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華思林氏のインタビュー記事を「人民日報海外版日本月刊」にて公開 T&K株式会社の進展 〜九州から全国へ

T&K株式会社代表取締役社長華思林氏のインタビュー記事を「人民日報海外版日本月刊」にて公開します。

今日、本誌編集部を訪れたインタビューのお相手は、とてもユニークな人物である。彼は書棚の前に立つと本誌のバックナンバーを手に取り、懐かしそうな表情でページをパラパラとめくった。「ここに載っている取材された方々は、ほとんどが私のクライアントです!」。そんな言葉が出てくるとは、彼もメディア関係者なのだろうか?

新華僑として日本で事業を立ち上げ、地方で成功を収めるに至ったT&K株式会社の華思林代表取締役社長に、これまでの足跡をうかがった。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/326964/LL_img_326964_1.jpg
T&K株式会社代表取締役社長 華思林

■実践を通したアイデンティティーの発見
華思林は大学を卒業して3年後、主力業務として、京セラプリンターの販売やリース、およびOA機器の総合サービスを行うT&K株式会社を設立した。卒業から9年後には、九州地域における京セラプリンターの取り扱いで90%以上のシェアを占めるようになり、福岡本社および大阪、四国、東京など7つの営業所だけでなく、さらには3つの飲食店、4つの関連企業を擁する総合グループ企業に発展した。何の後ろ盾も持たない一留学生として来日した若者が、13年後には立派な華僑実業家へと、見事な成長を遂げたのである。

2009年、華思林は長崎国際大学の観光学科に入学した。いち早く日本語能力試験1級に合格し、その勢いで「BJTビジネス日本語能力テスト」にも挑戦した。数々の資格証明書が彼の勤勉さと進取の精神を証明している。それに加えて、彼はクラブ活動にも積極的に参加し、NHKテレビ主催の大学生弁論大会に中国人留学生として出場した。社会経験であろうと大学の講義であろうと、彼は常に学ぶことに対して貪欲だった。

大学卒業後、華思林は日本の企業に就職し、入社からわずか8か月で、全国トップの営業成績を上げた。テキストで学んだビジネス日本語だけで勝ち抜くことなどできるはずがない。日本の社会や文化に適応し、方言に対応し、消費者心理に寄り添う生きた言語があったからこそ、外国人や新人という不利な環境下でも抜きん出た成果を残すことができたのである。

その日、華思林は中国国内に住む家族からの電話を受けた。久しぶりに聞く遠く離れた家族の声に感慨もひとしおであった。必死に仕事をして全国トップの営業成績を上げても、家族とともに過ごす時間はどんどん少なくなるばかりである。いっそのこと思い切って起業すれば、時間が自由になるだけでなく、家族をもっと楽にできるのではないか。2016年1月、華思林はそんな思いからT&K株式会社を設立した。


■創業への3つの足掛かり
戦後数十年が経過し、日本のOA機器市場でも、当然のことながら顧客の「囲い込み」はとうに終わっていた。日本の市場には、明確な分業体制と安定したサプライチェーンがすでに成立していたのである。では、後ろ盾のない中国の若者は、いかにしてその市場に分け入り、順調に事業を拡大していったのであろうか?

何事も初めが最も難しく、利益を度外視した誠意こそが顧客の心を打つ。華思林が日本で初めて携わったのはプリンター関連の仕事であったため、創業にあたっても、そこから着手しようと決めた。理由は簡単である。一つの仕事を時間かけて突き詰めれば、その道のエキスパートになれる。華思林は、すでに確立していた自身の縁故を頼りに、市場の平均価格よりもずっと低価格でプリンターを顧客に提供し、九州の市場を徐々に開拓していった。コロナ禍は世界経済に暗い影を落としたが、それによりかえって経営者のコスト意識は高まり、誠意を込めて顧客に向き合うT&K株式会社は市場シェアを順調に伸ばした。

「付加価値の高いサービスを無償で提供することによって、市場を直接的かつ効果的に開拓することができます」。T&K株式会社では、水道・電気回線の設置、OA機器の取り付け、オフィスの内外装やメンテナンス等のサービスも行う。スタッフがプリンターを納入・設置する際に、顧客の要望に応じて水道や回線の問題を解決することもよくある。日本では、機器の設置やメンテナンスにもそれなりのコストはかかるものだ。

オフィス環境を全体的に整えることは、企業の健全かつ長期的な発展につながる。日本の経済基盤は中小企業によって支えられており、多業種で分業化が進んだ結果、独特な棲み分けがあると言ってよい。ところが、コインの裏表の如く、すべての人やモノがインターネットでつながるこの時代において、一分野の専門性を追求するだけでは企業の成長は望めない。華思林はそこを商機と捉え、コンサルティング、販売、メンテナンス、アップデート等を網羅し、プリンターやコンピューターに代表されるOA技術のサポート、オフィス環境の提案、ローカルエリアネットワーク(LAN)の設置、塗装設計、メンテナンス等、総合的なサービスを提供できるプロフェッショナル集団を作り上げた。
ワンストップサービスによる時間の節約と安心感から、T&K株式会社は顧客の間では欠くことのできない「よろず屋」企業となった。

2020年夏、コロナ禍、台風、水害と、大きな災禍が相次いで九州を襲った。混乱のなか、T&K株式会社の社員たちは、顧客の抱えている問題を解決するために現場を駆け巡り、少しでも早く企業活動が再開できるようサポートした。日本政府が感染防止対策として在宅勤務を呼びかけたことで、プリンターやLANの需要が急増した。新型コロナウイルスの感染拡大が最も深刻だった頃には、華思林自身も防護服を身にまとい、従業員を率いて機器の設置場所に駆けつけた。そうした顧客至上主義と絶えず進歩を求める姿勢によって、T&K株式会社の真新しい看板は、誠実なサービスを行う企業として輝きを放つようになっていった。

当然のことながら、取り扱うメーカーの選択も重要である。T&K株式会社が代理店を務める京セラプリンターは、省エネで環境にも優しく、耐久性と効率性に優れている。プリンターの鍵となるセレン感光ドラムとトナーカートリッジを例に挙げると、京セラプリンターのセレン感光ドラムは60万回以上のプリントに耐え、これは通常のプリンターの数倍である。部品の寿命が長ければコストの削減にもつながる。また、持続可能な社会の構築にいち早く着目した京セラは、環境保護の観点から、製品設計の段階で使用済みのトナーカートリッジを再利用できるようにした。
適切なメーカーを選択し、そのブランドの強みを活かした販売・メンテナンスチームを立ち上げることで、T&K株式会社は創業当初から着実に歩みを進め、発展を遂げていった。


■リソースを企業のコアコンピタンスに
新華僑企業家の代表とも言うべき華思林の言動は創意に満ちあふれている。3か月前、T&K株式会社は新たに東京に営業所を開設し、倉庫も併設した。彼は福岡本社から従業員を選抜し、東京営業所の業務を完全に委ねた。

「現場に権限を与え、従業員を信頼し、彼らに挑戦の機会を与え、リスクは自分が負う!」。30歳を迎えたばかりの華思林の言葉には、新華僑企業家らしい自信と気迫が満ちていた。東京営業所に限らず、T&K株式会社では、取引額が1,000万円未満であれば現場の裁量で決済が可能である。

華思林は、企業文化の構築にも力を注いでいる。取材中、彼はちょっとした秘密を明かしてくれた。T&K株式会社では、傘下のすべてのグループ企業や部署が所有する商用車のナンバープレートの下3桁を119で統一している。これは会社の創立記念日である1月19日に因んだもので、各部門、各チームの結束力を高めるためだという。一見目立たないような細部にも、自身に対する課題や従業員への期待、社会に対する責任といった、若き実業家としての姿勢が現れている。

T&K株式会社では、すべての新入社員に8か月の研修期間を設け、できるだけ多くの資格を取得するよう奨励し、従業員が社会科学・常識、専門スキル、営業スキル等々、様々な角度から素養を身に着け、商談力をアップできるよう努めている。

一つの業界に長く身を置くと、専門知識や人脈は必然的に蓄積されていく。人は職業を選択する際、慣れ親しみ、経験を積んだ職種を選ぶものである。華思林には、自身が大事に育ててきた従業員がいずれ自らの元を去り、ライバルになるかもしれないという不安はないのだろうか?

「従業員の転職はむしろ望むところです!」。華思林は従業員の起業を支援し、彼らが転職して活躍できるよう舞台を提供している。T&K株式会社の管理職を経験した従業員のなかには、ある地域の水道・電気の取り付け業務を請け負ってグループの子会社の責任者になった者や、ある地域のオフィス環境業務を単独で請け負う者、グループ傘下の塗装会社のマネジメントを任された者もいる。有能な社員は単独で仕事を請け負い、独自のやり方で力を発揮し、グループ内でリソースを共有する。オペレーショナル・リスクはグループ本社が負うことで、従業員は真にグループの一員となり、グループとともに成長するのである。

数年間で、T&K株式会社は3,200社以上の企業にサービスを提供し、強力なデータベースを構築した。華思林は冗談めかして言う。「私は『華人版』帝国データバンクです」。リスクを恐れず革新に挑み続け、OA機器の販売事業のほかに飲食業、観光業、不動産業、広告業など多分野に事業を拡大していった。「何かあったとしも、再び立ち上がることができます」。なぜなら、彼には多様なリソースという切り札があるからだ。


■取材後記
華思林氏はスーツケースを手にしていた。朝、飛行機から降り立って、夕方には次の都市へ向かうという。早回しの時計を持っているかの如く生きてきた彼は、普通なら一生かけても成し得られるかわからないほど大きな夢を実現している。家族と過ごす時間をもっと持ちたいという創業当初の願いは、片時も頭から離れたことはない。「あとひと踏ん張りして会社を上場させれば、少しゆっくりできるでしょう」。華思林氏は、彼が新たな場所に立ったとき、再びインタビューを受けると約束してくれた。
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