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最も有望な将来の高度道路交通システムは自動運転 「何もしなくても運転できる!」 2040年には自律型自動車が主流となるとIEEEメンバーが予測

IEEE(アイ・トリプル・イー)は、将来の高度道路交通として「自律型自動車」が最も有望であり、2040年には道路通行車両の75%を占めるようになると予測しています。

IEEEのシニアメンバーでイタリア・パルマ大学のコンピュータ工学教授を務めるアルベルト・ブロッギ(Alberto Broggi)博士は、次のように述べています。「どのような形であれ、高度道路交通システムの導入にはその基盤整備が必要になることが多く、このことが普及への最大の障害となっています。自律型自動車の場合、既存の道路ネットワークをそのまま利用できるという利点があり、世界の大半の場所で日常的に道路交通に変化をもたらすことができます。」

ブロッギ博士はこの分野における第一人者で、2010年にはイタリアのパルマから中国の上海まで、8,000マイルに及ぶ自動運転自動車走行プロジェクトのディレクターを務め、2台の自律型自動車を見事完走させています。
自動運転自動車の増加がきっかけとなって車両交通の在り方が変わり、今後28年間で交差点、交通量、高速道路などを劇的に変化させ、運転免許の在り方さえも変わっていくことになります。


■道路から信号が消える
自動運転自動車は高度通信センサーを通じて操作され、走行の安全性と効率性が確保されます。道路を走る車すべてが自動運転自動車になれば、車両間通信や交通基盤との情報のやり取りが行われることで、信号や一時停止などの道路標識も不要になるかもしれません。「交通を監視し車の流れを制御するセンサーやカメラ、レーダーが交差点に設置されれば、衝突事故は無くなり、より効率的な交通が可能になります。車が自動で制御されれば、当然信号機を設置する必要もなくなるでしょう。」とブロッギ博士は述べています。


■走行レーンの棲み分け
自律型自動車が増えることで、高速道路にも大幅な変化がおきます。自律型と従来型の車両がそれぞれ専用車線を走行することで渋滞が最低限に抑えられ、運転効率を向上させて走行速度を上げることもできます。IEEEメンバーでジョージ・ワシントン大学のインテリジェントシステムリサーチセンター(Center for Intelligent Systems Research)のディレクターを務めるアジム・エスカンダリアン(Azim Eskandarian)博士は、「高速道路に専用レーンを設けることで車は効率的に流れるようになり、走行中の燃料効率も上がります。自動運転自動車が増加することで車の流れが変わるだけでなく、走行速度を上げ、おそらく従来よりも車間距離を縮めながらも、車両はより安全に走行できるようになり、フリーフローなどでは特に、その両方(あるいは自動運転機能)をうまく使い分けて、安全性を向上させることができます。」と、述べています。

ブロッギ博士は、2040年までに制限速度は間違いなく時速100マイル(160km)まで上げられると確信しています。


■自動車の所有からカーシェアリングへ
自律型自動車によって、カーシェアリング制度の普及も進みます。届いた車で目的地に着くと、その車両はすぐに次の利用者が使用します。「現在、自動車は90%以上の時間は駐車場に置かれています。カーシェアリングを利用することで走行を続ける時間が長くなり、車両の運転効率が上がって燃費の向上にもつながります。」(ブロッギ博士)。

エスカンダリアン博士は、自動運転自動車のカーシェアリングを利用することで、年代や能力に関わりなく、あらゆる人が自動車を利用できるようになり、結果として運転免許の必要性もなくなるだろうと述べています。「電車やバスに乗るために免許など必要ありません。完全に自律化され、全く人の手を借りる余地が無くなれば、車両は自らを自律的に制御し、車の運転のために特別な要件を求める必要はなくなり、交通手段として自動車を保有する必要もなくなります。ただし、車両自体に関して、新たな基準が満たされるよう、より多くの認証制度を設ける必要があることは言うまでもありません。」


■障害の打破
こうしたさまざまなメリットがあるにもかかわらず自動運転自動車の普及に最大の障害となっているのが、運転者や同乗者側の受容性の問題です。アラスカ・アンカレッジ大学のコンピュータシステム工学部の准教授でIEEEメンバーのジェフリー・ミラー(Jeffrey Miller)氏は、「運転者やその同乗者は、まだ車の運転を完全に任せてしまうほど技術を信頼しきれていません。」と指摘。「自動車メーカー側ではすでに、並列駐車補助システムや自動制御ブレーキ、居眠り運転防止装置など、さまざまな自動機能を取り入れことを始めており、自動運転技術が少しずつ受け入れられるようになっています。利用範囲が広がることで、今後28年間のうちに雪だるま式に自動運転技術が拡大し、2040年には道路交通の主流になっていると考えられます。」とミラー氏は期待します。


■高度道路交通システムに関するIEEEの関連資料
IEEE 車両技術ソサイエティ(Vehicular Technology Society)
http://www.vtsociety.org/

IEEE 第76回 車両技術会議(Vehicular Technology Conference)
http://www.ieeevtc.org/vtc2012fall/index.php

IEEE 高度道路交通システムソサイエティ(Intelligent Transportation Systems Society)
http://www.ieee.org/its

IEEE 第15回 高度道路交通システム会議(Intelligent Transportation Systems Conference)
http://www.itsc2012.org

IEEE Intelligent Vehiclesインテリジェント車両シンポジウム(Intelligent Vehicles Symposium)
http://www.iv2013.org/


■IEEEについて
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門家の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、活動を通じて世界中の工学やその他の技術専門職のための信用性の高い「声」として役立っています。

IEEEは、電気・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版、2,000以上の現行標準を策定し、年間1,300を超える国際会議を開催しています。

詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。
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