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〜 2012年5月 トレンド予測レポート 〜市場を賑わす「“濃い味”商品」を徹底調査2012年は、「濃い味×健康」商品に注目!

 消費者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、「濃い味」や「濃厚」を謳う商品が増え、その売上を伸ばしているという近年の「“濃い味”ブーム」に注目し、消費者への意識調査、商品ジャーナリスト・北村 森氏へのインタビューを行いました。これらの調査から明らかになった「“濃い味”ブーム」の実態と、今後のトレンド予測についてレポートします。


■ レポート内容
1.市場を賑わす「“濃い味”商品」 ― そのラインナップを分析 ―
 近年、何かと目にする機会の多い「濃い味」を“ウリ”にする商品。
 人気のラインナップなど、市場における「“濃い味”ブーム」の現状をレポートします。

2.「“濃い味”に関する意識調査」 調査から明らかになった消費者の声とは!?
 20〜50代の男女500名に“濃い味”に関する調査を実施しました。
 調査からは、“濃い味”を求める一方で、“健康”を気にする消費者の心理が明らかになりました。

3.専門家・北村氏に聞く、これからの「濃い味商品」 注目は「“濃い味”×健康」!
 商品ジャーナリスト・北村 森氏に、「“濃い味”商品」の魅力や「“濃い味”ブーム」の背景についてインタビュー。
 今年のキーワード“我慢しない”から、これからの「“濃い味”ブーム」の行方を予測します。


■ 市場を賑わす「“濃い味”商品」 ― そのラインナップ・売上データを分析 ―
 近年、スーパーマーケットやコンビニで目にする機会が増えているのが、「濃い」、「濃厚」など、「濃い味」を“ウリ”にする商品です。食品、飲料、スナック・菓子から調味料まで、様々な分野で、「濃厚○○」、「特濃○○」など、“濃”の文字が売り場を賑わしています。
 そこで、こうした「“濃い味”商品」の内、実際に売り場に並んでいる商品をいくつか紹介します。

◆ キリン 「濃い味 〈糖質0〉」
http://www.atpress.ne.jp/releases/27119/a_1.jpg
カテゴリー“No.1低カロリー”に、ビールファンに嬉しい味わいの“濃さ”

 キリン独自のコク味付与技術により、深みのある味わいとボディ感を作り上げたというのが、「濃い味 〈糖質0〉」です。カラメル麦芽による麦の香ばしさや、ファインアロマホップ、アロマホップによる引き締まった苦味が実感できる、深みのある味わいに仕上げられています。新ジャンル、いわゆる「第3のビール」ながらも、ビール本来の“濃い”麦の風味やコクを楽しむことができます。
 しかし、本商品の魅力は、この風味やコクの“濃さ”だけにとどまりません。ビールファンが喜ぶ魅力を前面に打ち出しながらも、糖質は0。更には、「第3のビール」商品カテゴリーの中で、最も低いカロリーを誇る商品となっています。(※)
 まさに、ブームを呼んでいる“濃い味”と、根強い人気を誇る“健康”路線の両方のメリットを合わせ持つ商品であると言えるでしょう。

(※)麒麟麦酒株式会社調べ。2011年10月時点。麦芽を原料とした発泡酒(麦芽使用率50%未満)に麦スピリッツを加えた「リキュール(発泡性)」において。

◆ エスビー食品 「濃いシチュー」
http://www.atpress.ne.jp/releases/27119/b_2.jpg
こだわりの素材の“濃さ”、本格派・贅沢シチューを手軽に家庭で

 「濃いシチュー」は、その商品名の通り、“濃厚な”味わいが特徴のシチュールウ。ベシャメル仕立ての濃いミルク感の「クリーム」と、デミグラス仕立ての濃いビーフ感の「ビーフ」の2タイプが発売中です。
「濃いシチュー クリーム」は、じっくり焙煎したルウに発酵バター、ミルクパウダーを加えることで濃厚な味わいに仕上げています。フォン・ブラン(仔牛・成牛・鶏の骨と肉を、香味野菜と一緒に煮出した白色系のブイヨン)と野菜ブイヨンの2種のブイヨンの旨みが、クリーム感を一層引き立てます。
 一方、じっくりと焙煎したルウにローストしたオニオン、ジュ・ド・ブフ(牛の骨と肉を焼きあげ、香味野菜と一緒に煮出したブイヨン)と野菜ブイヨンを合わせることで濃厚な味わいに仕上げたという、「濃いシチュー ビーフ」。濃縮赤ワインペーストの豊かな香りと甘酸っぱさが、ビーフ感を一層引き立てると言います。
 いずれのタイプも、手軽に自宅で本格派のシチューを楽しめると、人気を呼び、その売れ行きも好調のようです。

◆ フードレーベル 「牛角 濃い味 キムチ」
http://www.atpress.ne.jp/releases/27119/c_3.jpg
「本場の味」と「最高の品質管理」、“濃厚な”味わいがウリの人気キムチ

 人気店の味が自宅で味わえる、フードレーベルの「牛角シリーズ」。中でも、「牛角 キムチ」シリーズは、「辛さの中にも甘み(旨み)がある」という商品コンセプトが多くの方の支持を集め、カテゴリートップクラスの人気を誇ります。現在では、定番の「牛角韓国直送キムチ」をはじめ、辛みと旨みをアップした「牛角旨辛キムチ」や、日本人の味覚に合わせた「牛角べったらdeキムチ」など、豊富なラインナップを揃えています。
 この「牛角キムチ」のプレミアム版が、「牛角 濃い味 キムチ」です。基本の“旨み”と“辛み”に加え、「にんにく」と「唐辛子」をさらに利かせることで実現した、一段と“濃厚な”味わいが特徴です。
 なお、フードレーベルでは、味だけでなく、品質にもこだわっていると言います。「牛角 キムチ」シリーズをはじめとする、韓国輸入キムチに関して言えば、製法、品質検査、そして輸送時の管理体制、全てを徹底管理することで、「味は本場韓国、衛生レベルは日本基準」として、味も品質もNo.1の商品を目指しています。


■ 「“濃い味”に関する意識調査」 調査から明らかになる消費者の声とは!?
 市場を賑わすこれらの「“濃い味”商品」ですが、消費者側にはどのように受け止められているのでしょうか。「“濃い味”商品」に関する消費者の意識を明らかにすることを目的として、全国の20代〜50代の男女500名を対象に「“濃い味”に関する意識調査」を実施しました。

[調査概要]
調査対象:20代〜50代の男女 500名 (性別・年代別に均等割り付け)
     ※20代男性:63名、30代男性:62名、40代男性:62名、50代男性:63名
      20代女性:62名、30代女性:63名、40代女性:63名、50代女性:62名
調査期間:2012年4月23日(月)〜2012年4月25日(水)
調査方法:インターネット調査

◆ 購入経験率6割の「“濃い味”商品」、女性の8割が「ラインナップの増加」を実感

 まず、「“濃い味”商品」、すなわち、「商品名に『濃い』、『濃厚』などのワードを含み、味の濃さを“ウリ”にする商品」について、購入経験や認知といった面で、消費者への浸透がどの程度進んでいるのか調べました。
 はじめに、「『“濃い味”商品』を購入したことがありますか?」と聞いたところ、57%が「購入したことがある」と回答し、「購入したことがない」(16%)という人を大きく上回りました。「“濃い味”商品」の購入経験率は6割近くに達しているようです。
 また、「“濃い味”商品」のラインナップについて、「最近、増えていると感じる」という人は69%という結果に。さらに、女性に限定した場合、「“濃い味”商品」のラインナップの増加を感じているという人は76%にのぼりました。消費者の視点でも、市場での「“濃い味”商品」の広がりが強く感じられているようです。
 さらに、「商品名に『濃厚』、『濃い味』、『濃い』などのワードが入っているだけで、通常のものよりも美味しそうな気がする」という人も59%にのぼり、「“濃い味”商品」の人気が伺えました。


◆ 美味しさの「濃い味派」・健康の「薄味派」… 「薄味派」も2人に1人は「『濃い味』が美味しい」

 こうした「“濃い味”商品」の人気の要因を探るべく、一般的な「濃い味」・「薄味」に関する消費者の嗜好についても調べました。
 まず、「あなたは『濃い味派』ですか?それとも『薄味派』ですか?」と聞きました。ただし、「濃い味派」・「薄味派」については、それぞれ次の通りに定義しました。

・ 「濃い味派」:食事の味について、「濃厚」、「濃い」といった、しっかりした味わいをより好む人
・ 「薄味派」:食事の味について、「すっきり」、「さっぱり」といった、あっさりとした味わいをより好む人

 この質問には、「濃い味派」と答えた人は51%で、「薄味派」と答えた人は41%となり、「濃い味派」が多数派に。
 また、「濃い味派」、「薄味派」、それぞれに「濃い味」、「薄味」を好きな理由を聞きました。「濃い味派」が答えた「濃い味」が好きな理由として最も多くあげられたのは「美味しいから」(63%)で、以下、「満足感があるから」(55%)、「贅沢な気分になれるから」(21%)と味覚的な要因が続きました。
 一方、「薄味派」については、「健康に良いから」(50%)が最も多く、以下、「美味しいから」(49%)、「食べ慣れているから」(48%)と続く結果に。「薄味」が好まれる理由としては、味覚的な要因だけでなく、健康や食習慣などの要因も多くあげられたのが特徴的でした。
そこで、「『濃い味』は美味しいと思いますか?」と聞くと、「濃い味派」は大半が「『濃い味』は美味しいと思う」(96%)と回答したのはもちろん、「薄味派」も50%と、2人に1人が「濃い味」の美味しさを認める結果になりました。

グラフ: http://www.atpress.ne.jp/releases/27119/d_4.jpg


◆ 「罪悪感」、「後ろめたい」といった声も… 8割が「健康面を心配しながらも、『濃い味』を選んだ」経験あり

 一方、「薄味」を支持する理由として、最も多くあげられた健康面でのメリット。これに対して、「濃い味」に抱く健康面のイメージについても聞きました。「濃い味」に対して、「健康に良くないイメージがある」という人は、「濃い味派」で77%、「薄味派」で75%。いずれも8割近くの人が「濃い味」は健康に良くないというイメージを持っているようです。また、「濃い味派」の83%、「薄味派」の74%が、「『濃い味』はカロリーが高いイメージがある」と回答しました。「濃い味」については、健康面のマイナスイメージが根強いことが伺えます。
 そこで、「濃い味派」の人に、『「健康に良くない」、「カロリーが高い」と思いつつも、「濃い味」を選んでしまったことがありますか?』と聞くと、「ある」と答えた人は77%。また、その時の感想を聞いてみると、「やはり好きなのでやめられない。(女性・39歳)」といった意見も見られたものの、「満足感を得た後に後悔した(男性・46歳)」、「濃い味の方が魅力的なのでついつい選ぶが、食べた後はいつも後悔、罪悪感でいっぱい。(女性・36歳)」というように、多くの「濃い味派」の人は、味覚的な満足感とは裏腹に、後悔をした経験があるようです。そして、「健康面でのデメリットがなければ、もっと『濃い味』の飲料や食品を選びたいと思いますか?」と聞くと、89%が「思う」と答えました。


■ 専門家・北村氏に聞く、これからの「濃い味商品」 注目は「“濃い味”×健康」

 最後に、「“濃い味”商品」や「“濃い味”ブーム」について、元「日経トレンディ」編集長で、商品ジャーナリストである北村 森氏にご意見を伺いました。

◆ 「“濃い味”商品」の魅力と、その特徴とは?

 何と言っても、「“濃い味”商品」の魅力は、「食べた」という実感を得られること。それが消費者にとっては魅力です。
 ただ、それだけでは、このところの“濃い味”志向を語り尽くせていない部分もあると思います。というのも、「“濃い味”=単に塩気が強い、油脂分が多い」を求めるだけではなく、「素材の味をはっきりと感じたい」という傾向も見てとれるからです。消費者の“濃い味”志向にも変化があるということです。
 このところの「“濃い味”商品」は、ただ「塩辛い」、「脂っぽい」というものから一歩進んで、素材の味を濃密に感じられるものが主流となりつつあります。こうした点も、「“濃い味”商品」の満足度をさらに上げているものと思われます。

◆ 「濃い味」のトレンドの背景について、お聞かせ下さい。

 食の業界には、「不景気な時代、不透明な時代には“濃い味”が流行する」というジンクスがあります。はっきりした味、つまり、少しの摂取でも満足感が得られる味が、そうした時代にマッチするという見立てです。ラーメンの濃い味ブーム(カップ麺を含む)、あるいは、近年の食べる調味料ブームなど、不景気と“濃い味”は関係性が高い印象もあります。
 それに加えて、前述の消費者の嗜好の変化も、この“濃い味”ブームを後押ししているようです。近年の消費者は貪欲ですし、味覚も成熟してきています。素材の旨みをじっくり堪能できる最近の「“濃い味”商品」は、こうした消費者のニーズにも合致しているとも考えられます。
 さらに言えば、しっかり食べてしっかり活動したい、という前向きなニーズがこの“濃い味”ブームを支えているとも言えそうです。こんな時代だからこそ、パワーをくれる“濃い味”を好み、仕事にも遊びにも力を発揮したい、そんな消費者の思いが、ブームの底流にあると分析できます。

◆ これからの「濃い味」トレンドについての考えを、お聞かせ下さい。

 今回の意識調査の結果も見せてもらいました。調査結果からも読み取れるように、「“濃い味”=健康的ではない」という心配が消費者の間に根強くあるというのは確かなところでしょう。その意味で、「“濃い味”で、しかも健康的」という裏付けのある商品がこれからは存在感を増すのではないでしょうか。いわば「“我慢しない”濃い味」という商品です。
 “我慢しない”、これは今年のキーワードのひとつ、と私は考えています。我慢は、多くの人にとって長続きするものではありません。我慢せずに目的を果たせる商品は、だから人気を呼ぶのですね。

 “我慢しない”節電が一例です。2011年の夏は、いたるところで「節電」というキーワードが使われていました。消費者の「節電」に対する意識も非常に高く、エアコンを使うことを控えたり、調理の器具や方法を変えたりと、「節電」のために「我慢」をすることも1つのトレンドになっていました。この「節電」を意識した流れ自体は、2012年はもちろんのこと、この先数年は続いていくでしょう。しかし一方で、消費者の「我慢」が続くのは1年が限界です。今年のボーナス商戦では、高機能な扇風機、高機能なLEDシーリングライトなどが注目されると思います。

 食の世界でも、“我慢しない”という点が、やはりヒットのカギになると予想しています。
 素材の持つ香ばしさ、あるいは、濃縮された旨みなどをもってして“濃い味”を完成させ、しかもカロリーはさほどではない。そうした商品は、この時代のニーズにぴたりと合致するのでは、と考えられます。満足感を得られ、活力をもたらし、しかも後ろめたさもない。時代の風を掴んだそのような商品は、今後も増えていくものと思います。


 今回の調査からは、“濃い味”を望む一方で、“健康”とのジレンマに悩む消費者の意識と、こうした消費者のニーズをくみ取る「“濃い味”商品」の様子が垣間見えました。北村氏が“我慢しない”年と予測する、2012年。「“濃い味”ד健康”」商品の成長が予期される今年も、「“濃い味”商品」の動向には注目です。
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