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眼科医が警鐘!コロナ禍の“角膜の傷”リスクと点眼薬の誤用実態

現代人の角膜ケア研究室は、コロナ禍でのリモートワークやおうち時間の増加に伴い、過去類をみない目を酷使する生活が1年以上続いていることで、角膜の傷リスクが高まっていることに警鐘を鳴らすべく、メディアを対象としたオンラインセミナーを2021年4月12日(月)に開催しました。登壇した東邦大学医療センター 大森病院眼科の堀 裕一先生と杏林大学医学部 眼科学 山田 昌和先生より、コロナ禍だからこそ角膜の傷リスクが高まる要因や、ニューノーマル時代に目を角膜の傷から守るための正しいアイケアについて最新の論文データや調査結果を交えながら多面的にご講演いただきました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/255133/LL_img_255133_1.jpg
公演の様子

<本セミナーのポイント>
●コロナ禍の“角膜の傷リスク三重苦”「目の酷使」「マスクドライアイ」「精神疲労による涙の質低下」によって、角膜に傷つくリスクが深刻化している
●セルフケアでの点眼薬は使い方(さしすぎないこと)・選び方(防腐剤の有無確認)に注意が必要
●“角膜の傷リスク三重苦”から目を守るニューノーマル時代の正しいアイケア習慣


■コロナ禍で深刻化する“角膜の傷リスク三重苦”
東邦大学医療センター 大森病院眼科 教授 診療部長 / 堀 裕一先生
リモートワークや、おうち時間でのスマホ・PC利用の増加により、デバイスを介した目に頼る生活が定着したことで、角膜が傷つきやすい危険な状態であることを提示。角膜は細胞がむき出しの状態のため、とても繊細で傷つきやすいといったメカニズムと、そのように繊細な角膜を守る涙とまばたきの重要性を解説しました。本来は正常に保たれている角膜ですが、コロナ禍特有の角膜に傷がつくリスクを高める要因を“角膜の傷リスク三重苦”として紹介しました。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/255133/LL_img_255133_2.jpg
堀先生 講演

【角膜の傷リスク三重苦】
(1)目の酷使による影響
スマートフォン、パソコン、VDT作業に集中すると、瞬きの回数が1/4に減少。
長時間VDT作業を継続することで自律神経の交感神経が優位になり、涙が出にくくなる。
→結果、乾燥により涙の層が崩れ角膜が傷つきやすい状態に。
(2)マスクドライアイによる影響
マスクドライアイとは、マスクから漏れる上向きの呼気によって、目の表面が乾いてしまうこと。
コロナ禍の今、マスクを日常的につけている環境にあり、常に目が乾燥しやすい状態に。
→結果、マスクによって乾燥のリスクが高まり、角膜が傷つきやすい状態に。
→また、既にドライアイの人はさらに悪化する可能性も。
(3)精神疲労による影響
ストレスや不安感が蓄積されると、自律神経のバランスが崩れ、涙の油層を形成するためのマイボーム線の働きが低下。
→結果、涙の質が低下し、角膜が傷つきやすい状態に。


■加齢やただの疲れと放置しないで!その症状実は角膜の傷が原因かも。
ただの疲れや加齢のせいと放置しがちなよくある症状でも、頻繁に起こったり長引く場合は角膜の傷が原因である可能性を示唆し、悪化する前に適切なケアをするよう呼びかけました。さらに、堀先生自身が監修した「角膜の傷リスクチェックリスト」で“危険層”に分類された人のうち73%が実際に傷がついていた等、事例写真を用いて紹介しました。多くの人が角膜の傷リスクにさらされている今、チェックリストを活用しながら角膜の傷リスクを把握し、ケアを心がけることを推奨しました。

<角膜の傷による症状例>
●文字がぼやける
●痛みを感じる
●目が常に渇いてショボショボする
●ゴロゴロ感
●目がかすむ
●寝ても疲れ目が解消しない

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/255133/LL_img_255133_3.jpg
堀先生 講演スライド

■点眼薬は“使い方”と“選び方”が重要!
杏林大学医学部 眼科学 教授、日本角膜学会 理事長 日本コンタクトレンズ学会 理事 / 山田 昌和先生
高まる角膜の傷リスクを防ぐアイケア習慣として、点眼薬は涙と目の機能を正常化する役割があり、有効なセルフケアの方法として紹介。ただし、適正回数以上点眼するといった誤った使い方や、自身の目の状態にあっていない商品の選び方は、かえって症状を悪化させる可能性があることを解説しました。

<点眼薬使用のポイント>
(1)使い方:点眼回数は適正範囲内か?
→用法用量以上にさしすぎると涙の層が破壊され角膜を傷つける恐れがある※適正回数は一般的に1日5~6回。
(2)選び方:目にやさしいものを選んでいるか?
→点眼薬に配合されている防腐剤は、角膜に傷がついている人には症状を悪化させる恐れがある。
→防腐剤の代表的な成分である塩化ベンザルコニウムは、油を分解する作用があり、涙の油層を破壊し目を乾きやすくする。
→本来、防腐剤は菌の混入による製品の汚染を防ぎ、品質を保ち安全に使うことに役立っており、角膜に傷がない状態で使用する分には問題はない。
→市販品の約73%が防腐剤入り点眼薬。※主要99銘柄

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/255133/LL_img_255133_4.jpg
山田先生 講演

■1日あたりの点眼回数、4人に1人は適正回数を超える7回以上点眼!
コロナ禍以降、山田先生が診察された患者さんについて、生活変化の影響により症状が深刻化しているケースが見られ、なかには点眼薬による症状悪化も見られたため、実態把握のために「コロナ禍の点眼薬使用実態調査」を実施しました。
調査の結果、そもそも点眼適正回数への意識が低いことが明らかになり、症状を感じるたびにさす人も多く見受けられました。角膜の傷リスクの高い人ほど不快症状を感じる頻度が高いため、点眼回数が増え、さしすぎになりやすいことが推測されます。また、防腐剤が角膜の傷に与えるリスクは多くの人に認知されておらず、角膜の傷リスクが高い人も目にやさしい防腐剤無添加の点眼薬を選べていないことが明らかになりました。
使い方・選び方の間違った認識から、良かれと思ってさしていた点眼薬が、かえって角膜の傷を悪化させてしまっている可能性がうかがえました。

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/255133/LL_img_255133_5.jpg
山田先生 講演スライド(1)

■ニューノーマル時代のアイケア習慣!三重苦から角膜を守るコツ
最後に、点眼薬の正しい使用方法や選び方、三重苦から角膜を守るために日常生活で取り入れやすいセルフケア方法を紹介しました。「様々なデバイスを介し目に頼る生活の中、角膜の傷リスクが高まっています。コロナ禍では日常的なマスク着用による乾燥、不安やストレスによる精神疲労で涙の量と質が低下するなど、私たちの目は過去1番と言っていいほど傷つくリスクに脅かされており、セルフケアで角膜を守ることが非常に重要です。しかしながら、間違ったケア方法や認識によって、かえって症状を悪化させてしまっている可能性もあります。ニューノーマル時代は正しいアイケア習慣を身に着けて、自ら目を守りましょう。そして、セルフケアでも改善されない場合は、早期の眼科受診をお願いしたいです。
」と本セミナーを締めました。

<点眼薬でのケアのポイント>
(1)点眼薬の用法・容量を守る
●症状が軽いうちにさすことでさし過ぎを防ぐ。また、さすタイミングを決めて回数を守ることも有効。
※適切なタイミング:起床後、お昼休み、3時のおやつ時、夕食前
●1滴で十分効果的であるので、一度に何滴もささない。
(2)適切な点眼薬を選ぶ
●角膜に傷があると思われる場合は、角膜にやさしい防腐剤無添加のものを選ぶ。
●角膜修復効果があるものを選ぶのもおすすめ。

画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/255133/LL_img_255133_6.jpg
山田先生 講演スライド(2)
<その他>
(1)VDT作業をする際は目線を下げる / エアコンの風が直接顔や目に当たらないようにする / 加湿器を使用する etc
(2)入浴や軽いストレッチでリラックスして涙がでやすいようにする


登壇者プロフィール
東邦大学医療センター 大森病院眼科 教授 診療部長
堀 裕一先生(ほり ゆういち)

角膜疾患やドライアイ、角膜移植、オキュラーサーフェス(角結膜上皮と涙液)を専門に研究を行う。1995年大阪大学医学部卒業、大阪大学医学部眼科学教室入局。2001年米国ハーバード大スケペンス眼研究所研究員。06年大阪大学医学部眼科助手(助教)、09年東邦大学医療センター佐倉病院眼科講師、11年東邦大学医療センター佐倉病院眼科准教授、14年東邦大学医療センター大森病院眼科教授。現在に至る。

画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/255133/LL_img_255133_7.jpg
堀 裕一先生

杏林大学医学部 眼科学 教授
日本角膜学会 理事長 日本コンタクトレンズ学会 理事
山田 昌和先生(やまだ まさかず)

ドライアイなどの角膜疾患を対象にして涙液や角膜試料の生化学的分析を行い、疾患や病態のバイオマーカーの探索を行っている。1986年慶應義塾大学医学部眼科研修医、専修医。93年 米国Duke大学アイセンター研究員。95年慶應義塾大学眼科助手。97年慶應義塾大学眼科専任講師。2003年国立病院機構東京医療センター感覚器センター部長。13年杏林大学医学部眼科学教授。現職に至る。

画像8: https://www.atpress.ne.jp/releases/255133/LL_img_255133_8.jpg
山田 昌和先生

参考情報
「現代人の角膜ケア研究室」とは
「現代人の角膜ケア研究室」は、近年増加していると言われている「角膜上皮障害(角膜に傷がついた状態 等)」から現代人の目を守るため、角膜の専門家によって構成された啓発団体です。正しい角膜のセルフケアの方法や、角膜上皮障害の可能性が分かるチェックリストなど、角膜に関する情報を分かりやすく紹介しています。
コンテンツの提供も可能ですので、ご希望の方はお問い合わせいただけますと幸いです。
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