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〜2012年春 トレンドウォッチレポート〜 大型商業施設が続々! エキナカに続く駅施設のトレンドキーワード『エキタメ』(=駅×エンタメ)

寒い冬が終わり、春の行楽シーズンが到来。首都圏では大型商業施設が相次いでオープンします。4月にはお台場の新ランドマーク「ダイバーシティ東京」(4月19日)や、渋谷駅直結の複合商業施設「渋谷ヒカリエ」(4月26日)、5月には老舗ホテル「パレスホテル東京」の全面リニューアルによるグランドオープン(5月17日)や、東京の新シンボル・東京スカイツリー内「東京ソラマチ」(5月22日)など、多くの商業施設や新名所が誕生し、お出かけ気分が高まります。

世の中の流行や動向をウォッチするトレンド総研(東京都渋谷区)は、この春のオープンラッシュの中から東京駅・八重洲側の商業施設「東京駅一番街」に注目し、レポートします。
「東京駅一番街」は、4月14日に日本初のお菓子のテーマゾーン「東京おかしランド」が開業し、5年におよぶリニューアル工事が完了。3月には既にオープンしている「東京キャラクターストリート」に3店舗が新規オープンし、4月には「東京ラーメンストリート」が1周年を迎え、エンターテインメント型のニュースポットとして、また東京観光の新名所として、さらに人気が高まることが予想されます。
かつて駅といえば、目的地への出発点であり通過点でしたが、駅の商業施設化が進むにつれ、物販や飲食だけにとどまらない、駅に滞在する時間を楽しむことができる「エンターテインメント化する駅商業施設」が増えています。
トレンド総研では、エキナカに続く次の駅のトレンドを、「駅」と「エンタメ(エンターテインメント)」を組み合わせた『エキタメ』と命名し、この春に新たに誕生した「東京駅一番街」のエキタメスポットをレポートします。また、最近の駅トレンドについて、商品ジャーナリスト/元・日経トレンディ編集長の北村 森さんにお話を伺いました。


◆東京駅一番街の3つの『エキタメ』スポット

【エキタメ(1)】 日本初!お菓子メーカーのアンテナショップが集積した「東京おかしランド」
【エキタメ(2)】 21店舗ものキャラクターショップが一堂に会した「東京キャラクターストリート」
【エキタメ(3)】 8つの実力派人気ラーメン店が集結した行列の絶えない「東京ラーメンストリート」


■【エキタメスポット(1)】 日本初!お菓子メーカーのアンテナショップが集積したお菓子のテーマゾーン「東京おかしランド」

◆最新エリア「東京おかしランド」 キーワードは〈ここだけ〉

「東京駅一番街」の最新『エキタメ』スポットは、4月14日にニューオープンする「東京おかしランド」です。日本を代表する大手製菓メーカーの江崎グリコ、森永製菓、カルビーの3社のアンテナショップが一堂に会した日本初のお菓子のテーマゾーンです。お菓子を作る工程やデモンストレーションを見ながら、出来たて・作り立てのお菓子がその場で購入できたり、ほかでは手に入らない限定商品が購入できる“ここだけ”がうれしいエキタメスポットです。


◆「ぐりこ・や Kitchen」(江崎グリコ株式会社)

グリコのアンテナショップ「ぐりこ・や」の中で、お菓子を作る設備を併設した初のお店。ガラス越しにお菓子の製造過程を見ながら、作りたての商品が購入できるほか、全国の限定土産品や「ぐりこ・や」限定品、グリコの工場から取り寄せた特別限定品など、ここでしか手に入らない商品が満載です。
いちばんのおすすめは、店内で香ばしく焼き上げた大粒アーモンドを丁寧にチョコがけし、ココアパウダーで仕上げた「アーモンドチョコレート カカオ仕上げ」(500円)。工場とは異なる規模や方式で作られた出来たてのアーモンドチョコは、世界中探してもここでしか手に入りません。作る工程を見ながら出来たてを食べる、そんなエンターテインメントが堪能できます。


◆「森永のおかしなおかし屋さん」(森永製菓株式会社)

「お菓子のおもしろさ、楽しさを伝えたい」との想いから誕生した、森永製菓初のアンテナショップ。ここ限定の東京みやげや遊び心満点の詰め合わせBOXなど、店内のほとんどがアンテナショップ限定商品で、おみやげ選びにもぴったり。店内では土日中心にお菓子を使ったデモンストレーションが予定されており、ミニバージョンのチョコレートファウンテンや、チョコレートのテンパリング実演が楽しめるかも。いちばんのおすすめは、巨大ハイチュウを使った実演デモ。どれだけ伸びるか試してみたり、ハイチュウでバラを作ってみたり、子どもだけでなく大人でも十分に楽しめるお菓子のワンダーランドです。
パティシエキョロちゃんが迎えてくれる“来て楽しい・買ってうれしい”お店です。


◆「カルビープラス」(カルビー株式会社)

揚げたての絶品ポテトチップスが食べられるのが「カルビープラス」。厚切りにも薄切りにも、フレーバーもサイズも、自分が食べたいポテチをオーダーすると、その場で揚げたて・出来たてのマイポテチが食べられます。
ここで作るポテトチップスは、原料のじゃがいもから製造工程までカルビーの工場とほほ同じ。カルビーのポテトチップスの製造工程は本来北海道の千歳工場でしか一般の方が見学できませんが、この店舗であれば東京にいながら工場見学気分も楽しめます。
また、地域限定発売の「じゃがりこ」アソートタイプが全8エリア分揃うほか、ジャガイモの「バウムクーヘンラスク」や、サツマイモの「さくさく栗黄金」「焼ドーナツ」など地域限定商品が勢揃いし、見ているだけでも楽しめます。


■【エキタメスポット(2)】 21店舗ものキャラクターショップが一堂に会した「東京キャラクターストリート」

◆新規3店舗がオープン「東京キャラクターストリート」 キーワードは〈集合性〉

「東京キャラクターストリート」は、人気キャラクターのグッズショップやテレビ局ショップなど、全21店舗で構成されるキャラクターショップの一大ゾーンで、2008年3月の開業以来、500万人以上が訪れる東京の人気観光スポットとなっています。この3月には新たに3店舗が仲間入りし、その集客力や話題性がさらにパワーアップしています。
「東京キャラクターストリート」の魅力は、いろんなタイプのキャラクターが一堂に集合していること。キャラクターが1ヵ所に集まっていることは子どもにとってはうれしさ満点で、パパママにとっては、あちこち行かずに子どもが満足してくれる、格好のお助けスポットになります。家族旅行でぐずった子どもも、21ものキャラクターが迎えてくれれば、たちまちゴキゲンに。「東京キャラクターストリート」は、子どもも大人も笑顔になれるスポットです。


◆「東京キャラクターストリート」ショップリスト
(★は2012年3月オープンのNEW SHOP)

★K-spot produced by KIDDYLAND
★miffy style
★ハローキティショップ
松竹歌舞伎屋本舗
JUMP SHOP(ジャンプショップ)
TOMICA SHOP(トミカショップ)
PLARAIL SHOP(プラレールショップ)
NHKキャラクター ショップ
スヌーピー タウンミニ
RASCAL SHOP(ラスカルショップ)
Donguri Garden(どんぐりガーデン)
フジテレビショップ
テレ東本舗
TBSストア
テレアサショップ
日テレ屋
ウルトラマンワールドM78
レゴ(R)クリックブリック
カピバラさんキュルッとショップ
リラックマストア
プリキュア プリティストア


■【エキタメスポット(3)】 8つの実力派人気ラーメン店が集結した行列の絶えない「東京ラーメンストリート」

◆グランドオープン1周年の「東京ラーメンストリート」 キーワードは〈バランス〉

東京を代表する人気ラーメン店が集結した「東京ラーメンストリート」は、平日でも行列の途切れない人気ゾーン。2009年6月に第1期・4店舗で開業し、昨年4月に第2期4店舗が加わり、現在8店舗が軒を連ねています。
「東京ラーメンストリート」はどのお店にも行列ができています。行列はお店の人気や活気、おいしさを伝えるバロメーターになりますが、この行列が1店舗だけでなく、8店舗ともにできていることで、どのお店も同じくらい人気があり、甲乙つけがたくおいしいということを示しています。1店舗だけの行列では店の優劣を示すだけで、集積させた意味がありません。8店舗ともに人が並んでいること、つまり8店舗が均衡していることがポイント。バランスのとれた8店舗を揃えることで、お店にとっては集客力を高め、利用客にとっては期待感を高め、並んで食べたという経験が特別な思い出につながります。


◆「東京ラーメンストリート」ショップリスト

塩専門 ひるがお
らーめん むつみ屋
六厘舎TOKYO
東京駅 斑鳩
麺処 ほん田
ジャンクガレッジ
麺や 七彩 / TOKYO味噌らーめん 江戸甘
(昼は醤油ラーメンの七彩、夜は味噌ラーメンの江戸甘が営業)
蟹専門 けいすけ 北の章


■商品ジャーナリスト・北村 森さんに聞く、駅商業施設のトレンド

駅時間を楽しむ『エキタメ』度がさらに高まる駅商業施設。より便利に、より快適になっていく駅の魅力について、商品ジャーナリストで、元「日経トレンディ」編集長の北村 森さんにお話をうかがいました。


◆駅は“都心に残った最後の聖地”

駅の商業施設化が進む背景には、2つの要因があります。ひとつはビジネスをする側にとって駅の集客力や立地は“都心に残った最後の聖地”であり、なんとかスペースをひねり出して商業施設を作りあげたこと。もうひとつは、消費者の「買い物でお金も時間も無駄にしたくない」という欲求。効率的で満足度の高い買い物をしたい消費者にとって、日常的に使う駅は時間を無駄にしたくないニーズにかなった絶好の場所。この開発側と消費者の思いが両輪となり、駅の商業施設化を進める原動力になっていると思います。
そしてもうひとつ、この両輪を推し進める力となっているのが、駅という好条件にあぐらをかかない駅商業施設関係者たちの真摯な取り組みです。かつて駅ビルというと、その好条件に頼った強気商売が多く、いつしか消費者からそっぽを向かれるようになっていましたが、彼ら自身の改革と努力と危機感が、駅商業施設をよりよいものとし、「駅ビルなんて…」というかつてのネガティブイメージを払拭したことが、今の人気につながっていると考えられます。
駅の商業施設は、通勤・通学で日常的に使う駅の場合と、空港も含めたターミナル駅の場合でタイプが異なります。日常使いの駅では固定客が多いことから、普段の生活に合った商品を揃えることが必要ですが、今回取り上げた東京駅は、日常的に利用する人以上に出張や観光客の利用が多いことから、楽しさや快適さ、わかりやすさが求められます。ただ、ここで気をつけたいのは駅の商業施設には、「ほどほど感・そこそこ感のさじ加減が重要」ということです。駅がエンターテインメント化するといっても、アミューズメントパークの水準までいってしまうと過度でふさわしくはないはず。駅の利用者にとって“ちょうどよい”エンターテインメント感を提供することがポイントです。


◆『エキタメ』は“ちょうどよさ”が肝心

4月にオープンする「東京おかしランド」には、お菓子の製造工程を見せる演出があります。テーマパークであれば、その場でお菓子を作らせるのかもしれませんが、ここでは時間的にもキャパ的にもオーバースペック。見て楽しんでおみやげも買える手軽さと、似ているけれどちょっと違うお店を見て回れるところが、駅時間にジャストフィット。駅施設という限られた時間と空間で体験できる、“ほどほど感”の線引きが肝心です。
「東京キャラクターストリート」も別々の場所であればよくあるタイプのお店ですが、一堂に集まっている“集合のパワー”がうれしいポイントです。21ものショップが1ヵ所に集まっているので使い勝手が格段によくなり、その利便性がエンターテインメント性につながっています。といっても、大がかりな装置は必要ないわけで、出発までの30分の待ち時間に、あれもあったこれもあったと“ちょっと”くすぐってくれる、楽しませてくれる、そんな演出・導線が、利用者にとってはものすごくありがたいわけです。
また、「東京ラーメンストリート」も1店舗だけがスターになるようなリーシングでは、集積させたメリットが生かし切れませんが、各店舗それぞれが個性を発揮しながらも絶妙の“バランス”で拮抗しているところがポイント。だからどの店も、長短の差はあれ行列ができています。出張で広島に行くとお好み焼きが食べたくなるように、その地で話題のものを食べることは、その「経験」自体がエンターテインメントです。
駅の商業施設にはオンリーワンではなく、あれもこれも手軽に気軽に楽しめる、そんな“ちょうどよい”エンターテインメント感が大事だと思います。

※北村 森(きたむら・もり)さん 商品ジャーナリスト/元「日経トレンディ」編集長

1966年富山県生まれ。92年に日経ホーム出版社入社、94年から「日経トレンディ」でモノ・サービス取材を担当、05年から「日経トレンディ」編集長を務める。08年退職し、現在、商品ジャーナリストとして活躍。その独自の視点で、ヒット予測に関するTV・ラジオ出演も多い。


■「東京駅一番街」とは

「東京駅一番街」(とうきょうえきいちばんがい)は、東京駅八重洲側にある商業施設で、2005年(平成17年)4月に開業しました。場所は東海道新幹線の高架下という好立地にあり、平日・休日を問わず、観光客、買い物客、通勤客が多く訪れ、大丸東京店、八重洲地下街とともに、東京駅八重洲側の商業エリアを形成しています。
「東京駅一番街」の前身は、1953年(昭和28年)7月に開業した「東京駅名店街」ですが、2005年(平成17年)4月の八重洲再開発に伴い、東京名店街の一部を分離する形で「東京駅一番街」が誕生しました。運営・管理は、東海旅客鉄道(JR東海)の子会社である東京ステーション開発株式会社が行っています。
地下1階、1階、2階の3エリアで構成される「東京駅一番街」の店舗数は約120店舗で、おみやげ物店が集積した「おみやげプラザ」(1階)、飲食店街の「ごちそうプラザ」(2階)、地下には北通りに「東京キャラクターストリート」(地下・北通り)、南通りに「東京ラーメンストリート」(地下・南通り)があり、その中間に「東京おかしランド」がデビューします。「東京キャラクターストリート」内には、イベントスペース「いちばんプラザ」があり、テレビ番組や映画の宣伝イベント、キャラクターグッズなどの期間限定店舗が登場し、キャラクターの着ぐるみの写真撮影会や握手会には開始時間前から行列ができることもあります。
「東京駅一番街」のロゴは、東京の玄関口でFirst Avenueを象徴し、あらゆる面で常に一番のサービスを提供する街でありたいという思いが込められているそうです。


◆「東京駅一番街」の歴史

2005年  4月 「東京駅一番街」営業開始
2006年  1月 東京駅リニューアル工事着手
2007年  4月 「東京駅一番街」リニューアル工事着手
2008年  3月 「東京キャラクターストリート」開業
    10月 「ごちそうプラザ」全面開業
    10月 「おみやげプラザ」開業
2009年  6月 「東京ラーメンストリート」I期開業
2011年  4月 「東京ラーメンストリート」グランドオープン
     7月 「東京キャラクターストリート」グランドオープン
2012年  3月 「東京キャラクターストリート」新規3店オープン
     4月 「東京おかしランド」オープン
     4月 「東京ラーメンストリート」グランドオープン1周年
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