わってくるのかについて様々な憶測が飛んでいるが、どれも信憑性に欠けており、現時点で交渉参加する根拠が感じられないため賛成できない。
(40代開業医、内科)

・日本は日本の制度!国民皆保険制度は絶対守るべき!コメは輸入できても、健康は輸入できません!
(30代勤務医、整形外科)

・導入時は都合の良いことで誤魔化して実際に導入されると待ったなしで自由化が進み、医療の質の低下・格差が広がり、アメリカのように高度医療は払える人のためのものになるのは目に見えています。
(50代勤務医、内科)

・TPPは日本にとって全くメリットはない。それどころか、デメリットしかない。TPPに参加して自由な貿易が出来るようになり、日本の製品がどんどん売れるというのは幻想に過ぎない。アメリカやオーストラリアから安い農産物が大量に流れ込み、日本の農業はあっというまに消失する。またアメリカから、金融、保険、医療、司法などが流れこみ、日本の雇用は失われる。さらに公共工事も外国の土木会社が外国人の低賃金労働者を連れてきて、さらに日本の雇用は失われて行く
(50代開業医、消化器科)

・混合診療解禁となり、国民皆保険が崩壊するため絶対反対。
(40代勤務医、精神・神経科)

・医療格差を助長し、ひいては現在の保険制度の崩壊につながりかねない
(50代勤務医、小児科)

・絶対反対です。国やマスコミは農業の問題に矮小化しようとしていますが、日本の産業全体の問題です。ここまで卑怯な手を使って、国民をだましてまで参加しようとするのは、何か弱みでも握られているからでしょうか?
(40代勤務医、整形外科)


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【株式会社ケアネット 会社概要】 http://www.carenet.co.jp
◇所在地 :〒102-0074 東京都千代田区九段南1-5-6 りそな九段ビル
◇設立  :1996年7月1日
◇代表者 :代表取締役社長 大野 元泰
◇公開市場:東証マザーズ (証券コード:2150)
◇事業内容:
<製薬企業向けの医薬営業支援サービス、マーケティング調査サービス>
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 ・インターネットによる市場調査システム『eリサーチ(TM)』
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