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トレンド予測レポート 「注目のタブレット端末を調査」新たな局面を迎えるタブレット端末市場 「4G LTE」、「テザリング」、…ポイントは選択の自由度 市場拡大の展望と、ユーザーの8割が感じるネックとは!?

生活者の意識・実態に関するトレンドを調べるトレンド総研(東京都渋谷区)では、今回、タブレット端末に注目しました。本レポートでは、タブレット端末の現状を明らかにし、今後の展望を占います。

昨今、「4G LTE」、「テザリング」といったワードを目にする機会が増えました。一義的には、高速化を実現した新しい移動通信システムを指す「4G LTE」と、スマートフォンを介して情報機器をインターネットに接続するという意味の「テザリング」。KDDI社、ソフトバンクモバイル社が、これらのサービスを開始したことで、ユーザー、メディアの注目度が急速に高まっています。
さらに、先日、2013年3月21日(木)には、ソフトバンクモバイル社が新サービス「ダブルLTE」を開始。既存のLTE回線に加え、イー・アクセス社のLTE回線が利用できるようになり、より安定した快適なLTE通信サービスが可能になるといいます。このことは、メディアでも広く報じられ、提供会社の注力の様子、メディアの注目度がうかがえる出来事でした。

こうした流れを受け、生活者の意識・実態に関するトレンドを調べるトレンド総研(東京都渋谷区)では、今回、タブレット端末に注目しました。「4G LTE」、「テザリング」により、タブレット端末の利便性は飛躍的に向上すると思われます。それに伴い、タブレット端末は、これからどのように活用のシーンを広げていくのでしょうか。

まず、タブレット端末を取巻く現状と、今後の展望について、デジタル機器に精通するITジャーナリストの安蔵 靖志(あんぞう やすし)氏にお話をうかがいました。また、併せて、現在タブレット端末を所有している、あるいは、購入を検討している20代〜40代の男女500名を対象にアンケート調査を実施。その意識・実態について調べました。
そして、最後に、トレンド総研のオススメサービスとして、3つのタブレット端末とその特長について紹介します。


■1.ITジャーナリスト・安蔵氏に聞く、タブレット端末の“現状”と“今後の展望”

はじめに、「タブレット端末」について、ITジャーナリストの安蔵 靖志氏にお話をうかがいました。IT機器や家電製品に精通し、各メディアで活躍されている安蔵氏。タブレット端末にも詳しく、様々な情報発信をされています。
今回は、安蔵氏にタブレット端末の現状と、今後の展望についてお話をうかがいました。

◆まさに新たなフェーズに移行しようとしているタブレット端末
<Q.タブレット端末の現状について、どのように考えていますか?>

タブレット端末は、今まさに新たなフェーズを迎えようとしているように感じています。

その1つの要因として、「4G LTE」や「スマートフォンのテザリング」の登場による影響は大きいと思います。これらのサービスにより、タブレット端末の通信における自由度は飛躍的に高まるでしょう。
これまでであれば、タブレット端末の利用は、Wi-Fi環境を見つけるところから始まりました。自宅で無線LANルータを準備したり、屋外でアクセスポイントを探したり。あるいは、データ通信サービスを契約し、通信機器を別途用意しなければなりませんでした。通信機器を取り出し、電源を入れ、テザリングをONにして、タブレットとの接続を確認して、それから、やっとタブレット端末を利用することができるのです。その間、およそ1〜2分。これは非常に大きなストレスでした。
しかし、「4G LTE」や「スマートフォンのテザリング」を利用すれば、いつでも、どこでも、そして、必要最低限の通信機器で、これまでと同等以上の通信環境を得ることが可能になります。タブレット端末の魅力は確実に高まるでしょう。

また、この通信方法の改善と同様に注目すべきポイントなのが、端末選択時の自由度です。

昨年、タブレット端末の国内シェアにおいて、大きな変化がありました。
それまで、圧倒的なシェアを維持していたiPadですが、月間販売台数で初めてAndroid OSを使ったタブレット端末を下回ったのです。発売を開始した、Googleの「Nexus 7」が、独走するiPadに待ったをかけたと、大きく報じられました。
とはいえ、アンドロイド端末の販売台数は「Nexus 7」の1機種ではなく、数機種の合計台数。対するiPadのシェアは、依然として圧倒的なものであることは明白です。それでも、この出来事は非常に大きな意味があったと言えます。

確かに、iPadは非常に完成度の高い製品です。定評のある洗練されたデザインはもちろん、電池のもち、ラインアップされたアプリの完成度など、その性能は特筆に値するものと言えるでしょう。
しかし、こうした特長はApple社による徹底的な規格化の産物。裏を返せば、多様な個人のニーズを汲むものとは対極に位置するものです。最新モデルは、常に1機種しか存在しない。そんな状況に不満を感じていた人も少なくないと思います。また、たとえどんなに良い製品だとしても、万人にとって完璧な製品なんてものは存在しません。
iPad以外に選ばれる製品がない。こうした選択肢の少なさが、タブレット端末市場全体の足かせになっていたと言っても過言ではないでしょう。
その中で報じられたのが、先のアンドロイド端末による販売台数逆転のニュースです。これからは、個人が、自身の好みや用途に応じて、最も良いと思うタブレット端末を選ぶ。そんな新たな時代の幕開けを予感させる出来事だったと言えます。

そして、その直後に、新たな時代の第一歩とも言える出来事が、実際に起きました。「iPad mini」の発売です。
それまでの「iPad」は、電車の中で電子書籍を読むために使うには、少し大き過ぎました。確かに「iPad」は魅力的な製品ですが、600gを超える重量は、移動時の使用を主とする人にとっては、重過ぎます。「iPad mini」は、こうした悩みを持つ人にApple社が提示した、新たなタブレット端末の選択肢と言えるでしょう。
さらに、「iPad mini」のすごさは、それだけにとどまりません。サイズは小さくなったものの、その性能面では、「iPad」にも引けをとらない製品になっています。欲を言えば、さらに、Retinaディスプレイを採用した製品に期待が高まるといった点でしょうか。そうすれば、このサイズでは、まさに“非の打ち所がない製品”となりうるように感じます。

こうした新たな選択肢が生まれてきた背景には、アンドロイド端末の台頭があります。
やはり、競争の中でこそ、ユーザーにとってベストな選択肢は生まれるものです。サービスの提供者が増えれば、もちろん提供するサービスも増えていきます。その中からは、新たなサービスも生まれるでしょう。ユーザーの選択肢も増えていきます。こうした過程を経て、はじめてユーザーの多様なニーズに応えることが可能になるのです。

そして、様々な選択肢が生まれることにより、これまではタブレット端末に手を出しきれなかった層にまで、ユーザーの裾野を広げていくのではないかと思います。こうした流れが、タブレット端末の新たなフェーズを築き上げていくのではないかと考えています。

◆安蔵 靖志(あんぞう やすし)

IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー。
All About「iPad」「タブレット・電子書籍端末」ガイド。
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。
総合情報サイト「日経トレンディネット」や雑誌「家電批評」などで執筆中。
KBCラジオを中心に全国5放送局でネットしている、
ラジオ番組『キャイ〜ンの家電ソムリエ』にも出演している。


■2.タブレット端末の所有者・購入検討者へのアンケート調査

安蔵氏への取材からは、タブレット端末が、今まさに新たなフェーズを迎えようとしていることが分かりました。そして、これまではタブレット端末に関心が低かった層にまで、ユーザーが拡大していく可能性が提示されました。
そこで、タブレット端末のユーザーが、これから拡大していくに当たり、どういった点がポイントになるかを明らかにするため、現在、実際にタブレット端末を使用している人、あるいは、これからタブレット端末を購入することを検討している人を対象に、アンケート調査を実施しました。

◆タブレット端末に関する意識・実態調査

調査方法  :インターネット調査
調査委託機関:楽天リサーチ株式会社

[調査概要]
調査期間:2013年3月19日(火)〜2013年3月22日(金)
調査対象:20代〜40代 男女 500名
※事前調査において、以下の(1)、(2)のいずれかの条件を満たした人
 (1)タブレット端末を現在使用しているという人
 (2)現在はタブレット端末を使用していないが、購入を現在検討しているという人
※事前調査は、20代〜40代の男女に対して、性別・年代別に均等割り付けの上で実施
※本調査の調査対象は、事前調査にて条件を満たした人の中からランダム抽出により選出

◆タブレット端末の所有者・購入検討者、3人に1人はフィーチャーフォンユーザー

今回のアンケート調査は、タブレット端末を所有している人、あるいは、タブレット端末の購入を検討している人を対象としました。すなわち、タブレット端末への関心が強い人です。
こうした人たちは一体どのような人たちなのでしょうか。その実態を探るため、「使用している携帯電話」について複数回答で聞きました。

その結果、ほぼ同程度の割合で「フィーチャーフォン」(37%)、「スマートフォン(Android)」(36%)、「スマートフォン(iPhone)」(35%)が並びました。タブレット端末に関心が強い人たちということで、スマートフォンなど、IT機器の導入が進んでいることが想定されました。しかし、意外にも、「フィーチャーフォン」を利用している人が多かったのが、印象的です。
詳しく見てみると、「スマートフォンとフィーチャーフォンを両方」という人も9%はいたものの、「フィーチャーフォンのみ」という人が29%。タブレット端末への関心が強い人たちでも、3人に1人は、スマートフォンではなくフィーチャーフォンを使用していることが分かりました。
http://www.atpress.ne.jp/releases/34450/a_1.jpg

IT機器に詳しい人だけが、タブレット端末を使う、そんな時代はもう終わったと言えるかもしれません。

◆圧倒的ユーザー支持を誇るApple製品、購入検討1位の製品は…「iPad mini」

次に、タブレット端末の所有者に「使用しているタブレット端末の機種」について聞きました。この質問では、やはり「Apple『iPad』」が64%と、圧倒的な支持率で1位になりました。次点以降は、2位が「Google『Nexus 7』」(9%)で、「Apple『iPad mini』」と「富士通『ARROWS Tab』」が5%で、同率の3位に並ぶという結果に。

一方、同様に、タブレット端末の購入検討者にも「欲しいタブレット端末の機種」を聞いたところ、こちらの1位は「Apple『iPad mini』」(44%)。2位「Apple『iPad』」(43%)とは僅差ではあったものの、「iPad mini」が「iPad」を上回る結果となりました。また、以下は、「Google『Nexus 7』」(20%)、「SONY『Xperia Tablet』」(19%)が続きます。

「使用しているタブレット端末の機種」、「欲しいタブレット端末の機種」のいずれについても、Apple社製品の支持率の高さがうかがえる結果であったと言えそうです。

しかし、その一方で、「使用しているタブレット端末の機種」に比べると、「欲しいタブレット端末の機種」については、Apple社以外の製品の支持率も高めであり、その差が小さくなっている様子がうかがえます。安蔵氏が提示した、機種選択における多様化が、実際に起こり始めている証拠と言えるかもしれません。

そこで、さらに、使用している、あるいは、欲しいタブレット端末の機種について、自由回答でその理由を聞きました。すると、多く見られたのは、「Apple製品が好き。(熊本県・41歳女性)」、「SONYが好きだから(山形県・25歳男性)」といった、メーカーの固定ファンからの声。続いて、各商品の特徴を指し示す「動きがスムーズなのでiPadを選んだ。(大阪府・27歳男性)」、「電子書籍を読みたいのでKindleが欲しい。(鹿児島県・23歳女性)」、「Nexus 7は、スペックが良い割には価格がリーズナブルで利便性があるから。(千葉県・39歳男性)」といった回答を得られました。こうした意見からも、端末選択の自由度が高まっていることがうかがえます。徐々にではありますが、多様なユーザーニーズに対応し得るサービスが提供されだしていると言えるかもしれません。

◆タブレット端末の最大のハードルは金銭コスト、費用削減のコツとは!?

こうした盛り上がりを見せるタブレット端末ですが、今後ユーザーが増えていくためには、どういった点がポイントとなり得るのでしょうか。
「タブレット端末を購入するに当たり、ボトルネックになると思う点」をたずねました。すると、多かったのが、「本体価格の高さ」(88%)、「通信費用の高さ」(82%)、「通信費用の分かりにくさ・不明瞭さ」(72%)。費用に関する3項目が上位を占める結果となりました。
http://www.atpress.ne.jp/releases/34450/b_2.jpg

そこで、最後に、タブレット端末の所有者たちに、タブレット端末にかかるお金を減らすコツを聞きました。すると、「スマホの契約でiPad本体は無料になるサービスを利用。(神奈川県・35歳女性)」、「携帯電話の会社に問い合わせると、色々教えてくれる。(京都府・44歳男性)」といった意見を聞くことができました。
通信方法や購入方法も多様化しているタブレット端末。通信サービスの提供会社の選び方や、スマートフォントの組み合わせなどを工夫することにより、様々な割引サービスを受けることもできるようです。

■3.注目のタブレット端末、人気を集めた3機種を紹介

最後に、注目のタブレット端末について紹介します。
前述の通り、タブレット端末の多様性は高まり始めています。ECサイトなどの売上ランキングや、今回の調査の結果を考慮し、注目度の高い3機種をピックアップ。それぞれの特長を中心に紹介していきます。

◆話題の「ダブルLTE」にも対応、注目度No.1の「iPad mini」の注目ポイントは!?

初めに紹介するのは、今回の調査で、購入検討者に聞いた「欲しいタブレット端末の機種」で、最も高い支持率を集めた「iPad mini」です。安蔵氏への取材でも話題になることが多かったように、「iPad mini」は、現在非常に注目の機種だと言えるでしょう。また、その機能性についても、安蔵氏の評価の通り、非常に魅力的な機種です。

しかし、ここでは、「iPad mini」の特長を、通信サービスにフォーカスして紹介します。
「iPad」もそうですが、「iPad mini」は、製造元のApple社だけではなく、ソフトバンクモバイル社とKDDI社でも販売しています。そのため、通信サービスを展開する両社から、様々なサービスが提供されています。こうしたサービスの恩恵を受けることができるのも、「iPad mini」の特徴です。

例えば、「4G LTE」の通信サービスを利用できる、ソフトバンクモバイル社とKDDI社が展開する携帯電話回線モデルの魅力は、これまでの3G時代の比にならないでしょう。また、先日、ソフトバンクモバイル社が開始した新サービス「ダブルLTE」を利用できるタブレット端末は、「iPad mini」と「iPad Retinaディスプレイモデル」だけです。

さらに、そのメリットはコスト面にも及びます。今回の調査では、タブレット端末の購入における最大のボトルネックは、本体価格や通信費用といったコスト面であるという結果を得ました。しかし、通信サービスを提供する会社のサービスを上手く利用することにより、タブレット端末のコスト面における負担を軽減することが可能です。
これらの会社のスマートフォンを使用している人であれば、同社で契約することで、タブレット端末での携帯電話回線の利用が無料になります。また、期間限定とはされていますが、対応機種のスマートフォンを使用している人であれば、向こう2年間は、テザリングによるデータ通信を無料で行うことができるといったサービスも展開されています。
こうしたサービスの中で、さらに特徴的なのが、ソフトバンクモバイル社の「スマホタダ割」や「学割」でしょう。いずれも、実質無料で「iPad mini」を手に入れることができるサービスになっています。「スマホタダ割」は、モバイルナンバーポータビリティ(MNP)制度を利用してスマートフォンにのりかえれば、「学割」は、学生なら誰でも、家族はのりかえで、それぞれ「iPad mini」を実質無料で手に入れることが可能です。

これらのメリットは、通信サービスを展開する会社が販売まで積極的に手掛けている「iPad mini」ならではの特長です。

◆アンドロイド端末のシェアを大きく伸ばした「Nexus 7」

次に紹介するのは、購入検討者に聞いた「欲しいタブレット端末の機種」で、「iPad mini」、「iPad」に次ぐ3位に選ばれた、Google社の「Nexus 7」です。昨年2012年9月の発売開始から、多くの支持を集め、アンドロイド端末のシェアを一気に押し上げました。まさに、タブレット端末業界におけるターニングポイントを生み出した機種と言えるかもしれません。それでは、なぜ「Nexus 7」は多くの支持を集められたのか。
ハイクラスなスペックにもかかわらず、20,000円をきる価格。誰にでも手を出しやすいモデルだったことが1つの要因といえるでしょう。また、「Nexus 7」の特長はその大きさにあります。「iPad mini」よりも一回り小さなサイズ。細身の設計で、手の中に収まりやすい形になっています。持ち運びに便利な機種と言えるでしょう。
さらに、Google社が提供する各サービスを利用でき、連携がとりやすいというのも魅力の一つです。

◆その薄さ、外部機器との連携がウリの、「Xperia Tablet Z」

最後は、「Nexus 7」と同率の3位だった、SONY社の「Xperia Tablet」シリーズの「Xperia Tablet Z」です。
先日、発売されたばかりの「Xperia Tablet Z」。ディスプレーサイズは、10.1インチと、前述の2機種より少し大きめのタイプになります。そして、その最大の特長は、“世界最薄”を謳う、厚さ約6.9mmの本体形状でしょう。
また、価格は少々高くなるものの、高画質で、防水・防塵。音声出力、カメラ、動画撮影などの機能も充実しています。さらに、家電メーカーであるSONY社の製品ということもあり、テレビ、ゲーム機など、外部機器との連携にも優れているのが特長でしょう。
家庭内でも様々な利用方法があり、「iPad mini」、「Nexus 7」とは異なった利用シーンで活躍しそうなタブレット端末といえそうです。
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