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「働くモチベーション」はテレワーク実施前後で変化した? 仕事の「全体像の把握」や「重要性の実感」、「他者からのフィードバック」に10pt以上の変化 「仕事の意義」や「周囲との関わり」の重要性が高まる

株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:佐藤 学)は、全国の20〜60代の新型コロナウイルス禍でテレワークをするようになった就業者(※)2,272名に、仕事に関するアンケートを実施しました。調査期間は2020年9月26日〜28日です。以下、結果の概要をご報告いたします。

※2020年1月以降にテレワークを実施した人(公務員、パート・アルバイトを除く)

▼詳細はこちらからご確認ください
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2020/201222-02/

■ 概要
1. テレワークの開始時期と実施状況
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い1月以降にテレワークを実施した人のうち、約8割の人が4月までにテレワークを開始。調査時点の9月末では、約半数が週労働時間の50%以上の割合でテレワーク実施。

2. テレワーク実施前後での働くモチベーションの変化
テレワークでの実施前後では、「働くモチベーションが低い」と回答した割合が8.4pt増加した。テレワーク実施に伴い「チームの仕事が減った」という人に限ると「働くモチベーションが低い」は14.5pt増加。

3. モチベーションに影響する仕事の5要素
5要素のうち、「仕事の全体感の把握(ー20.0pt)」「仕事の重要性の実感(ー13.2pt)」「上司や同僚からのフィードバック(ー15.6pt)」は、テレワーク実施前後で大幅にスコアが低下した。一方で、「求められるスキルの多様性(ー3.8pt)」および「仕事の進め方の裁量(+1.2pt)」では目立った変化は見られなかった。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/240927/img_240927_1.jpg

4. 解説(HR統括編集長 藤井 薫)
テレワークで低下するモチベーション。原因は個人でなくチーム力。
問われる仕事の全体性、関わりの質。カギは神輿(みこし)ケーションの深化。

■ 1.テレワークの開始時期と実施状況
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、約8割が4月までにテレワークを開始。
およそ半数は、週労働時間の50%以上の割合でテレワーク実施。
回答者の79.3%が4月までにテレワークを開始していることが分かりました。単月では4月の49.1%が最多で、新型コロナウイルス感染症の拡大および4月上旬の緊急事態宣言の発出と符合して、多くの人がテレワークを開始したことが見て取れます。なお、本調査では、回答者個人に限らない勤務先のテレワーク開始時期も質問しています。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/240927/img_240927_2.jpg


調査実施時点(9月)のテレワークの割合ですが、48.1%の人は週労働時間の50%以上の割合でテレワークを実施しています。新型コロナウイルス感染症収束の先行きが不透明である中で、依然として多くの人がテレワークで仕事を行っています。一方で、1週間のうちテレワークの割合が「10%〜30%未満」の回答が27.1%と最も高いことからも、テレワークの頻度は個人によってばらつきがあることが分かります。

なお、テレワーク実施の裁量については、「全て自分で決められる」と「ある程度決められる」の合計が約7割で、「自分では決められない(会社が指定など)」が約3割でした。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/240927/img_240927_4.jpg


■ 2.テレワーク実施前後での働くモチベーションの変化
テレワークの実施前後で、「働くモチベーションが低い」と回答した割合が8.4pt増加。
「チームの仕事が減った」という人に限ると14.5ptの増加。
現在もテレワークを実施している人に、働くモチベーションについて聞きました。テレワーク実施前の働くモチベーションが「やや低い」「非常に低い」の回答は14.1%であるのに対して、テレワーク実施後の同指標は22.5%。8.4pt増加しています。また、モチベーションが高い群(「非常に高い」「やや高い」の合計)の比較では、テレワーク実施前後でー0.6ptと微減でした。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/240927/img_240927_4.jpg

この傾向は「仕事の仕方の変化」でより顕著に確認することができます。テレワーク実施前に比べて「チームなどの複数人で取り組む仕事」の割合が減った回答者においては、モチベーションが低い群が14.5pt増加し、モチベーションが高い群がー5.0ptという結果になりました。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/240927/img_240927_5.jpg

■ 3.モチベーションに影響する仕事の5要素
「技能多様性」および「自律性」はテレワーク実施前後で目立った変化は見られない。
一方で、「タスク完結性」「タスク重要性」「フィードバック」では大幅にスコアが低下。
本調査では、現在もテレワークを実施している人に対し、モチベーションに影響する仕事の5要素について、テレワーク実施前後の状況を確認しました。

「求められるスキルの多様性(技能多様性)」はテレワーク実施前後でー3.8pt、「仕事の進め方の裁量(自律性)」は+1.2ptであり、顕著な変化は見られませんでした。

一方、「仕事の全体感の把握(タスク完結性)」の同指標はー20.0pt、「仕事の重要性の実感(タスク重要性)」はー13.2pt、「上司や同僚からのフィードバック(フィードバック)」はー15.6ptと、大幅にスコアが低下していることが分かりました。また、年代別の比較では、20代の「上司や同僚からのフィードバック」がー19.6pt(テレワーク実施前:61.6%、テレワーク実施後:42.1%)と、全体よりもスコアが低下していることが分かりました。
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/240927/img_240927_6.jpg
画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/240927/img_240927_7.jpg


■ テレワークのやりにくさや抵抗に関するフリーコメント
・ 顔も知らない相手と仕事をすることに少し抵抗を感じる(愛知/36歳)

・相手の仕事の進捗状況が分かりづらい(神奈川/29歳)

・ チームの人がどんな働き方をしているか分かりにくい(神奈川/42歳)

・コミュニケーションがとりづらい、相手の反応が分かりづらい。評価されていないと感じる。貢献できていないと感じる(神奈川/48歳)

・ 全体の進捗が分からないことがある(神奈川/53歳)

・ 仕事の全体像が分かりにくくなった(愛知/48歳)

・ 進捗確認がしづらいし、意見交換の時間が限られること(静岡/39歳)

・ チームワークや仕事間の他愛のない会話がしづらくなった(千葉/41歳)

・ 耳から入る情報量が少なくなった(大阪/59歳)

・ コミュニケーションギャップが発生する可能性が高くなり、効率性が下がる(東京/46歳)

・ 情報共有の仕方が難しいと感じる。他の人の様子が分からずどのような対応をしたらいいか戸惑う。仕事の進め方としては、テレワークでないほうが良いと感じることが多い(東京/36歳)

・ グループ内のメンバーの状況が把握できない。ちょっとした判断が必要な時、リアルなら同じ見解か隣の席の人に軽く聞けるのに、テレワークだとわざわざチャットやメール等で聞くのも気が引けるので独断で進めることが多く不安になる(東京/50歳)

・会議での発言や対面でのコミュニケーションが減少し、まわりの仕事状況が分かりづらくなった(兵庫/25歳)


テレワークの導入によって、仕事を介したインタラクティブな情報のやりとりが棄損されたことが、モチベーション低下に影響していると考えられます。テレワークが始まったことで、やりにくさや抵抗を感じたことについて聞いたフリーコメントでは、「仕事の全体像が分かりにくくなった」「チームの人がどんな働き方をしているか分かりにくい」という回答が見られました。

また、テレワーク実施前後での仕事の仕方を比較して「個人で取り組む仕事が減った」および「比率は変わらない」と回答した人たちには、「モチベーションに影響する仕事の5要素」の指標に大きな変化が見られませんでした。このことからも、テレワークの導入に起因するチームの仕事や周囲との協働の減少が、モチベーションの低下につながっている可能性が示唆されます。

今後もテレワークの継続が想定されます。仕事環境の変化によって、情報の流れやコミュニケーションはどう変化するか、働く個人の認知はどのような影響を受けるかについて検討したうえで、職務設計やチームビルディングが必要であると言えるでしょう。


■ 4.解説(HR統括編集長藤井薫)
テレワークで低下するモチベーション。原因は個人でなくチーム力。
問われる仕事の全体性、関わりの質。カギは神輿(みこし)ケーションの深化。
コロナ禍によるテレワークの浸透で、「働く個人のモチベーション」は、どう変化したのか? まず点検したいのは、変化の前提となる「テレワークの浸透度合いと実施の割合」です。調査では、2月時点でわずか5%だった状態から4月までに約8割の人が急速にテレワークを開始したこと。1週間のうちテレワークの頻度が10%未満の人もいれば、80%の人も混在していること。テレワークを自分の裁量で決められる人が約7割、決められない人が約3割いること。その実態が明らかになりました。そこで見えてきたのは、テレワークの【急速浸透】【頻度のばらつき】【裁量権の二極化】です。

いち早くテレワークを開始し、自分のリズムに合った頻度で、自分の裁量で仕事を進められる人と、いち早くテレワークを開始せざるを得ず、自分のリズムに合った頻度ではなく、自分の裁量で仕事を進められない人。仕事の大半がオンラインで完結している人と、逆に大半がリアルに出社している人。そうした働く一人一人の仕事のリズムのばらつきと裁量権の二極化が、職場の上司や同僚との間、顧客との間で混在しているのが、テレワークが浸透する今の職場の実態と言えるでしょう。

こうしたテレワークの【急速浸透】【頻度のばらつき】【裁量権の二極化】は、働く個人のモチベーションにどんな影響をもたらしているのか。調査から見えてきたのは、テレワーク下での【仕事の全体像の欠落】【仕事の意義の喪失】【職場での気兼ねない対話の減少】でした。回答者の静かなる悲鳴がそれを表しています。
「仕事の全体像が分かりにくくなった」「相手の反応が分かりづらい。評価されていないと感じる。貢献できていないと感じる」「チームワークや仕事間の他愛のない会話がしづらくなった」…。

実際、モチベーションに影響する仕事の5要素(※)の中で、「仕事の全体感の把握」「仕事の進め方の裁量」「上司や同僚からのフィードバック」の項目がテレワーク前後で大幅な低下を示しました。特に20代の「フィードバック」の項目が大幅に低下していたのは見逃せません。これはテレワーク環境下で、新しい職場に参加する中途入社者、異動者、プロジェクト参加者、初めての顧客関係を担う者にとっても、同様のモチベーション低下をもたらすと考えられます。

今回、スコアの低下が明らかになった3つの項目(「仕事の全体感の把握」「仕事の重要性の実感」「上司や同僚からのフィードバック」)は、職場全体の構成員全員で高めなければならない項目です。テレワークの【急速浸透】【頻度のばらつき】【裁量権の二極化】の中でも、構成員全員で、「あるべき姿・意義」に向かって、一人一人が離れていても全体像を体感し、リズムをあわせて一致団結して前進する。まるで神輿(みこし)を担ぐような、「神輿(みこし)ケーション」とも言うべき組織協働力の高いコミュニケーションの重要性を想起させます。
今後もリモートワークが浸透する多くの企業・職場・プロジェクトにとって、こうした「神輿(みこし)ケーション」の深化は、働く個人のモチベーション低下を回避するだけでなく、職場全体のモチベーションとパフォーマンスを上げるカギとなるでしょう。

※ハックマンとオルダム職務特性研究:
やる気に影響を及ぼす5つの仕事の要素。
(1)技能多様性(求められるスキルの多様さ)
(2)タスク完結性(仕事の全体感の把握
(3)タスク重要性(仕事の重要性の実感)
(4)自律性(仕事の進め方の裁量)
(5)フィードバック(上司や同僚からのフィードバック)。
画像8: https://www.atpress.ne.jp/releases/240927/img_240927_8.jpg
藤井 薫(ふじい・かおる)
株式会社リクルートキャリア
HR*統括編集長
*HR=Human Resources(人的資源・人材)

プロフィール(略歴):
1988年、リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。以来、人と組織、テクノロジーと事業、今と未来の編集に従事。『B-ing』、『TECH B-ing』、『Digital B-ing(現『リクナビNEXT』)』、『Works』、『Tech総研』の編集、商品企画を担当。TECH B-ing編集長、Tech総研編集長、アントレ編集長・ゼネラルマネジャーを歴任。 2016年、リクナビNEXT編集長に就任(現職)、2019年にはHR統括編集長を兼任(現職)。

■ 調査概要
実施期間:2020年9月26日(土)〜2020年9月28日(月)
調査対象:企業に勤める正規の従業員で2020年1月以降にテレワークを実施した人
回答数 :2,272名
調査方式:インターネット調査

■ 調査結果の注意点
%を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、単一回答の合計値が100%に合致しない場合があります。
差分の算出には小数点第2位を四捨五入する前の数値を用いており、表示されている%で差分を算出した際、数値が一致しない場合があります。

▼詳細はこちらからご確認ください
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2020/201222-02/
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