長野県松本市浅間温泉「松本十帖」が2022年7月23日にグランドオープン 株式会社自遊人が運営
[22/06/14]
提供元:@Press
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株式会社自遊人(所在地:新潟県南魚沼市、代表:岩佐 十良)が運営する松本市浅間温泉の「松本十帖」が、2022年7月グランドオープンします。2020年7月に一部施設から順次プレオープンしながらも、コロナ禍のなかグランドオープンできないまま約2年。コロナ収束まであたためてきた、自家醸造のハードサイダー(シードル)のリリースを契機に、2つのホテル、2つのレストラン、カフェ、本屋、ショップ&ベーカリー、醸造所の複合体が本格始動します。
創業336年、老舗旅館「小柳」のリノベーションからはじまった松本十帖のプロジェクトは、浅間温泉の「エリアリノベーション」を目指しています。ホテルの外にレセプションやカフェを作ったのは、利用者にまち歩きを楽しんでほしいから。人の流れが変わることで、この地域から新たな取り組みが生まれるきっかけになればと願っています。昨年は町内に移住したご夫婦がベーカリーをオープンし、今年は「手紙社」が運営するショップ&カフェがオープン予定。温泉街が、少しずつ、変わりはじめています。
7月23日・24日は、通常は宿泊者しか利用できないキッズスペースの一般開放や、ハードサイダーの試飲会、ALPS BAKERYのパンの試食など、地域内外の皆様に松本十帖を体験していただくイベントを予定しています。
■GRAND OPENING SPECIAL EVENTS/7月23日(土)・24日(日)12:00 - 17:00
・まちびらき福引き大会
・浅間温泉スタンプラリー
・自家製ハードサイダー試飲会
・ALPS TABLE 内覧会&キッズスペース開放
・ALPS BAKERY パンまつり ほか
※当日はご予約無しでブックストア松本本箱をご利用いただけます(12:00 - 17:00)。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_1.jpg
松本本箱 外観
■歴史をつなぐためのリノベーション
近年、各地で行われてきた旅館再生は、破綻した旅館を簿価よりも大幅に安く取得し、大規模な修繕や改修を行わずに営業する事業モデルが大半でした。簿価と取得額の差分が低い販売価格を可能にしたため、高い稼働率と高収益を実現しました。金融機関もそのような再生事業に新規融資を行ってきたわけですが、こういった事業は既存建物の残存価値、つまり余命を消費しているわけで、将来的な再投資が困難であることも否定できません。さらに“割安”な宿が市場に定着することで既存の宿の収益をさらに圧迫、連鎖的に破綻していく例も各地で見られました。
旅館再生は「地域に廃屋・廃ホテルを作らないこと」を目的とし、それが「地域活性につながる」と考えられてきたのですが、残念ながらそうならなかったケースも全国では散見されます。「小柳」は浅間温泉を代表する老舗であり、湯坂と山の手通りの交差点に建つ、浅間温泉のシンボルともいえる旅館でした。しかし経営者が高齢で後継者も不在。さらに平成3年と7年に新築した2棟のホテルが過大債務となっている状態でした。この旅館が廃屋となれば、地域の衰退は火を見るより明らか。そのような状況下、浅間温泉活性化に向けて、長野県の第一地銀である八十二銀行が選んだのが当社(株式会社自遊人)でした。
当社は新潟県南魚沼市で「里山十帖」を営むほか、各地の地域活性プロジェクトに取り組んでいますが、その手法は一般的な旅館再生手法と大きく異なり、地域の付加価値を見い出し、その価値創造に積極投資していく点にあります。運営会社の収益だけでなく地域全体への経済波及効果を考えるエリアリノベーションに実績があります。今回、株式会社自遊人では株式会社小柳を完全子会社として存続させるだけでなく、クリエイターと協働して多様性を生み出すことで、観光面からも経済面からも注目される施設になることを目指しています。
株式会社自遊人/株式会社小柳 代表取締役 岩佐 十良
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_4.jpg
ブックストア
■「地域の核」となる複合施設を作る。
「街の歴史と旅館の歴史を紡いで欲しい」。初めて「小柳」再生の打診を受けたのは2016年7月のことでした。ロビーと宴会場のある中央棟こそ昭和30年代築でしたが、2つの客室棟と浴場棟は平成3年と7年築というまだ築浅の状態。ロビーも平成3年にリノベーションされており、そのままでも十分営業できる状態を有していました。というよりも再生案件としてはかなり優良な状態。一般的な再生手法であれば「そのまま使用する」のが当然でした。しかし当社では中央棟を解体撤去し、2つの客室棟と浴室棟をスケルトン状態に戻してからフルリノベーションすることを決断しました。単に簿価と取得額の差分で商売をするのではなく、新たな価値と命を吹き込み、地域の未来を担うプロジェクトにすることを決意したのです。
小柳は記録に残っているだけでも336年(2022年時点)の歴史があります。経営していたのは代々、地域の責任ある役職を担ってきた家系であり、時には寄り合いの場となったり、下級武士に「小柳之湯」を開放するなど、「地域の核」として重要な役割を担ってきました。歴史を紡ぐという私たちの役目は、この小柳の「地域の核」としての役割を再定義し、今後さらに100年、200年と続けられるような事業を行うことにあります。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_8.jpg
小柳 外観
■地力を再認識・再定義し、地域に開くホテルとする。
「地域の核」として私たちがまず着目したのは「浅間温泉の地力」を見直すこと。そして「開かれた施設」にすること。浅間温泉は日本書紀にも登場する、開湯1300年以上の歴史ある温泉地です。さらに、小柳の敷地からも見える5世紀の古墳からは王冠や勾玉が出土していたり、信濃の大小名が集まる国府的なものがあったりと、不思議な土地の魅力=地力を持った温泉地です。実際に開湯から平成まで、この地には常に人が集まり、賑わってきました。
しかし昭和から平成の時代にかけて、旅館の大型化とともに館内に温泉街の機能を集約することで(内湯や食堂を館内に取り込むことから始まり、最終的にはラーメン屋や居酒屋、マッサージ店などの全てを館内に設置した)、旅館としての売上は増大しても地域の魅力を失っていく結果となりました。浅間温泉最大規模であった小柳も同様で、本プロジェクトでは、そのような「閉じた温泉旅館」を「開かれた施設」にすることを重要な目標に掲げています。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_16.jpg
おやきと、コーヒー
■まちづくりのグランドデザイン
リノベーション前の「小柳」は、東棟 - 中央棟 - 西棟と3つの建物が連なっていましたが、昭和初期の写真を見ると中央棟は存在せず、その部分は庭で正面入り口であったことがわかります。さらに江戸時代にはこの場所に下級武士の湯「小柳之湯」があったことが推測されることから中央棟を解体、東西の棟を分けました。東西をつなぐ外通路は車椅子も通行可能なスロープを設けた回遊庭とし、中央棟の跡地には「小柳之湯」を復活させました。
東西に分けたホテルは、全く異なるコンセプトとし、旧小柳が重要視していた「幅広い客層へ対応」することを引き継ぎました。また、各棟のグランドレベルにはブックストア、セレクトショップ、ベーカリー、カフェダイニングを設け、日帰り利用も可能な外部に開かれた施設にしました。
「小柳」敷地内に3箇所の入り口を設け、さらに温泉街を回遊してもらうため、敷地外の空き家、空きスペースをカフェ&レセプションに。長く使われていなかった長屋は「哲学と甘いもの」というカフェに生まれ変わりました。地域の共同浴場である「睦の湯」では、使われていなかったスペースを借りて、浴場の機能はそのままに、カフェ兼ホテルのレセプション「おやきと、コーヒー」として整備しました。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_2.jpg
松本本箱 客室
■社外クリエイターとの協業
本計画は自遊人クリエイティブチームで、マスタープラン、各施設のクリエイティブディレクションを行なったプロジェクトです。さらに自社の設計チームで一部施設の設計を行い、グッズ、浴衣、アメニティー、全施設の家具の選定とディレクションとデザイン等も行なっています。一方で地域や施設の個性を引き出してくれるであろう現在の日本を代表するクリエイターに声をかけ、参加してもらったのも特徴です。声がけの基準は「自身でも実業を行なっているか?」「それに準ずる活動をしているか?」。これからのクリエイターは、自身の創作活動を極めるだけでなく、より社会活動、経済活動と密接につながっていかなければならないと感じています。
特に建築家やデザイナーはその重要性が高く、単に自身の考える提案性だけでなく、実際にその施設が持続可能な経営を成立させることができるのか、深く考察する必要性があります。今回参加したクリエイターはそういった点で「現在の日本を代表する」方々ばかり。小柳の再生だけでなく、持続可能な温泉街、持続可能な地方都市をテーマに、様々な形で“まちづくり”に関わっていただきました。結果、多種多様な顔を持つ、街そのもののようなプロジェクトになったのではないかと感じています。
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_12.jpg
浅間温泉商店
[MEMBERS]
・株式会社自遊人 クリエイティブチーム/クリエイティブディレクター 岩佐 十良
… プロジェクトマネジメント、各施設のクリエイティブディレクション、一部施設の設計、グッズ・浴衣・アメニティーディレクションとデザイン、全施設の家具の選定等
・SUPPOSE DESIGN OFFICE 谷尻 誠 吉田 愛…松本本箱の設計
・スキーマ建築計画 長坂 常…浅間温泉商店・小柳之湯・哲学と甘いもの設計、外構デザイン監修
・ノングリッド/デザインムジカ…アルプステーブル企画・開発・設計
・artless Inc.…松本十帖の館内サイン、ロゴデザイン(レストラン三六七)
・株式会社 不破稔事務所…松本本箱・哲学と甘いもののロゴデザイン他
・WELCOME GROUP(TODAY'S SPECIAL)…浅間温泉商店 ディレクション
・BACH 幅 允孝…松本本箱「げんせん本箱」の選書
・株式会社ひらく…松本本箱の選書
[施設概要]
名称 : 松本十帖
(松本本箱、小柳、ダイニング、カフェ、ショップ等の総称)
所在地 : 長野県松本市浅間温泉 3-13-1 ほか
建築主・経営 : 株式会社小柳(株式会社自遊人の100%子会社)
プレオープン : 2020年7月以降随時
グランドオープン: 2022年7月23日
ホテル客室数 : 松本本箱24室、小柳14室
料金 : 松本本箱26,752円〜、
小柳23,888円〜(2名利用時の1名あたり1泊2食料金)
電話番号 : 0570-001-810(12:00〜17:00)
HP : https://matsumotojujo.com/
[会社概要]
株式会社自遊人
1989年、武蔵野美術大学に在学する5人の学生が始めたクリエイティブ・カンパニー。当初はデザイン事務所として活動、1990年からは雑誌編集を手掛けるようになり、2000年には雑誌「自遊人」を創刊。「あらゆるものをメディアに」をテーマに、2002年には食品の製造販売をスタート(株式会社自遊人の暮らし)。2004年には東京・日本橋から新潟・南魚沼に移転。2012年に南魚沼市大沢山温泉の旅館を買い取り、2014年に「里山十帖」としてオープンさせた。その後は宿泊施設や飲食店のリノベーション&プロデュースを積極的に行い、2017年に「山形座 瀧波」、2018年に「箱根本箱」「講 大津百町」をディレクション。同年、松本市浅間温泉の老舗旅館「小柳」を承継し、2020年に「松本十帖」をオープンさせた。
「地域の食」をプロデュースすることにも積極的で、「A級グルメ」「ローカルガストロノミー」などの言葉を作るのと同時に新しい食の価値観を世の中に提言。「里山十帖」は2020年に発刊された「ミシュランガイド新潟 2020特別版」で一つ星とレッドパビリオンを獲得した。
創業336年、老舗旅館「小柳」のリノベーションからはじまった松本十帖のプロジェクトは、浅間温泉の「エリアリノベーション」を目指しています。ホテルの外にレセプションやカフェを作ったのは、利用者にまち歩きを楽しんでほしいから。人の流れが変わることで、この地域から新たな取り組みが生まれるきっかけになればと願っています。昨年は町内に移住したご夫婦がベーカリーをオープンし、今年は「手紙社」が運営するショップ&カフェがオープン予定。温泉街が、少しずつ、変わりはじめています。
7月23日・24日は、通常は宿泊者しか利用できないキッズスペースの一般開放や、ハードサイダーの試飲会、ALPS BAKERYのパンの試食など、地域内外の皆様に松本十帖を体験していただくイベントを予定しています。
■GRAND OPENING SPECIAL EVENTS/7月23日(土)・24日(日)12:00 - 17:00
・まちびらき福引き大会
・浅間温泉スタンプラリー
・自家製ハードサイダー試飲会
・ALPS TABLE 内覧会&キッズスペース開放
・ALPS BAKERY パンまつり ほか
※当日はご予約無しでブックストア松本本箱をご利用いただけます(12:00 - 17:00)。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_1.jpg
松本本箱 外観
■歴史をつなぐためのリノベーション
近年、各地で行われてきた旅館再生は、破綻した旅館を簿価よりも大幅に安く取得し、大規模な修繕や改修を行わずに営業する事業モデルが大半でした。簿価と取得額の差分が低い販売価格を可能にしたため、高い稼働率と高収益を実現しました。金融機関もそのような再生事業に新規融資を行ってきたわけですが、こういった事業は既存建物の残存価値、つまり余命を消費しているわけで、将来的な再投資が困難であることも否定できません。さらに“割安”な宿が市場に定着することで既存の宿の収益をさらに圧迫、連鎖的に破綻していく例も各地で見られました。
旅館再生は「地域に廃屋・廃ホテルを作らないこと」を目的とし、それが「地域活性につながる」と考えられてきたのですが、残念ながらそうならなかったケースも全国では散見されます。「小柳」は浅間温泉を代表する老舗であり、湯坂と山の手通りの交差点に建つ、浅間温泉のシンボルともいえる旅館でした。しかし経営者が高齢で後継者も不在。さらに平成3年と7年に新築した2棟のホテルが過大債務となっている状態でした。この旅館が廃屋となれば、地域の衰退は火を見るより明らか。そのような状況下、浅間温泉活性化に向けて、長野県の第一地銀である八十二銀行が選んだのが当社(株式会社自遊人)でした。
当社は新潟県南魚沼市で「里山十帖」を営むほか、各地の地域活性プロジェクトに取り組んでいますが、その手法は一般的な旅館再生手法と大きく異なり、地域の付加価値を見い出し、その価値創造に積極投資していく点にあります。運営会社の収益だけでなく地域全体への経済波及効果を考えるエリアリノベーションに実績があります。今回、株式会社自遊人では株式会社小柳を完全子会社として存続させるだけでなく、クリエイターと協働して多様性を生み出すことで、観光面からも経済面からも注目される施設になることを目指しています。
株式会社自遊人/株式会社小柳 代表取締役 岩佐 十良
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_4.jpg
ブックストア
■「地域の核」となる複合施設を作る。
「街の歴史と旅館の歴史を紡いで欲しい」。初めて「小柳」再生の打診を受けたのは2016年7月のことでした。ロビーと宴会場のある中央棟こそ昭和30年代築でしたが、2つの客室棟と浴場棟は平成3年と7年築というまだ築浅の状態。ロビーも平成3年にリノベーションされており、そのままでも十分営業できる状態を有していました。というよりも再生案件としてはかなり優良な状態。一般的な再生手法であれば「そのまま使用する」のが当然でした。しかし当社では中央棟を解体撤去し、2つの客室棟と浴室棟をスケルトン状態に戻してからフルリノベーションすることを決断しました。単に簿価と取得額の差分で商売をするのではなく、新たな価値と命を吹き込み、地域の未来を担うプロジェクトにすることを決意したのです。
小柳は記録に残っているだけでも336年(2022年時点)の歴史があります。経営していたのは代々、地域の責任ある役職を担ってきた家系であり、時には寄り合いの場となったり、下級武士に「小柳之湯」を開放するなど、「地域の核」として重要な役割を担ってきました。歴史を紡ぐという私たちの役目は、この小柳の「地域の核」としての役割を再定義し、今後さらに100年、200年と続けられるような事業を行うことにあります。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_8.jpg
小柳 外観
■地力を再認識・再定義し、地域に開くホテルとする。
「地域の核」として私たちがまず着目したのは「浅間温泉の地力」を見直すこと。そして「開かれた施設」にすること。浅間温泉は日本書紀にも登場する、開湯1300年以上の歴史ある温泉地です。さらに、小柳の敷地からも見える5世紀の古墳からは王冠や勾玉が出土していたり、信濃の大小名が集まる国府的なものがあったりと、不思議な土地の魅力=地力を持った温泉地です。実際に開湯から平成まで、この地には常に人が集まり、賑わってきました。
しかし昭和から平成の時代にかけて、旅館の大型化とともに館内に温泉街の機能を集約することで(内湯や食堂を館内に取り込むことから始まり、最終的にはラーメン屋や居酒屋、マッサージ店などの全てを館内に設置した)、旅館としての売上は増大しても地域の魅力を失っていく結果となりました。浅間温泉最大規模であった小柳も同様で、本プロジェクトでは、そのような「閉じた温泉旅館」を「開かれた施設」にすることを重要な目標に掲げています。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_16.jpg
おやきと、コーヒー
■まちづくりのグランドデザイン
リノベーション前の「小柳」は、東棟 - 中央棟 - 西棟と3つの建物が連なっていましたが、昭和初期の写真を見ると中央棟は存在せず、その部分は庭で正面入り口であったことがわかります。さらに江戸時代にはこの場所に下級武士の湯「小柳之湯」があったことが推測されることから中央棟を解体、東西の棟を分けました。東西をつなぐ外通路は車椅子も通行可能なスロープを設けた回遊庭とし、中央棟の跡地には「小柳之湯」を復活させました。
東西に分けたホテルは、全く異なるコンセプトとし、旧小柳が重要視していた「幅広い客層へ対応」することを引き継ぎました。また、各棟のグランドレベルにはブックストア、セレクトショップ、ベーカリー、カフェダイニングを設け、日帰り利用も可能な外部に開かれた施設にしました。
「小柳」敷地内に3箇所の入り口を設け、さらに温泉街を回遊してもらうため、敷地外の空き家、空きスペースをカフェ&レセプションに。長く使われていなかった長屋は「哲学と甘いもの」というカフェに生まれ変わりました。地域の共同浴場である「睦の湯」では、使われていなかったスペースを借りて、浴場の機能はそのままに、カフェ兼ホテルのレセプション「おやきと、コーヒー」として整備しました。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_2.jpg
松本本箱 客室
■社外クリエイターとの協業
本計画は自遊人クリエイティブチームで、マスタープラン、各施設のクリエイティブディレクションを行なったプロジェクトです。さらに自社の設計チームで一部施設の設計を行い、グッズ、浴衣、アメニティー、全施設の家具の選定とディレクションとデザイン等も行なっています。一方で地域や施設の個性を引き出してくれるであろう現在の日本を代表するクリエイターに声をかけ、参加してもらったのも特徴です。声がけの基準は「自身でも実業を行なっているか?」「それに準ずる活動をしているか?」。これからのクリエイターは、自身の創作活動を極めるだけでなく、より社会活動、経済活動と密接につながっていかなければならないと感じています。
特に建築家やデザイナーはその重要性が高く、単に自身の考える提案性だけでなく、実際にその施設が持続可能な経営を成立させることができるのか、深く考察する必要性があります。今回参加したクリエイターはそういった点で「現在の日本を代表する」方々ばかり。小柳の再生だけでなく、持続可能な温泉街、持続可能な地方都市をテーマに、様々な形で“まちづくり”に関わっていただきました。結果、多種多様な顔を持つ、街そのもののようなプロジェクトになったのではないかと感じています。
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/313903/LL_img_313903_12.jpg
浅間温泉商店
[MEMBERS]
・株式会社自遊人 クリエイティブチーム/クリエイティブディレクター 岩佐 十良
… プロジェクトマネジメント、各施設のクリエイティブディレクション、一部施設の設計、グッズ・浴衣・アメニティーディレクションとデザイン、全施設の家具の選定等
・SUPPOSE DESIGN OFFICE 谷尻 誠 吉田 愛…松本本箱の設計
・スキーマ建築計画 長坂 常…浅間温泉商店・小柳之湯・哲学と甘いもの設計、外構デザイン監修
・ノングリッド/デザインムジカ…アルプステーブル企画・開発・設計
・artless Inc.…松本十帖の館内サイン、ロゴデザイン(レストラン三六七)
・株式会社 不破稔事務所…松本本箱・哲学と甘いもののロゴデザイン他
・WELCOME GROUP(TODAY'S SPECIAL)…浅間温泉商店 ディレクション
・BACH 幅 允孝…松本本箱「げんせん本箱」の選書
・株式会社ひらく…松本本箱の選書
[施設概要]
名称 : 松本十帖
(松本本箱、小柳、ダイニング、カフェ、ショップ等の総称)
所在地 : 長野県松本市浅間温泉 3-13-1 ほか
建築主・経営 : 株式会社小柳(株式会社自遊人の100%子会社)
プレオープン : 2020年7月以降随時
グランドオープン: 2022年7月23日
ホテル客室数 : 松本本箱24室、小柳14室
料金 : 松本本箱26,752円〜、
小柳23,888円〜(2名利用時の1名あたり1泊2食料金)
電話番号 : 0570-001-810(12:00〜17:00)
HP : https://matsumotojujo.com/
[会社概要]
株式会社自遊人
1989年、武蔵野美術大学に在学する5人の学生が始めたクリエイティブ・カンパニー。当初はデザイン事務所として活動、1990年からは雑誌編集を手掛けるようになり、2000年には雑誌「自遊人」を創刊。「あらゆるものをメディアに」をテーマに、2002年には食品の製造販売をスタート(株式会社自遊人の暮らし)。2004年には東京・日本橋から新潟・南魚沼に移転。2012年に南魚沼市大沢山温泉の旅館を買い取り、2014年に「里山十帖」としてオープンさせた。その後は宿泊施設や飲食店のリノベーション&プロデュースを積極的に行い、2017年に「山形座 瀧波」、2018年に「箱根本箱」「講 大津百町」をディレクション。同年、松本市浅間温泉の老舗旅館「小柳」を承継し、2020年に「松本十帖」をオープンさせた。
「地域の食」をプロデュースすることにも積極的で、「A級グルメ」「ローカルガストロノミー」などの言葉を作るのと同時に新しい食の価値観を世の中に提言。「里山十帖」は2020年に発刊された「ミシュランガイド新潟 2020特別版」で一つ星とレッドパビリオンを獲得した。