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第2回 「立川文学賞」大賞決定

■概要
<市民が運営する文学賞。 第2回「立川文学賞」受賞作が決定>
 東京都の多摩地区、「立川市」在住の市民が中心となり運営される文学賞「立川文学賞」の第2回受賞作が決定。
3月24日(土)15:00〜、審査委員長で直木賞作家の「志茂田景樹」氏や、清水 庄平立川市長も見守る中、立川市役所1Fロビーをお借りして、授賞式が行われました。


■受賞作
 大賞:「小出まゆみ」氏 「鋏とロザリオ」
大賞は29才主婦で滋賀県在住の小出まゆみ氏、カストラートを題材にした作品「鋏とロザリオ」に決定
〜最高齢受賞者は76歳。37都道府県、海外3カ国、計213作品の応募。連続受賞者も〜

<受賞作>
大賞
◆「鋏(はさみ)とロザリオ」 小出まゆみ (29才滋賀)

佳作
◆「山を生きて」 佐々木ゆう (66才埼玉)
◆「鑪(たたら)の炎は消えて」 児嶋和歌子 (76才東京)
◆「池尻の下女」 三友隆司 (第1回 大賞受賞者) (61才愛知)
◆「スクラム・ガール」 間零 (第1回 佳作入選者) (50才東京)

立川市長特別賞
◆「スクラム・ガール」 間零 (第1回 佳作入選者) (50才東京)(W受賞)

*年齢は応募時


■賞の特徴

・市民・有志・ボランティア等で運営されているため、商業ベース、学術ベース、自治体ベースの活動とは一線を画す。
 ・「立川文学賞」は、「立川」市在住の市民が中心となり創設され、
  昨年(2011)に第1回が立ち上げられました。
  地元立川の「こぶしロータリークラブ」が提唱したのをきっかけに、
  立川や周辺市の有志・ボランティアが中心となり運営されています。
  財源は、市民・有志・地元企業等からの寄付などで賄われており、
  「市民による地域文化の発展」が旗印。
・授賞式は市民に愛される賞をめざし、ストックホルム市民が積極的に参加する「ノーベル賞」をイメージ。市役所ロビーを借りて行う。
 *ノーベル平和賞受賞式はストックホルム市庁舎
・応募作品は、ノン・ジャンル
・中編(原稿用紙60枚〜120枚)
・結果論として、受賞者の年齢幅が広かった(29才〜76才)
・応募・受賞の回数にも制約がない。(結果的に、2度目の受賞者も輩出)
・募集要項:募集作品は原稿用紙60〜120枚までの中編。
      「日本語で書かれた未発表作品」という要件のみで、
      テーマ・ジャンルは自由。
      応募資格もプロ、アマ、年齢、性別、国籍、住所、等も問わない。
      ・表彰状を授与し、賞金を贈呈:大賞50万円・佳作×5万円
       副賞:作品の書籍化と出版(けやき出版)
・審査委員長は、直木賞作家の志茂田景樹氏が務め、授賞式では受賞者1人ひとりに感想と評を述べた。


■趣旨・背景
<市民が自ら作りだし、「地域文化」を問う>
 本賞は、平成二十二年に立川市民を中心に有志が集い創設されました。

東京の<西の交差点>
 立川市は、地理的には東京都のほぼ中央に位置します。都の大動脈の中央線、奥多摩ヘ延びる青梅線、京浜へとつなぐ南武線そして南北をつなぐ多摩都市モノレールによって、鉄道交通の分岐点として新宿以西都内では最大の乗降客を数えます。地域外からの住民の流人、駅前開発を含む商業都市としての発展と相まって、一部地区の遊興街化などまさに国内の都市の典型ともいえる様相を見せています。
この街が商圈として肥大化を続ける中で、最大の問題は、未だに確たる都市のイメージを持ち得ていないことです。

<市民共通の文化>の不在
 昭和三十八年の合併によって、現在の立川市になる前からの、旧柴崎村地区、旧砂川村地区には、それぞれに古くから伝わる良き伝統文化、寺社などが残されていますが、新住民の多い現在、残念ながら市民共通の文化たり得ていません。

<戦後欧米カルチャーの発信基地>
 一方では、かつて立川は基地の町といわれていました。その基地は、戦前は世界一周の飛行機の離発着地として知られ、また戦後の米軍基地の時代には、ジャズ音楽の国内への流行、コカコーラやアイスクリームなど豊かな欧米文化の発信場所でもありました。昭和五十二年に日本に返還された以後、今では国営昭和記念公園、自衛隊防災基地、民間利用地などにそれぞれ三分割され、特に昭和記念公園は、平和の象徴の如く、市内外から来る多くの家族の憩いの場として利用されています。しかし、それは国策によるまちづくりの結果に過ぎないという人もいます。

<地域文化>のありようを問う
 そのような背景を持つ立川。今の時代に、市民が自らまちの文化を作れるのか、作るには何を為せばよいのか。
今回、立川文学賞を通じて求めるものは、文学がまち・地域の在りようや、そこに住む生活者に影響を与えうるのか、また逆に、まち・地域の在りようや生活者の人生の中から、文学の種となるものを、作者がいかにして見出すかを知ることです。
 ただし、本賞には立川という地名がついていますが、作品が立川市を舞台にしていなくても審査には一切関係ありません。作者の感性と知性、まちやそこに住む生活者の見つめ方によって、新しい文学の息吹を感じさせる小説が誕生することを期待しています。


■今後の展望
 地域への「愛情」と「誇り」の再確認

 立川は、独特な文化を形成する中央線沿線の中でも、新宿、東京についで乗降客が多い街でもあります。今や、東京の西の中心地といっても過言ではありません。
 しかし、その繁栄の影で、そのイメージは決して良いものばかりとはいえません。
 特にここ最近は、「6億円強奪事件」や相次ぐ「孤独死」などが連日マスコミを騒がせ、立川という街の印象は、日々、暗い部分ばかりがクローズアップされています。
 とは言え、東日本大震災で被災された方々を積極的に受け入れている「大山団地」の活動や、「新オタクの聖地」と呼ばれるほどにアキバ系ショップが揃うカルチャー街、さらに「Canvas2」、「とある魔術の禁書目録」、「聖☆おにいさん」等の、ゲーム、アニメ、コミックの舞台としても度々描かれ、ファンによる「巡礼ツアー」も開催されるなど、明るく楽しく誇れる話題もまた豊富に存在する街なのです。
 今回、「立川文学賞」が無事に第2回目を迎えるにあたり、市民の皆さんの感性と創造性を刺激することで、より一層の市民文化発展に少しでもつなげることが出来ましたら、それは望外の幸せです。
 そして、その文化が地域への「愛情」と「誇り」となり、推進力となって、立川だけでなく、多摩全体の、さらには東京、日本全体の盛り返しにほんの少しでもお役に立てましたら、これほど嬉しいことはありません。
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